ソードアート・オンライン〜旭日の防人達〜 作:霧のイージス艦
俺が世界の真実と本当の秘密をすべて暴露した、あの衝撃的な日から2ヶ月の月日が流れた。
清隆君たちの身柄については、大高さんをはじめとする紺碧会の方々が万全の体制で極秘裏に保護してくれているらしい。
その間にも、サイレント・ジンとの死闘や地下鉄駅での銃撃事件など、リコリス・リコイルの歴史(原作)通りの大事件が次々と巻き起こった。だが、俺と式、そして千束とたきなの4人が揃えば敵なしだ。すべての脅威を裏から完璧に片付け、今日も俺はいつものように喫茶リコリコで店員としての平和な日常を送っていた。
緋村零
3番テーブルのお客さんの注文、上がったよ
両儀式
分かったわ、持っていく
時刻はちょうど16時を回ったところ。
店内には下校途中の学生たちが次々と雪崩れ込んできて、活気ある賑わいを見せている。
千束
お待たせしました!淹れたての珈琲とお団子のセットになりまーす!
たきな
ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております
現在のリコリコは、フロアをミカ、式、千束、たきなの4人が華やかに彩り、厨房を俺とみずきさんのコンビで手際よく回している。
ちなみにリコリコで働く際の俺の制服は黒のシックな和服。そして隣に立つ式は、いつもと変わらない美しい純白の着物を身に纏っていた。
緋村零
ふぅ……
押し寄せる夕方のピークタイムをなんとか乗り切り、ようやく訪れた束の間の休憩時間。
俺は思わず大きく息を吐き出した。
緋村零
ん~~! 今日もさすがに疲れたな!
両儀式
お疲れ様、零。よく動いていたわね
カウンター越しに式が柔らかい声で労ってくれる。
緋村零
式もお疲れ様。いつも助かってるよ
千束
みんなお疲れ様〜! 式さんもお店の仕事、すっかり板に付いてきたよね!
たきな
そうですね。頼もしいメンバーが増えてくれて、本当に助かっています
千束とたきなも会話の輪に加わり、和やかな空気が広がる。
千束
そう言えばさ、気になってたんだけど清隆君たちは今どうしているの?
緋村零
彼らなら大高さんたちが手配した、紺碧会の最高機密施設で厳重に匿われているところだよ
たきな
それにしても……高野さんの前世が、あの山本五十六だったとは未だに信じられません……
緋村零
まあね、魂っていうのは形を変えて何度も輪廻転生を繰り返すものだからさ……
そんな他愛のない世間話をしながら、俺はふと思い出した未来の展望を口にした。
緋村零
そう言えば大高さん、自分が総理大臣の座に就いたら、真っ先にDA(Direct Attack)を解体するって断言してたな
俺の口から飛び出した衝撃の発言に、千束とたきなは目を丸くして驚愕する。
千束
え、マジ!?
たきな
本当にそんなことが可能なのですか!?
まあ、組織に属していた彼女たちからすれば、当然の反応だろう。
緋村零
大高さんの信念さ。子供たちにそんな過酷な銃撃戦や殺し合いを絶対にさせてはならない、子供を守り抜くことこそがまっとうな大人の責務だ、ってね。DAを解体した後は、すべてのリコリスたちに丁寧な社会復帰訓練を受けさせるつもりらしい。普通の学校に通って憧れの職業を目指すのも自由、もし戦う技術を活かしたいなら自衛隊や警察の道へ進むのも自由、っていう方針さ
たきな
それなら……リコリスたちが都合よく処分されたり、刑務所に送られたりすることはないんですね!
緋村零
ああ。ただ、その代わりに私利私欲で組織を動かしていたDAの上層部連中は、軒並み一網打尽に逮捕されるみたいだけどね
千束
あはは、それは自業自え……いや、当然の報いだよね。でもそっか〜、あのDAがなくなっちゃうのか〜
冗談めかしつつも、千束の瞳にはどこか感慨深い、複雑な光が宿っていた。
緋村零
何が変わろうと、お前たちはこの喫茶店を今まで通りに続けていけばいいだけだろ?
そんな未来の希望について語り合っていた、その時だった。
カランコロン――。
店のドアが開き、静かな足音が響く。
ミカ
いらっしゃいませ
フロアに立っていたミカが丁寧に出迎えるが、空気の色が一瞬で変わった。
??
……唐突に失礼するわ。ここに緋村零という少年はいるかしら?
ミカ
ええ、おりますが……失礼ですが、どのようなご用件で?
??
本人を呼んでいただけないかしら? 直接話がしたいの
どうやら、指名されたのは俺のようだ。
ミカ
零、お客さまだ。カウンターまで来てくれ
怪訝に思いながら腰を上げる。……しかし、この妙に耳に残る凛とした声、どこかで聞き覚えがあるような……。
緋村零
はい、どなたですか……って、ええ!?
厨房から顔を出した俺の視界に飛び込んできたのは、一人の白人女性だった。だが、その佇まいと圧倒的なオーラを見た瞬間、俺の全身に戦慄が走る。
??
初めまして、かしら?
緋村零
……バカな。どうしてあなたが、この世界に存在しているんだ……?
緋村零
ザ・ボス……!!
そこに立っていたのは、メタルギアソリッドの世界において、あらゆる特殊部隊の母と称された伝説の英雄――「ザ・ボス」その人だった。