ソードアート・オンライン〜旭日の防人達〜   作:霧のイージス艦

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会合3

 

SAT部隊が非常階段ルートで接触していた頃、警視庁特殊捜査班「NPS」の面々は正面から突入し、緋村零たちとは異なるルートで上層階を目指していた。

 

香椎

神御蔵、そっちの状況はどうだ?

 

神御蔵

はい! ここに倒れている子供たちの命に別状はありません! 意識もしっかりしています!

 

NPS隊がそのフロアで保護したのは、制服に身を包んだリリベルの男の子たちだった。

そう、零たちが最初に延空木を降りてくる際に激しく交戦したリリベルの部隊である。実は零たちは実弾を使用しつつも、戦闘不能にするためあえて狙いを腕や脚といった非致死性の部位に集中させていた。そのため、致命傷を負った者は一人もいなかったのだ。

 

紅美

響! 後方への搬送ルート、完全に確保したわよ!

 

八雲

了解した! これより重症度の低い順から移送を開始する!

 

NPS隊の面々が周囲に鋭い警戒の目を光らせる中、その後方では東京DMATの医師たちや、エルモの衛生班から加わったコルフェンが迅速にリリベルたちの治療を進めていく。そこへ、激しい足音とともに新たな一団が合流した。

 

機動隊員

応援の機動隊、現着しました! 現場の護衛に当たります!

 

救急隊員

救急隊現着! これより処置を引き継ぎます!

 

応援の救急隊と、彼らを護衛する機動隊の面々が現場に到着し、八雲たちが行っていた応急処置の手際を素早く引き継いでいく。その最中、インカムから新たな無線が飛び込んできた。

 

SAT隊員

『こちらSATアルファ。こちらも非常階段側にて子供を3名保護しました。うち1名は出血がかなり酷いです。医療班および消防隊は至急このポイントへ急行願う』

 

八雲

さっきエルモからも報告があったが、今度はSAT隊からもか。今のところは順調に救出が進んでいる、か……

 

長谷川

しかし隊長……なんで男の子が倒れているんでしょうか。制服のデザインは、零さんたちが連れていた女の子たちと同じ感じですけど……

 

吉岡

制服を着た女の子たちの、男の子版ってところだと思うけど……。子供たちをこんな戦場に駆り出すなんて、上の連中は何を考えてやがるんだ

 

憤りを隠せない様子で吉岡が呟く中、隊員たちは手際よくファーストエイドを終わらせていく。

 

香椎

よし、処置の終わった者は救急隊に任せる。我々NPS隊はこのまま上層階へと前進する。機動隊、ここは任せるぞ!

 

機動隊長

了解しました! 香椎隊長、皆さんもご武運を!

 

NPS隊はその場を機動隊の防衛線に託し、さらに銃撃の痕跡が色濃く残る上層階へと歩を進めた。

それからさらに延空木の奥深くへと突き進むこと数分。NPS隊は、零たちが進むルートと平行する中層階近くのエリアまで到達していた。

 

神御蔵

このあたりは……かなり激しい戦闘の跡が残っていますね……

 

周囲の壁には無数の弾痕が刻まれ、コンクリートが激しく剥き出しになっている。爆発によって歪んだ鉄骨が、不気味に天井から垂れ下がっていた。

 

香椎

周囲に生存者が取り残されていないか、二人一組で視界の死角を慎重に探索しながら進め

 

香椎の指示のもと、NPSの隊員たちは銃口を維持したまま、崩落したフロアの捜索に移った。しかし、大きな遮蔽物の影を調べていくものの、人影は見当たらない。

 

香椎

どうやら……このフロアの開けたエリアには、もう生存者はいないようだな……

 

ドン……ドン……

 

一同

……!!

 

突如、静まり返ったフロアの奥から、コンクリートを叩くような鈍い物音が響いた。一瞬にして緊張が走り、全員が完璧な連携で音がした方向へと一斉に銃口を向けた。その厚い瓦礫の山の奥から、微かな声が漏れ聞こえてくる。

??

……誰か……誰か、いませんか……助けて……

 

神御蔵

……!!

 

途切れ途切れで今にも消え入りそうな声だったが、それは確かに「助けて」というSOSの言葉だった。神御蔵はすぐさま小銃を背負い、他の隊員とともに声のした瓦礫の山へと駆け寄った。

 

神御蔵

おい! 中の人、聞こえるか!? 警察だ! 聞こえていたらもう一度返事をするか、何か音を立ててくれ!

 

神御蔵の決死の呼びかけに対し、奥から再び、ドン、ドン、と壁を叩く音が力強く響き返ってきた。

 

隊員A

奥に生存者あり! 完全に閉じ込められています!

 

神御蔵

よし、急いで瓦礫をどかすぞ! 命が埋まってるんだ、全員手を貸せ!

 

その声に応じ、香椎隊長をはじめとする他の隊員たちも一斉に集まり、素手や即席の工具を使って重いコンクリートの塊を次々と取り除いていく。背後の安全を警戒しつつ、瓦礫との格闘を続けること約5分。

 

隊員B

これで……最後だ! 持ち上げるぞ!

 

最後の巨大な崩落跡を力任せに引き剥がす。すると、瓦礫の奥に頑丈な鉄製の扉が姿を現した。その扉には「保管倉庫」の文字が刻まれている。神御蔵がノブを回して扉を勢いよく開くと、中から埃にまみれた制服姿の少女たちが5人、肩を寄せ合うようにして出てきた。

 

香椎

大丈夫か!? どこか怪我はしていないか?

 

隊長の香椎がすぐに腰を落とし、彼女たちの視線に合わせて優しく声をかける。

 

??

はい……。暗くて息が詰まりそうでしたけれど、怪我はありません。ありがとうございます……

 

??

本当に狭かったですよね……。もうダメかと思いました……

 

??

だね……。でも、こうして無事に出られたんだし、本当に良かった!

 

??

そうね。生きてここを出られただけでも、十分すぎるくらいの幸運よ

 

??

うむ……。日本の警察も、なかなか捨てたものではないな。大した手際だ

 

見渡した限り、彼女たちに大きな外傷は見当たらない。張り詰めていた恐怖から解放され、安堵の表情を浮かべている。隊員の一人がすぐさま無線機を取り出し、本部に報告を入れた。

 

隊員C

『こちらNPS隊。中層階の保管倉庫にて孤立していた少女5名を無事に救出。全員負傷なし。至急、後方への誘導と護衛の応援を願う』

 

香椎

大事にならなくて本当に良かった。済まないが、引き継ぎと今後の安全確保のために、君たちの名前を教えてもらえるか?

 

香椎の穏やかな問いかけに対し、少女たちは一瞬だけ互いに目を見合わせ、数秒ほど無言で見つめ合った。やがて、覚悟を決めたように小さく頷くと、香椎の真っ直ぐな目を見据えて名乗った。

 

??

私は、堀北鈴音と言うわ

 

??

櫛田桔梗と言います。助けていただいて感謝します。

 

??

一之瀬帆波と言います! よろしくお願いします!

 

??

松下千秋です

 

??

私は鬼龍院風花だ。見事な救出劇だったぞ、警察諸君

 

彼女たちの名前を聞き届け、香椎は無線機の手応えを確かめながら、さらに上の階層を見上げた。零たちが目指す最上階へ向けて、作戦は確実に進展していた。

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