シャーレの清掃員やってます。   作:Raitoning storm

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もしも、ミレニアム生徒だったら。

 

 

ミレニアムサイエンススクール。それが僕の学校。

 

エンジニア部特製の銃を担いで、掃除の行き届いた廊下を歩いていく。

 

MINIS-3を改造して作られたこの銃は、水鉄砲とブロワーの機能を入れ替えられる優れもの。水鉄砲は100m/s、ブロワーは風速50m/sまで出る。

うん。そんなにいらない。ついでに言うとBluetooth機能もキャッシュレス機能もいらない。

 

そんな無駄のない無駄な設計のもと作られたこの銃は、実はセミナーがお金を出して作ってくれたものだ。

 

とまあ、そんなわけで…

 

 

「…し、失礼します」

 

 

「いらっしゃい。予定時刻までは時間あるから、ゆっくりしてて大丈夫よ。」

 

 

「…はい」

 

 

ここにいる人たちには、返しても返しきれない恩があるわけで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はじめ僕がミレニアムで拾われたときは、それはまあ酷い状態だったと言う。

 

足元もおぼつかなくて、服もボロボロで、髪もボサボサで。アリスさん含むゲーム開発部の皆さんに拾ってもらわなければ、今ごろどうなっていたか…。

 

今でも髪ははねてるし、目も大きくは開けられないけれど、それでも前の状態と比べれば大分マシになってると思う。いや、ほんとに。

 

 

身だしなみや健康状態を改善したのちは、『仕事をほっぽり出さないから』という理由でセミナーの会計監査に任命していただき、今に至る。

 

 

銃の扱いも上手くないし、仕事もできるわけじゃないけど、それでも貰った恩は返せるように精一杯やっている…と思いたい。

 

 

だから…

 

 

「あっ」

 

「見つけました!」

 

「う゛っ」

 

 

今でもアリスさんに突撃されることも、我慢しなければならないことなんだと思う。

 

 

 

 

 

「今日はどんなクエストをしていたんですか?」

 

 

「…今日はセミナーの部室の清掃です。大した仕事ではないですよ。」

 

 

「つまりデイリークエストをこなしていたんですね!偉いと思います!」

 

 

「…偉いですか?決められた業務をこなしているだけですけど…」

 

 

「それでも偉いと思う。お姉ちゃんなんて期日までにシナリオを書ききれてないなんてよくあるし…」

 

 

「ちょ、今それは関係ないでしょ!」

 

 

も、モモイさんっていつもいじられてますよね…。親しみやすいっていうのもモモイさんの魅力だと思いますけど…。

 

 

「まあ…シナリオにはシナリオなりの難しさがあると思いますし…僕の仕事とは比較対象が違うような…」

 

 

「うぅ…優しさが沁みる…またゲーム開発部来てね?また部室が散らかっちゃって…」

 

 

「はい。承りました…ところで、みなさんは何をされていたんですか?」

 

 

「あ、えっと…ちょっとセミナーの方に…」

 

 

「…?なぜです?」

 

 

セミナーの部室には今、ユウカさんとノアさんしかいませんけど…。

 

 

「…よ、予算、増やしてくれないかなぁ…って。」

 

 

「…無理じゃないですか?」

 

 

「ゔっ…そうだよね…」

 

 

…一回も成功したことないじゃないですか。

 

 

「…まぁ、口添えくらいはしておきますよ」

 

 

「え!ほんとに!?」

 

 

「みなさんには、お世話になりましたから…」

 

 

「「「ありがとうございます…」」」

 

 

命の恩人と言っても差し支えないくらいには、お世話になりましたし…。

 

 

「そ、それでは僕はこのあたりで「ここで何をされているんですか?」ひっ…ノアさん…」

 

 

「エンジニア部の方に向かうように言われて、部室を後にしてから20分経過していますが…まだついてなかったんですね」

 

 

「す、すみません…」

 

 

「このままどこかに行かれても困りますので…一緒に向かいましょうか♫」

 

 

「は、はい…」

 

 

ノアさんって…圧がありますよね。コユキさんの『セミナーで一番怖いのはノアさん』って話してたのも、あながち間違いじゃないのかも…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「失礼します…」

 

 

「やぁ。よく来たね」

 

 

「久しぶり、最近はあんまり来てくれなかったね」

 

 

エンジニア部に着くと、ウタハさんとヒビキさんが迎えてくれました…。

 

 

「すみません…最近は忙しくて…」

 

 

「ううん、別に気にしてないから。ところで、今日は2人で来たんだね」

 

 

「はい。仕事をほっぽり出されては困っちゃうので」

 

 

「…そんなに信用されてないの?」

 

 

…信用されてないんですか?だとしたら僕がセミナーにいる意義が…。

 

 

「…?彼に限ってそんなことはありえないと思うが…。それで?今日はどんな要件で?」

 

 

「はい…前に出していただいた予算の申請書についてなんですけど…記入漏れがありまして…」

 

 

そうして僕が説明をしている間も、ヒビキさんもノアさんは何やら話し込んでいて…

 

 

「…仕事をほっぽり出さないか見に来たなら、そろそろ帰った方がいいんじゃない?」

 

 

「いえ、しっかり仕事を終えたか確認するのも私の仕事ですから。ご心配、していただかなくて大丈夫ですよ?」

 

 

「…セミナーの会計さんは、仕事が山積みって言ってたけどね。」

 

 

「そちらこそ、持ち場に戻らなくて大丈夫ですか?」

 

 

「…」

 

「…」

 

 

…お互いに、相手の仕事を心配してるんですね。やっぱりミレニアムの皆さんはいい人…

 

 

「…ふふっ」

 

 

「…?ウタハさん、どうかしたんですか?」

 

 

「いや、なんでもないさ。それより今言ったところ、もう一度説明してくれないか?」

 

 

「…?はい。」

 

 

…あれですかね?お二人の仲の良さそうな様子に微笑んでいたんでしょうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…よーすたー』

 

 

『…先生。現在、セミナーは総員、部室にて会議中…ですので。何かご用でしたらメールにてお知らせください…。』

 

『…あの。連絡は以上、なので…掃除してても、いいですか?』

 

 

『…ぶるーあーかいぶ』

 

 

 

 

白亜の予告状(清掃員君入り)見たい?

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