ソードアート・オンライン〜旭日の防人達〜   作:霧のイージス艦

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ドルフロ世界の日本は…

ドルフロ世界の日本は…

緋村零

でも…それで日本は北海道以外がコーラップス放射線で汚染されて…バイオハザードのBOWわんさかいる土地になってたけどね…

 

俺のその淡々とした追撃の一言に、先ほどまで「天国みたいなもんよ!」と息巻いていたキャロリックの動きがピタッと止まり、食堂に再び奇妙な静寂が舞い戻った。

 

指揮官

……零、お前、わざわざ綺麗にまとまりかけた空気をぶち壊すんじゃない

 

グローザ

ええ……。そうだったわね。忘れたくても忘れられない、私たちのあの世界の「結末(リアル)」よ

 

緋村零

いやいや、事実だろ? あの世界、最終的にはコーラップス放射線の汚染がとんでもない規模で広がって、日本の大部分が人が立ち入れないレッドゾーン(死の土地)になっちまった。まともに機能してたのは北海道くらいなもんで、本州から下は文字通り地獄絵図。おまけに崩壊液で変異したELIDだけじゃなくて、アンブレラ社もびっくりなバイオハザードのB.O.W.(有機生命体兵器)みたいなバケモノどもが、我が物顔でわんさか徘徊する魔境になってたんだから

 

俺が前前世の凄惨な「日本の末路」を具体的に語ると、今世の日本しか知らない千束たちの顔が、今度こそ本格的に引きつり始めた。

 

千束

ちょっと待って!? 北海道以外全滅って何!? B.O.W.って、あのゲームに出てくるゾンビとかタイラントみたいなやつ!?

たきな

 

本州がまるごと生物兵器の実験場のような状態に……。そんな地獄を、零は生き抜いてきたのですか……?

 

ゾンビに怪物の大群……暗殺教室の殺せんせーですら、そこまで恐ろしい世界にはしなかったよ……

 

清隆や達也も、その情報量の多さとディストピアすぎる前前世の環境に、静かに眉をひそめている。

 

緋村零

まぁ、だからこそ言いたいのは、今のこの世界がどれだけマシかってことさ。政府が腐敗してようが、DAが裏で子供を使い潰してようが、ホワイトルームの残党が暗躍してようが――少なくとも、外に出れば青い空があって、美味しいご飯が食べられて、化け物に襲われる心配のない『まともな土地』が広がっている。これ以上のボーナスステージはないだろ?

 

俺が笑いながら言うと、指揮官も深く息を吐き出しながら、どこか吹っ切れたような笑みを浮かべた。

 

指揮官

フッ……確かにその通りだな。緑の光に怯えることも、ゾンビの群れに包囲されることもない。ただ目の前の人間の悪党どもを、純粋な戦術で叩き潰せばいいだけだ。こんなに条件の良い戦場は、グリフィン時代を含めても初めてだよ

 

キャロリック

まったく、あんたの極論には呆れるわよ零! でも……まぁ、一理あるわね! ゾンビの頭を撃ち抜くより、そのDAのクソ上層部を引きずり出す方が何倍もスカッとするわ!

 

戦術人形たち、そして今世の仲間たちの目にも、恐怖ではなく「この世界を守り抜く」という明確な闘志が再び宿る。

 

緋村零

だろ? 過去の地獄に比べたら、これから俺たちがやる『国家リセット』なんて、ただのお掃除みたいなもんだ。

 

しかし、ひよりが

 

ひよりが顔を真っ青にしながら、震える声で言葉を紡ぐ。

ひより

日本は……そんなことになっていたなんて……。その、続きはどうなってしまったのですか……?

 

あまりにも凄惨すぎる「前前世の日本の歴史」の続きを求められ、俺は静かに首を振った。

 

緋村零

……言うけど……驚くなよ。ここからが本当の地獄であり、国が滅ぶってことの現実さ

 

俺は会議室の全員が見つめる中、冷徹にその滅亡のシナリオを語り出した。

 

緋村零

崩壊液の汚染で機能が麻痺した本州を捨て、生き残った政府は辛うじて無事だった北海道へ遷都したんだ。だがそこで、アメリカが最悪の内政干渉を仕掛けてきた。本州を見捨てて北海道に米軍主導の傀儡新政権を一方的に樹立したのさ。その新政権は、本州から命からがら逃げてくる被災者の受け入れを拒否するなどの、非人道的かつ凄まじい売国行為を繰り返した。その惨状に激怒し、状況を把握した一部のまともな自衛隊員たちが誇りを守るために組織ごと離反。新政権とアメリカを相手に、血で血を洗う苛烈な内戦を巻き起こした。……あの時の現場の反米感情は文字通りMAXだったよ。結果として、怒れる自衛隊と人形たちの奮戦によってアメリカ側は敗北し、日米安保条約は完全に破棄されたんだが……

 

そこまで話し、俺は盛大なため息を吐き出した。

 

緋村零

しかし、ここで本当の悲劇が起きる。戦後に政権を握った馬鹿な野党の連中が、あろうことか『自衛隊は危険だ』などと抜かして自衛隊を強制解体したんだ。そして、あろうことか国の防衛を全て『民間軍事会社(PMC)』に丸投げした。だがな、その国防を委ねられた民間軍事会社は、裏で巨大勢力である『新ソ連』とガッツリ繋がっていやがったのさ。裏切りを確約されたその民間軍事会社は、国内で最悪のクーデターを敢行。あっという間に北海道も新ソ連の領土として強奪され……日本という国は、名実ともに歴史から完全に消滅した。多くの日本人も住処を追われ、世界のイエローゾーンやグリーンゾーンへ難民として散り散りになった。……前前世のあの荒廃した世界だと、純粋な日本人は世界中を探しても、100人いれば多いほうだろうな……

 

俺の話が終わり、静まり返る会議室。

千束やたきな、渚たちは、国が物理的にも政治的にも「消える」という圧倒的な現実の重さに、息をすることすら忘れて硬直していた。

 

指揮官

あぁ……。あの世界の極東(日本)がそこまで悲惨な末路を辿っていたとは、ヨーロッパを転戦していた私でも詳しくは知らなかった。政治の腐敗と判断の誤りが、どれほど恐ろしい結末を招くか……あまりにも生々しい教訓だな

 

グローザ

自衛隊を解体して国防を民間に丸投げした結果、他国に国ごと喰われたわけね。……いま私たちが関わっている、DA(Direct Attack)という私設の暗殺組織に国防を委ねている現在の日本政府の構造に、あまりにも酷似しているわ

 

緋村零

だろ? 過去の日本は、守るべき武器(自衛隊)を自ら手放して滅んだ。だけど、今のこの世界には、俺たちがいる。最強の人形たちと、覚悟を決めた自衛隊、そして直死の魔眼を持つ俺がいるんだ。

 

ザ・ボス

その通りよ。その為に私たちはここに集ったのだから。さぁ、本題に入るわ。

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