ソードアート・オンライン〜旭日の防人達〜 作:霧のイージス艦
高度育成高校の面々や、前線に立つアタッカーたちが一堂に会する会議室の空気が、さらにもう一段、深い「実戦の闇」へと沈み込んだ。
『雪風』という奇跡の幸運艦の名だけでも十分すぎる衝撃だったというのに、零の口から漏れた次なる言葉は、ミリタリーの深淵を知るシノンにとって、もはや戦慄以外の何物でもなかった。
零
それに……爺さん、坊ノ岬沖海戦の後、雪風を降りてたのよ。どこに所属してたと思う?
シノン
え……陸戦隊、とか……?
シノンはゴクリと息を呑み、僅かに声を震わせながら尋ねた。海軍の艦艇乗員が船を降りて地上に回されるとすれば、それは多くの場合、激戦地での防衛戦を担う海軍陸戦隊への編入を意味する。
だが、零がゆっくりと首を振り、モニターの端に表示された旧海軍の極秘名簿の一角を指差した瞬間、その場にいた全員の思考が凍りついた。
零
……呉鎮守府第101特別陸戦隊……
全員
なっ……!?
幻の海軍特殊部隊「呉101、S特」
激しい衝撃の混じった声が、会議室の壁を震わせた。
シノンはあまりの衝撃に言葉を失い、ただただ目を見開いて硬直している。その横で、現代の暗殺部隊(リリベル)や特殊作戦の教育を受けてきたキリトやたきな、そして清隆陣営の面々が、一斉に背筋を正し、鋭い緊張感をその身から放ち始めた。
キリト
呉101……? おい零、それってただの陸戦隊じゃないのか? みんなの顔色が完全に変わってるんだけど……
シノン
ただの陸戦隊なわけないじゃない……っ! それ、大戦末期に日本海軍が極秘裏に組織した、**日本軍史上初の『本格的な特殊部隊(海軍コマンド)』**よ……!
シノンは自身の知識の引き出しをフル回転させながら、戦慄を隠せない様子でキリトに、そして全員にその異常性を説明し始めた。
シノン
通常の陸戦隊のような防衛戦目的の部隊じゃないわ。潜水艦や航空機を使って敵陣の背後に隠密潜入し、飛行場を奇襲爆破して大混乱に陥れる……。完全に**『ゲリラ戦・特殊作戦・暗殺』**に特化した、生還を考慮しない最精鋭の切り込み部隊。米軍のネイビーシールズや、イギリスのSASの先駆けとなった幻の特命部隊なのよ!
たきな
……通りで、腑に落ちました
たきなが腰のハンドガンに手を添えながら、冷徹なプロの瞳の奥に深い納得の光を宿して零を見つめた。
たきな
私たちがDAで叩き込まれてきた、気配を消して敵の懐に潜り込み、中枢をマヒさせる暗殺・強襲技術。その血統のオリジン(元祖)が、まさか零さんの前世のお爺様にあったとは。……遺伝子レベルで、今回の『お掃除(クーデター)』をやり遂げるための適性が揃っていたというわけですか
清隆
なるほどな。初代大和の最期を見届けた『幸運艦の天運』と、敵の喉元に刃を突き立てる『最精鋭特殊部隊の技』。……その二つを併せ持った老兵の遺言だからこそ、この2代目大和を秘匿する計画の中枢に関わることができた。完璧なパズルの完成だ
清隆が静かにコーヒーのカップを置き、零の背後にある「血統の重み」を称えるように小さく頷いた。
宿命のバトン、そして「天岩戸」へ
零は、モニターに映る『呉鎮守府第101特別陸戦隊』の旧文字を見つめながら、フッと口元を凶暴なまでに歪めて笑った。
零
お前たちの言う通りさ。爺さんが残した戦術ノートには、現代の特殊部隊顔負けの隠密潜入のノウハウがびっしり書き残されてた。当時はただのミリタリーマニアのノートだと思ってたが……今思えば、あれは俺に宛てた『戦場の教科書』だったんだよ
零はデスクの上に両手を突き、全員の顔を見渡した。そこには、SAOの英雄、GGOの狂人、ホワイトルームの天才、そして自衛隊や警察の技術が、完璧な一つの軍勢として並んでいる。
零
初代大和を看取り、特殊部隊として敵の中枢を奇襲する術を磨いた英霊たちの執念だ。大高さんが表の選挙で政権を奪取するその裏で……俺たちはこの『呉101』の牙を受け継いで、DA本部と腐った売国奴どもの喉元に、音もなく噛み付いてやろうじゃねえか
ピトフーイ(エルザ)
あはっ♪ 海軍の元祖特殊部隊の血統に、北の海に眠る巨大な大和……! 最高、最高だわ零! ただの泥臭いクーデターかと思ったら、歴史の亡霊たちまで味方につけた最高のデス・ゲームじゃない! ゾクゾクするわねぇ!
零は遠い目をしながら、首の後ろを少し気恥ずかしそうに、けれど微かな戦慄を込めてさすった。その仕草の重さに、周囲の戦士たちが再び息を呑む。
零
まぁ、前世でその爺さんに思いっきりしごかれたのよ……。前前世の戦術人形時代の経験と記憶があったおかげで骨の数本で済んでなんとかなったけどさ。それでもリアルに2回くらい三途の川を見たからな……
シノン
戦術人形時代の経験……!? ちょっと待って零、あなた前前世はあの硝煙と鉄の戦術人形(ドールズフロントライン)だったの!? ……あ、そういえばさっきスプリングフィールドさんたちが『初期メンバーの十六夜』って言ってたの、そういうこと……!?
シノンが今日何度目か分からない驚愕に声を裏返らせる。グリフィン最精鋭の人形としての精神的な頑強さと、旧海軍コマンド(呉101)の「生還を考慮しないゲリラ戦訓練」が、一人の少年の魂の中で最悪の化学反応を起こしていたのだ。
たきな
……納得です。海軍101特陸の、夜闇に紛れて敵の哨戒網を潜り抜ける泥臭い実戦潜入技術。そして戦術人形が持つ、あらゆる銃器をミリ秒単位で制御する電子的、かつ冷徹な兵器としての最適解。その二つが揃っていれば、DAの訓練など児戯に等しく感じられるのも当然です
たきながいつも通りの冷徹なトーンで、しかしその手元のペンを握る手に一層の力を込めて呟く。
千束
ひええ……。2回も三途の川を見る訓練って何よ!? 自衛隊のレンジャー訓練だってそこまでいかないよ! 零がバカみたいに強くて、どんな状況でも平然と指揮を執れる理由が、完全に人間辞めてるレベルの過去にあるなんてさ……。あはは、楠木(DA司令)たち、本当に戦う相手を間違えたよね
千束が引きつった笑いを浮かべながら肩をすくめるその横で、キリトがフッと地下へのドアを見つめ、どこか哀愁の漂う苦笑いを浮かべた。
キリト
前前世が最強の人形、前世が特殊部隊のシゴキを生き抜いた男、か……。そんな零が『性根をへし折ってこい』って送り込んだんだ。……今頃地下の射撃場でザ・ボスとクルカイに揉まれてる八幡の奴、三途の川どころか地獄の閻魔(えんま)様と握手して戻ってくるんじゃないか?
クライン
おいキリト、笑い事じゃねえぞ! あいつただのひねくれた一般高校生だろ!? 生きて帰ってきたら、俺が全力で美味いもん奢って魂を現実(リアル)に繋ぎ止めてやるからな!
クラインが涙目で八幡の生存を祈る中、部屋の隅で静かに状況を観察していた綾小路清隆が、いつものポーカーフェイスのまま、冷徹な大局観を口にした。
清隆
比企谷の心配は不要だ。ザ・ボスもクルカイも、壊すためのシゴキはしない。生きて戦場を支配するための、極限の現実(リアル)を脳に叩き込んでいるだけだ。それよりも零、パズルはすべて揃った
清隆の鋭い瞳が、メインモニターに映る『2代目大和』と『筑後』の秘匿データへと向けられる。
清隆
表の解散総選挙という大勝負、そして裏の政権交代を確実にするための情報戦。さらに、北の地で目覚める旧海軍の遺産……。お前が持つ『呉101』の強襲技術と戦術人形の統率力があれば、国家の防衛網を内側から完全にパージ(解体)し、新しい日本の夜明けをこじ開けることは、もはや単なる空想ではない。合理的な勝率は、すでに7割を超えている
零
ああ。爺さんの遺言と、前前世で置いてきたはずの鉄の絆(404・ズッケロ小隊)が、この歪んだ世界で再び俺の手に戻ってきた。……これだけのカードが揃って、負ける言い訳なんて通用しねえよな
零はデスクの上に両手を突き、全員の顔を見渡した。
SAOの英雄、GGOの狂人、ホワイトルームの天才、そして異世界の戦友たち。すべての防人たちの瞳に、いかなる国家の欺瞞をも消し去る、圧倒的な闘志の炎が宿る。
零
大高さんが表の選挙で勝つ。俺たちは裏で『呉101』の牙を剥き、DAの楠木たちを一網打尽にする。そして、稚内の海から『2代目大和』を新生日本のフラッグシップとして進水させる。…
高度育成高校の面々や、前線に立つアタッカーたちが一堂に会する会議室の空気が、さらにもう一段、深い「実戦の闇」へと沈み込んだ。
『雪風』という奇跡の幸運艦の名だけでも十分すぎる衝撃だったというのに、零の口から漏れた次なる言葉は、ミリタリーの深淵を知るシノンにとって、もはや戦慄以外の何物でもなかった。
零
それに……爺さん、坊ノ岬沖海戦の後、雪風を降りてたのよ。どこに所属してたと思う?」
シノン
え……陸戦隊、とか……?
シノンはゴクリと息を呑み、僅かに声を震わせながら尋ねた。海軍の艦艇乗員が船を降りて地上に回されるとすれば、それは多くの場合、激戦地での防衛戦を担う海軍陸戦隊への編入を意味する。
だが、零がゆっくりと首を振り、モニターの端に表示された旧海軍の極秘名簿の一角を指差した瞬間、その場にいた全員の思考が凍りついた。
零
……呉鎮守府第101特別陸戦隊……
全員
なっ……!?
幻の海軍特殊部隊「呉101、S特」
激しい衝撃の混じった声が、会議室の壁を震わせた。
シノンはあまりの衝撃に言葉を失い、ただただ目を見開いて硬直している。その横で、現代の暗殺部隊(リリベル)や特殊作戦の教育を受けてきたキリトやたきな、そして清隆陣営の面々が、一斉に背筋を正し、鋭い緊張感をその身から放ち始めた。
キリト
呉101……? おい零、それってただの陸戦隊じゃないのか? みんなの顔色が完全に変わってるんだけど……
シノン
ただの陸戦隊なわけないじゃない……っ! それ、大戦末期に日本海軍が極秘裏に組織した、**日本軍史上初の『本格的な特殊部隊(海軍コマンド)』**よ……!
シノンは自身の知識の引き出しをフル回転させながら、戦慄を隠せない様子でキリトに、そして全員にその異常性を説明し始めた。
シノン
通常の陸戦隊のような防衛戦目的の部隊じゃないわ。潜水艦や航空機を使って敵陣の背後に隠密潜入し、飛行場を奇襲爆破して大混乱に陥れる……。完全に**『ゲリラ戦・特殊作戦・暗殺』**に特化した、生還を考慮しない最精鋭の切り込み部隊。米軍のネイビーシールズや、イギリスのSASの先駆けとなった幻の特命部隊なのよ!
たきな
……通りで、腑に落ちました
たきなが腰のハンドガンに手を添えながら、冷徹なプロの瞳の奥に深い納得の光を宿して零を見つめた。
たきな
私たちがDAで叩き込まれてきた、気配を消して敵の懐に潜り込み、中枢をマヒさせる暗殺・強襲技術。その血統のオリジン(元祖)が、まさか零さんの前世のお爺様にあったとは。……遺伝子レベルで、今回の『お掃除(クーデター)』をやり遂げるための適性が揃っていたというわけですか
清隆
なるほどな。初代大和の最期を見届けた『幸運艦の天運』と、敵の喉元に刃を突き立てる『最精鋭特殊部隊の技』。……その二つを併せ持った老兵の遺言だからこそ、この2代目大和を秘匿する計画の中枢に関わることができた。完璧なパズルの完成だ
清隆が静かにコーヒーのカップを置き、零の背後にある「血統の重み」を称えるように小さく頷いた。
宿命のバトン、そして「天岩戸」へ
零は、モニターに映る『呉鎮守府第101特別陸戦隊』の旧文字を見つめながら、フッと口元を凶暴なまでに歪めて笑った。
零
お前たちの言う通りさ。爺さんが残した戦術ノートには、現代の特殊部隊顔負けの隠密潜入のノウハウがびっしり書き残されてた。当時はただのミリタリーマニアのノートだと思ってたが……今思えば、あれは俺に宛てた『戦場の教科書』だったんだよ
零はデスクの上に両手を突き、全員の顔を見渡した。そこには、SAOの英雄、GGOの狂人、ホワイトルームの天才、そして自衛隊や警察の技術が、完璧な一つの軍勢として並んでいる。
零
初代大和を看取り、特殊部隊として敵の中枢を奇襲する術を磨いた英霊たちの執念だ。大高さんが表の選挙で政権を奪取するその裏で……俺たちはこの『呉101』の牙を受け継いで、DA本部と腐った売国奴どもの喉元に、音もなく噛み付いてやろうじゃねえか
ピトフーイ(エルザ)
あはっ♪ 海軍の元祖特殊部隊の血統に、北の海に眠る巨大な大和……! 最高、最高だわ零! ただの泥臭いクーデターかと思ったら、歴史の亡霊たちまで味方につけた最高のデス・ゲームじゃない! ゾクゾクするわねぇ!
零は遠い目をしながら、首の後ろを少し気恥ずかしそうに、けれど微かな戦慄を込めてさすった。その仕草の重さに、周囲の戦士たちが再び息を呑む。
零
まぁ、前世でその爺さんに思いっきりしごかれたのよ……。前前世の戦術人形時代の経験と記憶があったおかげで骨の数本で済んでなんとかなったけどさ。それでもリアルに2回くらい三途の川を見たからな……
シノン
戦術人形時代の経験……!? ちょっと待って零、あなた前前世はあの硝煙と鉄の戦術人形(ドールズフロントライン)だったの!? ……あ、そういえばさっきスプリングフィールドさんたちが『初期メンバーの十六夜』って言ってたの、そういうこと……!?
シノンが今日何度目か分からない驚愕に声を裏返らせる。グリフィン最精鋭の人形としての精神的な頑強さと、旧海軍コマンド(呉101)の「生還を考慮しないゲリラ戦訓練」が、一人の少年の魂の中で最悪の化学反応を起こしていたのだ。
たきな
……納得です。海軍101特陸の、夜闇に紛れて敵の哨戒網を潜り抜ける泥臭い実戦潜入技術。そして戦術人形が持つ、あらゆる銃器をミリ秒単位で制御する電子的、かつ冷徹な兵器としての最適解。その二つが揃っていれば、DAの訓練など児戯に等しく感じられるのも当然です
たきながいつも通りの冷徹なトーンで、しかしその手元のペンを握る手に一層の力を込めて呟く。
千束
ひええ……。2回も三途の川を見る訓練って何よ!? 自衛隊のレンジャー訓練だってそこまでいかないよ! 零がバカみたいに強くて、どんな状況でも平然と指揮を執れる理由が、完全に人間辞めてるレベルの過去にあるなんてさ……。あはは、楠木(DA司令)たち、本当に戦う相手を間違えたよね
千束が引きつった笑いを浮かべながら肩をすくめるその横で、キリトがフッと地下へのドアを見つめ、どこか哀愁の漂う苦笑いを浮かべた。
キリト
前前世が最強の人形、前世が特殊部隊のシゴキを生き抜いた男、か……。そんな零が『性根をへし折ってこい』って送り込んだんだ。……今頃地下の射撃場でザ・ボスとクルカイに揉まれてる八幡の奴、三途の川どころか地獄の閻魔(えんま)様と握手して戻ってくるんじゃないか?
クライン
おいキリト、笑い事じゃねえぞ! あいつただのひねくれた一般高校生だろ!? 生きて帰ってきたら、俺が全力で美味いもん奢って魂を現実(リアル)に繋ぎ止めてやるからな!
クラインが涙目で八幡の生存を祈る中、部屋の隅で静かに状況を観察していた綾小路清隆が、いつものポーカーフェイスのまま、冷徹な大局観を口にした。
清隆
比企谷の心配は不要だ。ザ・ボスもクルカイも、壊すためのシゴキはしない。生きて戦場を支配するための、極限の現実(リアル)を脳に叩き込んでいるだけだ。それよりも零、パズルはすべて揃った
清隆の鋭い瞳が、メインモニターに映る『2代目大和』と『筑後』の秘匿データへと向けられる。
清隆
表の解散総選挙という大勝負、そして裏の政権交代を確実にするための情報戦。さらに、北の地で目覚める旧海軍の遺産……。お前が持つ『呉101』の強襲技術と戦術人形の統率力があれば、国家の防衛網を内側から完全にパージ(解体)し、新しい日本の夜明けをこじ開けることは、もはや単なる空想ではない。合理的な勝率は、すでに7割を超えている
零
ああ。爺さんの遺言と、前前世で置いてきたはずの鉄の絆(404・ズッケロ小隊)が、この歪んだ世界で再び俺の手に戻ってきた。……これだけのカードが揃って、負ける言い訳なんて通用しねえよな
零はデスクの上に両手を突き、全員の顔を見渡した。
SAOの英雄、GGOの狂人、ホワイトルームの天才、そして異世界の戦友たち。すべての防人たちの瞳に、いかなる国家の欺瞞をも消し去る、圧倒的な闘志の炎が宿る。
零
まぁ、そう言う事だ。はい。この話は終わり。話戻すぞ。