ソードアート・オンライン〜旭日の防人達〜 作:霧のイージス艦
その後、俺は清隆、ひより、渚、有希子、達也、深雪を呼び出した。
清隆
零、何かあったのか?
零
全員の事情聴取が終わった。で、有栖や真澄、堀北や一之瀬と言う俺の前世の作品「ようこそ実力至上主義の教室へ」ヒロイン全員がその世界の事を「前世」として覚えてた。清隆、ひより、お前らも前世の記憶あるな?
一瞬の沈黙。
だが、呼び出された面々の表情に大きな動揺はなかった。
特に清隆は、予測していたと言わんばかりに細めていた目をわずかに開いただけだった。
清隆
……あぁ、ある。
ひより
……はい。私も、すべて覚えています。清隆くんがDクラスを裏から支えていたことも、私たちが図書室で過ごした穏やかな時間も……
ひよりは静かに、しかし確かな意志を込めて頷いた。その瞳には、かつての高度育成高等学校で過ごした記憶がはっきりと宿っている。
零
やっぱりか……。これで『よう実』の主要メンバーのほとんどが、前世の記憶を持ってこの世界に転生していることが確定した
零は重い息を吐き出し、集まった面々を見渡した。
この場にいるのは、単なるクラスメイトや友人ではない。それぞれが規格外の力や背景を持つ、この世界の「防人」たちだ。
達也
なるほど。零の言う『前世の作品』という言葉が事実なら、彼らは一つのフィクションの世界から、この現実へと魂を移されたということか。……にわかには信じがたいが、精神干渉系や魂の転移に関する魔法の変異種だと考えれば、否定はできないな
深雪
ええ、お兄様の仰る通りです。それに、これほど多くの人間が同時に同じ記憶を持って転生しているなど、偶然で片付けるにはあまりにも不自然。何者かの明確な意図を感じざるを得ませんわ
達也と深雪の冷静な分析に、渚と有希子も顔を見合わせる。
渚
僕たちの暗殺教室の世界とも、何か繋がりがあるのかな……? でも、よう実のヒロインたちがみんな記憶を持ってるってことは、これから何か大きなことが起きる前触れなんじゃ……
有希子
うん。全員が同じタイミングで事情聴取を受けるような事態になったのも、きっとその『前世の記憶』が関係しているのよね? 零、彼女たちは何か危険な目に遭いそうなの?
零は腕を組み、険しい表情で清隆を見つめた。
零
まだ確証はない。だが、前世でも、今世でも『ホワイトルーム』なんていうイカれた施設にいた清隆なら、この状況の異常さが一番よく分かるはずだ。清隆、お前はこの世界で、前世や今世の因縁を引きずるつもりはあるか?
清隆はいつもの感情の読めないポーカーフェイスのまま、少しだけ視線を落とした。
清隆
……いや。俺はこの世界で、自衛官としての任務を全うしたいと考えている。
清隆の言葉は、淡々としてはいたが、そこには揺るぎない拒絶の意志が含まれていた。ホワイトルームという、人間の尊厳を剥ぎ取られた冷徹な檻。その記憶があるからこそ、彼は今、この世界の「防人」としての平穏と義務に価値を見出している。
零はふっと表情を和らげ、小さく息を吐いた。
零
……そう言うと思ってたよ。安心した。お前がその気なら、俺たちも全力でバックアップするだけだ