マギアレコード~CROSSOVER/BRIGHTS RIDER!~ 作:カナミーかなみー
かなり遅れてしまいまして申し訳ありません。
『早い!美味い!安い!』
『神浜市最強の中華料理店・万々歳!』
「みたまさんにこのチラシを貰って来てみたけど…開いてないのかな?」
神浜市・参京区にある商店街。その一角にある“中華飯店・万々歳”を訪れた環いろは。
〜〜〜
遡ること数時間前、調整屋にて……
「それじゃあ消えた生徒さん達も全員戻って来たんですね!」
お菓子が並んだテーブルを囲むいろはと、ももこ、レナ、かえで、みたま、そしてヒナタ。
「うん。名前が書いてあった子はみんな、怪我もなくね!」
「魔女に捕まってたのに全員無事なんてあり得るの?」
「うーん……絶交階段の化物は魔女じゃないのかもな」
「じゃあ何なのよ?」
「魔女ならざる“別の何か”、だろうね。
俺は安直に“ウワサ”って呼ぶ事にした。」
「そんな安直な…」
「でも確かに多い気がするわ、そんな変なウワサ」
「どんなウワサですか!?」
「単なるウワサだよ?」
「私が聞いたことがあるのは『午前4時44分44秒にテレビを点けると自分の未来の姿が映る』ってヤツ」
「かえでまさか試してないでしょうね!?」
「試してないよ?そんな遅くまで起きてられないし…」
「アタシが聞いたことあるのは『マンホールの模様と地面のタイルの柄を全て正しい向きに合わせたら金銀財宝が詰まった部屋への扉が開く』ってウワサ。」
「俺は『誰もいない時間帯に国道沿いの道を猛スピードで駆け抜ける走り屋集団』の話。」
「私もあるわよぉ。『すれ違った相手と入れ替わる小道』のウ、ワ、サ。」
「くだらない!」「それってもしかして行方不明になった人もいるんじゃ…」
「それも今のところは絶交階段のウワサだけらしいからな…」
「環さん、『ういちゃんもウワサ絡みの事件に巻き込まれんじゃ…』って考えてる?」
「はい、キュゥべえも『魔女の仕業じゃない』って言ってたし、もしかしたらその中にういに関係するものが!」
「ウワサかぁ…アタシ達よりも詳しそうなヤツも居るには居るんだけど…」
「ねぇ、妹さんの事って警察に言っても動いてくれないわよね?」
「言っても私の妄想って思われるだけかと…」
「迷子の猫を探す時みたく、街中に張り紙してみたりとか?」
「となるとやっぱ聞き込みか?」
「写真とかも無いんだっけ?」
「せめてそれがあれば証拠になったんですけど…」
「それなら似顔絵かな!」
「アンタのヘタな絵じゃ判別できないでしょ」
「え、レナちゃんに言われるなんてびっくりだよぅ」
「どうゆう意味よ…」
「あ、あの!大丈夫です!私一人でやるつもりでしたから!」
「いいよ、乗りかかった船だし。」
「いえ、聞き込み先にアテも無いしもしかしたら凄く気の長い話になるかもしれないので…」
「俺はやることも無いし手伝わせて貰えない?」
「ヒナタさんは無くなった記憶を探すのが…」
「そう?なら……俺が記憶喪失だって気づいたのは1年近く前。
それから色々頑張って来たけど特に何もなかった。でもウワサを知らべる過程でもしかしたら見つかるかもしれない。
要は記憶を手段が探す手段がたまたま妹さんを探す過程と被った、くらいに思っておいてよ。」
「もし戻らなかったら…」「その時はその時さ。正直記憶のことは二の次三の次でいいよ。」
「そうだ!ねぇいろはちゃん、これ。」
みたまは店の片隅から一枚のチラシを持って来て差し出す。
「『最強の中華料理店、万々歳』?」
「お腹が空いたら寄ってみるのもいいんじゃないかしら?もしかしたら“最強の魔法少女”がそこにいて、ウワサ探しを手伝ってくれるかもよ?」
「俺は俺でウワサを聞いてまわってくるよ。
〜〜〜
「一応聞いてみようかな…」
意を決して店の引き戸を引く。
「そぉらそらそらそら!!!」
「いいぞ“鶴乃”!良い感じに熟成してきやがった!」
肉の塊を殴る少女と、塊を構える父親らしき男性。
「これでトドメっ!ちゃあぁぁぁっ!!!」
全力のパンチで肉を構える父親ごと吹き飛ばす。
「あ、あの…いえ、なんでも…」
何もなかったかのように引き戸を閉めようとするいろは。
「お客さん!?」閉まる引き戸を足で止め、いろはに迫る。
「ひっ!」「“中華飯店・万々歳”へようこそ!」
「あの、違っ…」「うん?」いろはの持つチラシ「ああっ!そのチラシ!もしかして調整屋さんから!」
〜〜〜
「あなたも魔法少女なんだね!私は“中華飯店・万々歳”の最強魔法少女、“由比鶴乃”だよ!よろしくね!」
店のカウンターから元気よく飛び出していろはの前に料理を運ぶ由依鶴乃。
「環いろはです!あの、ラーメン単品を頼んだはずでは…」
「魔法少女サービスだよ!」
「チャーハン、野菜炒め、唐揚げ…それも大盛り」
「うんん、普通盛り。」「普通…」「さあ!食べて食べて!」「じゃあ、いただきます。」
割り箸を割り、ラーメンを啜ろうとする。
「あの、食べ辛いです…」
鶴乃にじっと見つめられている。見つめられてたら食べ辛いだらう。
「遠慮しないで食べて食べて!」「はい」
料理をまずはそれぞれ一口づつ食べる。
「お、美味しいです。」「何点くらい!?」
「えっ美味しいですよ!?」「何点!?何点!?」「何、点…」「その素直な気持ちを点数に!さあ!さあ!」
「いやでも点数とかは「ふんふん!この料理の点数は!?」
いろはに強く迫る鶴乃。
「えっと……50点」「50点!?たった50点!?あぁぁ〜」よろけてカウンターにぶつかる鶴乃。
「いやあの、50点って半分あるって言うか!普通に美味しいって言うか!」
そんなこんなで全て食べ切ったいろは。
「ご馳走様でした。本当にすみません、せっかくサービスしてもらったのに失礼な感想を…」
「うんん、気にしないで!万々歳は味が濃くてどれも同じ味付けで、大体ちょうど50点くらいのバランスが取れた
料理が出てくる店だってこの辺りでは有名だから!」
「(やっぱり50点なんだ…)」
「でも、せっかく来てくれたのに妹さんの手がかりがなくてごめんね?心配だよね…早く見つかるといいね。」
「ありがとうございます!由比さん!」
「鶴乃ちゃん!」「鶴乃ちゃん?」
「はいっ!鶴乃ちゃんです!由比さんより、鶴乃ちゃんの方がいいな!」
「いろはちゃんが言ってた変なウワサも調べてみたいんだよね。
そういうのに詳しそうな人、知ってるから“ダメ元で”聞いてみるね!」
食器を洗い、片付け終わった鶴乃は、スマホを取り出して店の前に出て電話をかける。
「あ、久しぶり…です。ちょっと頼みたい事が、ウワサを調べたいって子がウチに来てるんだけど…ええっ!いいの!?ホントのホントにいいの!?いろはちゃあいたっ!」
引き戸に思いっきりぶつかる鶴乃。
「由…じゃなくて鶴乃ちゃん!?」
「あいたた……それでその人“今から会おう”って!待ち合わせ場所は水名神社!」
〜〜〜
水名神社の前に着くいろはと鶴乃。
「あっ!いたいた!やちよ“師匠”!!!それにヒナタさんも!」
「あら、あなただったの?もしかしてまた妹さんのお話?」
「どうしたの環さん?」
「はい、ウワサに詳しい人ってやちよさんの事だったんですね。」
「悪いけど私はこれで「待って!帰らないでししょ〜!!」
「うっ…わかったわ、少しだけね。」
〜〜〜
「やちよ師匠といろはちゃん、ヒナタさんとも知り合いだったんだね!」
「はい、絶交階段のウワサを追ってた時に手伝ってもらって。そういえばヒナタさんも、鶴乃ちゃんと知り合い
だったんですね。」
「そうだね。俺が初めてこの街で出会った魔法少女が鶴乃ちゃんだった。」
「そうそうアレは大体1年前くらいかな…私は参京区の辺りで暴れてた魔女と戦ってたんだよね。」
〜〜〜
「ちゃらぁっ!」大型の鉄扇で“卜者の魔女”が放つタロットカードを弾く鶴乃。
「この魔女全然隙がない…それにカードが重いっ!」
「ちゃあっ!?」
カードが直撃し吹き飛ばされる鶴乃。その鶴乃に一人の青年が駆け寄る。
「君大丈夫?」「あなたは……あ!もしかして巻き込まれちゃったの!?早く逃げないと」
「あの怪物…いや、魔女?」
「なんで知ってるの!?」
「いや…なんとなく。」
魔女がカードを投げる。
「危ない!」鶴乃はその青年、連並ヒナタを抱えて物陰に隠れる。
「ねぇお兄さんいったい何者なの?」
「さぁ…自分でもわからない。ただ“これ”の導くままに動いてたら」
そう言って鞄から何かを取り出し見せる。
「ベルトのバックル?腰につけてみたら?」
「言われてみたらそれっぽいな……」
鶴乃に言われるがままバックル“ブライツィードライバー”を腰に押し当てる。
するとドライバーからベルト帯が伸び腰に巻き付いた。
「おおー…」「なんかカッコいいね!似合ってる。」
『haaaaaaaaang!!!」
「見つかった!」
卜者の魔女が一枚のカードを掲げる。カードの絵は『吊られた男』。
カードから縄が出現し、「ちゃああああああ!?」鶴乃の足に巻き付け吊り下げる。
「あっははは…結構マズいかも?」
魔女がカードを投げ、周囲で爆発が起こる。
「うわあああっ!!」「わ、私は私でどうにかするから逃げて!!」
「でも!」その時、ヒナタの脳裏にふとよぎる記憶、誰かの声。
「変わる……もしかして」ドライバー天面の鍵を回す。
『イグニッション!』
エンジンの始動音と電子音声が鳴り響く。
魔女は再びカードを放とうと構える。
「変わる……まだほど遠くても。君を助けることがその第一歩!!」
「お兄さん避けて!!!」
魔女がカードを投げる。投げられたカードが地面に刺さり爆発した。
「お兄さん!!」
土煙が舞う。その向うに見える人影。
土煙が晴れると、白いアンダースーツに赤と金の差し色のある装甲に身を包んだ姿に変わっていた。
「何これ……これが、俺?」
「何それ何それ!?特撮か何か!?」
「わかんない…でも何とかできそう!」
『ブライツザンシューター!シューター!』
手元に現れた武器・ブライツザンシューター・ガンモードで、飛んでくるタロットカードを撃ち抜いていく。
「はぇ…すごい」「多分こうしてっ!」
『ザン!』グリップを引っ張りソードモードに変形させる。
「剣になった。これで!」『ヒッパI/G!ブライツ斬!』
刀身にエネルギーが収束させ、変身したヒナタは飛び上がる。「はあっ!!」
タロットカードを踏み台にしてさらに飛び上がり、鶴乃を吊るす縄を切り裂き地面に下ろす。
「およっ!ありがとう!」「あとは一気に終わらせるだけ!」
『イグニッション!』
「なんかカッコいい技名……輝き…“ブライツキック”!」
変身したヒナタが走り出す。
『ブライツィードフィニッシュ!』
「とりゃあああああああっ!!!」
高く飛び上がり魔女にキックが命中し、貫き、大爆発。
「すごいよ!何から何まで圧倒されっぱなしで!」
ヒナタは変身を解き元の姿に戻る。
「これが、変わること……」「ねねね、名前は?」「名前?」
「そう!さっきのやつのとお兄さんの!」「俺は…連並ヒナタ。変わった方は知らない。」
「じゃあさっき言ってた“ブライツ”って名乗ったら?」
「じゃあ……そうしよっかな。ありがとう、君。」「鶴乃ちゃん!私、由比鶴乃!よろしくね!ヒナタさん!」
〜〜〜
「そんな感じ。」
「そうだったんだ…」
「そういえば鶴乃もウワサを調べるつもりだそうだけど、絶交階段の事については聞いたの?」
「もちろん!ももこ達もいたんだよね?私も一緒に行きたかったなぁ」
「その絶交階段の時みたいに、ウワサの裏側に何かが潜んでるかもしれないわ。」
「ウワサの影に潜む悪!ふんふん!燃えて来たよ!それでそれで!」
「私が今調べてるのは“口寄せ神社”。最近急に広がり出したウワサね。」
「俺もその話について調べてた。そしたらここでやちよさん達と。」
ーーー
あなたが捨てた思い出を、あなたが捨てたあの人を
心の底から取り戻したいなら
私達の神様におまかせを!
会いたい名前を絵馬に書き
お作法通りにお参りすると
想いの人に会わせてくれる!
だけれどだけれどご用心!
幸せ過ぎて帰りたくなくなっちゃうって
水名の地域じゃもっぱらのウワサ!
ゴタイメーン!!
ーーー
「会いたい人に会えるウワサ?」
「調べたら本当に会えたって投稿もあったの。」
「ホントだとしたらすごいね…」
「だけどここからが問題。そんな投稿をしてたアカウントはそれ以降の更新がパッタリと…途絶えてるってわけ。」
ズボンのベルトにぶら下がっている大型のガラケーを開いてその投稿を見せる。
「ガラケー…」「それも大きい」「スマホに変えたらどうかしら」
「これはこれにしかできない事があるから置いといて!話を戻して、投稿が途絶えてるって事は絶交階段みたいに人が消えてるかもってこと!」
「あっはは、ゴメンゴメン。それで消えた人って被害届とか出てないの?」
「出てるかもしれないけど、まず口寄せ神社と失踪を結びつけて考える人が居るかどうか…」
「そっか…まだみんな気がついてない。」
「怪しい…!すっごく怪しいよ!師匠!いろはちゃん!ヒナタさん!」
「そうか!その口寄せ神社の正体がここ!“水名神社”だったんだね!」
「それで済めばよかったけどね…」
「違うんですか?」
「こんなに参拝客が多い神社で、会いたい人の名前を書いて行方不明になってたら今頃もっと大騒ぎになってるはずでしょう。」
「それもそっか」
「口寄せ神社は、きっともっとみんなから忘れ去られたような場所。それらしい所を片っ端から当たってみるしかなさそうね。」
「神社巡りってことね。」
〜〜〜
「水名区でもマイナーな神社を巡ってみたけど、あんまり当たりって気がしないよね…」
「あっみんな!見て見て!」「鶴乃ちゃんどうしたの!?」
鶴乃が見せたのはスタンプカード。
「『悲恋の男女の足跡を巡ってスタンプを集めれば、水名区きっての縁結びのパワースポットが見つかるよ!
主催・水名区町おこし委員会』これウワサじゃなくてただの町おこしじゃ…」
「でも縁結びのパワースポットだよ!口寄せ神社感しない!?」「いやまぁしなくはないけど…」「丁度いいじゃない。水名区をくまなく回れるし」
「乗り気なんですか?」「闇雲に探すよりはそうね。この縁結びのパワースポットを探してみるのもいいかもしれないわ。」
「『悲恋の男女の足跡』って、どんなの?」
「水名区に伝わる伝説よ。その事も話しながら周りましょうか…」
ーーむかしむかし、江戸の時代のお殿様がこの国を治めていたころ、町人の男がお姫様に身分違いの恋をしました。
2人は強い絆で結ばれていましたが、それに嫉妬した許婚によって町人の男は殺されてしまいました。
お姫様は毎日毎日泣きました。そして毎晩毎晩神社に通って神様にお祈りしました。
『どうかあの人に会わせてください』と。
千と五百日の祈りの後で、お姫様は遂に死んだはずの男と再会できました。そして2人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ…
〜〜
「こんな話だったはずよ。」
「素敵な話ですね。」
「本当にそう思う?死んだ人が生き返るはずが無いでしょう?」
「じゃあつまりその男の人は幽霊…?そうだとしてもいい話だったと思います!再開できたなら…」
「失った日々は、二度と戻らないものよ。それにこの伝説には隠された本当の結末があるのよ。」「本当の?」
「『お姫様は町人の男に会う為に、城下町に住む人々の命を全て神様に捧げてしまった』。奇跡はいつだって…代償を必要とするわ。」
「いつの時代も愛って怖いよ~、限界を超えた強さをくれると同時にどこまでも残酷になれるからね。」
「そういうものなんでしょうか……」「現にいろ…“わらべうた”ちゃんも、妹さんのためにやちよさんからの忠告を無視し続けてる。」
「いよいよ“い”から始まらなくなった…」
「あのねやちよ!なんだか、昔に戻れたみたいで楽しいね!急がないと最後のスタンプ押せなくなるよ!」
「はぁ…あなた、あの子とマトモに付き合おうとしない方がいいわ。昔からああなのよ。」
「鶴乃ちゃんとは、昔から仲がいいんですか?」
「別に。良かった時期もあったけど昔の話よ。」
「昔の話でも羨ましいです。私、ういの為に生きるので精一杯で友達を作る余裕がなくて……
ういが居ないと私、空っぽだなって」
「過去に囚われているのね」
「過去じゃないです。今もどこかで、ういが私を探してるかもしれないから。早く見つけてあげたいんです!」
「それならまず神浜の魔女と渡り合える実力を身につけなさい。自分の中身を過去で埋めても、強くはなれない。あなたが妹さんの為に強くなりなさい。」「はいっ!」
「やちよししょー!!『パワースポットは水名神社』だって!!」
「“水名神社”!?水名神社がパワースポットだったの!?」「最初の地点に戻って来たわね。」
「しかももう閉苑…」「はっ!もしやスタンプを集めてもう一度お参りをすれば!」
「それでもまだ対象になる人が多いよな…」
「水名の悲恋伝説は口寄せ神社と関係してると思ったんだけど辿って来た場所のどこかにヒントが…?」
そう言ってもう一度辿ってみる事にする。
「あ……こんなに大切なことを…
3人とも、手伝ってちょうだい。今すぐ!」
「は、はい!」
「手伝うって、まさかスーパーの買い物とは…」「この時間はタイムセール、それに今日は“ポイント10倍デー”よ。こんなタイミングを逃す理由がないじゃない。」
「ポイント10倍ねぇ…」「あらブライツ、バイクのガソリンを入れるのもポイントとか気にしないタイプなのかしら。」
「いや気にはするけど…」
「環さんは…ピンと来てなさそうね。その辺りはまだまだお子ちゃまね。」
「はい…」そんな話をしつつ、必要なものをカートに入れていくやちよ達。
「やちよさんどうしたの、止まって。」
「魔女の結界…」「ええっ!?どこに…」
棚に陳列されたコーンフレークの箱と箱の間から魔女の魔力が漏れ出ている。
「ブライツ」「何?」やちよが差し出したのは…
「サイフ?」「代わりに買って来なさい。個数制限のある物は諦めるしかないけど、タイムセールとポイント10倍を逃すよりはマシよ。」
「わかりました…じゃあ頼んだよ。」
「はいっ!」
〜〜〜
飛び込んだ結界の中はピンクの天蓋やビーズのアクセサリー、綺麗なドレスで満たされたカワイイを詰め込んだ空間。
そこの主である、ウサギのぬいぐるみのような姿の“立ち耳の魔女”にいろはは魔法少女の姿に変身しながら駆け寄り、飛び上がる。
「環さんは私の後ろに!」「大丈夫です!これくらい!」いろはは左腕のクロスボウから光の矢を飛ばす。
だが魔女は巨体に見合わす俊敏だった。
だが避けられても矢を放ち、その反動で浮かび上がってまた矢を放つがそれも避けられる。着地した足元に落ちているスーパーのチラシを踏んで滑りながら矢を放つ。今度こそは!と思うが魔女は地面に潜ってしまった。
「(環さん、センスはあるけど実力がそれに追いついていないわね…)」やちよも変身し槍を持って駆け寄る。
いろはの背後から魔女が現れ巨大な口になった頭で齧りつこうとする。
「環さん!」やちよに抱えられなんとか避けた。
そして集まって来た“立ち耳の使い魔”を槍で切り裂いていく。
「あの、本当にごめんなさい!私、まだ…」「いいから!下がってなさい!」
切り裂いても数が多過ぎる。やがて2人は使い魔に包まれてしまった…が!
「ちゃあぁぁぁっ!!!」
炎の一閃によって使い魔達が焼き尽くされる。
「鶴乃!」「鶴乃ちゃん!」
「最強魔法少女・由依鶴乃参上!!私は強いから勝ぁつ!!!」
鶴乃は燃える鉄扇を振りかざす。
「あ、そうだ!鶴乃ちゃん!“コネクト”してみよう!」
いろはは鶴乃の腕を掴み、コネクトの魔力を流し込む。
「おおっ!乗ってきあ、あれ!強すぎない!?わあぁぁぁぁぁっ!!!」
鉄扇から炎が噴き出す。だが勢いが強過ぎた。そのまま鶴乃は空高く飛んでいき、結界の天井に叩きつけられる。
「す、すみませーん!!私がヘタなせいで!!」
「よゆーよゆー!!いっくよー!」天井を蹴って勢いよく落下する。
「“炎扇斬舞”!!ちゃああああああっ!!!」
炎が噴き出す鉄扇で魔女を焼き切る。
魔女は燃え上がり爆散した。
空間が歪み、結界も消えていく。
いろはは自身のソウルジェムを見つめる。
「(かなり穢れが溜まってる…でもグリーフシードの手持ちは少ないし、もう少し我慢しよう。)」
「今日はダメだったけど、また別の日に…」
「タイムセール…時間限定…もしかして…」
〜〜〜
店の表
「お疲れ様。こっちもなんとか。」
そう言ってマイバックを見せるヒナタ。
「そう、ありがとう。それと口寄せ神社の正体が分かったわ。あなた達もついて来てくれる?」
「それで?口寄せ神社はどこに」
「水名神社よ。」「え?でも昼間は違うって」
「見落としてたのよ。大事なのは、悲恋の伝説でお姫様が神社に通った時間。」
「『毎晩毎晩神社に通って』……夜!」
「そう。口寄せ神社は“夜の”水名神社だったのよ。」
そして神社の門の前。「やっぱ閉まってるか…」やちよは高くジャンプし、門を飛び越える。「あ、待ってよー!」鶴乃も飛び越える。そしていろはも飛び越える。
「ちょっ!?ちょっと置いてかないで!俺そんな高く飛べない!」いろはが門を飛び越え戻って来た。
「行きますよヒナタさん!せーのっ!」ヒナタを抱えて飛び越える。
「夜の神社って初めて入りました!どこか幻想的で…綺麗ですね!」
するとどこからか白いものがいろはに飛びつく。
「あっ!この子!」「この前の“ミニミニキュゥべえ”!」
「この子があなたの言っていた小さいキュゥべえ?」
「はい!絶交階段の時もいたんです!」
「あれ、また行っちゃった。」
小さいキュゥべえを追いかけた先には絵馬を掛ける場所がある。
そして空から4枚の絵馬が落ちて来た。
いろはとやちよは絵馬を手に取る。
「鶴乃とヒナタは書かないで。」「えっ?なんで「何かあった時の為よ。それにあなたが書こうとしてる名前と私が書こうとしている名前は同じはずよ。」やちよ……」
「まあまた次の機会があればさ。のんびりお留守番でもしてようか。」
絵馬に書く為の台にあるペンで、
いろはは“環うい”、やちよは“梓みふゆ”と書き込んだ。
絵馬は鳥のような姿に変わって飛んでいく。
「次は参拝ね。」そうして進んで行こうとすると…
《書かぬのか?書かぬのか?】
《会いにいらしてくれぬのか!】
背後から延びる黒い影が、ヒナタと鶴乃を掴んで引き寄せる。
「環さん!先に行って!」
「でも!」「いろはちゃんは師匠を!」
鶴乃は魔法少女の姿に変身し、鉄扇から炎を放って地面に撒く。
意を決したいろははやちよと共に変身し、本殿に向かう。
鈴を鳴らしてまず2回頭を下げる。そして2回手を叩いて祈る。
「(お願いします!ういに会わせてください!)」
〜〜〜
目を開けると、夕焼けと水名神社。だが少々景色がおかしい。
橋の周りに埋まった鳥居、橋も変な方向に繋がっている。
「やちよさん、ここって」
「みふゆ…」やちよの目線の先の橋、そこにはやちよのかつての仲間“梓みふゆ”の姿があった。
その反対側の橋の向こうには
「うい…!」“環うい”がいた。
前回ラストのヒナタのセリフの通り、この作品は本家仮面ライダーと同じく9月に物語がスタートし、翌年8月に物語が終了する方式です。
次回も早いうちに投稿します。では。