変態バケツエンジョイ勢。   作:ひつまぶし太郎

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ところでこいつをどう思う?
すごく…小さいです…。という独自設定マシマシな話。


槍の話をしようの巻。

 

 

このゲームの槍には短槍(ショートスピア)と長槍と両手重槍、ハルバードの四種類がある。

だが、概ね同じだ。

スキル:槍の一括りだ。

それぞれ使用感が異なり、共通したソードスキルに加えて、ハルバードと両手重槍にはそれぞれいくつかの固有のソードスキルが用意されているくらいなもので、全部一緒くたにされている。

 

なぜだ。

片手剣には片手直剣に片手曲剣、片手刺突剣などバリエーション豊かに分けられているのに、なぜ槍はこうも大雑把さなのか。

長さが違うだけだから別にええやろの精神が見えかくれしてるぞ茅場。

お前ならもっと出来たはずだ茅場。

そんなんだから槍スキルが微妙に不人気なんだよ茅場。

 

───話を戻そう。

 

使用感として、ショートスピアは通常の片手槍よりもリーチが短い代わりに素早い動きと取り回しが優れている。

ただ、槍であるためにどうしても片手剣には連撃のモーションで劣るし、超接近時のソードスキルの威力も劣る。

 

だが、槍の貫通力と片手剣並みの取り回しのよさ、素早い動きで敵を翻弄するロマン、そして上位スキルになれば他の武器種に劣らず火力もでるという素晴らしい武器だ。

しかもこのカテゴリは異様に軽く、この武器種よりも軽い武器は投擲武器と短剣しかないほどだ。

 

だから、リーチを取るか、モンスターに距離を詰められたときの生存力を取るかで、ショートスピアと片手剣は人気を二分している。

…たぶん。

いや、どうだろ。

実際のところ、突きは槍の方が勝ってるとか言うけど別に片手剣の突き技でよくね?いや突きがしたいなら刺突剣でいいだろ?剣の方がかっこいいし、槍って地味じゃない?せめてタケノコだよね、みたいな風潮があるせいで、いまいち人気がない気がする。

 

ハルバードは玄人が選ぶ人気武器。

両手重槍は華がある中堅武器。

片手長槍は堅実な初心者用の武器。

ショートスピアは変態が選ぶ武器。

 

なぜなのか。

責任者に問いただす必要がある。

責任者はどこか!

 

 

 

 

 

 

「なんでも茅場のせいにするのはやめてやれよ…SAOの責任者は茅場でも、ショートスピアが敬遠されている責任はお前だろ」

 

午後の昼下がり、完全に僕とキリトの溜まり場となったエギルの店でだらだらしていたら、商談の邪魔だから出ていけと無慈悲にも蹴り出され、二人はしぶしぶ暇潰しに採取クエストを受けに下層に来ていた。

 

最前線に身を置く二人からすれば雑魚も同然な相手を前にいまいちやる気が出ない僕が、キリトに向かってショートスピアの不遇さ加減を語っていると、キリトが奇妙なことを言い出した。

 

「おいおい、キリト。僕は確かにショートスピアを愛用しているけど、責任を取るなんて重い関係じゃなかったはずだぜ。ワンナイトラブだぜ」

 

「格好だよ」

 

「は?なに言ってんの?今は槍の話をしてるんであって、防具の話しはしてないよ。国語の点数低いんじゃない?」

 

僕の鋭い反論に図星をつかれたのか、キリトが苦い顔になる。

我が意を得たりと、意気揚々と追撃しようとした僕は、しかしてキリトのキレ気味な台詞に遮られた。

 

「お前の!格好のせいだって言ってんだよ!お前がそんな格好してるから!ショートスピアに変態のイメージがつくようになったんだよ!バカ!」

 

「ふむ…」

 

僕は自分の装備を見下ろした。

そこそこ鍛えられた肉体に、ふんどしが一丁。

それ以外でつけている防具はバケツヘルムだけだ。

 

───肌色が眩しい、イケている装備と言えるだろう。

 

「何もおかしいところはないと思うけど」

 

「服を着ろって言ってんだよおおおおおおおおお!」

 

僕の返答に苛立ちが最高潮になったらしいキリトは、昔閃光の誰かさんにオーバーキル過ぎるとかほざいてたのも忘れて、明らかに火力オーバーなソードスキルでモブを消し飛ばした。

 

「まぁ待ってよキリト。確かに現実でこんな格好をしていたら捕まるかもしれないけど、ここはゲーム。しかも装備重量が軽いほど攻撃力が上がるスキルを所有している僕にとっては極めて合理的な装備だと思わないか?最低限のエチケットとしてふんどしもはいているし、デリケートゾーンの毛の処理も完璧。何が不満なんだね君」

 

「全部」

 

ちなみに、防具を来ていないので当然素の防御力は低い。

だが、ふんどしは装備重量が軽いほど攻撃力上がるスキルにさらに補正をかける装備で、通常の攻撃力の上がり幅の約1.5倍という大変優秀な効果をしている。

結果として、今の僕は通常時の三倍の攻撃力を有している。

三倍だぞ三倍。

シャアのザクみたいなもんだろ。

そして、シャアは言っていた。

 

───当たらなければどうということはない、と。

 

「つまりショートスピアを扱うに当たって超理想的な装備なんだから、何も問題ない!」

 

「そんな格好したくないからみんなショートスピアを使わないんだよなぁ…」

 

「明らか全裸を想定した装備用意してる方が悪い」

 

つまりやっぱり茅場が悪い。

 

ちなみに、他の武器でも同じことができると思うかもしれないが、この装備で同じ火力を出せるのは重さの都合上短剣だけだ。

だが、短剣ほど相手に接近する場合、一撃もらうリスクが増えるため、普通に装備を着て、手数を堅実に稼ぐ方がいい。

…やはり、ショートスピア。

ショートスピアこそが最強の武器だ。

 

さて。

そんな頭の悪い、良く言えば穏やかな会話していたときだ。

僕たちがそのギルドに出会ったのは。

 

彼らの名前は月夜の黒猫団。

なんかソシャゲのギルドとかにありそうな、中二臭い名前をしたギルドだった。

 

 

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