ソードアート・オンライン〜旭日の防人達〜   作:霧のイージス艦

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突入開始!そして会合1

 

俺たちは作戦天幕を出て、完全に実戦装備を整えた状態で陸上自衛隊や警察部隊の面々と合流した。広場周辺では、16式機動戦闘車や装甲車がエンジン音を低く響かせながら、鉄壁の守りを固めている。

 

緋村零

こちらはいつでも動けます。各隊、状況はどうですか?

 

西郷

第1普通科連隊のレンジャー部隊、いつでも突入可能だ

 

香椎

NPS隊、準備よし。先陣は任せてくれ

 

中丸

SAT、SIT、各機動隊も配置に就いた。準備完了だ

 

千住

各消防部隊、救助資材の点検完了。いつでも進入できます

 

喜多見

MER、各都道府県DMAT、救急隊も準備完了です。すべての命を救いましょう

 

広場を埋め尽くす全員が引き締まった表情で頷き、突入へのカウントダウンが始まろうとしていた。その時、各隊の指揮官や俺たちのインカムに、一斉にノイズ混じりの力強い声が飛び込んできた。

 

駒場

『現場の各隊、聞こえるか? こちら都庁危機管理対策室の駒場だ』

 

東京MERのバックアップを統括する、あの駒場卓室長からの全隊無線だった。

 

駒場

『現場の全員に、赤塚東京都知事からの直々の命令を伝える』

 

その言葉に、広場で救命活動を続けていた医師たちや、周囲を警戒していた自衛隊員、警察官たちも一斉に動きを止め、それぞれの無線機に深く耳を傾けた。

 

駒場

『これより行うのは、極めて高いリスクを伴う過酷なミッションだ。だが、東京と日本、そして自衛隊、消防、警察、各医療機関の誇りにかけて――延空木に残されている子供たちの命を、全員の力で、全力で救い出せ!! ……以上だ!!』

 

熱い叱咤が全隊員の鼓舞となって五臓六腑に染み渡る。

俺たちは、夜闇に毅然とそびえ立つ延空木を見上げた。あの大破した建造物の中に、大人の助けを待っている子供たちがまだ取り残されているのだ。

 

緋村零

いきましょう……。各隊、突入行動開始!

 

一同

了解!!!

 

その地鳴りのような咆哮とともに、日本の総力を挙げた前代未聞の奪還作戦が幕を開けた。

ここからは各隊の進路に合わせて作戦行動が分岐する。俺たちエルモの突入班は、崩落の激しい延空木の正面から内部へと侵入した。

 

緋村零

次は右の階段から上のフロアだ。警戒を怠るなよ

 

俺、千束、たきな、黛煙の順でクリアリングしながら慎重に進む。崩れたコンクリートの破片が転がる通路には、今のところテロリストの姿は見当たらない。

 

緋村零

なぁ二人に聞きたいんだが、上の階に取り残されているリコリスたちは、独自で下に降りてこられると思うか?

 

千束

うーん、五体満足で動ける状態の人は、多分もう自力で降りてきている最中だと思うよ

 

たきな

私も同意見です。彼女たちも厳しい訓練を受けていますから、ただ待っているだけとは思えません

 

千束とたきなが背後を警戒しながら答える。

 

黛煙

しかし、恐らく……いえ、確実に何らかの負傷はしているでしょうね

 

緋村零

だな。テロリストの残党が血眼で徘徊している状況だ。おまけに怪我を負っているとなれば、自力でここまで降りてくるのは至難の業かもしれないな

 

そんな予測を立てながら、俺たちは瓦礫を乗り越えて延空木の中層階へと差し掛かった。その瞬間、静まり返った上層の通路から、乾いた銃声が響き渡った。

 

パン、パン!

 

緋村零

……! 銃声だ、全員警戒! 銃口を上げろ!

 

俺の鋭い合図で全員が即座に戦闘態勢に入り、壁を背にしながら銃声のした方向へと速度を上げて向かう。角を曲がったホールの奥で、たきなの鋭い目が何かを捉えた。

 

たきな

……! 零さん、前方の物陰に人影です!

 

たきなが指し示した遮蔽物の影に、確かに二つの人影があった。衣服の擦れる音と小柄な体格からして、女性のようだ。

 

黛煙

あの服装……リコリスのようですね。かなり疲弊している様子ですが

 

耳を澄ますと、通路の奥から切迫した話し声が微かに漏れ聞こえてきた。

 

??

坂柳、しっかりして。足元気をつけて、もうすぐ下に降りられるから

 

??

うぐ……真澄さん、すみません。私のこの足では、お荷物になってしまいますね……

 

その独特な声の響きと名前に、俺の脳裏に強い既視感が走る。この声、どこかで聞き覚えがあるぞ……?

 

緋村零

(皆……いいか? 奇襲の可能性も考えて慎重にアプローチするぞ)

 

千束

(コク)

 

たきな

(コク)

 

黛煙

(コク)

 

3人が無言で頷くのを確認し、俺は20式小銃の銃口をやや下げ、遮蔽物から姿を現して声をかけた。

 

緋村零

君たち、大丈夫か? 動けるか?

 

? ?

……!!

 

??

……っ!!

 

突如現れた俺たちに対し、リコリスの二人は過敏なほど素早い動作で銃口をこちらへと向けた。やはりかなりの負傷を負っているようで、一人は足を引きずり、もう一人がそれを肩で支えている。だが、その顔を見た瞬間、俺の確信は深まった。

 

緋村零

(他人の空似の可能性もあるが……いや、間違いないか……?)

 

黛煙

安心してください。私たちはあなたたちを処分しにきたDAの人間ではありません。救出に来た仲間です

 

黛煙が戦意がないことを示すように優しく語りかけると、銃口を向けていた二人は驚愕に目を見開いた。

 

??

本当に……私たちを助けに……大人が来たのですか?

信じられないといった様子の彼女たちの前に、千束とたきなが一歩進み出て、安心させるように微笑みかける。

 

千束

そうだよ! 大丈夫、もう安心していいからね

 

たきな

下にたくさんの医療班と救出部隊が待機しています。もう大丈夫です、私たちが守りますから

 

たきなの真っ直ぐな言葉を聞いた瞬間、支えられていた少女の口から、張り詰めていた糸が切れたような溜息が漏れた。

 

??

そう……。あのクソ白い部屋と、この下らない戦争ごっこから、やっと……やっと逃げられるのね……

 

白い部屋――その単語が、俺の思考を鋭く刺激した。

 

緋村零

今、白い部屋と言ったな。……一つ聞くが、それって『ホワイトルーム』のことか?

 

俺がその隠された名を発した瞬間、二人の少女の顔から完全に余裕が消え去り、今度こそ心底驚いたような表情で俺を凝視した。

 

??

なぜ……あなたが、そのホワイトルームの存在を知っているのですか……? 外部の人間が知り得るはずのない場所です

 

警戒心を剥き出しにする彼女たちに対し、今度はたきなが理由を説明するために一歩前へ出た。

 

たきな

驚くのも無理はありません。実は私たちは以前、そのホワイトルームに極秘裏に潜入し、そこに囚われていた『綾小路清隆』君たちの救出作戦を実行したことがあるからです

 

??

……なっ!?

 

??

うそ……!?

 

二人は言葉を失い、完全に絶句していた。特に足を負傷している少女の瞳には、激しい動揺の色が浮かんでいる。

 

??

……綾小路君は……あの人は、無事なのですか……!?

 

千束

あ、君たちやっぱり綾小路君の知り合いなんだ! 安心してよ、綾小路君なら無事に救出して、今は別の安全な場所で元気に生活を送ってるよ〜

 

??

そうですか……。あの彼が、無事に……。良かった……本当に……

少女は心から安堵したように、微かに美しい微笑を浮かべた。これで彼女たちが何者であるか、完全に線が繋がった。

 

緋村零

改めて確認させてくれ。君たちの名前は?

 

二人は互いを見つめ合った後、観念したように、しかしはっきりとした声で自らの名を口にした。

 

??

……坂柳有栖、と言います

 

??

神室真澄。よろしく

 

やはり、あの高度育成高校の世界におけるホワイトルームの重要人物と高度育成高等学校の生徒だった。俺は20式小銃をしっかりと構え直し、新しい要救助者となった二人を守るように、背後の通路の暗闇へと鋭い視線を走らせた。

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