創造イマジネーション!   作:Naka_YUJI

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忘れる前にと書き進めているのですが、現時点で1章まで終わっておりそこまで追いつくのにいったいどれだけ時間がかかるのか震えています。


3 冷酷アンサー!

いよいよ壁際に追い詰められたグリム。

私はまた校長先生の鞭でぐるぐる巻きにするのかなと思っていたが、追いかけていた上級生のうち赤髪の方がステッキを振りかぶりこう叫んだ。

 

『首をはねろ』(オフ・ウィズ・ユアヘッド)!!」

 

すると、グリムの首元に大きな首輪が現れた。

首輪のようになっており、ハートをあしらった錠前が付いていた。

 

グリムもそれに抵抗して炎を吐き出そうとしているようだったが、私はそれよりも赤髪の上級生が行ったセリフに意識が吸われてしまった。

 

「ハートの女王の法律・第23条『祭典の場に猫を連れ込んではならない』」

「あの人、ハートの女王って言ったか?『不思議の国のアリス』の?」

 

確かにあの人はハートの女王と言った。「ハートの女王の法律」が何かはわからなかったが、彼女は作中で自身が法となり無茶苦茶な裁判をするなど法という概念と結びつきが強い存在だ。

そして何より、『不思議の国のアリス』はディズニー作品だ。

 

私は直前の校長先生との会話を思い出していた。

彼は「古来よりお迎えは馬車と相場が決まっている」と言った。彼が私のジョークに対して反応を示さなかったからそういうものだと思っていたけど、あのたとえが偶然でなければ?あれがやはり『シンデレラ』のかぼちゃの馬車を指しているのではないか?

もしかしたら、ここはディズニーの世界なのかもしれない。目の前で魔法が起きたのだから、そういうことだってあり得るかもしれない。

 

いや、生憎クロウリーなるカラスの人やグリムなる悪魔(狸と呼ぶべきか?)という登場人物には全く心当たりがないのだが。

それに、ディズニーキャラクターらしきものを今まで一度も目にしていない。

それでもハートの女王という名前が出てきたことに、そしてここがディズニーの世界であるかもしれないことに私の沈んだ心は再び浮足立っていた。

 

「貴方!この使い魔を何とかしてください!」

 

その思考は校長先生の叫びによって中断させられる。

どうやら、捕まったグリムが私の使い魔だとまだ思っているらしい。

 

「いや、私の使い魔ではありません。さっきから何度も言っているじゃありませんか。」

「そ、そうでしたっけ?」

 

私が少し大きな声でそう答えると、校長先生は少したじろぎながら弁明する。

どうやら思い込み癖があるらしい。あるいは人の話を聞かないだけかもしれない。

 

「では、学園外に放り出しておきましょう。鍋にしたりはしません。私、優しいので。」

 

笑顔になった校長先生はそう言って、上級生にグリムを手渡した。校長先生、さっきも「私、優しいので。」って言ってた気がする。決め台詞かなんかだろうか。なぜか女医さんの姿がちらつく。

 

去り際にグリムは

 

「俺様は絶対、大魔法士になってやるんだゾー…!」

 

と叫んでいた。いったい何が彼をそこまで駆り立てるのだろうか。

というか、ああいう獣が学校にいるのは普通なのだろうか。

 

「入学式はこれにて閉会です。各寮長は新入生を連れて寮へ戻ってください。」

 

校長先生が生徒たちにそう指示をする。

私は人が部屋からはけていくのをぼんやりと眺めていた。

私に指示こそなかったが、わたしはこの場から動いてはならぬことは容易に理解できた。

 

やがて最後の一人が部屋から去った後、校長先生は私に向き直りこう告げた。

 

「さて、ユウさん。大変残念なことですが、あなたにはこの学園から出て行ってもらわねばなりません。魔法の力を持たないものをこの学園へ入学させるわけにはいかない。」

「ええ。そうなのでしょう。ですが、私は今後どうすれば良いのですか?」

「心配いりません。闇の鏡がすぐに故郷へ送り返してくれるでしょう。」

 

どうやら私の夢はここで終わるようだった。

闇の鏡が私を元居た部屋に送り返し、また目が覚めてそれでおしまい。

突然始まり突然幕が引かれるのも夢らしくていいかもしれない。

 

そう思っていた。校長先生が闇の鏡に私を送り返すよう望むと鏡は、

 

「どこにもない」

 

とそう告げた。

 

「どこにもない?何が?」

 

思わずそう聞き返すと、鏡は続けてこう告げた。

 

「この者のあるべき場所はこの世界のどこにもない……。無である。」

 

いよいよ、この鏡が何を言っているのかわからなかった。

夢から醒めて終わりではなかったのか?

 

校長先生にとっても予想外の事態だったようで取り乱していた。

 

「そもそも貴方、どこの国から来たんです?」

 

「日本です。」

 

今までしているようでしていなかった自分の話。勝手に向こうは知っているものとばかり思っていた。

 

「聞いたことの無い地名ですね。」

 

しかし、どうやら地名は伝わらなかったらしい。

 

「それはそうですよね。私もツイステッドワンダーランドなんて場所初めて聞きましたから。」

「しかし奇妙ですね。本当に聞き覚えの無い地名ですから。一度図書室で調べてみましょう。」

 

そういって校長先生は再び図書室へ足を向けた。




ちなみにユウがクロウリー先生のことを校長先生と呼ぶのは本人が校長と自己紹介したからです。
周りの人が学園長と呼ぶので、物語のどこかで呼び方が変わると思います。
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