ソードアート・オンライン〜旭日の防人達〜 作:霧のイージス艦
零
次、恵だな。どうする?
恵
うーん…UMP45でお願い。アサルトライフル重すぎるし
零は恵の言葉に「なるほどな」と深く頷き、タブレットの画面をフリックした。
零
UMP45か! 良いな、恵。アサルトライフルが重すぎるっていうのは、実戦において最高に真っ当でリアルな感覚だ。泥だらけの戦場を這いずり回るんだからな、軽さはそれだけでスタミナを削らない最大の武器になる
零がタブレットを操作して提示した画面には、無駄のない直線的なデザインでまとめられた、軽量なポリマーフレームのサブマシンガンが映し出された。
零
H&K社製の『UMP45』。偶然だけど、最前線で大暴れするクレハや、404小隊の隊長リヴァと全く同じ相棒だ。本体重量が2キロちょっとしかないから、お前の華奢な腕でも全く負担にならない。何より、使用する.45ACP弾の圧倒的なストッピングパワー(阻止力)は折り紙付きだ。前線に突っ込まなくても、陣地に近づく敵を確実に足止めして、お前自身と仲間をバッチリ守れるぞ
たきな
非常に賢明な判断です。サブマシンガン(SMG)は銃身が短いため、狭い基地内や司令部周辺での取り回しが抜群に良いです。さらにクレハさんたちのUMP45と完全にパーツやマガジンを共有できるため、前線での兵站(ロジスティクス)の負担を増やすこともありません。自衛用の火器としてはこれ以上ない選択ですね
たきなが手元の資料にカチッとチェックを入れると、恵は少し髪を弄りながら、フンと少し不機嫌そうなギャルっぽい口調で言葉を返した。
恵
へえ、あのリヴァさんたちとお揃いなんだ。……まぁ、あたしはあんな怪物みたいな訓練、マジで御免だしさ。でも、清隆がやるって決めて、みんなが戦うっていうなら、あたしだけただ後ろで守られてるだけの足手まatoi(足手まとい)になるのは、もっと絶対に嫌だし! これなら軽そうだし、あたしでもちゃんと扱えそうだし
少しツンとした物言いの奥に、前世で寄生先を探し求めていた脆弱な少女ではなく、大切な人の隣で自分の未来を掴み取ろうとする、確かな自立の覚悟が宿っていた。
その様子を、コーヒーのカップを片手に静かに見守っていた清隆が、感情の読めないポーカーフェイスのまま、ほんの僅かに目を細めた。
清隆
妥当な選択だな、恵。お前に最前線での肉撃戦を求めているわけではない。陣地のセキュリティ、そして自衛用として、軽量かつ一発の威力が高いUMP45を宛がうのは、お前の生存率を最も高める合理的な判断だ
麻耶
わぁ、恵、すごーい! サブマシンガンだって! なんか映画のヒロインみたいで超格好いいじゃん! 私たちの居場所を邪魔するクソ大人なんて、恵のその銃でガツンと言わせてやりなよ!
隣のテーブルから、親友の佐藤麻耶が我がことのように目を輝かせてはしゃぐと、恵は分かりやすく顔を赤くしてぷいっと横を向いた。
恵
ちょっと麻耶、はしゃぎすぎだし! あんたもこの後自分の武器選ぶんだから、真面目に聞きなさいよ!
零
ははは、相変わらず仲が良いな。……よし、メインは決まりだ。で、そのUMP45に合わせるサイドアーム(拳銃)だが、これも周囲との兵站の美しさを崩さない、俺や堀北、桔梗たち全員とお揃いの**『H&K SFP9』**の自衛隊仕様で決まりだ。9mmパラベラム弾の補給ラインもこれで完全に盤石だからな
恵
みんなとお揃いのSFP9ね。軽くて安全対策がバッチリなら、あたしの護身用には文句なしだし。零さん、ありがと。この真っ黒なUMP45とSFP9で、あたしも自分の居場所は自分で守ってみせるわ
過去のトラウマを乗り越え、愛する人の隣で戦う覚悟を決めた恵。
軽量ながらも圧倒的な阻止力を誇る傑作サブマシンガンと、絶対的な信頼性を誇る現行拳銃を手に入れたことで、防人たちの後方防衛・自衛網は、より確実で、より鉄壁なものへと完成されたのだった。
ひより
恵さん?今世では清隆君の隣は私ですからね?
恵
わかってるわよ。ひより
一瞬、会議室の空気にピリッとした、銃弾の交錯とは全く異なる質の火花が散った。
声の主は、椎名ひより。
普段は図書室の妖精のように物静かで、本を愛する可憐な少女。しかし、その背後には戦術人形の技術で軽量化された超重量級の長距離狙撃銃『チェイ・タック M200』を控える、部隊最高峰のワンショット・ワンキラーだ。
彼女はいつも通りのふんわりとした、大天使のような微笑みを浮かべたまま、しかしその瞳の奥には一歩も引かない絶対的な守護者の光を宿して、恵を見つめていた。
前世の高度育成高等学校における、清隆を巡る人間関係。
それを全員が「前世の記憶」として共有しているこの状況だからこそ、ひよりのその静かな宣言には、どんな重機関銃の掃射よりも重い、底知れないプレッシャーがあった。
対する恵は、ふう、と小さくため息を吐きながら、自身の金髪の毛先を指先で弾いた。その顔は、焦るでもなく、不機嫌になるでもなく、どこか全てを割り切ったような、サバサバとした大人の表情だった。
恵
……いまさら奪い返そうなんて思ってないわよ。あっちの世界じゃ色々あったけど、ここは新しい世界だし、あんたが清隆の隣にいるのが一番しっくりくるって、あたしも認めてるしね。……だから、安心していいわよ、ひより
恵のその言葉は、前世の未練や依存から完全に脱却し、今世で自分の足で立つ覚悟を決めたからこその、心からの譲歩であり信頼だった。
二人の間で交わされた、奇妙ながらも確かな絆の確認。
その様子を、食堂のカウンターで静かにコーヒーを啜りながら見ていた清隆は、相変わらず感情の読めないポーカーフェイスのままだったが、ほんの僅かにカップを握る手に力がこもっていたのを、零は見逃さなかった。
零
(……おいおい、戦場の修羅場より、女子の修羅場の方がよっぽど胃に悪いぜ。まぁ、恵が割り切ってひよりと良い関係を作れてるみたいで安心したけどな)
零はやれやれと心の中で冷や汗を拭い、張り詰めかけた会議室の空気を換えるようにパンッと大きく手を叩いた。
零
次、麻耶、さっき恵に怒られてただろ。次は、お前の番だ
名前を呼ばれ、佐藤麻耶は「ひゃいっ!?」と変な声を上げて飛び上がった。
さっきまで親友の恵の武器選びに大はしゃぎし、ひよりの牽制に「わわわ、ひよりちゃん笑顔なのに目が笑ってない……!」とオロオロしていた彼女は、急に自分の番が回ってきたことで、一瞬にして緊張で顔を真っ赤にした。
麻耶
あ、あたし!? ええっと、どうしよう……! あたし、本当に運動とか苦手だし、さっき恵が選んだサブマシンガン(UMP45)でも重そうって思っちゃったくらいで……。零さん、あたしみたいなお洒落大好きな普通の女の子でも、怖くない銃ってあるのかな……?
上目遣いで不安そうに身を縮める麻耶。
零はそんな彼女の緊張をほぐすように優しく笑うと、タブレットの画面をスライドさせて彼女に向けた。そこに映し出されたのは、独特の流線型デザインを持つ、非常にコンパクトで未来的なスタイルのサブマシンガンだった。
零
安心しろ、麻耶。お前が重い銃や強い反動が怖いって言うなら、これ以上にない最高にスマートな相棒を用意してある。ベルギーのFN社製、**『FN P90』**のマットブラック仕様だ。……GGOの破壊神、レンとお揃いのメインアームだな
麻耶
わぁ……! なにこれ、すごく丸っこくて可愛い形! 銃っていうより、なんだか未来のゲームのコントローラーみたい!
麻耶がパッと目を輝かせる。零はその未来的な形状の裏にある、圧倒的な実用性を説明し始めた。
零
こいつの最大の特徴は、人間工学を極限まで突き詰めた『ブルパップ方式』の設計だ。機関部が後ろにあるから、銃身の長さを保ったまま、全体のサイズを驚くほど小さく、軽く(約2.8キロ)作られてる。お前の華奢な身体でも、胸元にすっぽり収まるサイズ感だ。何より、使用する5.7mm×28mm弾は反動が一般的な拳銃並みに少ない。それでいて、敵の防弾チョッキを容易に貫通する性能があるから、お前がパニックになって引き金を引いても、銃の跳ね上がりに振り回されることなく、レーザーみたいにまっすぐ敵を足止めできるぞ
たきな
非常に優れた選択です。P90の装弾数は、通常のライフルの約2倍にあたる『50発』。人間工学に基づいた独自のグリップ形状は、手の小さな女性でも抜群に握りやすく、狙いがブレません。さらに、弾薬はレンさんやエイジさんのメイン、拳銃のファイブセブンとも完全に共通規格(5.7mm)ですから、前線での弾薬管理の手間も一切増えません。自衛・防衛用の火器としては、これ以上ない『初心者にも優しい傑作』ですね
たきなが手元の資料にカチッとチェックを入れると、恵が「ほら、麻耶にぴったりじゃん」と嬉しそうに肩を叩いた。
麻耶
50発も入るんだ! それに反動が少ないなら、あたしでも目をつぶらないでちゃんと撃てそう! 恵やみんなの居場所を守るためだもん、あたしもこの『ピーちゃん』ってやつで、一生懸命がんばる!
レン
あはは、麻耶ちゃんもP90(ピーちゃん)なんだね! ピンク色じゃないのはちょっと残念だけど、真っ黒なピーちゃんもすごく引き締まってて格好いいよ! 扱い方は私がバッチリ教えてあげるから、何でも聞いてね!
同じP90を愛用するレンが、長身を屈めながら嬉しそうに麻耶にウインクすると、麻耶も「うん、レンちゃんよろしくね!」と元気に微笑んだ。
零
よし、メイン。……で、そのP90に合わせるサイドアーム(拳銃)だが、これも周囲との兵站(ロジスティクス)の美しさを崩さない、俺や堀北、恵たち全員とお揃いの**『H&K SFP9』**の自衛隊仕様で決まりだ。9mmパラベラム弾の補給ラインもこれで完全にカンペキだからな
麻耶
みんなとお揃いのSFP9ね! 軽くて安全で、恵やみんなと同じ拳銃なら、それだけで百人力って感じだし! 零さん、可愛いピーちゃんと素敵な拳銃をありがとう。あたしも自分の未来のために、しっかりお留守番と防衛、頑張るからね!
前世の恋に恋するギャルから、大切な仲間と自分の居場所を守るために「真っ黒な相棒」を手にした麻耶。
初心者にも扱いやすく、圧倒的な装弾数を誇る最新鋭サブマシンガンと、絶対的な信頼性を誇る現行拳銃を手に入れたことで、防人たちの後方防衛・自衛網は、より優しく、より鉄壁なものへと完成されたのだった。と思えたが……
零
麻耶、ストップ。今、名簿を確定させようとして、兵站の美しさをミリ単位で見落とすところだった。拳銃は**『FN Five-seveN(ファイブセブン)』**に変更だ
麻耶
えっ!? ファイブセブン……? 零さん、急にどうしたの?
麻耶が不思議そうに目をパチクリさせると、その意図を瞬時に察したたきなが、ポンと手を叩いて深く納得の声を上げた。
たきな
……! なるほど、盲点でした。メインアームがP90(5.7mm口径)である以上、サイドアームを9mmのSFP9にするよりも、同じベルギーFN社製のFive-seveNにした方が、圧倒的に合理的です!
レン
わぁ! ピーちゃんとファイブセブン! それって、GGOの時の私と完全に同じ最強の5.7mmコンビだよ、麻耶ちゃん!
レンが長身を揺らして大はしゃぎすると、零はニヤリと笑ってタブレットの画面を切り替え、スマートで近未来的なポリマーフレームピストルを表示した。
零
そういうことだ。お前は実戦初心者だからこそ、持ち歩く弾薬の種類は一つに絞った方が絶対に混乱しない。メインのP90も、このFive-seveNも、使うのは全く同じ**『5.7mm×28mm弾』**だ。これなら携行する予備の弾箱も一種類で済むし、万が一の時はメインから弾を抜いて拳銃に込めることだってできる。それに、このFive-seveNはハンドガンなのに20発も入る大容量で、反動も9mmよりマイルドだからお前の手にも完璧に馴染むぞ
たきな
兵站の観点からも完璧な修正です。キリトさん、エイジさん、レンさん、そして麻耶さんの4人で『5.7mmライン』が完全に構築されました。前線と後方で弾薬を融通し合えるメリットは、乱戦時にこそ真価を発揮します。零さん、流石のディテール管理ですね
たきなが嬉しそうに手元の資料をガチッと書き換える。
麻耶
そっか……弾が全部同じなら、あたしも『えっと、どっちの弾だっけ!?』ってテンパらなくて済むもんね! それに、レンちゃんとも拳銃まで完全にお揃いなんて、なんだかすごく特別感があって嬉しいし!
レン
うんうん! 真っ黒な5.56mmアタッカー陣に負けないくらい、私たちの『5.7mmスピードスター組』で、後方からバッチリみんなをサポートしちゃおうね!
麻耶は胸の前で拳をギュッと握り、完全に不安を消し去った満面の笑みでコクリと頷いた。零はその健気な姿に満足して、今度こそ名簿の数値を確定させた。
零
次、波瑠加だな。どうする?
波瑠加
うーん、私は狙撃銃がいいかな。えっと…イギリスのAWM?
零は手元の電子端末に視線を落とし、長谷部波瑠加のプロフィールを確認すると、フッと口元を緩めた。
零
AWMか……! 波瑠加、お前もまた最高に強力で、そして頼もしい獲物(銃)を選んでくるな。お前のあの、普段は気怠げでマイペースだけど、大切な仲間の居場所を守るためには決して引かない秘めたる執念には、これ以上ないほどシンクロするスナイパーライフルだぞ
零がタブレットを操作して画面を彼女に向けると、オリーブドラブ(濃緑色)の頑強なストックに、重厚な漆黒のバレルが貫かれた、イギリスの誇る世界最高峰のボルトアクション狙撃銃のシルエットが映し出された。
零
イギリスのアキュラシー・インターナショナル社製、『AW(アキュラシー・ウォーフェア)』ライフルだ。お前の言うAWMは強力なマグナム弾仕様だが、今回はロジスティクスと反動の制御を最優先して、ベースモデルである7.62mmNATO弾仕様(イギリス軍名称:L96A1)で手配してやる。……これで、ランのG28E3、サチのM24、フィリアのM1500、彩加のTRG-22と、後方狙撃陣の弾薬が完全に『7.62mm』で一列に統一されたわけだ
たきな
完璧を通り越して、美しいとすら言える兵站(ロジスティクス)の構築です。AWライフルは、マイナス40度の極寒から砂漠の酷暑まで、どんな悪条件でも命中精度が絶対に狂わない『世界で最もタフなボルトアクション』の一つです。ボルトの操作も非常に確実で、波瑠加さんの体格なら、強力な7.62mmの反動もしっかりとストック(銃床)で受け止められます。これで後方の『五重の絶対死線』が、いよいよ完全に隙のない『六重の要塞』へ進化しましたね
たきなが嬉しそうに資料にカチッとチェックを入れると、波瑠加は「ん、ありがと」と、どこか気怠げながらも嬉しそうな笑みを浮かべて首をすくめた。
波瑠加
ありがと、零くん、たきなちゃん。私、あっちの学校(高度育成高校)にいた頃から、みんなとまったり過ごす時間が一番大切だったからさー。あんな冷たいDAの訓練なんて本当に最悪だったけど、この頑丈な緑の銃でみんなの進む道を遠くからお掃除して、大事な居場所を守れるなら、喜んで引き金を引かせてもらうよ。一発でパシッと仕留めて、あとは清ぽんたちの後ろでのんびりお茶でも飲んでたいしねー
マイペースな言葉の裏に、大切な「綾小路グループ」の絆を守り抜くという、不退転の覚悟を滲ませる波瑠加。
同じ7.62mm口径のボルトアクションを愛用するサチが、少し緊張をほぐした優しい笑みで彼女に話しかけた。
サチ
波瑠加さん、私とお揃いの7.62mmのボルトアクションですね。私も遠くからみんなの背中を見守って撃つので……一緒に、焦らず一発ずつ、大切なみんなを守りましょうね
波瑠加
うん、よろしくね、サチちゃん。サチちゃんみたいな可愛い子が隣にいてくれるなら、後ろでの狙撃も退屈しなくて済みそうだわー
零
はは、いいコンビになりそうだな。……よし、メインは決まりだ。で、そのAWに合わせるサイドアーム(拳銃)だが、これも周囲の狙撃班の大部分、そして女の子たちとお揃いの**『H&K SFP9』**の自衛隊仕様で決まりだ。9mmパラベラム弾の補給ラインも、これで完全に盤石だからな
波瑠加
みんなとお揃いのSFP9ね。ええ、軽くて安全で、護身用としてはそれだけで文句なしだわ。零くん、最高の相棒を選んでくれてありがとね。この真っ黒なSFP9とオリーブのAWライフルで、あたしも『防人』として、しっかり裏の仕事を片付けさせてもらうよ
気怠げなトリックスターの奥に、不屈の守護者の意志を宿した波瑠加。
どんな過酷な環境でも絶対に狂わないイギリス製の怪物狙撃銃と、絶対的な信頼性を誇る現行拳銃を手に入れたことで、防人たちの後方狙撃班(スナイパー・ライン)は、いよいよ一国家の防衛網を内側から完全にすり潰すための、圧倒的な「大貫通の盾」を完成させたのだった。
零は手元の電子端末に表示された最後の一人の欄――王美雨(みーちゃん)のプロフィールに視線を移し、おずおずと最後尾で身を縮めている彼女に向けて、優しく、しかし確信に満ちた声で語りかけた。
零
最後、みーちゃんだな。お前は性格的にも、前線で激しい撃ち合いをするよりは司令部での情報支援がメインになる。……それなら、優美子と同じ**『SIG MPX』の9mm仕様**がいいかな
名前を呼ばれ、みーちゃんは少し肩を跳ね上がらせながらも、スッと前に出た。その大きな瞳には、中国からの亡命、そしてDAでの過酷な監禁訓練という重い過去を乗り越え、今度こそ自分の足で立ち上がろうとする確かな光が宿っていた。
みーちゃん
えっと……優美子さんと同じ、あの真っ黒でシュッとした格好いい銃ですか……? 私、DAにいた時も大きくて重いアサルトライフルは全然上手く構えられなくて、いつも泣きそうになっていたので……軽いサブマシンガンなら、すごく安心します……
零
ああ。お前は中国から命がけで亡命してきて、やっと安心できると思った瞬間にDAに拉致されたんだ。もうあんな冷酷な大人たちのために戦う必要は一切ない。だけどな、お前がここで新しい、本物の日本国籍と平和な日常を掴み取るための『絶対的なお守り』は必要だ。このMPXはアサルトライフルより遥かに軽くてコンパクトだし、何より引き金を引いた時のブレ(反動)が極限まで抑えられている。お前みたいに銃が怖い女の子でも、狙ったところにレーザーみたいにまっすぐ飛んで、お前自身を完璧に守ってくれるぞ
零が優しく微笑みながらタブレットの画面を示すと、みーちゃんは少しホッとしたように表情を和ませた。
その横から、たきなが手元の資料にカチッとチェックを入れながら、完璧なロジスティクス目線で太鼓パンを押す。
たきな
極めて適切な選定です。SIG MPXが使用する9mmパラベラム弾は、優美子さんだけでなく、リズさんやユウキさん、アルゴさん、そして八幡さんのUMP9やグロックとも完全に共通規格です。後方支援班としての弾薬管理の手間を一切増やすことなく、最高峰の自衛火力を司令部に配置できますね
優美子
ふん、あーしと同じMPXなわけ? いいじゃん、最新鋭のMPXの操作性の良さはあーしが保証するし。みーちゃんが彩加たちのいる司令部でこれを持っててくれるなら、あーしも安心して前線で敵の売国奴どもにメンチ切れるしね
三浦優美子が腕を組んだまま、ギャルっぽくも頼もしい言葉を投げかけると、みーちゃんはぎゅっと小さな拳を握り締め、真っ直ぐな瞳で零を見つめた。
みーちゃん
……はい! 前世のでは、私、平田くんやみんなの後ろでオロオロして、泣いてばかりの足手まといでした……。でも、この世界で国籍の手続きまで助けてくれて、本当の『家』をくれた零さんたちの場所を、誰かの身勝手で壊されるなんて絶対に嫌です! 私、逃げないで、このMPXで自分の未来をちゃんと守ります!
控えめだった少女の口から飛び出した、不退転の「防人の覚悟」。
その健気で力強い誓いに、堀北鈴音や一之瀬帆波、そして旧Dクラスの女子生徒たちも、誇らしげに優しい笑みを浮かべていた。
零
いい覚悟だ、みーちゃん。……よし、メインは決まりだな。で、サイドアーム(拳銃)だが、これも周囲の女の子たち、そして堀使北や桔梗、千秋たち旧Dクラス全員とお揃いの**『H&K SFP9(自衛隊仕様)』**で決まりだ。9mmパラベラム弾の補給ラインも、これで完全に美しく一列に統一されたからな
みーちゃん
堀北さんや櫛田さん、みんなとお揃いのSFP9……! ありがとうございます、零さん! 私、この最新鋭の相棒たちと一緒に、安全な場所からみんなの進む道を一生懸命バックアップしますね!
過酷な運命の枠組みを乗り越え、自らの新しい祖国と居場所を守るために「漆黒の相棒」を手にしたみーちゃん。
最高峰の低反動サブマシンガンと、絶対的な信頼性を誇る現行拳銃を手に入れたことで、防人たちの高度育成高校・旧Dクラス女子生徒の武装選定は、これ以上ないほどスマートに、そして完璧な兵站の美しさを以て完了したのだった。
恵
H&K UMP45
H&K SFP9
麻耶
FN P90
FN Five-seveN
波瑠加
L96A1
H&K SFP9
王美雨(みーちゃん)
SIG MPX、8インチバレル仕様
H&K SFP9