変態バケツエンジョイ勢。   作:ひつまぶし太郎

26 / 32
ALО編2話で終わるつもりだったんですけど、会話パートが増えすぎてもう1話増えました。 
あと唐突にストーカーが出てきますけど別にただのよくいるストーカーなので気にしなくていいです。
神崎エルザとかピトフーイとかいう名前してるらしいですけど。


バカばっかパーティの巻。

 

 

妖精の国でのことを思い出しながら電車に揺られることしばし。

目的地の駅に到着したアナウンスを聞きながら僕は立ち上がる。

 

現実が退屈だ、と嘆きはしたが実際のところ僕はワクワクしていた。

今朝はちょっと、ドアを空けたら満面の笑みを浮かべたストーカーがいたせいでめちゃめちゃ萎えてただけである。

 

───なにせ今日は満を持してのSAОオフ会。

 

SAОがクリアされたのが8月末で、ALОに囚われていた未帰還者が解放されたのが9月の上旬。

閃光さんやらほかのメンツのリハビリが終わるのを待っていた結果、クリスマスまで予定がずれ込んでしまったのは御愛嬌。

 

仲いいメンツだけとはいえ、仲いいメンツが多すぎるのが問題というか。

ぶっちゃけエギルさんの店は結構ギチギチになる予定だった。

 

キリトに閃光さんにビーストテイマーちゃんにリズベット、クラインさん。

あとグリムロック夫妻にゴドフリー、ディアベルにモヤットボール。

女の子にタンク押し付けようとしてたゴミギルドこと月夜の黒猫団、リーフィア(ポケモン)。

その他攻略組たちも何名かおり、もはや連絡がついて予定が合うやつ全員集合といった様相を呈していた。

さすがデスゲーマー。

クリスマスの予定とかない陰キャばっかで助かるぜ。

 

改札を出て、街の雑踏に足を踏み出す。

 

「んー今日もいいペンキ☆」

 

「うんうんいい天気だよね!せっかくいい天気なんだしこのままクリスマスデートとかどう?」

 

「……幻聴かな…?今日はスマホの電源も切ってるし家を出たあと一回完全に巻いたはずなのに…ストーカーの声がする…」

 

まさか、そんなわけないよね。

と、僕は流れるように回想に入ることにするのだった。

 

「回想に入ったからって逃げられないぞ☆」

 

 

 

 

 

重戦士3人に襲われていたエルフの皮をかぶったゴリラは幼馴染でキリトの妹の直葉だった。

 

女の子を襲うのに夢中になっていた男たちは尻から槍をねじ込まれるという未知の体験に悲鳴を上げながら爆散。

 

「目が覚めたら、身体が縮んでしまっていた…!」

 

「お前は急に何を言ってんの?」

 

「いやなに、ここが過去の話だよって話もしといたほうがいいかなって。電車での話がちょっと先の未来で、おじさんの横で僕は回想してるって描写をこないだ省いちゃったから。…まぁあれだよほら、昔のポケモンでゲーム再開したときにあらすじが流れるみたいな感じを想像してもらったらいいよ」

 

「そのカビの生えた脳みそってどこで交換できるが聞いといていい?俺の幼馴染がゲーム脳すぎて泣けてくるんだが…」

 

「まぁ幼馴染構文というか連想ゲームというか…お尻が死ぬほど痛いから思考をめちゃめちゃにして支離滅裂にしてないと尻滅裂でしんどいというか…尻痛すぎて滅っ、みたいな」

 

「おいリーファこんなこと言ってるんだし、一応謝っといたほうがいいんじゃないか?いつにもまして頭おかしくなってるぞこいつ」

 

キリトの言葉に先を飛んでいた直葉改めリーファが振り返り、こつんと拳を頭に当てながらひと言。

 

「めんごめんごっ」

 

「殺すわ」

 

昔はもうちょっと素直な女の子だった気がするんだけど、どうしてこんなにムカつく奴になってしまったんだろう。

 

「おい邪魔すんなキリト!殺せねえだろうが!!」

 

「まぁまぁまぁまぁ…にしてもスグがあんな成長の仕方したのって絶対お前のせいだよな」

 

「はぁ?ブラコン拗らせてるだけじゃん。僕のせいにしないでほしいね!」

 

「余計なこと言わないでよもー!」

 

唐突にごしゃ、と言う音共に僕の視界が半分になる。

リーファの大太刀に僕の頭部が切断されたのだ。

HPが当たり前のように赤になり、雲散するほんの直前の2で止まった。

 

「お前暇つぶしにスグからかうのやめろよ…グロいから」

 

「SAОのステータスじゃなかったら耐えてないからね普通に。やばくね?」

 

「やばいのはお前定期」

 

「黒ひげ危機一髪的な。それともロシアンルーレット的な?乱数次第だといつか死ぬかもと思うとワクワクするよな!」

 

「死んだらこれまでの冒険が全部消えて最初からやり直しになるってわかってる?」

 

半分になった頭部をヒースクリフに回復してもらう光景も、すでに3回目ともなれば誰も驚かない。

 

強いて言うならAI幼女がドン引きしてるくらいだ。

 

「パパ…私やっぱりこの人怖いです…理解できません」

 

「失礼だな、純真だよ」

 

だいたい初対面でキリト達に取り入るためにパパママ呼びしたり、隠蔽工作を依頼してきたり。

AIのくせに好き勝手してる奴に言われるのは心外だ。

 

「よく言うぜ。腹の中まで真っ黒だろ…いいか、スグ。こんなプレイヤーになっちゃだめだからな!」

 

「なっちゃだめって言われても、さすがにこんなふうにはなれないよお兄ちゃん」

 

「失礼だな、純正だろ」

 

あと、死なないからいいやの精神で人の頭に大太刀振り下ろすサイコパスにも悪しざまに言われる理由はないはずだ。

 

 

 

 

 

 

なんだか、不思議な気分だった。

元々SAОに囚われた兄の気持ちを知りたくて始めたALОで、なぜかSAОの延長線のような状況に混ざっている。

 

久しぶりにVR越しに対面する静空兄も、まぁたまにスカイプを繋いでいたとはいえ幼い頃の記憶と変わりはなく。

だからこそ異常な光景ではあった。

 

なんでデスゲームの中での雰囲気が、普通のゲームでも変わらないのだろう。

特にナビゲーションピクシーを名乗る一人の変態は、私からお兄ちゃんを奪った犯罪者なのに。

 

…いやほんとに。

見た目が別の種類の犯罪者すぎてあれだけど『転校生を紹介するぜ。こいつは僕の親友のヒースクリフ!本名は茅場晶彦だぜよろしくしてやってくれよなみんな!』と当たり前のように私に紹介してくる静空兄はイカれてると思う。

 

茅場晶彦。

今や世界の誰もが知る犯罪者だ。

今の見た目が別の種類の犯罪者すぎてそうは見えないけど。

 

聞けば茅場晶彦がしでかした罪を認めてるわけでも許したわけでもないらしいが、それはそれとして普通に友達として扱ってるのはなんだかもう…理解不能な宇宙人って感じだった。

あと『ま、なんていうかさ…誰か一人くらいこいつの友人がこの世界にいてもいいんじゃない?』とのことだが、お兄ちゃんがそれに若干嫉妬したような顔をしていたのが本当に最悪だなと思った。

 

「所詮ゲームなんだから何でもありだ。殺したければ殺すし、奪いたければ奪う…そんなふうに言う奴には、嫌っていうほど出くわしたよ」

 

「なんで僕を見ながら言う?」

 

「でも違う。仮想世界だからこそ、どんなに愚かしくても見えても、守らなきゃならないものがある…カスみたいなプレイは自分に返ってくるんだ…」

 

お兄ちゃんは、静空兄の頭にヘッドロックをかけながら私に続けた。

 

あの、お兄ちゃん。

一応その人私の初恋で、みたいな静止はしない。

火に油を注いだらどうなるかなんてことはさすがの私でも理解していた。

 

というか、いくらブラコン疑惑でまったく私の仄かな気持ちに気がついてなかったことにムカついていたとは言え、噴火寸前にしか見えないお兄ちゃんに着火するのは可哀想だ。

 

「この世界で欲望だけに身を任せれば、その代償はかならずリアルの人格へと還っていく。プレイヤーとキャラクターは一体なんだ」

 

「力こそ正義。勝ったほうが正義。つまりラスボスのヒースクリフに勝った僕がナンバーワン正義(まさよし)

 

「なんでお前ってムショにぶち込まれてないんだっけ」

 

「英雄だから、だろ?(キメ顔)ムカつく奴を殺したらその日は快眠できるんだぜ知ってた?アインクラッドで毎日快眠だった僕が言うんだから間違いない」

 

「お前ってあれだっけ。異世界転生系みたいな…違う世界から来た?よく今まで捕まらなかったよな」

 

「な。世間はもっと僕に感謝していいよね」

 

やっぱ静空兄って頭おかしい。

でも、そんな頭のおかしい静空兄だからこそ、お兄ちゃんの心は深い絶望を覚えなくてすんだんだろうけど。

 

「そういやさ」

 

「なに?」

 

「なんかヒースクリフとの最後の戦闘で面白いこと言ってたよな」

 

「……なんだっけ?本気で覚えてないや。あと頭さっきから頭からミシミシ音がしてんだけどそろそろ離して欲しいかなって」

 

「昼寝してたら唐突にアスナのパンモロ犯になってたやつあれお前らかよお!!!!なんだ全身全霊でなすりつけあったって!なんだ最終的に俺に押し付けたって!ラストバトルでエモい空気出して最低な思い出話で盛り上がってんじゃねええええええよおおおおおおおお!」

 

「ぎゃー!僕の頭が弾けた!」

 

「きゃー!?長ネギ丸さんの頭が弾けました!?」

 

「グロいグロいグロいグロい!!なんか目だけびょーんって!目だけびよーんってつながってる!やめてよお兄ちゃんなんてことしてくれたの!?」

 

脳みそをぶちまけながらケタケタ笑う静空兄に振り回される心労がそれに見合ってるかどうかといえば、まぁ。

 

見合ってる…んじゃないかな、うん。

この面白ければそれが全てみたいな思考回路でデスゲーム一緒に過ごしてたら、そばにいる友人枠としては危なっかしくてヒヤヒヤしそうだけど。

 

「というかなんでお前はさっきからそんなにダメージ表現がゴアなんだよ!」

 

「なんでって…このために一万円もするMOD入れたからだよ。面白いかなって。心臓が口から出ながら爆発四散したら相手はどないかなって。アミュスフィアの強制停止で相手プレイヤーをゲームから排除!みたいなことになったらいいなって」

 

「そんなことのために一万円…?バカだなぁお前…」

 

「ちなみに私の姿はMODではない」

 

「なんの対抗心?」

 

 

あーもう、バカがバカと連鎖してバカのウロボロスみたいになってる!と頭を抱えるお兄ちゃんを見ながら、『すり抜ける剣?いや、別に相手より早く剣を振り抜いたら俺の剣のほうが先に当たるんだからむしろアドじゃない?』とか平気で言っちゃうのはだいぶバカだよお兄ちゃんも、と思うのだった。

 

 

「───PK!PK!PKPKPK!ふぅわ!ふぅわ!PKだ!Pィ゙Kェ゙ターイム!ヒャッハー!皆殺しじゃあああい!お前らサラマンダーだろ!サラマンダーだよなぁ!?エルフの森に首置いてけ!」

 

「ちょ、待てよ!サラマンダーって別に通りすがりに憂さ晴らしでいくらでも殺していい種族ってわけじゃねえから!」

 

「ンアー!殺意がデカすぎます!」

 

「やめたまえユイくん。唐突な淫夢ごっこはこの世界では恥ずかしいことなんだ。というかキリトくん?父親を名乗るならそういう教育はしっかりとだな」

 

「うっせぇぶっ殺すぞ(悟空)!その格好してるヤツはもう存在が淫夢ごっこみたいなもんだろうが!」

 

「やっぱお兄ちゃんもお兄ちゃんでなんかズレてるよ…」

 

静空兄(バカ)がなんの悪意も正義もなく普通に世界樹の上にたどり着いて、バカみたいな素直さで通報。

それを見ていたバカみたいな格好をした元々人に興味がなかったはずの元ラスボスのヒースクリフ(バカ)が嬉々として協力を申し出て、キリト(ゲームバカ)と三人でカチコミをかける。

 

そんなバカ達によるバカみたいな連鎖で、とんでもない悪意による犯罪がなんの因果もなく唐突にめちゃめちゃになるのを間近で見た私は思った。

 

お兄ちゃんに見せてもらった写真に写ってた今の静空兄…悪くないかも…と。

 

───こうして、バカばっかパーティの私たちは、ついに世界樹へとたどり着いたのだった。

 

 




ALО編終わったらさすがに一旦終わるのかな、どうかなって感じです。
久しぶりに更新されてるけどもう読む気はないね!って人も、文章下手になってるし読むに堪えねえよって人も、感想やら評価やらここすきやらを頂けるとモチベになるのでどうぞよろしくお願いします(五体投地)。
めちゃめちゃ感想と評価とここ好きがほしいです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。