アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!? 作:文字の忍者-遅筆
ネオドミノ・イン・シラヌイ?
「俺はこれでターンエンド……お前の場にカードは0枚、手札も0、LPはたったの200、おまけにこいつを除去できそうなカードもない!流石に勝負あったな、「王子様」」
「……」
デュエルアカデミア高等部、デュエルコート内部。
現在僕は授業の一環で別クラスの生徒との練習試合を行っている……のだが、今日に限って妙に因縁を付けられている。目の前でドヤ顔している彼に昔何かしてしまったのだろうか……いや、多分理由はあれなんだろうけど。
「……デュエルが始まった時から思ってたんだけど、君にそこまで因縁を付けられる理由が思い当たらない。というか今日が初対面の筈なんだけど」
「そういうすかした所がムカつくんだよ!「女」の癖に男っぽくしやがって、そこまでしてチヤホヤされたいか、えぇ!?」
「……好きでやってる訳じゃない」
「んだと!?……まあいい、今日でその連勝記録も終わりだ。負けた時の言い訳はもう考えてあるんだろうな?」
まあ、こういうことである。好きで男っぽい恰好とか口調にしてる訳じゃない、ただただ女性らしいのに違和感があるだけなんだが……流石に言っても理解されないだろうな、と内心溜息を付いて一旦フィールドに目を向ける。
相手の盤面には某キング・オブ・デュエリストが使用した超有名カードことカオス・ソルジャー、伏せカードはなし、LPはたっぷり3000あるし、手札は2……まあ手札誘発は考えなくていいだろう、この時代だ。
対してこちらは先ほど彼が行ったように盤面にカードは0枚、手札も同上、LPはギリギリ耐えれなさそうなラインの200……まあ、すぐわかる所だけ見ればこっちの勝利は絶望的、と言ったところだろうか。
「あいつがついに負けるのか……?」
「おいおい勘弁してくれよ……どうせまた勝つだろってトトカルチョあの子の方に賭けたんだぜ?」
「頼むから勝ってくれ……あいつムカつくんだ……!」
……この世界に生まれてから毎回思うことだが、デュエルをするたびギャラリーがうるさい。というかさらっと賭け事してる奴いたな、後で報告しておくか。
「……」
「おおっと、流石に怖気付いたか?そりゃあそうか、なんせあのカオス・ソルジャー」
「そんなわけないでしょ。後言い訳も考えてない」
「チッ……大した自信なこって、次のドローで大逆転!なーんて劇的な展開でも期待してんのか?」
「それもない、だって……」
「次にどんなカードを引こうと、僕の勝ちはもう決まっているから」
「何を言うかと思えば……寝言は寝て言えよ王子様?まさかデッキに残ってるカードが全部逆転の1手だとでも?」
「そこまでご都合主義ならこのゲームは此処まで発展してないよ、ただ単にもう君を倒す準備は整っている、それだけ」
「舐め腐りやがって……そこまで言うなら見せてもらおうか、その準備とやら!」
「はぁ……じゃ、終わらせようか」
案の定というかなんというか、対面の彼はこっちを心底舐め腐った顔をしている。大方無敵のカオス・ソルジャーを突破できる訳ないとか、カオス・ソルジャーが突破されても次のターンで、ってところだろうか。
まあいいや。早く見学に回りたいし……さっさと終わらせてしまおう。
「僕のターン、ドロー。スタンバイ、メインまで」
……相変わらず優先権確認のために一々フェイズ宣言をしてしまう、前世の癖が未だに抜けきっていないようだ。こっちで飛んでくる誘発なんてヴェーラーくらいだし、そもそもアカデミア生徒はあのカードをデッキに入れることはないだろうしね、なんか大半がステータス至上主義なとこあるし。
それでドローしたのが……ああ、亜空間物質転送装置か。ごめん、今来ても遅いんだ、二重の意味で。
「僕は墓地の「妖刀-不知火」の効果を同じく墓地の「不知火の隠者」を対象にして発動。2体を墓地から除外してS召喚を行う。」
妖刀-不知火
【アンデット族/チューナー/効果】
このカード名の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードが墓地に存在する場合、チューナー以外の自分の墓地のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターとこのカードを墓地から除外し、その2体のレベルの合計と同じレベルを持つアンデット族Sモンスター1体をEXデッキから特殊召喚する。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
正確にはS召喚ではなく蘇生制限を満たさない踏み倒しだけどめんどくさいのでS召喚と言っておく、説明するのめんどくさいし。
「はーん、お得意の墓地シンクロか。だがたかがレベル6シンクロでカオスソルジャーは突破できねぇぜ?」
「黙って見てなって……レベル4、不知火の隠者にレベル2、妖刀-不知火をチューニング」
少しソリッドビジョンが薄い妖刀が2つの光の輪となり、同じくソリッドビジョンが薄い隠者を包み込む。やっぱりいつみても凄いな、ソリッドビジョン。
「妖封じし猛き将よ、その力、刃に宿りて今現界せよ」
「シンクロ召喚……来たれ、刀神-不知火」
口上と共に輪を光が貫き、隠者……ではなく少し年を取ってそうな武者が青いオーラを纏う刀を持って現れた。ごめん、カッコつけて出したけど君中継点。
刀神-不知火
【アンデット族/シンクロ/効果】
アンデット族チューナー+チューナー以外のアンデット族モンスター1体以上
自分は「刀神-不知火」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。①:1ターンに1度、除外されている自分のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターをデッキに戻し、その攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て守備表示にする。この効果は相手ターンでも発動できる。②:このカードが除外された場合、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力は500ダウンする。
「確かそいつには除外されているアンデットを戻すついでに相手モンスターを守備表示にする効果があったな……だが幾ら守備表示にしたところでカオス・ソルジャーを超えられるわけがねぇ!」
「そんなことはこっちも承知、不知火の特殊召喚成功時、除外された不知火の隠者の効果を同じく除外された「妖刀-不知火」を対象に発動。戻ってきて、妖刀-不知火」
不知火の隠者
【アンデット族/効果】
このカード名の①②の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。①:自分フィールドのアンデット族モンスター1体をリリースして発動できる。デッキから守備力0のアンデット族チューナー1体を特殊召喚する。②:このカードが除外された場合、「不知火の隠者」以外の除外されている自分の「不知火」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。この効果の発動時にフィールドに「不知火流 転生の陣」が存在する場合、この効果の対象を2体にできる。
どういう演出になるのかと思えば隠者は普通に妖刀をフィールドに向かってぶん投げてきた。いやそれそんな雑に扱っていいの?記憶の限りだと物凄い重要な刀だったはずなんだけど。
「……当然だけど、妖刀-不知火はチューナー。此処まで言えばわかるでしょ?」
「レベル8のシンクロモンスター……ま、確かにそれならカオス・ソルジャー「は」突破できるかもしれねぇな」
うん、絶対に何かあるな。恐らくは……地砕き辺りだろうか、LPで受けきって返しで除去してダイレクトって筋書きかな。確かにそれなら僕は負ける。
まあ次のターンがあれば、の話だけど。
「随分と余裕だね……行くよ、レベル6、刀神-不知火にレベル2、妖刀-不知火をチューニング」
先ほどと同じように妖刀が2つの光の輪……にはならず、輪だけだして刀神の空いている左腕に握られる、凝ってるなぁ。
「妖封じし猛き将よ、その魂、刀に宿りて今転生せよ」
「シンクロ召喚……来たれ、戦神-不知火」
刀神に半透明の武者……炎神-不知火が降り、炎を纏う二振りの刀を抜いて再びフィールドに降り立つ。確か背景ストーリー通りだったかな、これ。
戦神-不知火
【アンデット族/シンクロ/効果】
アンデット族チューナー+チューナー以外のアンデット族モンスター1体以上
自分は「戦神-不知火」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。①:このカードが特殊召喚に成功した場合、自分の墓地からアンデット族モンスター1体を除外して発動できる。このカードの攻撃力はターン終了時まで、除外したモンスターの元々の攻撃力分アップする。②:フィールドのこのカードが戦闘・効果で破壊され墓地へ送られた場合、除外されている自分の守備力0のアンデット族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを墓地に戻す。
「差し詰めそれがお前の切り札……ってとこか?確かにそれならカオス・ソルジャーと相打ちはできる、だが、このターンじゃおわらねぇ!」
「いいや終わりだよ、特殊召喚した戦神-不知火の効果を墓地の刀神-不知火を除外して発動。不知火転生」
3000→5500
戦神が持つ二振りの刀が更に燃えあがる。正直見てるだけで熱い。
「攻撃力……5500……!?」
「戦神-不知火はターン終了まで除外したモンスターの元々の攻撃力分攻撃力がアップする」
「チイ……だが、カオス・ソルジャーは倒せても俺のライフは500残る!とんだ計算ミスだな!」
「……ミスなんかじゃないよ、たった今除外された刀神-不知火の効果をカオス・ソルジャーを対象として発動。不知火呪縛」
3000→2500
刀神……じゃなくて戦神の刀から放たれた炎がカオス・ソルジャーを拘束する。確かに同一人物だもんね。
「カオス・ソルジャーっ!?」
「刀神-不知火は除外された時相手モンスター1体の攻撃力を500下げる……これで戦闘ダメージは3000、ジャストキルだ」
「こ、こんなバカな……」
狼狽える対面の顔を見て少しニヤついたのは内緒だ。やっぱり大逆転された時の顔からしか得られない栄養がある、多分こいつも戦神を出さざるを得ない状況まで追い込まれたってことはそれなりの強さだろうけど……
「バトル、戦神-不知火でカオス・ソルジャーを攻撃。獄炎の太刀」
「チ……チクショォォォォォォォォ!!!!!!!!」
僕の方が強かった、それが結果だ。
3000→0
「そこまで!勝者、鞍馬衣玖!」
デュエルディスクのアラーム音とジャッジ役の教員の掛け声が僕の勝利を告げる。これで……何勝目だっけ?
「ほら見ろ、やっぱり勝ったじゃないか」
「これで14連勝目か……絶好調だな、我がクラスの「王子」は」
そうそう、14勝目。未来のカードを使っているってズルもあるけど……結構勝ててる、いい感じだ。
……んで。
「……ねえ、毎回思ってるんだけどその「王子」っていうのやめてくれない?最近冷やかしが酷いんだけど」
「うるせぇこの女たらしが!下手な男より男らしいって評判なんだぞこの野郎!」
「性格良しスタイル良し腕前強しで勝てるところねぇんだってこっちは!」
「そこ!授業中の私語は慎む!」
「やっべ」
「……はぁ」
いつから広まったのかは知らないけど「王子」ってなんだよ。後そこまで性格も良くないし腕前は前世とかいうズルの賜物だ、ぶっちゃけ君たちと同じくらいだぞ僕は。
「とりあえず僕の試合は終わったので観戦に回りますね。寸評は後で聞きます」
教員に断りを入れてデュエルコートから観戦席に回る。授業で遊戯王……もといデュエルモンスターズを遊ぶなんて、ほんと今でも信じられない。でもこれが今僕が生きる世界。
そういえばやってなかった、ざっくらばらんに自己紹介をすれば……
僕、鞍馬衣玖は現代……OCG次元からの「転生者」だ。ちなみに枕詞に「TS」が付く。
「そういえばそろそろフォーチュンカップ……だったっけ」
「そうそう、優勝したらキングと戦えるらしいけど……勝てる人いるのかなぁ?」
「案外衣玖なら勝てるんじゃないか?アカデミアの中でも強い方だぜ、我らが王子は」
「だから王子っていうのやめてって……正直なところあんまり勝てる気はしないよ。もし勝負できたとしてワンチャンあるかなぁ程度」
「なんだよ、随分と弱気だなぁ」
時間はかなり過ぎて放課後。もうすぐ
「そもそも机上の空論をやめようよ。僕たちがどう足掻いてもキングに挑戦なんてできるわけない」
「まあそれは確かに……」
「あ、でも確かアカデミアから出場枠が1つあるって聞いたよ!」
「え?」
なにそれ知らない。
「あー、確かに俺も聞いたな。どういう基準で選出されるかは分からないが……案外衣玖とかだったりしてな、成績上位者だろ?」
「成績が良いだけで大会に出れるなら苦労しないよ……僕より成績上位な人はいるんだしその基準なら僕じゃなくて成績トップ」
「それもそうだな……あー、俺もキングと戦ってみてぇ!」
「まあ僕も多少は挑戦してみたさはあるけど……Dホイール、持ってないからさ」
「……あ」
「確かにそこからかぁ……」
いくら此処が遊戯王中心の世界とはいえ学生の身分でDホイールを持てる奴なんて親が金持ちか余程の機械マニアかのどっちかだ、僕はどちらにも該当しないので当然持ってない。将来的に困りたくないからまだ試験が緩い今の内にライセンスは取ったけど。
「いっそ奨学金借りてそれで買うって手もあるけど学生の内から借金とかしたくないし……」
「まあ気持ちはわかるわ、俺もなんとか親が通わせてくれてるからこれ以上迷惑かけられねぇ」
「私は親に頼めば買ってくれると思うけど……ライセンスが」
「くそっ、このお嬢様が」
「やめてよ、それ衣玖に王子様って言ってるのと似たようなもんだよ」
「おっと、わりぃわりぃ」
やっぱり王子様呼びは来るものがある……別に特段嫌いって訳じゃあないんだけど最近はよくそのあだ名で揶揄われるし、何よりかなり恥ずかしい……我ながら見た目はいい方だとは自負しているとはいえ、まさか男装の麗人扱いされるとは思ってなかったんだよ。
そんな感じでフォーチュンカップやDホイールについて話す傍らどうしたらアカデミアからこのあだ名が消えてくれるかなぁ、なんて頭を抱えていると電話にメールが来た。他の技術がこれだけ発達してるのに端末は1世代前ってのも奇妙な感覚だ。ええと……あぁ、いつものか。
「ごめん、バイト先からヘルプ要請来ちゃった。先帰る」
「おう、気を付けてなー。怪我するんじゃねえぞ」
「明日絆創膏用意しておこうか?」
「なんで怪我する前提なのさ……まあ一応よろしく」
少し揶揄ってくる友人たちに渋い顔をして教室を出る、まあ揶揄ってくるのもバイトのヘルプが入ると毎回擦り傷やら作ってくるから……っていうのがあるんだけど。でもまあ……
「……揶揄ってくれてる内は気付かれてない、ってことでいいんだよね?」
帰り道の途中、独り言のように何かに話しかけて帰路を急ぐ。今日の仕事は早く終わらせないと徹夜することになりそうだ。
(……)
「うん、だよね」
気付けば半透明な状態で傍にいた
此処からは、「デュエリスト」としての生活だ。
「……」
時刻は深夜、場所はシティ下層のちょっとした住宅街、その空き地。
ここらで幅を利かせている不良をどうにかしてほしい、というのが今回の仕事だ。
「いやぁ今日も大量ですね兄貴!俺らもうアンティだけで食っていけるんじゃないすか?」
「馬鹿野郎、俺らが勝ち続けたら此処の奴らは相手してくれなくなるぜ、程々で切り上げて狩場を移すのができる男って奴よ」
「さっすが兄貴ィ!」
……噂をすればなんとやら。絵にかいたようなチンピラとその子分を確認した、多分あれが今回のターゲットで間違いないだろう。シティも少し中央を離れてしまえばこの治安と言った所か。
「あたぼうよ……待てよ?」
「どうしたんですか?」
アンティルールで巻き上げたカードで利益を上げているらしい不良を視界に収め、慎重にチャンスを伺う。逃げられたら溜まったもんじゃない。
「いっそどっかからDホイールパクるってのはどうだ?そうすりゃこの街全てが狩場になる!」
「妙案じゃないすか!」
……今。不良の「デュエルディスク」に狙いを定め、何かを発射する。
「だろ?そうと決まれば……ってうおっ、なんだ!?」
「ワ、ワイヤー……!?」
これで不良はもう逃げられない、安心して姿を現せる。
『それは「デュエルアンカー」。付けられた者はデュエルが終わるまで外すことはできず……敗者のデュエルディスクは破壊される』
「なっ……なんだよ、お前は!?」
無骨な機械音声に全身を覆うフードと仮面、こんな見た目の奴が深夜に出てきたらそりゃあビビるよね。不良には内心同情した。
『語る時間はない。貴様にできるのは私とデュエルをすることのみ』
「っ……うるせぇ!どこの誰だか知らねぇが……」
「……あ、ま、待ってください兄貴……聞いたことが……」
うん、物凄いテンプレっぽい台詞ありがとう。
「ここ最近裏で噂になってる『始末屋』……こいつのことじゃないですか!?」
「始末屋ぁ?」
「は、はい!標的にされたが最後、二度とデュエルをできないほどの蹂躙を受けてディスクを破壊されるって……」
失礼な。確かにディスクは破壊するが蹂躙なんてしてないぞ。
『その問いには是と答えよう。確かに私がその『始末屋』だ』
「……へっ、だったらむしろ好都合だ!」
「兄貴!?」
「此処でお前を倒せば俺の名は更に広がる!逆にそのディスク破壊してやるぜ!」
「おお……流石は兄貴……」
うーん、口を開けば開くほどテンプレofテンプレな台詞しか吐いてこない。
『ならば私と戦え』
「おうよ!そっちこそビビッて逃げんじゃあねえぞ!」
話が早いのは助かる、早く帰れるから。
お互いに起動したデュエルディスクを展開して距離を取り、アンカーのワイヤーがピンと貼られる。
……凄いアレかもしれないけど、こういうシチュエーションの方が気合が入るんだよね。
『では、始めようか』
「行くぜ『始末屋ぁ』!」
『先行は私が頂こう、ドロー、スタンバイ、メイン』
……というわけでこれが僕の『バイト』。
『私は手札から……』
依頼さえ受ければどんな相手ともデュエルし、そのディスクを破壊する……
『「忍者マスターHANZO」を召喚する』
……『始末屋』だ。
主人公にはどういう活躍を期待している?
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蹂躙、無双
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いい感じの熱いデュエル
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ギリギリを演じる2枚目