アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?   作:文字の忍者-遅筆

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ジャッジメント・エクスキューショナー

 

「もうすぐ日暮れだけど……相変わらずフェルグラントはうんともすんとも言わないな……」

(無念の集まりとはいえどそいつは過去の戦士達。余程の事がない限り自分たちが出しゃばるべきではないと考えているのだろうな)

「わかるの?」

(言葉を介せる訳ではないが……思念の動きからある程度予想はできる。「俺」も同じ戦士だからな)

「そういうものなんだ……」

 

 夕暮れ、意気揚々とサテライトへ帰ってきたはいいもののやったことは地縛神が倒されて戻ってきた人たちの避難誘導くらいで僕が出しゃばるような出来事は皆無である。ただそれは順調にシグナー達がダークシグナーを倒していることの証明だ。彼の言う通りならフェルグラントもそれを知って行動を起こそうとしないのだろう。

 

(Cusillu)(Chacu Challhua)巨人(Ccapac Apu)蜘蛛(Uru)ハチドリ(Aslla piscu)。今までに5人のダークシグナーが倒され3つの制御塔が作動した、残るは1つ……蜥蜴(Ccarayhua)のダークシグナー。

……まあここまで順調なんだ、きっと日暮れまでに最後のダークシグナーも倒せるはず。

 

「……ところで」

(なんだ?)

「結構喋るようになったのは別にいいんだけど……その装束、脱がないの?」

(少なくとも今は脱がん)

「そうなんだ……」

 

一人称も変わり、そろそろ本来の姿に戻ってもおかしくない「彼」だけど……今はまだ「忍者軍師IKUSA」でいるらしい。多分戻るのなら……それは僕が彼を必要とした時だ。

 

「……そういえば」

(今度はなんだ)

「もし脱いだら……このカードも消えるの?」

 

少し気になってデッキから「忍者軍師IKUSA」を引きぬく。元々これは「彼」が僕を認めていないがゆえに本来の姿から変じたカード。僕を認めたというのなら……元のカードに戻ってしまうのだろうか。

 

(いいや、確かに本来の在り方ではないがその姿の俺もちゃんと俺だ。求めるのなら応える、安心して使え)

「……そっか、ありがとう」

 

どうやら消えるわけではなくしっかりとデッキに残っててくれるらしい、ちょっと安心した。

 

(さて、そろそろ無駄話をしている時間もないだろう。日没まであと少し、気を抜くなよ)

「うん、見回りの再開だ」

 

止めていたフェニックスのアクセルを握り運転を再開。念の為最後の制御塔に向かうように見回り範囲を変更する。地上絵は先ほどハチドリが消えたばかり、多分このまま蜥蜴も……

 

「……あっつ!?」

 

……走行中、懐が急に発火したように熱くなる。あそこは不知火のデッキを入れてた筈……まさか。

 

「……やっぱり」

(今になって急に動いたか。ダークシグナーに反応しなかった以上、こいつは別の「何か」に反応している)

 

確認のため不知火のデッキケースからフェルグラントを取り出してみればものの見事に紫の炎を纏っていた。つまりは……何か異常事態が発生している。

 

「とはいえ何処で何が起こっているのか……」

(いや、その心配は無用らしい。どうも何処で起きているかは導けるようだ)

「え?……あ」

 

炎はフェルグラントから離れ、ある1点を指す。彼処は……

 

「……最後の制御塔がある場所?」

(そのようだ。シグナーに危険が迫っているのか、それとも……)

「とにかく行こう、手遅れになってからじゃ遅い」

 

見回り範囲を近づけていたのが功を奏した。ギアを1段階あげ、急ぎ現場へ急行する。

 

「……最後のシグナーとの戦い……何があったっけな」

 

マーサの時は直前になってかろうじて思い出せたが、今回もそうとは限らない。どっちも急げよ、僕……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……うわぁ、如何にもって感じ」

(出るのは幽霊ではなくダークシグナーだろうがな)

「まあそうだけど……フェルグラントが反応した以上ダークシグナー以外の何かも出るってことだよね」

(そうである可能性は高い……ただ、これ以上は示してはくれないようだ。もしくはシグナーとダークシグナーの戦いに干渉しないよう力を控えたか)

「……ひとまず探そう。力を調整できる状況……「何か」が見つかればフェルグラントもまた反応してくれるはず」

 

 フェルグラントに導かれ辿り着いたのは制御塔付近……廃墟と化した遊園地。フェルグラントの反応した「何か」が新たなダークシグナーか冥界の王関連の何かかはたまたただの部外者かはわからないけど……何かしらシグナーに脅威が迫っているのは確かだ。

 

「他の車両はないからアキと御影さん以外はここに居ない……まずはどちらかと合流しよう。モーメント・アウト」

 

ディスクを外し忍者デッキをスタンディング用に変更。結局ライディングデュエルをすることはなかったけどこいつには散々お世話になった、ほんとどこまでゴドウィン長官は先を見越しているのやら。

 

「こういう時にフェルグラントがシグナーと引き合ってくれれば楽なんだけど……流石にそこまで補助輪付けてくれるほど甘々じゃないよね」

(そもそも「自分たちが下手に出しゃばるべきではない)と判断しているからな、肝心な時以外で自己主張するつもりはないのだろう)

「弁えているのやら面倒くさいのやら……ああでもそうだ、デュエルが始まれば地上絵が浮かぶ。それを目印にして……は……」

(間に合わなくなるかもしれん)

「だよねぇ……」

 

ちんたらデュエルが始まるのを待っている時間はない、早く2人を探しに行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「とは言ったけど……居ないなぁ……」

(先程のタイヤ痕はまだ新しかった。そう遠くへは行ってない筈だが……)

 

最初の方は残っていた足跡でどうにか追跡できたが施設内部になると流石に板貼りされていてそうもいかずどうやってついたのかわからない僅かな痕跡を辿るしかなくなってしまった。昔身につけたスキルがこんな所で役立つとは思わなかったけど……見つけられないんじゃ意味はない。

 

「ダメだ、ここで途切れてる。地上絵が出てない以上ダークシグナーとの戦いはまだ始まってないし、一体どこに……」

 

その痕跡もプール周辺で途切れてしまった。考えられるのはこの痕跡が御影さんのもので、アキを誘き出すためにダークシグナーが彼女を攫った。もしくは……

 

「フェルグラントが反応した「何か」……」

(その可能性の方が高いだろうな)

「だからといって適当にぶらぶらしてフェルグラントが反応するのを待つわけにも行かない。どうすれば……」

 

どうしたものかとプールサイドで頭を抱える。こんな時に助っ人でも居れば……

 

「君!こんなところで何をやっているんだ!?」

「え……?」

 

唐突に声をかけられた、しかも男性の。

咄嗟に振り向けばそこに居たのはサングラスとデュエルディスクを付けた如何にもな男、誰だこいつ。

 

「今ここは大変危険なんだ!早く避難……を……貴方はフォーチュンカップの!?」

「……その、失礼ですがどちら様で?一応こっちも用事があって此処に来てるんですが……」

「失礼しました。私は治安維持局の者です、ゴドウィン長官直属の命令で……」

「ゴドウィン長官が……?」

 

おかしい。ゴドウィン長官は「ダークシグナーに対抗できる」から僕を雇った筈だ。下手に人員を増やしてもいたずらに地縛神による犠牲が増えるだけ、だから最低限の人員でシグナー達を送り込んだ。

……こいつは一体、何者だ?こんな時に治安維持局の名を騙ってまで何かをしようとする人物、僕には心当たりが……

 

……

 

……!

 

「ひとまずこちらへ、今は逃げ遅れた方の避難を……」

「……違う」

「はい?」

「生憎僕は随分と優れた嘘発見器をゴドウィン長官から預かっててね」

「……それは……!」

 

懐に再び燃える感覚。まさかと思って取り出せば嘘発見器もといフェルグラントは見つけたとでもいうように紫の炎をその身に纏っていた。つまりこいつが……

 

(フェルグラントが反応した「何か」の正体……無粋な闖入者というわけか)

「何処の誰かは知らないけど……こんな大変な時に治安維持局を騙って何かしでかそうとしてるのは間違いない。此処でお縄についてもらうよ」

「……チッ、小娘1人簡単に騙せるものと思っていたが……知ってしまったからには仕方あるまい、消えてもらうぞ!」

「バレた瞬間にこれか、御里が知れ……なっ、それって……!?」

 

てっきりリアルファイトに移行するものだと思っていたが飛んできたのはなんとファイヤー・ボール。こいつ……サイコ・デュエリスト!?

 

「あっぶな……」

「誰が一撃で終わると言った!」

「な……うわぁぁぁぁぁ!?」

 

寸前で回避したと思ったら避けられないタイミングで第二撃、僕はそれをまともにくらって……辺りは爆風で覆われた。

 

「……このザマなら死んでいないにしろ当分は動けまい……さて、急がなければ」

 

僕を無力化したと思い込んだらしい男は次を探しにプールサイドを後にしたようだ。

 

「……持っててよかった、撹乱用煙幕弾……」

(万が一の際セキュリティから逃げる為に拵えたものだが……セキュリティを騙る奴に使うことになるとはな。もっとも治安維持局には使うまでもなく筒抜けだったようだが)

「一言多くない……?」

 

……ああ、僕は別にファイヤー・ボールなんて被弾してない。直撃寸前でプール内部に身を投げて……同時に煙幕弾を直撃させて大爆発を演出した、結構賭けだったけど……上手く騙されてくれたみたい。

 

(フェルグラントの思念が戦いを望んでいる。やはりあいつで間違いないようだ)

「そうだね、それと……思い出した」

(また直前でか、お前は何か刺激がないと思い出せないのか?)

「うるさい……確かあれはディヴァイン。アルカディア・ムーブメント……アキが居た組織の指導者。それと……アキが戦う相手、ミスティがダークシグナーになった原因」

(概ねカルト宗教の教祖、ということか……ならば狙いは)

「十中八九アキ……止めないと」

(急ぐぞ、ダークシグナーとの戦いが始まる前に接触されては……む?)

「どうかした?」

(……妙だな、水の音がする)

「水の音って、此処に水は……まさか」

 

思い当たった可能性は……1つ。

 

「どこから!?」

(案内する。奴を追うのも重要だが人命には変えられん)

「分かってる、急ごう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デュエルが始まっている……」

「遊星はアキの所へ急いで。僕は奴を追う」

「お前またそんな無茶を……!」

「無茶じゃない……フェルグラントが呼応してるんだ。きっとあいつをどうにかするのが今の僕の役目」

 

 彼の案内で水音のする施設に辿り着いた牛尾と協力して水没しかけていた遊星と御影さんを救出。アキのことは遊星に任せ、僕はディヴァインを最優先で追うことにした。

 

「……無理はするなよ、衣玖」

「分かってる。ダークシグナーと戦う訳じゃないんだ、やってみせるよ……!」

 

今はとにかく時間が惜しい、地上絵が出現している以上アキとダークシグナーの戦いは既に始まっている。であるのならばアキとディヴァインの接触を防ぐのが第一目標、間に合わなかった場合は……!

 

「予想が正しければ……」

 

無駄に鍛え上げられた身体能力をフル活用してディヴァインを追う。アキとの接触を目標としているのなら奴が向かうのはデュエル現場。間に合えよ……!

 

(居たぞ、奴だ……いや待て、何故デュエルを眺めているだけで何もしない?)

「……まさか」

 

……どうにかアキとダークシグナーがデュエルしている現場に到着したが、ディヴァンはアキと接触するまでもなく廃墟の屋上からデュエルを見守るのみ。間に合わなかったか、それとも……

 

「ひとまず奴を問い詰める、話はそれから」

(ああ、行くぞ)

 

アンカーを射出し、ロープクライミングの要領で廃墟を登って行く。幸いディヴァインはアキのデュエルに夢中のようでこちらに気づく様子はない……クソッ、やっぱり間に合ってなかったか、なら……!

 

「アンカー!」

「な……!?」

 

ワイヤーを巻き取って勢いを付け窓を蹴破ってディヴァインの居場所へ侵入、流れるようにアンカーを彼のディスクに装着して部屋から引き摺り出す。

 

「お前は……チッ、さっき仕留め損なったか。だが大した問題ではない……私の目的は既に達成されている」

「彼女に……アキに何をした」

「ただのマインドコントロールさ、シグナーだろうがなんだろうが関係ない。彼女は私の忠実な僕だ……!」

「何が目的だ、お前は……」

「知れたこと、彼女と私でアルカディア・ムーブメントを再興し復讐するのだよ!私を排他してきた全てに!」

「……そうか」

 

……フェルグラントが呼応した理由がよくわかった。現状を考えても、僕個人の感情としても、こいつを許す訳にはいかない。

 

(……今お前が抱えているであろうその怒り、俺も同じだ)

「……だよね」

 

 

「話は終わりだ、大人しく退場したまえ……む?」

 

僕をどうにかしようとディヴァインがファイヤー・ボールをセットするが、発動する素振りはない。

 

「このアンカーがセットされた以上既にディスクはデュエルモードに移行した。どちらかが負けない限りサイコパワーは使えない」

「無駄な足掻きを……まあいい、君を倒してからゆっくりとアキの力を拝むとしよう」

「これ以上邪魔はさせない……僕の仕事、果たさせてもらう!……え?」

 

僕の怒りに呼応したのかわからないが、懐の不知火デッキが輝いた。急いで取り出してみればその元はフェルグラントと……

 

「……これって」

(俺たちばかりにいい顔はさせない、ってとこか)

「……ありがとう、使わせてもらう!」

 

……フェルグラントともう1枚をデッキに入れシャッフル、改めてディヴァインと向き直る。

 

「おっと、その力も気になるね……気が変わった。君は連れ帰るとしよう」

「言ってろ……僕は勝つ。皆のため、そして……信じてくれた彼らのために!」

 

本編で遊星がやっていたようにこっそりスピーカー機能を起動し、真実の告白ついでにディヴァインがここに居るという情報共有を行う。本編のように遊星に頼るっていう手もあったけど……僕は逃げないって彼と誓った。

 

だから。

 

 

「「決闘(デュエル)!」」

 

 

ここからは僕の戦いだ。僕が、変わるための。

 

主人公にはどういう活躍を期待している?

  • 蹂躙、無双
  • いい感じの熱いデュエル
  • ギリギリを演じる2枚目
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