シャーレの清掃員やってます。 作:Raitoning storm
あれから僕はリハビリを続けて、病院の先生に
「松葉杖ありならば歩いてもいいよー。でも無理はぜったいしないでね?ぜったいしないでね!?」
とのお返事をいただいて、先生とも
『ど、どうすればいいですかね…?』
″うーん……ひとまず、家に帰ってみたら?ずっと空けたまんまで心配だと思うし、リラックスも出来ないでしょ?″
『そ、そうですね…』
″うん、それがいいと思うよ。『先生?お仕事の途中ですよ?』あ、うん、ごめん…。くれぐれも無理しないでね?仕事も本調子に戻ってからでいいからさ″
『は、はい。ありがとうございました』
と、相談した結果。ひとまずシャーレの外にある家に帰ることにしたのですが…
「…ただいま、でいいんですかね…?」
「…?いいんじゃないか?」
「おかえり」
「…おかえり」
「お、おかえりなさいです…」
なんでアリウスの方々が僕の家にいるんですかね…?
「…すまなかった。初めは家を空けている間の掃除をしようと思って家に来たんだが…いかんせん居心地がよくて、な…」
「…わたしは止めたんだけど」
「だ、だって…冷蔵庫のなかのものも腐っちゃったらもったいないですし…ベッドも柔らかいですし…エアコンも効きが早いですし…うわぁん!」
「え、えっと…別にいてもらう分には大丈夫なんですけど…」
帰りの挨拶を済ませた後、家にいる理由を尋ねたらそんな返答が帰ってきました…サオリさんはほんとに申し訳なさそうな顔をされますし、ミサキさんはそう言ってますけど、ソファに座ったままだと説得力ないですよ?ヒヨリさんに関しては理由が別になってる気がします…
「先に言っておくべきだったね…ごめんね?」
「い、いえ…大丈夫ですよ?むしろ、僕がいない間に家のことを任せてしまって…すみません。」
アツコさんにも申し訳なさそうな顔をさせてしまって…、こんなことなら家に帰ってこなければ…でもそれだともっと長い間家のことを任せてしまったかも…?
「…じゃあ、怪我してる間の家事をわたしたちがやる。その足だと普通の生活もままならないでしょ?」
「い、いや…悪いですよさすがに。いない間の家事もやってもらいましたし…」
「それじゃわたしたちの気が収まらないの。だからそこでおとなしくしててね?」
そう言ってアツコさんに押し切られてしまいました…申し訳ないです。
「こっちからすれば無理される方が迷惑だから、大人しくしてて。」
「あっ、はい。」
「…」
お、大人しくしてるのってむずかしいですね…。何か考え事でも…特にないですね…。あっ、
「サオリさん…床の掃除はそこまでしなくていいですよ…?」
「す、すまない。加減がわからなくて…」
家の掃除にモップは使いすぎですよ…?
「モップには中に薬品を染み込ませているものもあるので、無闇に使わない方がいいですね…僕の家のやつは入ってないものですけど…」
「え?あっ!そうだったんだな…」
「でもやってくださってありがとうございます…それだけでも嬉しいです。家の掃除は箒くらいで大丈夫ですから。」
「…ど、どういたしまして…で、いいのか?」
「はい。」
「ごはん出来たよ。一緒に食べよ?」
「は、はい。」
そ、そういえばお昼時でしたね…すっかり忘れてました。時間感覚がなくなってきてるんでしょうか?やっぱり病院に長い間いるのもよくないですね…それはそうと、
「あの…アツコさん?スプーンを渡して欲しいんですけど…」
「…?ダメだよ?」
な、なんでそこで首をかしげるんですか…?可愛らしい動作ですけど…。
「な、なんでですか…?腕はなんともないので自分で食べられますよ?」
「…ダメ。今は怪我を治すのに体力が必要なんだから、身体を動かさないで。」
「スプーンを動かすくらいは関係ないと思うんですけど…」
「…ダメ。ほら、細かいことはいいから。早くお口、開けて?」
「…わかりました…」
そう言って僕は渋々といった様子、いやまあ実際渋々なんですけど。口を開けて中にスプーンが運ばれてきます。
「…どう?おいしいかな?」
「…はい。美味しいです…」
「そう?よかった…」
「…あー」
(なんか…餌を待つ雛鳥みたいだね)
それから小一時間ほど、ご飯を食べさせていただきました…。恥ずかしかったです…。
時間も遅いので、そろそろ寝ようかなと思ったんですけど…
「…」
…なんでミサキさんが僕のベッドにいるんですかね?
「寝ないの?」
「あ、いや、寝ようとは思ってるんですけど…その、ミサキさんがいらっしゃるので…」
「わたしがいたら寝れないの?」
「その、ベッドも狭いですし…暑苦しくないかな、と…」
「そんなに暑くないでしょ。外ももう冬だし…」
「で、でも…」
「…いいから早く寝て。じゃないとわたしも寝れない。」
「は、はい…失礼します…」
「…別に深い意味はないから」
「…寝た?」
「…」
(返事がないってことは…寝てるの?寝る前にあんだけ言ってたのに…)
(…まあ、足も怪我してるし、疲れてたのかもね)
(それにしても…馬鹿だよね。一人生身で敵地に向かうなんて。死にに行ってるようなものだって、わかってるのかな)
「…ねぇ?人の心配させて、楽しかった?」
「…」
(…わかってる。あんたも、怪我するかもしれないって分かっててやってるんでしょ?でも馬鹿らしいのには変わらないけど…)
(…みんなも、本人の前ではああ言ってたけど、ほんとは違うんでしょ?心細かったんでしょ?こいつがいなくなっちゃうかもしれないって…)
(…許さないから。自分から手を差し伸べておいて消えるなんて。)
(知らないとこで無茶して、心配ばっかりかけていなくなるなんて、許さない。)
白亜の予告状(清掃員君入り)見たい?
-
見たい
-
それより今の感じを続けてほしい