創造イマジネーション!   作:Naka_YUJI

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20 反省ミラクル!

何時間かぶりのナイトレイブンカレッジ。

私たち四人は、魔法石を手に入れて学校に戻ってくることができた。

 

出発の拠点だった鏡の間にたどり着くと、そこには片づけをしている学園長がいた。

学園長は私達のボロボロな姿を見て大層驚いた様子だった。

 

「エッ!?本当に魔法石を探しに、ドワーフ鉱山へ行ったんですか?」

 

その発言に今度はこちらが驚く番だった。

予想外の発言に驚いていると学園長は腕を組んでぶつぶつとつぶやき始める。

 

「まさか本当に行くなんて……。しかも魔法石を持って帰ってくるなんて思っていませんでした。粛々と退学手続きを進めてしまっていましたよ。」

 

なんとも無責任な発言を聞いていると、グリムが大層怒った様子で学園長に詰め寄る。

 

「なんて野郎なんだゾ!オレ様たちがとんでもねーバケモノと戦ってる時に!」

 

グリムは相手が学園長という偉い人であることを全く考慮していないのか、敬意のかけらも見せずに話し続ける。

放っておくとさらにとんでもない失礼発言が飛び出しそうだったので、私がそのあとを引き継いで説明する。

 

「鉱山の中に大きな怪物がいました。魔法石の入手のためにその怪物を倒しました。その戦闘のためみんな少しけがをしてるんですが……。」

 

私の説明を神妙な顔つきで聞いていた学園長は怪物の話に大層興味を持ったようで、私たちを学園長室に招きそこで詳しい話を聞かせてほしいと言ってきた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

場所は変わり学園長室。部屋は豪華に飾られているわけではなかったが、名だたる悪役(ビッグ・セブン)の肖像画が印象的だった。

話の前に魔法石を学園長に預けてから、再度ことの顛末を説明する。

今度はエース君とデュース君にも戦闘で何があったかを説明してもらった。

学園長は黙って私たちの説明を聞いていた。

私以外の3人は皆自分の手柄ばかり説明しようとするからだいぶわかりにくくなり、私が途中で補足する羽目になった。(恥ずかしかったので私が怒鳴った時の話は触れなかった。みんなも言及しなかったから、学園長に知られることはなかった)

 

「炭鉱に棲みついた謎のモンスターを4人で協力して倒したと……。」

 

話を聞いた学園長は簡潔に結論をまとめる。

私は話を綺麗に纏めたなぁと感心していたが、他の3人は大層不服そうな表情だった。

 

「や、協力したっつーか……」

「たまたま目的が一致したというか……」

「いやいや、もう協力したってことでいいじゃん……」

 

意地でも協力したと認めたくないようで、学園長の纏めに対して文句が聞こえてくる。

とその時、学園長が突然顔を押さえて俯いた。

何か体調が悪いのかと心配していると、学園長は突然大声で泣き出したのだ。

それはもうかなりの大声で。何なら嘘泣きにすら感じるぐらい大袈裟な感じで。

学園長は泣くのを止めないまま語り始める。

 

「この私が学園長を勤めてウン十年、ナイトレイブンカレッジ生が手を取り合って敵に立ち向かい打ち勝つ日が来るなんて!私は今猛烈に感動しています!」

 

学園長の声も身振り手振りも大きくなり、感動してますというのがいやでも伝わってくる。それに加えて泣きているものだから、こっちは何だか冷静になってきてしまう。

帰ってこれるかもわからない戦いから帰還できてこっちが泣きたいぐらいだったけど、こう号泣されると涙も引っ込むというもの。

 

「僕はこいつとなんか手を繋いでいません!」

「俺だって嫌だよ気持ち悪い」

 

学園長の発言を聞いて、突然デュース君とエース君が漫才を始める。

2人して真剣な表情で嫌だと言い合っている。こうみると本当に仲がいいというか息があっているというか。

 

「いやそれは比喩なのでは……?」

 

私は思わず笑いながら突っ込んでしまった。突然ボケられると不意打ちで笑ってしまうからやめて欲しい。

というかデュース君、イメージと違って結構バカなのかもしれない。

いや、考えなしに人をぶん投げる時点でその片鱗はずっと見えてたのかもしれないけど。

ふとグリムを見ると、私が笑っている理由がわからないのか、私を見つめて首を傾げていた。学園長も感動でこちらの話を聞いてないし、笑ってる私が異常者になってしまった。今後も自分が突っ込み役になるんだろうなぁ、なんて少しずれたことを考えていた。

 

ひとしきり泣いて満足した学園長が私の方へ歩み寄ってくる。

 

「この一件で確信しました。ユウ君、貴方には間違いなく魔獣使い的才能がある!」

 

学園長はビシッと私を指さしてそう告げる。

この学園長は何を言っているのだろうか。私達4人が固まっていると、学園長はそれを気にも留めずに語り続ける。

 

「ナイトレイブンカレッジの生徒たちはみな闇の鏡に選ばれた優秀な魔法士の卵です。しかし、優秀がゆえにプライドが高く我も強く、他者と協力しようという考えを微塵も持たない個人主義かつ自己中心的な者が多い。」

 

学園長は徐に生徒のことをなかなかな表現で説明し始める。

いや、学園長としてはただの事実を説明しているだけのつもりなのかもしれない。

思い返してみれば、エース君やデュース君も(なんならカレッジ生じゃないグリムも)他責思考がとても強いと思った記憶がある。

こういうことがトラブルの原因、ということなのかもしれない。学園長もそういうトラブルによく直面して困っているのだろう。

 

「なんかそれってここの生徒さんのことを魔獣って言ってるように聞こえるんですが……」

 

私がそうつぶやくとエース君が目を剥いて、お前失礼だろ!と詰め寄ってくる。

私はあわてて、私がそう思ってるわけじゃない、と弁明するとエース君はしぶしぶ引き下がってくれる。さっきの今でプライドの高さを見せつけるエース君、これぞナイトレイブンカレッジ生という感じなのだろう。

学園長はそんな私たちのやり取りは気にも留めず話を続ける。

 

「貴方は魔法を使えない。ですが、おそらく使えないからこそ、魔法を使えるもの同士をこうして協力させることができた。きっと貴方のような平々凡々な人間こそがこの学園には必要だったのです。」

 

なんというか、全く褒められているような気がしない。と思っていたら、横にいたエース君も、全然いいこと言ってないじゃん、とあきれていた。

学園長は、人の話は聞かないし、自分の話を取り繕うのも苦手、と。なんというか、かなり苦手そうなタイプな人だ。

学園長はなおも話し続ける。

 

「ユウ君。貴方は間違いなくこの学園の未来に必要な人材でしょう。トラッポラ君、スペード君、2人の退学を免除するとともに」

 

学園長は当初の約束通り二人の退学を免除としたあと、私の方を一瞥するとこう告げた。

 

「ユウ君。貴方にナイトレイブンカレッジの生徒として学園に通う資格を与えます!」

「ええっ!?!?」

 

余りにも突然のことに皆驚いてしまった。

私が、ナイトレイブンカレッジ生に?

魔法士を養成する学校の生徒に?

 

「それは……。私は魔法が使えないのにいいんですか?」

 

どうにか言われたことを理解した私は浮かんだ疑問を学園長に投げかける。

 

「ええ、なんせ私、とびきり優しいので。」

 

学園長はあのどことなく胡散臭い笑みを浮かべていつものセリフを吐く。

学園長は笑みをしまって、ただし、と言葉を続ける。

 

「一つだけ条件があります。貴方は魔法が使えない。魔法士としては論外で満足に授業を受けることすらままならないでしょう。そこで、グリムくん。」

 

今度はグリムが名前を呼ばれる。

話題に上がると思っていなかったのか、ふなっ!?、と慌てていた。こうやってみるとかわいい小動物という感じだ。火を噴いてくるけど。私のこと子分扱いしてくるけど。

学園長はグリムを見下ろしながら説明を続ける。

 

「君は今日、魔法士として十分な才能を持っていることを私に証明しました。よって、ユウ君と二人で一人の生徒として、ナイトレイブンカレッジの在籍を認めます。」

 

なるほど。私は魔獣使いとして勉強して、グリムが魔法士として勉強する。

私は魔法が使えないからその部分をグリムに補ってもらう、ということなのだろうか。

二人で一人の生徒という聞きなれない用語に首をかしげていると、グリムが少し呆然としながら学園長に問いかける。

 

「オレ様もこの学園に通えるのか?雑用係じゃなく、生徒として?」

「はい。ただし、昨日のような騒ぎは二度と起こさないように。いいですね?」

 

学園長はしっかりとその問いに頷く。もちろん、くぎを刺すことは忘れずに。

それは私にも向けた言葉だった。今回の騒動は、私が止められなかった結果起きた問題でもあった。正直改善する方法は思いつかないが、しなければまた退学騒ぎということになる。

今後はもう少しグリムに強く注意しよう、と心を決めているとグリムが大層うれしそうに私に話しかけてくる。

 

「ユウ、オレ様やったんだゾ!」

「昨日の今日ですぐに学生になるなんてびっくりしちゃった。一緒に頑張ろうね。」

 

嬉しさを全身で表すようにぴょんぴょんと飛び跳ねて回るグリム。

まさかこんなにも早く入学が叶うとは思っていなかったけど、それで困ることなんてないだろうし万事OKだ。

学園長はその様子を見て満足気に頷くとグリムに首輪を装着した。

私が「首輪……?」と首を傾げ、グリムが目を丸くしていると学園長が得意そうに説明を始める。

 

「これはナイトレイブンカレッジの生徒の証である魔法石です。通常生徒は魔法石がついたマジカルペンを使うのが決まりですが、その肉球ではうまく握れないでしょう?なので首輪の形でお渡ししましょう。私のこの細やかな気遣い、本当にやさしすぎませんか?」

 

説明をしたと思ったらまた自分のやさしさに感動し始める学園長。

余りにも頻繁にそうするものだからもはやなにも思わなくなってきたかもしれない。

グリムはというと、「生徒の証の魔法石」という部分を聞いた途端嬉しそうに首輪を触りながら踊っていた。学園長の説明は聞いていなさそうだ。

学園長は、全然話聞いてませんね……、とあきれると今度は私に話しかけてくる。

 

「ユウ君。こんな感じでグリム君は人間社会に不慣れです。きみがしっかり手綱を握って、騒ぎを起こさないよう監督するように!」

「はい、学園長。」

 

二人で一人の学生として、ナイトレイブンカレッジに入る。なんだか大変なことになってしまったなぁなんて思っていると、話が終わったことを察したエース君とデュース君が私に話しかけてくる。(グリムはまだ魔法石を手に入れたことを喜んでいた。)

 

「すげーじゃん、お前。入学したばっかで、もう監督生になったわけ?」

「監督生?」

 

エース君が私の肩をたたきながらそう言ってくる。

監督生、という聞きなじみのない言葉に首をかしげているとデュース君が一人納得したように後を続ける。

 

「なるほど。お前たちの寮に寮生は二人だけか。それで、学園長にグリムの監督を任されたユウは監督生ということになる。」

「なんか、わかったような、わからないような……。」

 

つまり、寮生の監督責任を負う生徒が監督生と呼ばれるらしい。そういえば、そんな設定が出てくる物語を読んだ気がする。責任が重いというと聞こえが悪いが、そもそもそういう条件で入学を許可してもらう形になるのでそんなものだろう。

 

「なるほど、監督生ですか。ちょうど頼みたい仕事もありますし、肩書があるのは都合がいい……いえ、素晴らしい!」

 

そういうと学園長は、机からインスタントカメラのようなものを取り出した。レンズの部分がミッキーシェイプをしているのが特徴的なカメラだ。

 

「監督生君。貴方にこれを預けましょう。これは通称『ゴーストカメラ』。」

 

全く聞きなじみのない道具に首をかしげていると、エース君が「聞いたことあるかも」と興味を示す。

曰く、彼のおばあちゃんが知っているレベルで古い魔法道具らしい。見た目はそこまで骨董品には見えないのだが、魔法なのでそういうものなのかもしれない。

 

「このカメラには特別な魔法が掛けられていて、被写体の姿だけでなく、魂の一部をも写し取ることができるのです。」

「魂の一部……?」

「『記憶の断片(メモリー)』とも呼ばれています。そんしてこの魔法のカメラの面白い点は撮影者と被写体の魂の結びつきが深くなると写真に写された『メモリー』が飛び出してくるところです!」

「飛び出してくる……?」

 

余りにも理解の範疇を超えた話が続くので、学園長の言った言葉を繰り返すことしかできなくなってしまった。

なおも、学園長は説明を続ける。

 

「撮影者が被写体と親しくなることにより写真が動画のように動いたり、実体を伴って抜け出したりするようになるんです。面白いでしょう?」

「移ったものが抜けだす?まるで心霊写真じゃないですか!」

 

デュース君がぎょっとした様子で反応する。

いや、心霊写真はどちらかというと映らないはずのものが移ってる写真なような気がするが……、この世界とは認識が違うのかもしれない。この世界はわからないことが多すぎる。

 

学園長が続けて説明したことによれば、このカメラで撮った写真が動いたする様子に驚いた人々が『ゴーストカメラ』と名付けたらしい。

動画すらない時代に鮮明に記録を残すため開発されたが、写真がゴーストを生み出すと驚き、カメラを大層恐れるようになったらしい。

なんというか、昔教科書で読んだカメラを開発したときの逸話のような話だ。

こちらの方がより超常現象が起きている感じがあって、納得感は高いけど。

 

「監督生君、あなたはこのカメラでグリム君や他の生徒たちを撮影し、学園生活の記録を残してください。」

「オレ様のかっこいいところ、じゃんじゃん撮るんだゾ~!」

 

グリムはまだご機嫌な様子だった。

ご機嫌すぎて話を理解しているのかはちょっと怪しい。私をグリム専属のカメラマンかなにかと勘違いしてるかもしれない。

学園長はあきれた様子で私に注意を促す。

 

「特に、こういうお調子者が悪さをしたときには必ず記録を残しておくこと。報告書代わりにうってつけでしょう?監督生としてしっかり周囲に目を光らせ記録をとるように」

 

何故だろうか。さっきはグリムの監督という話だった気がするのだが、他の人まで監督する話になってしまった。

しかし、任せられた以上はやるしかない。やってみます、といって頭を下げる。

そろそろ話も終わり解散になろうという頃合いで、そういえば、とエース君が何かに気が付いた様子で私たちに聞いてくる。

 

「寮生が二人だけなんだったらユウが寮長ってことになるんじゃない?寮生の中で一番偉いんだろ?」

「寮長……?知らない言葉がいっぱい出てくる……。」

 

また知らない用語が出てきた。寮生活とは全くの無縁だった私にはわからないことだらけだ。

学園長は、ふむ、と手を口元にもっていきながら何やら考え始めた。

 

「ユウ君が寮長……。寮長は監督生と異なり、寮生の監督だけでなく寮長会議や各種学内行事の管理の責を負う立場となります。

ユウ君が寮長になるというのは筋こそ通っていますが、魔法が使えない一年生のしかもこの世界のことをあまり知らないユウ君にはかなり荷が重いでしょう。一旦は寮長の席は空席としておきましょう。また後日、この話を含め詳しい話については検討するということで。」

 

話によると、この学園の寮には寮長なる人物がいるらしく、その人が各寮の責任者となり生徒を監督したり学校のサポートをしたりしているらしい。

確かに、いきなりそんなことまでやろうとしたら何もできずにパンクしてしまいそうだ。

 

「じゃ、じゃあまずは監督生からということで。よろしくお願いします。」

 

学園長はそんな私たちをみて、今までで一番やさしさの感じる笑みで帰寮を促す。

 

「今日はもう遅い。みなさん寮に戻りなさい。」

「はい、学園長。」

 

学園長から帰寮を促されたとたん、どっと疲れを感じてきた。

よく考えたら私達は夜通しあのバケモノ相手に戦って魔法石を手に入れようとしていたのだ。

疲れないほうがどうかしている。

私達は学園長に一礼して、学園長室を後にした。




監督生って、どこかのタイミングでオンボロ寮長になったんですかね?
2章の寮長会議では出席していないと思うのですが、6章序盤の寮長会議では出席しているようですし。その間のどこかで寮長となるイベントがあった…?あるいは、寮長ではないけど特例措置?イグニハイド寮の代理として出席する可能性は考えずらいですし……。それとも実は2章段階で寮長会議に出席してる?でも、あのタイミングで出てたら寮長の方々からいびられてそうなんだよな~。と、勝手に妄想がはかどっています。
パーソナルストーリーやイベントストーリーをほとんど見れていないのでそこにかなり重要な情報が書いてある可能性があるのが怖いです。
が、開き直ってわかる範囲で書いていきます。二次創作ですので。二次創作ですので。
ここら辺の設定も好き勝手捏造します。

6章が難しすぎて足踏みしています。おかげでこちらの執筆がはかどるというもの。

そういえば、ゴーストカメラって5章中盤ぐらいまでほとんど出番がないように思うのですが何故なんでしょう?出てこなさ過ぎて設定がわからず話に組み込みにくいなぁと思う今日この頃。
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