変態バケツエンジョイ勢。   作:ひつまぶし太郎

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死ぬほどどうでもいいオリジナルの話です。
本日2話目の投稿です。
今日一日かけていっぱい投稿するので評価と感想もらえると作者が喜びます(乞食)。


唐突に過去を振り返るの巻。

 

「おい、あんた。見ない顔だけど、抜けがけはやめてもらいたいな。俺らはずっと前からこの子に声かけてるんだぜ」

 

「そう言われても……成り行きで……」

 

三十五層。

白壁に赤い屋根の建物が並ぶ牧歌的な農村のたたずまいの主街区で、僕は景観をぶち壊す黒色を発見した。

しかもその黒色に絡む害虫が、直視に耐えないロリコンであるというのがなお気分損ねる。

 

僕はヒースクリフにデュエルで敗北した罰ゲームとして購入しにパシらされていたチーズケーキをアイテムボックスにしまうと、今度は超トゲトゲの刺股を取り出す。

まるで僕の心だ。

ヒースクリフに負け、パシラされた先でモテる黒くて憎たらしいやつを見つけてささくれだった僕の心にふさわしい。

 

とりあえず、僕はそのトゲトゲを躊躇すること無く両手剣持ちの男に突き刺した。

なぁに、ここは圏内。

ダメージはないさ。

 

「ヤーッ!!」

 

「いたっ!?ああん!?誰だおま…やべぇぞ変態だ!」

 

「ヤーッ!!パワーっ!ヤーッ!」

 

「なんだコイツ擬人化してキモくなったちいかわか!?」

 

「いや、なかやまきんに君かも知れないぞ!」

 

「違う!聞いたことあるぞ…ビーターとつるんで攻略組でトップのレベルを維持し続けてる変態バケツがいるって!」

 

「長ネギ丸!?こんなとこでなにしてんだ!?」

 

「ロリコンは死ねコラァ!二度とうんちできない身体にしてやるぜ!」

 

「あ、ちょ、そこはらめぇ!」

 

「お、俺はロリコンとかじゃないけど逃げさせてもらうぜ!」

 

「そうだそうだ!俺もロリコンじゃないけどな!」

 

リーダーらしき男の尻にいい感じに槍が入ったあたりで、周りに人が集まっているのに気づいたのだろう。

害虫3匹は、慌てるようにしてこの場を立ち去った。

 

それを見届けた僕は、第二のロリコンに向かって槍を構え、神妙な顔を作る。

 

「被告人、判決は死刑でいいかな?」

 

「弁護士を呼んでくれ!俺は悪くないんだって!」

 

「犯罪者はみんなそう言うんだよ」

 

「いや、ほんとに…!気持ちはわかるけど!」

 

「あの、あたしから頼んだんです。キリトさんは悪くないんです!」

 

槍を向ける僕から、キリトを庇うように前に飛び出してきたのは、目を潤ませた美少女。

その後ろであからさまにホッとした顔をするキリトにムカついた僕は、ニコリと笑った。

 

「有罪」

 

「落ち着けって!頼むから!まじ、やめ、やめろ!ツンツンするな!…あああクソ、デュエルでわからせてやる、かかってこいコラァ!」

 

 

 

 

 

 

で。

まぁ別に僕はキリトに負けたわけじゃないけれど。

仮に負けたとしてもほぼ僅差みたいなもんだし。

とりあえず腰を落ち着けて話を聞こうという事になった。

途中けばい女が話しかけてきた気がしたけど、些末なことだろう。

ごちゃごちゃ煩かったから鼻フックで背負投げしておいたし。

幻〜。

 

ちなみに今の僕は、ふんどしバケツではない。

騒ぎを起こしてしまったので、擬態中である。

 

「なんであんな事言うのかな…」

 

「俺は、ここで悪事を働くプレイヤーは、現実世界でも腹の底から腐った奴なんだと思ってる」

 

「ん、僕の方見てどうかした?悪事だけは働いてないつもりだけど」

 

「悪事だけはな?」

 

「お二人って…仲良しなんですね?喧嘩するほどってやつですか?」

 

なんて笑うビーストテイマーちゃんを前に、ふと省みる。

果たして僕とキリトは仲がいいのか。

まぁ幼馴染みだし、引っ越したあともたまに一緒にゲームをしてたこともあるから気心の知れた間柄ではあるのだろう。

だけどぶっちゃけゲームをたまにするといっても、僕が対人ゲーを好むのに対して、キリトは対人よりも高難易度クエストとかボスの攻略を好んでいたりと、好みが違う。

ゲームをたまに一緒に遊んでも、長いこと同じゲームで一緒に遊ぶなんてことはしてこなかった。

定期的に互いにゲームを見つけてきては、暫く遊ぶ。

クリアしたり攻略が一段落つけば暫くはチャットやり取りくらいしかしなくなる。

そんな、割りと不定期な遊び友達だったと言えるだろう。

 

だから、SAOが初めてではあるのだ。

こんな長いこと同じゲームをしているのは。

 

「いいか悪いかで言えばいいんじゃないかな。キリトとパーティー組むのなんて月に数回くらいだけど」

 

「そうだな。お前とパーティー組んでたら、いつ連帯責任でつるし上げられるかわからないからな」

 

「安心してくれていいよ。やばくなったら巻き込むから」

 

「どこが安心?」

 

僕が笑顔で肩を組むも、その手はキリトにすげなく振り払われる。

 

「半年前の恨み、俺は忘れてないんだからな!」

 

「おいおい、あれは僕だって文句言いたい案件なだけど?あれ僕悪くないだろ!巻き込んだのは僕だけど!」

 

「キリトさん、半年前って何かあったんですか?」

 

まったく女々しいなキリトは。

終わって事件をいつまでもぐちぐちと。

キリトはどうやらこの話を広げるつもりらしく、ビーストテイマーちゃんに向かって質問していた。

 

「バケツカレー事件って知ってるか?」

 

「あ、知ってます!攻略組全員を陥れたとんでもないプレイヤーによるテロだったって!」

 

「その犯人がこいつなんだよなぁ」

 

「だから僕悪くねえって!あと世間的にはお前も共犯になってるからな、兄弟!」

 

「兄弟言うな」

 

半年くらい前、攻略組という呼称が定着してきて2、3ヶ月たったくらいだったろうか。

25層で先走った軍が壊滅したり、そのせいで攻略組の空気が最悪になっていた時期だ。

そして事の始まりは、ヒースクリフに相談されたことがきっかけだった。

 

───最近、攻略組が連日のオーバーワークで全体的に動きの精細さを欠いているから、休憩を取らせたいがなにか良い案はないか、と。

 

ヒースクリフとしては、デスゲームとなったSAOをゲームとして遊び、隅々まで堪能している数少ないプレイヤーの僕に、リフレッシュできる場所の相談をしたつもりだったのだろう。

その相談を受けたとき、僕はちょうど、乗馬スキルをカンストさせたところで、やりたいこともなかったので一も二もなく引き受けた。

 

それが、あの事件の始まりになるとも知らず、ヒースクリフはいつもの薄い笑みを、僕はたぶんいつも通りの頭の悪い笑顔を浮かべていた。

 

 

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