マギアレコード~CROSSOVER/BRIGHTS RIDER!~ 作:カナミーかなみー
学校のテストだったりでかなり遅れました。
今回もかなり長めです。
第2話・Rupture/別れて、連れられ絶交階段
鮮明に蘇る記憶、それは神浜市にある“里見メディカルセンター”の小児病棟にいる妹の元へお見舞いに訪れた日々。
それは、妹…“環うい”と、その友人である同じ病室の少女達と遊んだ日々。
それは、『ういの病気を治して』と……キュゥべえに願ったあの日。
目を覚ませば、自分の部屋のベッドの上。
朝日が差し込む部屋で“環いろは”は呟いた。「うい…私、どうして忘れちゃってたんだろう……どうしてこんなに……大切なことを……!」
〜〜〜
「“妹も病気を治す事”、それが自分の願いだと思い出したって言うんだね?」
宝崎市立第一中学校、その屋上のテラス。で話す環いろはと……白いウサギかネコのような生き物“キュゥべえ”。
「これは純粋な興味からの質問なんだけれど…“環うい”って誰だい?その妹は、本当に実在していたのかい?」
一緒に撮ったはずの写真には姿がない、共有していたはずの部屋にはういの物が何もない、家族に尋ねても家族も知らない。存在の証明ができない…
「ある個体の存在の痕跡や存在を全て消し去るには、魔法少女の願いに匹敵する大きな力が必要だ。そこまでして環ういの存在を消し去る理由がどこにあると言うんだい?
それよりは君に『妹がいた』という偽の記憶を植え付ける方がはるかに容易いだろうね。」
「でも…これはきっと本物の記憶だと思う。私の心に空いていたものが…ういの事そのものの形なの。夢の中に出てきた病院も神浜に実在するみたいだし……病院に行けば、ういの手がかりが見つかるかもしれない。」
今日の講義が終わった後、急いで駅に向かい神浜市行きの電車に乗った。
「それに、神浜市には小さいキュゥべえがいるの。あ、子供みたいなキュゥべえなんだけど…知ってる?」
「子供の形をした個体?そんな個体はいないはずだけど……」
そんなキュゥべえとのやり取りを思い出しつつ駅からバス停に向かった。
かつてういが入院していた病院、『里見メディカルセンター』行きのバスに乗り、ため息を吐く。「キュゥべえにもわかんないか……
最近黒江さんとも連絡がつかないし、どうしてるのかな……?」
『歴史と文化の城下町、水名区ではスタンプラリーを開催中!全てのスタンプを集めると、縁結びのパワースポットが見つかるかも!』
車窓からの景色を眺めつつ、車内で流れるイベントのお知らせをぼんやりと聞く。楽しそうに笑う子供の声がする方向に目を向けたその時、車内が嫌な魔力に満ちた。
乗客の首筋には“魔女の口付け”と呼ばれる刻印が現れる。それは魔女に狙われた証。
無意識のうちに魔女に操られ、魔女に命を捧げてしまう。バスはどこかの路地裏で停車し、生気のない虚な目をした乗客と運転手は降りて『結界』の入り口へと向かう。「弱くても……やるしかない!」
いろはも結界に飛び込み、“ソウルジェム”の輝きを纏い“魔法少女”へと姿を変える。
結界の中は芝生を模したであろう毛糸の大地が広がる夜。
魔女に使える兵士“使い魔”が、乗客達の前を走り乗客達はそれについて行く。その先にはこの結界の主“羊の魔女”がいる。
羊の魔女に使える“羊の使い魔”達は角笛を吹き、羊の魔女をある方向に向かうように追い込む様子は、まさしく放牧。
羊の魔女は眼球型の弾丸…と言うより砲弾を放つ。その方向では紅葉色の魔法少女が必死に逃げている。
「わわわわわっ!!ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい!!私も勝てないから早く逃げよぅ!!」
「えぇ〜〜〜〜〜!?」
その魔法少女はいろはの手を握って逃げる。
「でもお客さん達が「えぇっ!お客さん!?」」
2人は勢いそのままの足踏みでその場に立ち止まる。羊の使い魔に先導されるがままに進む乗客達の方を向く。
気を取られた二人の近くに眼球が着弾。爆発が起き2人は吹き飛ばされるも、張り巡らされた羊毛に引っかかった。
「た、助かった…」「わわわ次が!」次は一度に複数の眼球弾が飛んでくる。
「ちょっと待ったぁぁぁぁっ!!!」
叫び声と共に大剣の一閃。眼球弾が弾かれ2人が引っ掛かっていた羊毛を切り刻む。
2人は羊毛の大地に落ちた。2人を助けた薄い黄色の魔法少女は大剣…いや、鉈を地面に突き立てる。
「ウチのチームのメンバーに手出ししようたぁ、良い度胸だな!」
「『ももこ』ちゃん!」
そして水色の髪の魔法少女が、紅葉色の魔法少女に迫る。
「もう!『かえで』アンタまた足引っ張って!」
「ふっ!?ふゆぅ〜…」
「それはそうとコイツらジャマっ!」
可愛らしい装飾の三叉槍の一閃で周囲にいた使い魔の首が飛び、崩れ落ちる。
「早めに片付けるよ、『レナ』!」
「はーい」
不貞腐れたように返事をするレナと呼ばれた水色の魔法少女は、向けてももこと呼ばれた薄黄色の魔法少女とタッチをする。
その掛け声と共に魔法陣が現れ、薄黄色の魔法少女に魔力が集まる。
その魔力は水に変わりももこを包む。そして勢いよく飛び上がって、鉈を羊の魔女の脳天に向かって落下し突き刺した。その突き刺した場所から激流が起き結界中の使い魔達を纏めて洗い流した。
「何これ…すごい…!」
2人の力を掛け合わせる見たこともない技、そしてその規模その威力にただただ圧倒されるいろは。
だが魔女も一筋縄ではいかない。羊毛に包まれ巨大なボールになり、いろは達の方に転がって行く。
「ウソっ!?」「『かえで』!!」
かえでと呼ばれた少女を庇うように抱えるいろは。
魔女の動きが速い、間に合わない。2人が魔女にやられる、二人の頭にそんな考えがよぎった時、
"あの”エンジン音が響いた。
仮面のバイク乗りがバイクから飛び降り、その勢いのままキックを放つ。
左足が突き刺さり魔女の動きが止まる。そして右足で蹴り飛ばし、魔女は結界の彼方へ転がっていき爆散した。
「あぁっと…ブライツだな、助かったよ。」
「ちょっと来るのが遅過ぎるのよ!」
「助かっ…た…?」緊張の糸が解けたのか、倒れるいろは。
「ちょっとアンタ大丈夫!?」「早く…に……!」
そんな声が聞こえる中、いろはの意識は薄れていった。
〜〜~
「どーすんのよ、『調整屋』まで連れてきて。」
「でもほっとけないから…」
目を覚ますと、薄暗いどこかの建物の中。いろははゆっくりと起き上がる。
「ここは…」
「目、覚めたか?ここは『調整屋』。魔法少女向けの病院とか、相談所的な場所。今は店主不在だけどね。」
「そうなんですね…あ、助けてくれてありがとうございました!」
「いーよいーよ、これくらい。『魔法少女は助け合い』って言うだろ?それにあたし達も…ブライツが来てくれなかったら間に合わなかったし……」
「っと、久しぶりだね。あの時の……ピンクの魔法少女さん?」そう言いながら調整屋の中に入る青年…連並ヒナタだ。
「あなたは…ヒナタさんでしたっけ…?」「そうそうそうだよ“連並ヒナタ”。“連続する"の“連”に“並ぶ”の“並”。カタカナで書く“ヒナタ”の…連並ヒナタ。」
「はあ…ヒナタさんもありがとうございました!あの、結界ににいた人達は…」
「ああ、全員目を覚まして帰ってったよ。」
「それにしても見慣れない制服だね、キミはどこから来たの?」
「宝崎からで「『神浜の魔女は他より強い』って知らないの?のこのこ結界に入ってきたりしてさ。」あ…ごめ…」
水色の少女は呆れたように、貶すように言葉を遮る。
「心配しなくていいよ。アレで一応心配してるつもりだからさ。」「だっ、誰がよ!?」
「そうは言っても、真っ先に声上げて駆け寄ってたクセにねぇ「アンタは黙ってなさいブライツ!」あーらら、怒られちゃった。」
水色の少女が座るソファの後ろに立つヒナタを睨むレナ。
「何か飲む?落ち着いたら駅まで送ってくよ。また帰り道に襲われてもマズいしね。」
「あの…神浜って、そんなに魔女が多いんですか?」「そうだねー…強い上に数も多くてさ、昔はこんなじゃなかったはずだけども…」
「でも私、行かなきゃいけないんです。里見メディカルセンターってところに」
「病院?誰が入院してるの?」「今は居るかはわからないですけど、でもそこに入院していたはずなんです。『うい』が…私の妹が!」
「……ハズ?」
なぜ実力が伴わないのに神浜に来たのか、なぜ妹が入院していた“はず”なのか、これまでの経緯を、いろはは語っな。
「それで私、消えてしまった妹を探して神浜市に来たんです。私に妹がいたようにしか思えなくて…」
「それで神浜に来てたってこと…」
「なっ、何よそれ。そんなこと信じろっての!?」
「やっぱり信じられないですよね…」
「よしわかった!まずは里見メディカルセンターだな!」
「はぁ!?ちょっとももこ何言って!」「まっ、これも何かの縁だしさ。」
「俺も協力するよ。」「ブライツアンタまで」
「これも何かの縁ってやつさ。」
「ま、そんな感じで“妹探し"、手伝うよ。さっきも言ったけど『魔法少女は助け合い』だってね。」
「い…いいんですか!?」「いい訳ないでしょ!レナ達の調査はどうなるのよ!?」
「1週間探して何も見つからないんだよ?今日はお休みでもいいんじゃないかな?」
「そうそう、元々は胡散臭い『噂話』だしな。」
「大体“鎖の魔女”なんてレナちゃんは一番信じてなかったでしょ?」
「くっ…それは…」
「そうだブライツ、ヒナタさんと…」「環いろはです。」
「いろはちゃんは『鎖の魔女』って聞いたことある?」
「いえ、まったく…」
「俺もだけど…その魔女ってなに?」
「レナ達、その魔女を追ってるの。その子の用事って魔女探しより優先することなの?」
「ちょっと手伝うだけだろ?」
「あっ、私は大丈夫ですから!助けてもらって介抱までしてもらって、それに妹のことまで…」
「気にしなくていいよ。みんな同じ“魔法少女”の仲間だもん!」
「そういや自己紹介がまだだったな…改めて俺は「あ、ヒナタさんのはさっき聞いたので簡潔に…」お、おう。じゃあ連並ヒナタ。ブライツやってる記憶喪失のバイク乗り。よろしく。
そしてこの3人内の赤い子が“水波レナ”」
「ふゆぅ…レナちゃんじゃなくて“秋野かえで”だよぅ……」
「次に黄色い子が“秋野かえで”」
「“ももこ”だよ“十咎ももこ”。」
「最後に水色の子が“十咎ももこ”ね。」
「はぁ!?レナはももこじゃなくて“水波レナ”!ふざけんのも大概にしなさいよ!」
「ちゃんと覚えてなかったらこんな間違いしないってのははは。」乾いた笑いで受け流すヒナタ。
「私達、この“新西区”でチームで活動してる魔法少女なんだ!」「えっと…環いろはです!」
「いろはちゃん…だね!よろしく!いろはちゃん!」「うん!」
笑顔で手を差し出すかえで、いろははその手を笑顔で握り返した。
〜〜〜
里見メディカルセンターに向かった魔法少女とブライツ一行。
「あ、いろはちゃん帰ってきたよ!」
「おかえりいろはちゃん!それで…どうだった?」
「それが…ダメでした。
『環ういなんて患者は入院していない』って言われちゃって…昔入院していたのかもって調べてもらったんですけど、過去にもそんな子が入院した記録はないって……」
「まぁ、始めのうちはそんなもんだよ。今はダメでも諦めなければきっと見つかるさ。」
「そ、じゃあちょっと休憩しよっか!」
「は、はい!」
〜〜
一行は里見メディカルセンターを後にし、市内のバーガーショップへ向かった。
「私達の番ですね、取りに行ってきます!」
商品受け取りの列に並ぶいろは。
「ねえアンタ」「あ、ももこさん…」
「あの、ももこさん……ですよね?なんか、雰囲気とか違うような…」
ももこ(?)はいろはから注文札をぶん取り受け取り口のカウンターに叩きつけ、商品の乗ったトレーを持って席に向かった。
「あ…えっと…」少し呆然とするいろはだが、気を持ち直してツカツカと進んでいくももこを追いかける。
店の2階席に繋がる階段で見失うとももこの姿はどこにもなく、ももこがいるであろう位置にはレナがいた。
そして力強くトレーを置いて席に着く。
「よっ!」「あ、あれ?ももこさん…でも持ってたのは…」
「レナちゃんまたももこちゃんに“変身”したでしょ!」「してないわよ」「したよぅ!」
「クラスのやつがいたの。それくらいほっといてよ。」
レナは上を向いてため息を吐いた。
「付き合ってもらったのにすいません、これから入院病棟に入る方法を探してみます。」
「だ、だったら!レナちゃん!」かえではレナを期待の眼差しで見つめる。
「イヤよめんどくさい。なんでレナがそんなこと…」「なあレナ頼むよ。」
「そんなこと言わずにちょっとくらいいいんじゃないかい?」
「どういうことですか…?」
「あのね、レナちゃんは“変身する魔法”が使えるんだ!」「それで看護師さんに変身すれば病棟にだって侵入できるよな!」
「簡単に言わないでよ!」テーブルに手を付いて立ち上がるレナ。
「変身するのは簡単でもなりすますのは簡単じゃないんだからね!それに何かあった時に迷惑被るのはレナじゃない!」
「レナちゃんどうでもいい時にはすぐ変身するくせに、人助けは嫌がるんだね」
ムッとした顔で言うかえで。
「“どうでもいい時”っていつのことよ!」
「さっきとか!」
「アンタ喧嘩売ってんの!?」
テーブルに手を突いて立ち上がるかえでとレナ。
「いろはちゃんはういちゃんを探して神浜市にまで来たんだよ!」
「そんなの本当にいるんだか…」
「いるに決まってるよ!いろはちゃんはういちゃんの為に魔法少女になったんだよ!間違えるわけないよ!!」
「他人の願い事なんて……わかんないわよ…」
「レナちゃんいっつも勝手な事ばかり言ってさ…せっかく魔法少女になったのに自分の事ばっかりで!!」
「ちょっと、そんな事ないって」
「何よソレ!?かえでだって“家庭菜園を守りたい”とかどーでもいい願いで魔法少女になったクセに!!」
「……“どうでもいい願い”って、何?」
震える声で問いかけるかえで。
「家庭菜園がどうでもよくなくて何が「どうでもよくなんかないよっ!!!」っ!?」
「お父さんとお母さんと、ペロちゃんとはっちゃんとトンちゃんと……家族の大切な家庭菜園なんだよ!?」
涙を流しながら訴えるかえでに気押されるレナ。
「…レナ、別にかえでの家族がどうとか言ってないじゃん…それにペロとかキモい爬虫類まで並べられたら」
「気持ち悪くなんかないよ!ペロちゃん達を馬鹿にしてないで!そんなだからレナちゃん、クラスで友達できないんだよ!」
「そんなことかえでには関係ないでしょ!?」
「そうだね……私にはもう関係ない」
「レナちゃんとはもう“絶交”だよ!!!」
「ちょ、かえで!」
早歩きで去っていくかえでを、ももこは追いかけていった。
「おふたりさんは何回喧嘩すれば気が済むのか……それに今回のは言い過ぎ、どんな願いだろうとその時のその人にとっては『一生のお願い』なんだから否定していいものじゃないよ。」
少し強めに言うヒナタ。
「わかってるわよ……」
レナはそう呟くと、カバンを持ち俯きながら
「レナもう帰る……」
と言って帰って行った。
一方かえでとももこは…
「かえで待って!レナだってそこまで悪気があって言った訳じゃ「いくらレナちゃんでも……言っていいことと悪いことがあるよ…」
「そうだな!だから仲直りして絶交なんて取り消そう、な?」
「………」「そ、そんなに絶交絶交って言ってると…“鎖の魔女”に攫われるぞ〜?」
両腕を挙げて襲うマネをするももこ。
「(あれ…スベッた…?)」
無神経すぎた、とももこは頭を抱える。
「もうももこちゃんも知らないっ!!」
かえでは速足で去っていった。
~~~
「あ、ももこさん。」
「案の定って感じかな。」
「ああ、レナも帰ったみたいだな……」
「うん、多少は反省してるみたいだしレナちゃんの方は明日になったら落ち着いてるとは思うよ。」
「だな…ごめんねいろはちゃん、ビックリさせちゃったよね…?」
「あ、い、いえ!そんな私のせいで…」
「そんなことないよ、あの2人の喧嘩はいつもの事だからいろはちゃんのせいじゃないよ。」
「そうですか……あの、そういえば『鎖の魔女』って一体なんですか?」
「そうだな…って、もう日が沈みかけてるし歩きながら話そっか。」
〜〜
駅に向かって歩くいろは達3人
「いろはちゃんの学校には『絶交階段の噂』ってある?えっと確か……」
ーーーー
“絶交階段”のそのウワサ!
“神浜市立大学附属学校中等部”の、東棟の北側4階から屋上に続く階段のコト!
絶交階段の6段目に“自分の名前”を
7段目には“絶交したい相手の名前”を書けば
その相手とは未来永劫交際を断つ事が認められるの。
もしも仮に万が一!仲直りなんてしようものなら謝ったほうが鎖のバケモノに攫われちゃう!
そしてそのまま絶交階段に閉じ込められて、無限に続く階段掃除をさせられちゃうって
生徒の間ではもっぱらのウワサ!
オッソロシー!!
「………って感じなんだけど、知らない?」
「いえ…知らないです…」
「実は絶交階段に書かれた名前の6人の内、3人も行方不明になってるんだ。」
「都市伝説が現実にか……恐ろしいな」
~~~
翌日、いろははももことかえでに呼び出されて神浜に向かった。
「レナ、家に帰ってないってさ!全くアイツどこへ行ったんだか…」
「ごめんねいろはちゃん。わざわざ来てもらって…いろはさんより先にヒナタさんも探しに行ってもらってるけどまだ見つかってないって…」
「レナさん大丈夫なんでしょうか…」
3人はレナがいそうな場所を当たっていく。
「昨日ね、レナちゃんの家に謝りに行ったの。このまま会えなくなるのは嫌だよぅ…」
そして最後に当たったレナがよく行くゲームセンター。
「ヒナタさん、そっちは」
「全然ダメでしたと…」
「そっか……」
ゲームセンターのドアが開いて神浜附属中の制服の女子が出てくる。
「あれ…あの子のカバンって…」
「レナちゃん!レナちゃんだよね!?」
かえではその子に近寄って抱きついた。
「きゃっ!あなた誰ですか…!?私にはさっぱり「誤魔化しても無駄なんだから!
ほら“モカウサギ”マスコット!ここでレナちゃんが取ってくれたお揃いの!」えっと……っ!」
かえではカバンのマスコットを指さしてそう言った。
その子の姿が変わり、レナの姿に戻って逃げていく。
「あっ逃げるなー!!」強い口調で叫び追いかけるかえで。
「レナちゃん待って!!」かえでに腕を掴まれて、レナは走るのをやめた。
「なんか用…」
「なんで逃げるの?その“モカウサギ”のマスコット!絶交なんて嘘じゃない!逃がさないんだから!」
「昨日だって私謝ったよね!足りないなら何度だって謝るから!仲直りできるまで何度だって!」
「離して…」「離さない!レナちゃんが許してくれるまで離さないんだから!!!」
「レナちゃんゴメンね…いつも怒らせてばっかで…でも私、絶対レナちゃんの友達だもん!レナちゃんに嫌われても……絶対“仲直り”するもん!!!」
ジャラッ…「うん?」
ジャラッ…「レナちゃん…?」
鎖が落ちる音と共に、周囲に霧が立ち込める。霧が一際濃い方向には、鎖を持った人々の影がぼんやりと見える。
《友達?おっかしいねぇw】
《絶交したよね?確かにしたよね?】
《絶交階段に名前、書いたよね?】
人影はかえでの周りに集まってくる。
だがかえでは気づいていない。
〜〜〜
その頃遅れてレナを追いかけていたいろは達もまた、鎖を持った人影に襲われていた。
「うわっ!もしかして“鎖の魔女”の使い魔か!?」
「よかったなももこちゃん!お目当てのヤツが見つかってっ!」
人影が投げる鎖を避けながら軽口を叩くヒナタ。
「とにかく、早く倒して追いかけましょう!」
カバンからソウルジェムを取り出し、一際輝かせる。その輝きを見に纏い魔法少女の姿へと変わる。
ももこもソウルジェムを取り出し輝かせる。輝きは炎に変わってももこの身体を包み込み魔法少女の姿へ変わる。
そしてヒナタは何処からともなくバックル型のデバイス
“ブライツィードライバー”を取り出して腰へ当てる。
起動音と共にベルト部が伸び、腰に巻きつけられる。
バイクのスロットルグリップ型のアイテム
“ライドオンスロットル”をベルト右側のスロットに装填。
そして天面の鍵“ライドI/Gスターター”を回す。
その電子音声と共にエンジン始動音が鳴り響き変身待機音が流れる。
ヒナタは左腕を肩の高さまで上げ、勢いよく左に振り抜き肘を軸に前腕を上に挙げながら指をパチン、と鳴らした。
そう叫び、スロットルグリップを捻る。
また電子音声が鳴り響く。
ヒナタの身体が光に包まれ灰色のアンダースーツを纏う。
そして周囲に装甲が形成され、それらとアンダースーツに赤や白、金の塗装が施され、ヒナタの身体に装着される。
音楽と共に電子音声が流れる。
最後にヒナタの目が赤く光ると共に、頭部装甲が装着されて変身を完了した。
「改めて見るとこんな感じなんですね…すごい」ジロジロと見つめるいろは。
ヒナタが右手を開くと光が伸びて銃剣『ブライツザンシューター』が生成される。
「一気に行くよっ!」
ヒナタ…もといブライツはブライツザンシューター・ソードモードで鎖を切り裂いていく。
〜〜〜
《せっかく絶交してやったのに】
鎖の人影がレナに迫る。
《友達のふりして好き勝手ばっか言いやがる】
周りの人影も迫る。
《アイツのせいだ】《アイツのせいで文句ばっかり言わされる】
「ち、違っ…」《アイツのせいでみんなに嫌われる】
「違う…」《アイツがすぐ謝るから】
「やめてっ!」
《レナが謝れないのはかえでのせい】
「違う!そんなこと思ってない!!」
〜〜〜
「くそっ!数が多いっ!」鉈(ナタ)で人影を薙ぎ払うももこ。
いろはも腕のクロスボウで人影を撃つが、圧倒的な力不足故にダメージが入らない
「だったらっ……コレを使う!」
ベルト横側にあるホルダーを開き、一枚のカードを取り出す。狐の顔を模したマークが書かれたカード。
それを裏返すと、オレンジの眼をした白い狐の戦士の顔があった。
そして“ライドオンスロットルグリップ”をドライバーから外し、カードを装填して再びドライバーのスロットに入れ直す。
右手で狐を作って向き合い、狐を敵に向けて指を鳴らす。
右には“MAGNUM”左には“BOOST”のロゴが現れる。
それらは砕け散って“MAGNUM”は上半身の、BOOSTは下半身の装甲が形成される。
ブライツは白いカプセルのようなものが腰を囲むように現れ、上下に分割して黒い素体になりマスクが装着されてアームが装甲を引き寄せ装着される。
その姿の名は『ブライツギーツ・マグナムブーストフォーム』。
「き、狐!?ヒナタさんそれは一体…」
「わかんないけどできること。状況に応じていろんな戦い方ができて……便利でしょ?」
手に持ったブライツザンシューターが、
ハンドガン『マグナムシューター40X(フォーゼロエックス)』に変わり、それをを影達に向ける。
影達を次々と撃ち抜いていった。
〜〜〜
《昨日言ってたくせに】
《大声で叫んでたくせに】
《叫びながら書いてたくせに“絶交階段”に名前を!】
「レナちゃん?どうしたの?」
「かえで逃げて…」
「レナちゃん?」
「いいから早く!」
ーーー
『絶交階段』のそのウワサ!
6段目には“水波レナ”を
7段目には“秋野かえで”を書けば
その相手とは未来永劫交際を断つ事が認められるの。
仲直りなんてしようものなら謝ったほうが鎖のバケモノに攫われて……
《もう二度と、友達に、戻らない】
鎖の音が響き、かえでを包み消し去った。
〜〜〜
「キリがないな…これで一気に!」
取り出したのは、ギーツに変身する時に使ったカードと同じマークが描かれた黄色いカード。
それをベルト左側の読み取り部“ライドコマンドスキャナー”に通す。
そしてマグナムシューターをドライバーに翳す。
スキャン音が鳴り、シューターのスロットに銃を模したアイテム“マグナムレイズバックル”が装填され、マグナムバックルのリボルバーを回し、トリガーを引く。
銃口にエネルギーがチャージされていく。
ブライツギーツは脛部にある排気管(マフラー)から炎を吹き出し、高く飛び上がる。
シューターのトリガーが引かれると共に、無数の弾丸が飛んでいく。
弾丸は全て影に命中し、次々と倒れていく。
ブライツギーツの着地と同時に影は殆ど消えた。
だが新たに影が現れて戦況は振り出しに戻されてしまう。
「だぁーっ!!もう何なんだよこいつら!使い魔よりもキリがない!!!」
いつものちゃらんぽらんな言い回しから余裕がなくなったように叫ぶヒナタ。
《もういいか】《もういいよ】
《謝ったから連れ去った】
《秋野かえでは連れ去った】
「はぁ!?」「ええっ!?」「なんだって!?」
《絶交階段に書いたのはレナ】
《責めるならレナ】《浅はかなレナが悪い】
「どう言う事だよ……お前ら待てっ!!」
ももこが追いかけようと駆け出し影に向かって手を伸ばすも影は霧散、気付けば霧もなくなっていた。
「なぁおいレナ、嘘だよな…」
呆然と立ち尽くす変身を解除し駆け寄る3人。
「嘘じゃない」
「レナ、なんでそんなこと」
「そうよレナが悪いのよ!!絶交階段なんて嘘だって思って書いたレナが、
先に謝って連れてかれなかったレナが!素直になれないでみんなと喧嘩してばっかのレナが悪いのよ!!!」
地面にへたり込み、顔を覆って泣き出すレナ。3人はそれを黙って見ていることしかできなかった。
~~~
神浜市にはウワサがある。楽しいウワサ、嬉しいウワサ、よくないウワサ、不快なウワサ。
全てのウワサは導かれ、たった一つの………解放となる。
ブライツィードライバーの見た目やギミックの元ネタは
中国の特撮ヒーロー“鎧甲勇士・星曜訣醒”の変身ベルトです。
あのデザインはかなり私に刺さりました………
次回はなるべく早く投稿できるように善処します。
それではまた。