アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!? 作:文字の忍者-遅筆
ようやくタッグフォースタグが仕事をします。
ミステリアス・トランスファー
……結論から先に言ってしまおう、シグナーとダークシグナーの戦いは終わった。
うん、あっさり終わりすぎっていうのはわかる。わかるけどあの後僕が起きたのは丁度最後のダークシグナー……ゴドウィン長官との最終決戦真っ最中、もうとっくに僕が何かできるタイミングは終了してた。
起きてすぐにフェルグラントと冥禪が自分を召喚しろって煩かったからそのまま勢いで冥界の王の眷属達と戦ってたけど……牛尾やアキ達にその怪我で無理するなって言われてしまい途中からは完全に任せて再び気絶。目覚めた頃には再び病院だった……面会謝絶扱いでよかったよ、ほんと。
ゴドウィン長官が前払いしてくれたおかげでタダ働きではなかったし、入院費も治安維持局が負担してくれたから僕自身の日常に影響はあんまりなし……いや退院するまでに休んだ分の授業内容を友達に見せてもらったりとか課題やらなきゃいけなかったりとか学業方面では結構あったな。
まあともかく、どうにかダークシグナーとの戦い(というよりはほぼサイコ・デュエル)で負った傷も完治して、僕はアカデミアに復帰した。話によればアキが復学して龍可と龍亜も初等部に通い始めたらしい、アカデミアで会うのが楽しみだ。
「おはよ」
「おはよって……あんた退院して通学初日の挨拶がそれ?もうちょっと何かあるでしょ」
「だってあれ完全なアクシデントだから僕も対戦相手にも非はないし……」
「それはそうだけど……あれ、なんか顔付き変わった?」
「そう?」
「うん、なんか前は如何にもやる気ありませーん、って感じの顔だったのになんかこう……ちょっとカッコいい顔してる」
「へー」
「いやあんたのことだからね?他人事みたいな反応しないで?」
冥界の王なんてとんでもないのが出現してたというのに相変わらずクラスメイト達はいつも通りだ。まあ現れてたの数時間くらいだし何かの演出だとでも思ったのだろうか。
「そういえばフォーチュンカップで衣玖と戦った……十六夜さん、だっけ?ついこの前から復学したよ、隣のクラス」
「あ、隣なんだ。休み時間にいつでも会いに行ける」
「対戦相手だったしやっぱり仲いいのか?なんかフォーチュンカップの時は試合後に衣玖がぶっ倒れてそれどころじゃなかった気がしたんだが」
「まあその……色々あってね」
実は世界の命運を賭けた戦いで一緒に戦っていましたー、なんて真面目に言っても冗談と捉えられるか最悪頭に傷でもあるんじゃないかとでも言われそうだ、大人しくお茶を濁しておこう。
「その色々が気になるんだが」
「個人的な秘密ってことで……あ、待って、隣のクラスってことは会いに行ったらうっかり彼女とエンカウントする可能性も……?」
「まああるでしょ。あの人外に出てることの方が多いけど居るときは居るし」
「うへぇ……面倒くさいことに……」
「気になって様子を見に来てみれば人をアクシデント扱い……少しは大会で成長したのかと思ったのだけれどまだまだお子ちゃまのようね……」
「げっ……ゆ、ゆきのん!?なんでこっちに!?」
(噂をすれば影とやら……不用意に話をするからだ)
クラスメイトと話している途中に突然乱入してきたのはアカデミアにおける僕の天敵、藤原雪乃。付き合い自体は中等部の頃からなんだけど……その、別に嫌いとかそういうわけじゃなくて……
「何故って……晴れ舞台から帰ってきた友達に労いの言葉をかけに来ただけなのだけれど?私はツァンさん程複雑な女じゃないのよ」
「それ暗にツァンのこと面倒くさい女って言ってない?」
「その揚げ足取り……調子は元通りのようね?」
「戻ってなかったらまだ病院の天井を見てるよ……」
「でも体の傷は治ったけど頭までは診てもらえなかったようね?残念だわ、とても」
「なんだとぉ!?」
……こんな感じで話しているとペースが持っていかれる。毎回毎回こうなるからアカデミア内では「女王に振り回される王子様」なんて言われる始末だ、もうフォーチュンカップのせいで王子呼ばわりを撤回するのは諦めた。
「……ああでも、やっぱり少しは診てもらったのかしら?」
「少しはって、何処を見て言ってるんだよ……」
「顔よ、か、お」
「顔……?」
なんかさっきも言われた気がする。
「昔からずっと無気力でやる気のない顔しかしてなかったけど……なんかそこそこやる気のある顔になったじゃない」
「そう?やっぱりフォーチュンカップに出てみたから……とか?」
「まあ詳しくは知らないけど……「男」の顔、してるわ」
「僕は女だよ!?」
まあ前世は男だったけど……今の生では関係のないことだし。女っぽくないとはずっと言われてるけどさぁ……
「久々に見た気がする、衣玖とゆきのんの漫才」
「なんかもうあれよね、雰囲気が熟年夫婦のそれ」
「妙に安心する」
「ねえなんで皆好き勝手言っちゃうの!?というか漫才じゃなあい!」
「あら、折角の「男」の顔がお子ちゃまに戻ってしまったわ」
「だから僕は女だぁ!」
(……何も言うまい)
……ひどいや、皆が僕を弄ってくる。一体僕が何をしたっていうんだ……
「……ま、揶揄うのもこのくらいにしておきましょうか。今日の合同授業……よろしく、頼むわね?」
「え、ああ……合同授業ったって……確か新しくなったライディング・デュエルについてだったよね……?」
「そうそう、ていうか全体で講習会らしいぞ?初等部中等部高等部全員集合だ、さながら大型大会の観客席だな」
「スペース足りるのかなそれ……あ、そろそろ朝礼か」
僕を揶揄うだけ揶揄ってゆきのんは行ってしまった。というかよろしくって何をだよ、ただの講習会でしょうが……
「おー、珍しく今日は全員居るな、やっぱり衣玖が退院してきたからか?」
「多分講習会があるからだと思います」
「なんだよお前ら、もう少し我がクラスのヒーロー様を労おうって気持ちはないのか?」
「だって衣玖だし……」
「僕だしって何……?」
「言葉通り」
「だから何!?」
(ここら辺は変わらず阿呆だったか……)
ゆきのんのせいで僕への弄りが続いている……というか冥禪、相変わらず言いたいことがあるならはっきり言ってくれ。まあアカデミアじゃ変に思われるから喋らないけどさぁ……
「まあ今日は言ってくれた通り講習会があるが……それはそれとして朗報だ」
「先生の朗報が朗報だった試しがありません」
「今回に限ってはちゃんと朗報だから安心しろ」
「自覚してるなら朗報って使うのやめよーぜー」
「黙れ……はあ、端的に言うぞ」
「転校生だ、しかもこのクラスにな」
「転校生……?」
……今はまだダイダロスブリッジは建設中だしWRGP編には突入していない。イリアステルの干渉が本格的に始まるわけでもないから厄ネタって訳でもないだろうし……まあ普通に転校生か。
「性別は!?」
「どういう子ですか!」
「彼氏持ちですか!?」
「落ち着けお前ら……もう外に来てもらってる、質問は直接してもらおう。入っていいぞ」
「……」
先生の合図でドアを開け、入ってくる転校生……
……!?
「それじゃあ自己紹介からしてもらおうか」
彼女は確か……
「名前……」
「レイン、恵」
……そういえばゆきのんやツァン達はいるのに居ないと思っていた彼女。そもそもアカデミアに居なかったという事実を今知って少し困惑している。なぜこんな時期に……
「あ、それだけ?」
「はい」
「そ、そうか……」
「ミステリアス系ツインテール……ありだな」
「なんかどこかで見たような属性……」
「ていうか質問応えてくれるのかなあの子……」
「お前ら五月蠅いぞ。んで席だが……衣玖、お前の隣だ。病み上がりで悪いが面倒みてやってくれ」
「へ?」
「……」
最低限の挨拶を終えた彼女は最短距離で確かに開いてるなーと思っていた僕の隣へ。
「え、えーと……よろしく?」
「よろしく、名前、どう呼べばいい?」
「あ、ああ……まあ衣玖でいいよ」
「じゃあ、衣玖」
……ゆきのんとはまた違う感じでペース持っていかれるなぁ。
「というわけで質問は朝礼終わってからな。んで伝達だが……一応講習会の場所だけ通達しとくぞ、あと鞍馬」
「はい?」
今度はなんだろうか。
「講習会関連で校長が呼んでたぞ、2限目終わったら校長室に行くように」
「は、はあ……わかりました……」
講習会関連って……確かに僕はDホイールのライセンス持ってるけど、なんでまた?
「つーわけで朝礼以上、さっさと1限目の準備しとけよー」
「……ええと、その……」
「教科書、見せて、くれる?」
「あ、それは当然、ただ……」
「うおおおおお質問たーいむ!」
「衣玖には悪いが質問攻めに巻き込まれてもらうぜ!」
「はぁ……これだから男子って生物は……私も乗っかっちゃおうかな?」
「君たちはさぁ……」
……ひとまずこいつらをどうにかしよう、最悪授業妨害になる。
……なんとか質問攻めを終わらせ、二限目まで終えて校長室へ。講習会に関して諸々の説明を受けて……
『知っての通り、此処ネオドミノシティで世界規模のライディング・デュエルの大会、「ワールド・ライディングデュエル・グランプリ」……WRGPが開催されることが決定しました。それにともないライディングデュエルも大規模な改訂……フィールド魔法「スピード・ワールド」の更新などが行われました。今回は皆様に新しくなったライディングデュエルを体感していただこうと思います』
アカデミア内、大ホール。フォーチュン・カップの会場程ではないがそこそこの規模を誇る此処はたまーにライディングデュエルの実演授業で使われる場所だ。うん、なんかもう知ってたって感じ。
『今回は既にDホイールのライセンスを所得している高等部の生徒の中から2名に協力してもらい、ライディング・デュエルを行います。万が一に備えて救護班とセキュリティの協力も受けていますのでそこは御安心ください。ではまず生徒の紹介から行いましょう』
何故呼ばれたのか……つまりはそういうことだ。
『一人目、高等部2-Dクラス、鞍馬衣玖さん』
呼ばれると同時に周囲に手を振る。衣服はちゃんと専用のライダースーツだ、「始末屋」の衣装の方が機能性が優れてはいるけど……まあアレを着るのは仕事の時だけだ。
『二人目、高等部2-Cクラス、藤原雪乃さん』
「そういうわけで改めてよろしくね?鞍馬」
「相変わらずいつになったら苗字呼び止めてくれるのかなぁ……というかライセンス持ってたんだ」
「あら、私が両親と同じく俳優業を目指しているのは知っているでしょう?将来的に必要になるのは分かり切っているし当然取ったわ」
まさかゆきのんがライセンス持ちとは思わなかった。にしてもライダースーツを着ているからよくわかるけど……やっぱり……
「どこを見ているのかしら?」
「……別に、羨ましいとかそういうのは思ってない」
「素直じゃないわねぇ……」
「本心」
一応性自認は微妙に男だから……欲しいとは思わないよ……少なくとも今は。
『今回Dホイールは安全のため教習用のものを使います。二人とも自分用のDホイールは所有していますが……一応講習会ですので』
「あら、いつの間に買ったの?随分とお金持ちになったじゃない」
「買ったというか……貰ったというか……」
「随分と言いにくそうね、聞かないでおいてあげる」
「正直助かる……」
軽口を交わしあいながらお互いDホイールに乗り込み、デッキをセット。乗り心地を確かめるついでに少しアクセルを入れてみる……うん、やっぱりフェニックスとは勝手が違う。あいつがピーキーすぎるだけではあるのだけれど。
『今回は二人とも経験があるということでデュエルはWRGP形式、操作は先行後攻の決定まではマニュアルで行います。二人とも準備はよろしいでしょうか?』
「はい……やれるかな、これで」
「あら、そんなに自分のテクに自信がないの?」
「言い方……自信がないってわけじゃないけど随分と勝手が違うからさ」
「あらそう。まあ楽しませて頂戴……早々にダウンとか許さないわよ?」
「言ってろ、吠え面かかせてやる」
「あら積極的」
「だから言い方……」
『よろしいようですね、では……フィールド魔法「スピード・ワールド2」セット!』
スピード・ワールド2(アニメオリジナル)
「Sp(スピードスペル)」と名のついた魔法カード以外の魔法カードをプレイした時、自分は2000ポイントのダメージを受ける。お互いのプレイヤーはお互いのスタンバイフェイズ時に1度、自分用のスピードカウンターをこのカードの上に1つ置く。(お互い12個まで)自分用のスピードカウンターを取り除く事で、以下の効果を発動する。●4個:自分の手札の「Sp」と名のついたカードの枚数X800ポイントのダメージを相手ライフに与える。●7個:自分のデッキからカードを1枚ドローする。●10個:フィールド上に存在するカードを1枚破壊する。
スピード・ワールド2が発動されると同時に周囲の色彩が一瞬変化し、目の前にカウントダウンが表示される。
「確か……第一コーナーを取った方が先行、だったかしら?」
「そう、だから君に先行を取らせると……少々不味いね」
「じゃあこちらも取りに行くしかないわね」
「それはこっちも同じ……行くよ!」
カウントが0になると同時アクセルを吹かしスタート……やっぱり加速が遅い、フェニックスに慣れてる身としてはいまいち物足りない。
「あら、粋がってた割には大して伸びないのね?」
「普段使いとは勝手が違うんだって……!」
「あらそう……じゃあ貰うわね、先行」
「なっ!?」
スリップストリームで後方を走っていたゆきのんが一気に加速、追い抜かれてしまった。クソッ今から同じことをするには時間が足りない……!
「取ったわ、第一コーナー……さあ、フォーチュンカップで何も成長していないって訳じゃあないでしょう?見せて頂戴、貴方の全部」
「元からそのつもりだよ……!」
オート操作に切り替わったのを確認してカードをドロー。なんだかんだで教習所以降やるのは初めてだけど……
こんな大勢が見てる前で負けるわけにはいかない!
覚悟しろよ……ゆきのん!
主人公にはどういう活躍を期待している?
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蹂躙、無双
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いい感じの熱いデュエル
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ギリギリを演じる2枚目