シャーレの清掃員やってます。 作:Raitoning storm
「…手伝い、ですか?」
早朝のシャーレで、天童アリスさんにそんなことを言われました。
「はい!アリスは清掃員さんのジョブが多すぎるというクエストが発生したと聞いたので、お手伝いに来ました!」
困っていたら助けに来てくれる、まさに勇者そのものですね。
贔屓目抜きにしてもいい子だと思います。
「お気持ちはありがたいのですが…アリスさんは大丈夫なんですか?。それこそゲーム開発部の方が忙しかったり…」
「アリスは今日経験値を貯めにきたので大丈夫です!」
そうですか…ここで断ってしまうのも悪い気がするので、お願いしましょうかね。
「ならお言葉に甘えて…よろしくお願いします。」
「はい!クエスト開始です!」
「…まずは先生が使われる部屋の掃除ですね…この部屋は来客の方も多いので入念に掃除しましょう。」
「はい!まずはどの部屋を掃除すればいいですか?」
「その前に…銃を下ろして欲しいですね…」
「アリスの装備を解除しますか?」
「え?はい…周りのものにぶつかってしまったら危ないですし…他の人にぶつかってしまうかもしれませんよ?」
「なるほど…じゃあ装備を解除します!」
こちらの主張をちゃんと聞いてくれるいい子ですね。最近は僕の意思が無視されることが多くて…
「えっとそれで…まずは机の上を整理しましょう。上から順に掃除すると手間が省けます…」
「はい!」
元気のある返信とともにアリスさんは掃除を開始します…書類を整理して…どんどん汚くなっていってるのは気のせいですかね?
…あとでまとめて片付けておきます。
「机の上が終わったら次は床です…ソファの下などは手が届かないので長い棒などを使って…」
そうお教えしようと思ったのですが…上に持ち上げてますね。
さすがキヴォトスの人って感じですね…僕なんかとは桁違いです。アリスさんは敵に回してはいけないと思います。
「はい!アリスは床の掃除を終えました!」
「あっ、ありがとうございます。えっと…お礼は飴でもいいですか?」
僕がそういうと、アリスさんは悩むような表情をして…な、なんでしょう、飴では物足りないんですかね…
「うーん…それより頭を撫でてほしいです!」
「頭…ですか?」
「はい!好きな人に頭を撫でてもらうと嬉しい気持ちになるって、モモイとミドリから聞きました!」
好きな人…ですか。おそらく親愛の意味でしょうか?だとしても嬉しいですね…ですが、
「アリスさん…僕は構いませんが、あまりそういうことを異性の方に言ってはいけませんよ。自分が思っている意味ではない勘違いをされてしまうかもしれません。」
「そうなんですか?わかりました!」
他の人の言うことを聞いてくれるのはいいことですね…このまままっすぐに育ってほしいです。
「次は廊下の掃除ですね…こういうモップとかを使って掃除をしていきます…全体を満遍なくやる感じでお願いします。」
「はい!再びクエスト開始です!」
そう言ってアリスさんは始めてくださったんですが…速すぎますね。残像が見えそうなくらい速いです。
「終わりました!」
終わってもまったく疲れていない様子で、改めて身体のスペックの差を感じます。僕なんて仕事が終わったらクタクタで…
「ありがとうございます…アリスさんは掃除をするのがお上手ですね…お礼は撫でるのでいいですか?」
「はい!よろしくお願いします!」
もう一度頭を撫でて感謝の気持ちを示します。気持ちよさそうにしてくれるので僕も撫でがい?がありますね…なんだかお父さんのような、兄になったような気持ちがします。
「最後は窓の掃除ですね…こんな感じで長い棒の先にワイパーが付いているので、洗剤をつけた後に落としてください。出来るだけ跡が残らないようにするとなお良しです」
「クエストの難易度が高そうです…。でも頑張ります!」
諦めずに頑張るのはえらいですね…なんだか今までの自分が惨めに思えてきました…。
「んっ!んっ!上の方が上手く落とせません…クエストの推奨レベルに達していないのでしょうか…。」
「無理しなくてもいいですよ…?僕が代わってもいいですし…」
「うーん…アリスの経験値が足りていないのですか…?お手伝いできると思ったのですが…」
な、なんだかアリスさんが内向的になっている気がします…こんなとき、元気付けられる言葉をかけられればいいんですけど…。
「…アリスさん、掃除はなぜするかわかりますか?」
「なぜ…ですか?うーん…ゲーム開発部の部室は散らかっていますし…物がどこにあるかわかりやすくするためですか?」
「なら、窓の掃除や床の掃除はなぜするかわかりますか?」
「うーん…ゴミがあると気が散るから…?」
「それもあるかもしれませんが…一番は、皆さんにいい気持ちで使ってほしいからですよ。要は使う人や来てくれる人に対する思いやりです。」
「思いやり…」
「ですからアリスさんのお手伝いをしたいという気持ちだけでも、十分掃除をしてもらっているのと同じです。」
「なので、お手伝いが出来ないからといって気に病む必要はありませんよ」
「そうですか…?アリスは清掃員さんのお役に立ててますか…?」
「はい。とても助かってますよ。」
ど、どうでしょうか…?いい感じにアリスさんを励ませましたかね…?
「…ならよかったです!アリス、また新しいことを学びました!」
「そうですか…ならよかったです」
このあと、一緒に窓の掃除をしました。僕のやっているのを見て目を輝かせてくださって…少し、照れくさかったです。
帰るときも、晴れたような笑顔をして帰られたのでよかったです。
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