中身ないので肩の力を抜いて暇つぶしにご利用ください。
この作品はアインクラッド解放記念日に懐かしくなった作者による物凄く趣味的で暇つぶし的な、超絶中身のない小説です。
ソードアート・オンライン。
それはなんか超すごい技術の結晶で、完全ダイブという五感すべてを没入させることができるようになったゲームハード、≪ナーヴギア≫のソフトとして発売されたゲームのひとつだ。
ナーヴギアは《完全ダイブ》を実現した。
まさしく完全の名に相応しい、それは現実との完璧なまでの隔離だった。
ただのおバカな高校生(卒業間近)である僕こと北原静空に難しいことはわからないが、コンビニで立ち読みした雑誌には確かそんなことが書いてあったのをなんとなく覚えている。
とりあえず、ゲームの中に飛び込むという斬新な体験は多くの人を魅了し、購入者が殺到し、どこもかしこも売り切れが続出した。
『物売るってレベルじゃねぇぞ!』
と、ニュースのインタビューをされた一般の誰かが答えていたが、本当に文字通り戦争だった。
転売対策がバッチリだったお陰で、本当にほしい人たちに手にわたったはいいものの、その数約一万。
あるものはガッツポーズを、あるものは目の前で売り切れ涙を飲む。
行列に横入りしようものなら捕まらない程度に殴る蹴るの暴行に襲われる。
そんな社会現象を巻き起こしたSAOを手に入れた僕は、幸運な一人なのだろう。
海外にいる母親からの電話で『あんた最近学校の成績落ちてるらしいじゃない。もし今度のテストで赤点とったら一人暮らしも取り止めだしゲームも没収するからね』という有りがたくない一声のせいで、ハードもソフトも家にあるのにSAOが遊べないことになりかけたが、学校のテストも大学受験も無事乗り越えた今、全ては些末なことだ。
通っていた高校の連中も、僕を除いて誰一人当選していなかったのだから、まさにラッキーボーイだった。
ああ、そうだ。
僕は幸運だった。
何せSAOは、命を懸けて遊ぶのに相応しい神ゲーだったのだから。
これを幸運と呼ばずになんと呼ぶのだろう。
そして、そんな娯楽主義で常に刺激を求めるイカレポンチ…なんてまと違いな評判を頂く僕は、長い付き合いになるデスゲームになることも知らずに、意気揚々と仮想世界へ飛び込んだ。
───リンクスタート!
●
「うおおおおお、すげえええええ!チンコもある!」
ゲームの中に飛び込んで自分を動かす、その感動を確かめること暫し、僕は事前に連絡しあっていた相手とゲーム内で合流するべく移動を開始した。
そいつは元お隣さんで、今でも連絡しあっている3個下の男だ。
僕が17で相手が14。
名前を桐ヶ谷和人といい、ある種の幼馴染みと言えるだろう。
もっとも、小学二年生になる前はアメリカの祖父の家、小学校卒業後は北海道に引っ越ししたりしたので、幼馴染み期間としては小学校の間の5年間くらいだ。
ちなみに、ゲームなので現実の顔とは似ても似つかないアバターをしているから、合流が難しいと思われるかもしれないが、そこは心配ない。
集合するに当たって僕と和人は合図を決めていた。
───僕は今、緑色のモヒカン頭で、露骨な悪人顔をしていて、顔面に黄色のペイントをぶちまけており、始まりの町の中央広場で逆立ちしている。
この見た目、この体勢が同じやつは周りにはいない。
…というか、周りから人がどんどんいなくなっている。
そんなあからさまにテンション上がっちゃった痛いやつに話しかけるような奇特なやつは、間違いなく約束相手と言うことができるだろう。
とても賢い作戦だ。
…本当に?
本当の本当か?
どうしよう。
早くも後悔してきたな…。
「よお、長ネギ丸。待った?」
そして、約束の時間から実に十五分過ぎた頃。
自分の知能に重篤な欠陥がある可能性に思い当たった辺りで、ようやく僕に話しかけてきたのは、アニメの主人公もかくやと言わんばかりにイケメーンな顔つきをした男だった。
集合時間から十五分も過ぎている。
それはつまり、目の前のこいつはこのイケメーンなキャラクリをするためだけに、僕が辱しめを受ける時間を先伸ばしにしたということだ。
待った?じゃねえよ。
デート気分かこの野郎。
「誰だよ知らねーな」
「あれ?あ、まじか、すみません!間違えました!すみません!マジ、すみません!」
ムカついた僕が赤の他人の振りをしてやれば、そのイケメーンが露骨に狼狽える。
そんな姿も様になっているのがさらにムカつく。
「相変わらずコミュ障だなキリト。待ったじゃねーよ。人にバカみたいなキャラクリさせといて自分はイケメーンになるとかいい度胸だなおい」
「合ってんじゃねえか!いや、遅れたのは悪かったけども!」
「けどもじゃなくてね?」
「…はい、すみませんでした」
ちなみに、キリトという名前は、ゲームで和人がよく使う名前の一部を使った洒落た名前だ。
ゲームとリアルで呼び方を分けるのを面倒くさがった僕が、リアルでもキリトと呼んでいた結果、普通のあだ名として定着し、気付けばキリトの妹までもがキリト呼びし始めていたのを覚えている。
長ネギ丸?
別に由来はない。
幼い頃からなんとなく使っているだけで、長ネギが好きなわけでも実家が長ネギ農家な訳でもない。
「ただ、ベータテスターだからキャラクリはしてない。ただ単に世界を堪能するべくちょっと街をぶらっとみてきただけだ」
「ふざけてんの?」
「いやぁ帰ってきたって感じがするな!」
「土に還してやるよ」
僕はこいつを殴り倒しても許されるのではないだろうか。
そう考え、逆立ちからファイティングポーズへと移行。
その間一秒未満。
「ちょ、待てよ!」
「いいや限界だ、やるねっ!」
喧嘩っ早いバカの拳によって放たれた衝撃のファーストブリットが、キリトの股間へと突き刺さった。
●
僕は金的でうずくまるキリトを眺めてささやかな復讐心を満たした後、ベータテスターとかいう、体験版を先行プレイしたらしいキリトに教え乞うべく、駄弁りながら武器屋に向かっていた。
「うぐぐぐぐ…うごごごご…!」
「…よし、とりあえず武器屋に行こうぜ。キリトって片手剣なんでしょ?なんか別の使いやすい武器教えてくんない?」
「…はぁ、ふぅ…なら片手剣でよくないか?」
「フレンドと武器がタブるの嫌いなんだよ僕。脱没個性」
「さいで…」
「無個性でもアーマードオールマイトくらい豪華なら許せるんだけどさ」
「安心しろ。お前はヒーローになれない」
「犯罪王に僕はなる!」
「海賊すぎるルフィやめろ」
緑色のモヒカン、名前は長ネギ丸。
キャラクリは世紀末のチンピラみたいな悪人顔。
いくらゲームの世界とはいえ、明らかに痛いキャラクリにしたのを少しだけ後悔しつつ、僕とキリトはNPCの店が並ぶ街道を進んでいく。
「しっかし懐かしいなぁ…。僕が北海道に引っ越してからもう6年になるのか」
「そうは言ってもちょくちょくスカイプ繋いでMMORPGしてたからあんまり久しぶりって感じはしないな」
「キリトが懐かしいんじゃなくて地元が懐かしいんだよ。勘違いするとか恥ずかしいやつだなーキリトは!」
「辛辣!」
「あと僕お前との思い出は全部消したから」
「超辛辣!」
僕こと長ネギ丸は年甲斐もなく、いやまぁ高校三年生だから子供っぽくてもギリ許されそうだけど、さておき。
ワクワクしていた。
初めてのゲーム体験。
これから始まる未知の冒険。
そう、僕達の戦いはこれからだ───!
はじめまして。
あるいはまたお世話になります。
とりあえずぼちぼち投稿していきます。
アインクラッド解放までは書きたいです。