変態バケツエンジョイ勢。   作:ひつまぶし太郎

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ビーターって?ああ!という話。
本日5話目。
予約投稿です。
これが投稿される頃、作者は明日の仕事に備えてもう寝てます。


勝った!ボス攻略完!の巻。

 

 

ボスのHPが減り、ボスの攻撃が激しくなるそのタイミングで、キリトがなにかに気づいたように叫んだ。

 

「後ろに飛べええええ!」

 

見れば、ボスがなんか見たことない刀っぽい武器を持って、一人だけ飛び出したディアベルに向かって突っ込んでいっていた。

そもそもなんで一人だけ飛び出してんだとか、他のやつはどうしたとか、言いたいことは色々あったが一つ確かなことがあった。

 

「ありゃもうダメだろうなぁ」

 

僕は、センチネルを深追いしたせいでプレイヤーたちとはボスを挟んで反対側に来ていた。

そのおかげで、ディアベルの様子が誰よりもよく見てとれた。

 

だから分かる。

走っても間に合わない。

そもそもその場の誰もが咄嗟のことに思わず動きが止まっていた。

そして止まっていたせいでディアベルだけでなく、他のやつらもまとめて未知のソードスキルで吹き飛ばされた。

 

こうした時、普通のMMOなら遠距離スキルで援護するものだが、SAOにはその存在は許されていない。

 

ボスが剣を振り上げ、構える。

ボスの前で倒れているディアベルは死ぬのだろう。

 

「僕がいなけりゃなぁ!?いくぜ投擲!ラストアタックボーナスはもらったああああ!」

 

僕は素早く、槍を構える。

それは、かつてクレイジーボアに向かってソードスキル初心者講座を実践していたときに暴発したスキル。

数少ないSAОにおける中距離を制するスキルなのに、手元から武器がなくなる仕様のせいで誰も使わない槍スキルに最初から備わっている槍を投げるスキル。

 

「ジャベリンはぁ!こう使う!!!」

 

投槍(シューティング・ランス)

システムアシストのお陰で綺麗な直線を描いた槍は、まさにディアベルを切り裂こうとしたコボルトロードのお尻にぶっ刺さった。

…そう、お尻に。

 

これでもかと言うくらい、百点満点なくらい、コボルトロードの尻の穴に僕の槍が半ばまで突き刺さっている。

ぶいいいん、って着弾の振動で音が鳴っているのがなかなかシュールだ。

 

…やっぱ投擲ってくそだわ。

弱点部位への攻撃のはずなのに倒せてないし。

 

「うわぁ痔になりそう…」

 

そのあんまりといえばあんまりな姿に、何人かが自分の尻を押さえる。

 

なんだか、先程までの恐怖の象徴として君臨していたボスの威厳が音を立てて崩れ落ちていく幻聴が聞こえた気がした。

 

「グゥゥゥ…」

 

そして。

ソードスキルの発動がキャンセルされたコボルトロードは、ゆっくりとした動作で振り返り、下手人である僕を忌々しげに睨み付ける。

 

お前を殺す、そんな意思が無機質なシステムAIの筈のモンスターからとビンビンと伝わってくる。

 

───あとで知った話だが、このときのボスは僕がそのとき使っていたマジカル☆スピアーのランダム状態異常付与効果のうちの「バーサーク」という、攻撃された相手の攻撃力を上げる代わりに攻撃したプレイヤー以外に攻撃できなくなるというデバフが発動していたらしい。

デバフかそれ?

むしろ利敵行為(バフ)じゃない?

 

思わず後ずさりながらも、僕は自分の状況を確認してみた。

回りに人影はない。

ボスを挟んで反対側にみんないる。

武器もない。

なんの効果もないアイテムたちでストレージが一杯になっていて、予備の武器を用意してこなかった。

 

逆に、ボスモンスターの殺意とやる気はダイマックスで、今にもスキル不発の硬直から解き放たれそうだ。

 

「はは、いい天気ですね!実はそのあなたのおしりに生えた槍、僕のなんですけど返してもらったりは───「グギャアアアア!」ですよねえええええええ!?」

 

言い訳もそこそこに、僕とボスとのおいかけっこが始まった。

 

 

 

 

 

 

尻から槍を生やしたボスモンスターと僕との追い掛けっこは熾烈を極めていた。

 

「あああああ!せえええええふ!ははっ、生きてるぅ↑!!すげぇ迫力!!風圧半端ないな!」

 

敏捷にそこそこ振っているはずのステータスに物を言わせた逃走劇は、リーチの差のせいであまり余裕のあるものではない。

だが、僕は今まさに生を実感していた。

これがデスゲーム。

これがもう一つのリアル!

 

なるほどそうだろう。

ここはたしかに現実だ!

 

「おらぁ!お前ら早くしろやぁ!死んだら恨むからな!僕はもっとこのゲームを楽しむんだ今決めた!死んだら化けて出るぞ!祟りで全員痔にしてやるからな!」

 

「お、おい早くあいつを倒せ!」

 

「ああ、痔は辛いからな…」

 

「もういっそあいつごと…」

 

そんな声が遠くから聞こえるが、今まで指示を出していた人間が死にかけたと言うのはなかなか立ち直れる話ではないらしい。

モゾモゾと互いの様子を伺って動き出すプレイヤーは一人もいない。

…仕方ない。

 

煽るか。

 

「大体恥ずかしくないんですかねぇ!?モブ処理係のあぶれプレイヤーに助けられるとか!簡単に吹っ飛ばされやがって!気合いが足んないんじゃねえの!?」

 

「おいもうあいつごとやっちまえ!」

 

「くそ、バカにしやがって!あぶれ組の癖に!」

 

一丁前にプライドだけはあるらしく、僕の挑発にまんまと乗ってくるのはさすが廃人ゲーマーといったところか。

 

「うるさいなぁ!どうせ今この世界にいるやつだいたいみんなゲーム大好きな陰キャじゃないか!やーい現実じゃあ白モヤシー!友達ゼロ人!彼女なし!敗北者!」

 

「はぁ…はぁ…敗北者…?」

 

「野郎ぶっ殺してやる!」

 

…なんだろう、士気を上げようと煽ってみたけど、敵が増えたような気がする。

 

そうこうするうちに、キリトがディアベルの回復を終えたのか、ボスに突っ込んでいくのが見えた。

 

「みんなすまない!皆でボスを倒そう!」

 

「さすがですぜディアベルハアアアン!」

 

結局、ディアベルの前線復帰であっという間に部隊は建て直され、キリトがラストアタックボーナスを取る形でボス戦は幕を閉じた。

 

 

───その後なんかビーターがどうとかキリトがイキっていたが、僕は茶番を無視して上へと向かったのでよく知らない。

 

でもディアベルがフォローしてたし、なんとでもなるだろう。

よくわからんけどボス倒せてヨシ!みたいなゆるい空気だったし。

 

 

 




というわけで、アインクラッド解放記念日ということで、5話まとめて垂れ流ししました。
お付き合いありがとうございました。
こんな感じで中身のないゆるい空気で進んでいきます。
1日にいっぱい投稿頑張ったのでお気に入り登録や心に優しい高めの評価、ここ好きとかしてもらえると嬉しいです。
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