シャーレの清掃員やってます。   作:Raitoning storm

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初めての楽器使用。ありがたいですね。


番外編
もしも、先生じゃなくてキサキに拾われてたら


 

 

 

「…ただいま戻りました。」

 

 

「うむ、遅かったな?」

 

 

仕事を終えて、家に帰ると開幕一番にそんなことを言われる。

 

 

「…帰ってきた後の一声がそれですか…清掃員の仕事も楽じゃないんですよ。今日なんか床の掃除をまとめて任されてしまって…大変だったんですよ?」

 

 

自分でもわかるほど不機嫌な様子で返事をしてしまう。

 

 

 

「そうかそうか…頑張ったなら、それに値する褒美が必要だな?」

 

 

 

 

「別にいいですよ。仕事で疲れてますし…サクッとご飯作っちゃいますね」

 

 

 

 

「むぅ…まあよいか。それはまたの機会でも…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少しして、テーブルに料理を並べる。と言っても、彼もキサキもあまり量を食べられないので、ちょっとしたものしかないが。

 

 

 

「…出来ました。えっと、食べます?」

 

 

 

「…ああ、いただくとする。」

 

 

 

ちょっと不機嫌そうな様子で返事を返してくるキサキさん。さっきの対応がそっけなかったのを気にしているのだろうか。

 

 

 

「…どうですか?お口に合いましたか?」

 

 

 

「うむ。今日も美味だったぞ。」

 

 

 

「…よかった。ちょっと味付けを変えたんです…お口に合わなかったらどうしようかと思いましたが…大丈夫ですね」

 

 

 

「そなたの料理はいつも美味だからな。妾は心配しておらんかったぞ?」

 

 

 

「いつもそうなるとは限らないでしょう。それこそ料理なんて細かいところで味が変わったりしますし…」

 

 

 

「…それでも、妾は信じておるけどな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ご馳走様でした」」

 

 

夕飯を食べ終わったので、食器を片付けて食洗機に入れる。

 

家事を終えて、暇が出来るそんなとき。

 

 

 

「…いつもの、やってくれるか?」

 

 

 

キサキさんが、僕の太ももを撫でてくる。″あれ″をする合図だ。

 

 

 

「…いいですよ」

 

 

 

返事をしたのち、キサキさんは自身の頭を僕の太ももに乗せて身体を預けてくる。

 

 

頭を撫でないと不機嫌になるので、力を入れすぎないように注意して、髪の毛を払いながら頭を撫でる。

 

 

 

「…ふふっ」

 

 

嬉しそうな、でも少し悲しそうな顔をしながら微笑みキサキさん。

 

 

 

「…なにか、あったんですか?」

 

 

 

その表情の真意を探りたくて、理由をたずねてしまう。

 

 

 

「…少し、うざったい言を吐いてしまったかと、不安になってな」

 

 

「…帰ってきたときのあれですか?」

 

 

「…ああ」

 

 

少しだけ納得のいっていないような顔で答えてくるキサキさん。

 

 

「…女々しいですね」

 

 

「そ、そんな言い方はないだろう!」

 

 

冗談のつもりで言ったのだが、思ったより大きな反応をされてしまう。

 

 

「冗談ですよ。そんなことないです。それにうざったいなんて思ってませんよ。」

 

 

「…ならよいが」

 

 

少し不機嫌そうな顔をされてしまった。

 

 

 

「…まあ、確かにそなたの言う通りかもな。少し女々しかったかもしれん。もともとこうだったかもしれんがな。」

 

 

 

 

誤魔化すように話すキサキさん。でも僕は気づいている。

 

 

 

「…ほんとは、そんな理由じゃないでしょう。それにしては焦りが見えますよ」

 

 

 

「…よくわかるな」

 

 

 

「長い間一緒にいますから」

 

 

 

微笑みながら返事をしてみる。

 

 

 

「…聞いてくれるか?」

 

 

 

「もちろんですよ。」

 

 

 

 

キサキさんは、恐れを含んだような顔で話す。

 

 

 

「…少し、怖くなった。そなたが妾から離れてしまうのではないかと……未熟よな。別れなど今まで数えきれぬほど経験しておるというのに…」

 

 

 

自分自身に呆れるような様子で話すキサキさん。

 

 

 

「…別にいいんじゃないですか?誰だって焦りも怖がりもしますよ。」

 

 

 

「…それでも、妾はそなたを疑ってしまった。いつか妾のもとを離れてしまうのではと…」

 

 

 

申し訳なさそうな、恐れているような顔をするキサキさんに、僕の思っていることを話してみる。

 

 

 

「それでも今、僕と一緒にいてくれてるでしょう?心を塞いじゃって、自分の殻に篭ってしまうよりずっといいですよ。そんなことしちゃったら、相手をしてくれる人がいなくなっちゃいますけど…」

 

 

 

「…」

 

 

 

「…一人でいることの寂しさとか、辛さは僕もわかります。心がすごく痛くなって、近くの人の視線が刃みたいに突き刺さってきて、ただ悶えることしかできない、みたいな感覚もよくわかります。」

 

 

 

「人と関わることでその痛みがより大きくなってしまうのも理解してます。因果応報といえばそれまでかもしれませんが、人と関わっていたときの暖かさが恋しくなってしまうんですよね。」

 

 

 

「でも、僕はあなたから離れたりしませんよ。拾ってもらった恩もありますし…僕にはこれしかありませんから。」

 

 

 

思いの丈をできるだけ話してみた。キサキさんがどう思うかはわからない。それでも思っていることを話すのがいいと思って話してみた。

 

 

 

「…そうか。そなたは妾から離れないんだな?」

 

 

 

「はい」

 

 

 

 

 

「…心配していたのは妾だけだったか…」

 

 

 

拍子の抜けたような、でも少し安心したような顔になってくれた。

 

 

 

「そんなこと心配するだけ時間の無駄です。それより幸せなことを考えましょうよ。夢を追うような、楽しいことを」

 

 

 

「…まだ、出来るかの?」

 

 

 

「できますよ。その夢から逃げたりしなければ。」

 

 

 

 

自身を持ってそう答える。だって僕がそうだったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

「…なあ?少し体勢を変えてもいいか?」

 

 

 

「…?いいですよ」

 

 

 

「…じゃあ、目を瞑ってくれ。いいか?絶対に目を開けるでないぞ?」

 

 

「は、はい…わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…チュッ

 

 

 

 

 

 




なあ?こいつやっぱりたらしだよなぁ?

白亜の予告状(清掃員君入り)見たい?

  • 見たい
  • それより今の感じを続けてほしい
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