変態バケツエンジョイ勢。   作:ひつまぶし太郎

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バタフライエフェクトみたいな話。


楽しい迷宮区攻略の巻。

 

 

決闘の後。

なんかクラなんとかさん…いやもうこのネタいいな。

クラディールさんは、去った。

年下の男に尻から槍を引き抜かれながら、公衆の面前で仕事をクビになるとかいうお労しすぎる結末には涙が禁じ得ないが、まぁ、うん。

 

ロマンスに発展するにはちょっと年の差がありすぎたんだ。

ロリコンかな、みたいな。

僕とは別の意味でシャアかな、みたいなね。

決闘も終わり、広場にいた野次馬たちもいなくなった。

 

「あの、今回ばかりはありがとうございます。長ネギ丸さん」

 

「ああいいよ別に。よくあることだし」

 

実際ほんとによくあるから困る。

でもデュエル僕は好きだぜ。

合法的に人をボコせるし。

対人戦闘が血生臭くならないデュエルは大歓迎です。

あと僕にキレてる人が、僕に勝てずに歯ぎしり地団駄する姿も好き。

 

「よくあること?」

 

「こないだは…なんだっけ。5人パーティがうんこまみれになるトラップに引っかかる様を録画してドキュメンタリー風に編集した動画拡散したらキレられたりしたっけ?」

 

「お前あんまり恨み買うようなことやらかすなよ危ないな…」

 

「お前あんまり恨み買うような口説き方すんなよ危ないな」

 

「キリトくん?」

 

「いや、なんのことかわかんないな〜!いや、ほんとに!」

 

「仲いい女の子がいないとか昨日言ってたけどさぁ!」

 

「「聞いてたのか(んですか)!?」」

 

「オタサーの姫とか、ビーストテイマーちゃんとか、リズベットとか!他にもこないだなんか酒場で女の人に口説かれてたなぁ!お前!ソロ気取りの裏切り者が!てめえこの野郎!ぶっ殺すぞ!昨日の夜からイチャコライチャコラ!もうめんどくせーからさっさとデート行ってこいよ!!!」

 

「「はいすみません失礼します!」」

 

「かーっ!ぺっ!!!!!」

 

中指を立てながらつばを吐き、年下カップルに喚き散らすみすぼらしい男の姿がそこにはあった。

というか、僕だった。

 

 

 

 

 

 

キリトたちが去った後。

僕は任務失敗の旨をリズベットにDМし、グッと伸びをする。

さてどうするか、と考え。

とりあえずストレス溜まったし思いっきり暴れたいなと思った僕は、迷宮区の入口に立ち、キリトたちとは別ルートに足を向ける。

 

バケツ頭にふんどし。

小盾に短槍。

いつもの攻略組最軽量、最低防御、最高火力の装備を確認した僕は、その一歩目を踏み出そうとして。

 

「やぁ、長ネギ丸くん。久しぶり!」

 

声をかけられた。

 

「ああ、ディアベルさん。おひさ。SAО楽しんでる?」

 

「相変わらず生意気なガキやなほんま」

 

「うるせーなモヤットボール。僕に勝つまで喋んなつったろボケ」

 

「あ?」

 

「ははっ、仲いいのはいいけどあまり挑発しないで欲しいな!」

 

「朝から無意味に爽やかだなぁ」

 

「ナイト、だからね!」

 

話しかけてきたのはディアベルさんとキバオー。

攻略組でもヒースクリフと人気を二分するトップギルドのリーダーとその副官だ。

知恵と人望がある柔和なリーダーと悪知恵と度胸のある強面サブ。

割とバランスのいいコンビだが、それでもやはり血盟騎士団には一歩遅れている。

 

その理由は治安の維持。

彼ら軍は、第一層を中心にアインクラッドの公序良俗のために動いている。

…まぁ一時期、ディアベルさんとキバオーその他数名が攻略のために最前線に残って戦っていたところ、軍による圧政が横行。

 

僕とヒースクリフのやらかし…もといバケツカレー事件で悪事が表面化して以来、規模自体はトップのギルドでありながらも、攻略組トップの座からは退いている。

 

ディアベルのレベルは常に上の下をフラフラしていて…今で言うならだいたい現攻略階層の安全マージンである84。

治安維持しながらギルドの団員の平均レベルも73なのだから、その運営手腕は凄まじい。

正直ディアベルがいなかったら半年は攻略が遅れていただろう。

 

そんな二人に付き従うように、タンク装備のプレイヤーが6人、両手剣等の火力アタッカーの装備が6人。

そこにバランスタイプのディアベルとキバオーとかいう、ちょっとしたフロアボス相手なら全然戦えるガチパを見て、僕は首を傾げる。

 

「…?あれ、もしかしてボス見つけた?」

 

「いいやまださ。でもオレたちが見つけたいとは思ってるよ!情報収集もね」

 

「ワイらとしても、最近ノロマになっとる攻略スピードあげたいんや」

 

「大丈夫、無茶はしないさ!」

 

「お前も来るか?クソガキ」

 

「んー、面白そうだしついてこ。あ、でも行くのはこっちな。今若者がデート中だから」

 

「お前も若者やろアホ。子どもは大人に守られとけや生意気やねん」

 

「やっさしぃ〜これは詫び入れなあかんわぁ!」

 

「こいつほんまに!ムカつくなぁ!?」

 

 

 

 

 

 

「「「あ」」」

 

まぁ、そんな配慮も虚しく一同に介するんですけどね初見さん。

軍、風林火山、カップル。

たぶん、フレンド情報で僕の進路を予想してちょっと脇にそれたのだろう。

そして、そこで休憩することにしたに違いない。

 

道中小盾によるシールドバッシュで骨を砕き、崩れたところを槍でぶち抜くスタイルで危なげなく進み、というかガチパ故にほぼタンクだけでどうにかなる道中だったので、たまにディアベルに頼んで暴れ倒していたわけだが、とにかく。

 

「その年で指フェラはちょっとレベル高くない?」

 

「なんやろな、とりあえずお前の反応間違っとるで」 

 

「おー、キリトにディアベル!しばらくだなぁ!」

 

「クラインさん、お久しぶりです!」

 

僕らが見たのは、閃光さんの指に吸い付いて美味しいと宣う変態剣士の姿だった。

 

「と!とりあえず弁明を!」

 

「ほな、先行こか」

 

「待ってくれよお!言い訳させてくれ!」

 

「キリトくんのえっち…」

 

「悪ノリもやめてぇ!」

 

なんだろう。

眼の前でいちゃつくのやめてもらっていいですか?

 

 

 

 

焼肉のタレ誕生秘話。

 

「なぁ、塩味飽きたんだけど」

 

「言わんとすることはわかる。だが、無い袖は振れないという言葉があってだね」 

 

「なんか焼肉のタレ食いたくないすか?」

 

「……ふむ、正直私も久しぶりに食べたい」

 

「てなわけで、料理スキル上げてきました。マスターとまではいかなかったけど」

 

「さすがはアインクラッド1スキルに精通した男」

 

「よせやい。そんなわけでまずは醤油」

 

「うん…うーん…なんか違うな…?」

 

「ソース」

 

「まずい」

 

「そして本命の焼肉のタレ」

 

「ゲロマズ」

 

「あれかな。なんか配合ミスったか?」

 

「とりあえず、23階層にあった味の濃い木のみを使ってみるのはどうかね?」

 

・・・

 

「試した」

 

「…これは…まずいな。紙みたいな味がする」

 

「うーんじゃあ明日はマーケットで香辛料とか買ってくるか」

 

・・・

 

「……!!…!?ガハッ…!み、味覚が死ぬ!これやばいやつ…!」

 

「おーヒースクリフの語彙力が溶けた…」

 

・・・

 

「今日は息抜きにアイス作ってみた」

 

「まさかのチョコ味…だと?いや、普通にすごいな…あと、美味しい」

 

・・・

 

「どうよ?」

 

「これは…なんだ。なにをいれた?」

 

「猫のうんこ」

 

「正気か?」

 

「食材アイテムとして表記してるカーディナルに言ってくれよ!試したくなるだろそんなことされたら!」

 

・・・

 

「つ、ついに出来た…よし、焼肉パーティするぞ!」 

 

「長かった…だが、うん。感動したよ。生きているな、君は。この世界で」

 

「はっはっは。そりゃお前さんもだろうに」

 

 

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