アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!? 作:文字の忍者-遅筆
「……決まんないなぁ、ファーストホイーラー」
「それもそうでしょう……私たちが揃いも揃ってスロースタートなデッキなのが悪いわ」
「リソース、ある。速度、ない」
WRGPA特別イベントから少し。とある休日、ハイウェイの一般開放されているコースの一角でWRGPAネオドミノ校チーム……つまり僕たちはDホイールを泊めてああでもないこうでもないと話し合っていた。内容は主にチーム戦の順番についてである。
「とりあえずゆきのんはファーストホイーラーから外す、儀式魔法を使う時点である程度スピードカウンターが溜まっている前提のデッキだし、オーバーブーストがあると言っても毎試合引けるとは限らない」
「まあ当然ね、というわけで候補はあなたたち二人な訳だけど……」
「……僕とレイン、両方アンデット族デッキなんだよね……あれの本領発揮は3ターン目以降、どうしても露払いのファーストホイーラーには向かない」
「ドーハスーラ、不知火、どっちも時間かかる」
「どうしたもんかなぁ……」
……まあ、話している通り、ゆきのんは論外として僕とレインはアンデット族という本格的に動き出すのに時間が必要なデッキを握っている。粘り強く戦えると言えば聞こえはいいが……スピードワールド2にはバーン効果がある、その都合上持久戦に持ち込むにはルールそのものが不利。……ああ、忍者に関してはほとぼりが冷めるまで使わない、というか多分冥禪が力を貸してくれない。彼らは裏でのみ使うと決めた以上余程の事がない限り「鞍馬衣玖」として使ってはダメだ。
「……んー、フェルグラントと炎神はどう足掻いても牽制札にはならないし……レイン、ファーストホイーラー頼める?」
「わかった」
「思ったよりすぐに決まったわね」
「まあ消去法だし」
「となると……私はセカンドホイーラーね、デミスの効果でライフを大量に消費する都合私はアンカーには向いてないわ」
「じゃあ僕がアンカーか……代表といいなんといい、責任重大だなぁ」
「あら、案外出番は少ないかもしれないわよ?貴方に回る前に……」
「二人で、勝利」
「……二人ともいつそこまで仲良くなったの?」
「あなたが「バイト」してる合間に、ねぇ?」
「うん」
「……」
……いやまぁ始末屋として活動してたのは謝るけどそんな当てつけみたいな……
「冗談よ、まあ貴方にバトンが渡る前に勝ちに行く精神は本当だけど」
「それに関してはむしろ助かる。全員が自分一人で全員倒すくらいの気概で行かないと勝てる試合も勝てないし」
「目指せ、優勝」
「ええ、頂点への挑戦権を手に入れるのは……私たちよ」
「……うん!」
二人が伸ばした手に同じように伸ばしてグータッチ。WRGPA予選まではまだ時間があるけど……だからこそこうした時間を取ることが大事だろう。
「あ、そういえば海外チームの皆って期間中はネオドミノ校に通うんだっけ?」
「そうらしいわ、立場的には留学生ということになるでしょうね……なにせ1年近くかかるもの」
「長いなぁ……その頃には僕たちもう3年生じゃん」
「本格的に進路を決めないとマズいわね」
「進路……」
「レインは考えてるの?」
「全く」
「ダメじゃん!」
雰囲気が一瞬でギャグ風味になった。すっごいクールな顔して「全く進路考えてません」なんて言われるとは思わないじゃん……うん?あれは……
「……アキ?」
「そういえばこの前ライセンスを取ったとか言ってたわね。隣に居るのは……不動遊星かしら」
「いつもの二人も居るね」
「デュエル、約束」
「そういやしてたね」
本当は僕が先にリベンジマッチをしたかったんだけど……
「皆、居たのね」
「少し打ち合わせをしてたのよ。考えておくなら今の内だと思ってね」
「いい心がけだ、物事は今できることから終わらせておくべきだからな」
「アキ、ライディング?」
「アキねーちゃんすっかり夢中になっちゃってさぁ、ここ最近毎日のようにライディングデュエル三昧だよ」
「楽しそうだからいいけどね」
……成程、こっちの世界にズブズブ浸かってしまったと。ふーん、ふーーーーん……
「……衣玖、凄いデュエルしたそうな顔してる」
「へ?」
「そうね、いつもの顔になってるわ」
「いつものってなんだよいつものって!?」
「……なら、デュエルしましょうか?衣玖」
「そりゃあこっちとしては願ったり叶ったりだけど……いいの?」
「やりたそうだから、優先」
「私は一緒に見学でもしてるわ」
約束してたのにそんな軽いノリで譲っていいのか、レイン。
「そろそろアキも俺や牛尾以外とのライディングデュエルを経験してみるべきだと思っていたからな、いい刺激になるだろう」
「そういや二人がデュエルするのってフォーチュンカップ以来だっけ?」
「ええ、実技の時はデュエルする機会もなかったし……」
「……ま、そういうことなら」
「フォーチュンカップの時のリベンジだ、アキ。今度は勝たせてもらうよ」
「あら、挑発のつもりかしら?それなら今回も私が勝たせてもらうわ」
「……ねえ遊星」
「あの二人の間に凄い火花が散っているように見えるんだけど」
「奇遇ね、私もだわ」
「……ライバル?」
「まあ……色々あったからな」
「折角だ、ルールはWRGPと同じでオートパイロットはカット、第一コーナーを取った方が先行だ」
「操縦技術なら勝てるとでも思ってるのかしら?」
「予行演習ってだけさ……行くよ!」
スピードワールド2発動と同時に目の前に表示されるカウントダウン……本番では僕はアンカーだから先行争いはレイン任せだけど、自分でもやっておくに越したことはない。
「5」
「4」
「3」
「2」
「1」
いうが早いがアクセルを踏み込みヤタガラスを発進、馬鹿みたいな加速でアキを引き離す。
「速い……!?」
「小回りが難しいじゃじゃ馬だけど使いこなせればこれほど楽しいDホイールはこいつ以外にないよ!」
あっという間にヤタガラスは最高速に到達、この距離ならアキもスリップストリームは狙えない。
「けどそんな速さでコーナーに突っ込んだら……!」
「それくらい想定してないわけがない!」
右腕部分のボタンを操作し左部のブーストをカット、代わりに右の出力を増加してドリフト。
「ま、が、れぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
衝突スレスレの瀬戸際をどうにか曲がり切り、僕は無事第一コーナー……先行を手にした。
「……信じられないわ、あんな速度で曲がり切るなんて……」
「Gがきついけど無理やりゴリ押してるだけとも言うけどね……ともかく、先行は貰ったよ!」
「フォーチュンカップの時とは真逆ね……いいわ、迎え撃ってあげましょう」
デッキからカードを引き抜き、カードホルダーにセット。さあ、始めよう。
「……衣玖をファーストホイーラーにしなくてよかったと心底安堵したわ」
「危険」
「自分の限界を把握しての判断だろうが……万が一を考えていないな、スリップストリームをさせないことに固執しすぎている」
あーあー外野の意見は聞こえなーい!
「僕のターン、ドロー、スタンバイ、メイン!……悪いね、最初から飛ばすよ、「Sp-オーバー・ブースト」を発動!」
「いきなり……!?」
「これにより僕のスピードカウンターは4つ増える!エンドフェイズに1つになるけどそもそも先行1ターン目には0だから寧ろメリット!」
やっぱり完全に先行引き得札だよこれ、WRGP前に規制されないか心配だ……
「そのまま「SP-エンジェル・バトン」を発動、デッキから2枚ドローしその後手札を1枚、「不知火の師範」を墓地へ送る!」
……さて、こうだな。
「続いて「不知火の武士」を召喚!」
いつもの宮司や武部ではなく、武士。どっちも引けなかったというわけではない、決して。
「カードを2枚セットし、ターンエンド!このエンドフェイズに僕のスピードカウンターは1になる、まあ増えてるんだけどね」
「私のターン!」
DUELIST | LP | SPC |
|---|---|---|
Iku | 4000 | 2 |
Aki | 4000 | 1 |
「成長しているのは貴方だけじゃないわ、私はチューナーモンスター「
アキの代名詞……というにはちょっと違うか、黒鎧の騎士が剣を構える。
「
【植物族/効果】
自分フィールドのモンスターが破壊された場合、墓地に存在するこのカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
薔薇の中心に目玉が存在する奇怪なモンスターが現れる……え、そいつ破壊ならなんでも反応するの……?
「レベル4の
騎士が光の輪となり、奇怪な薔薇たちが我先にと中に突っ込んでいく。
「いきなりブラックローズ・ドラゴン?飛ばすね」
「いいえ、まだブラックローズ・ドラゴンは出さないわ」
「じゃあ、何を……?」
「見ていればわかるわ……気高き大地の化身よ、妖精の加護を得て今奮い立て!」
「シンクロ召喚!励起せよ「サークル・オブ・フェアリー」!」
現れたのはドーナツ状の頭部を持つ木の巨人……アキも新しいシンクロを手に入れていたのか。
サークル・オブ・フェアリー
【植物族/シンクロ/効果】
チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカード名の②の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードがモンスターゾーンに存在する限り、自分は通常召喚に加えて1度だけ、自分メインフェイズに昆虫族・植物族モンスター1体を召喚できる。②:自分の昆虫族・植物族モンスターの戦闘でモンスターが破壊され墓地へ送られた時、その破壊されたモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力の半分のダメージを相手に与える。その後、与えたダメージの数値分だけ自分のLPを回復する。
「「サークル・オブ・フェアリー」の効果により私は通常召喚に加えて一度だけ植物族モンスターを召喚できる。「ボタニカル・ライオ」を召喚!」
ボタニカル・ライオ
【植物族/効果】
自分フィールド上に表側表示で存在する植物族モンスター1体に突き、このカードの攻撃力は300ポイントアップする。このカードはフィールド上に表側表示で存在する限り、コントロールを変更することはできない。
次に現れたのは樹木に薔薇が生えたようなこれまた珍妙なモンスター、ボタニカル・ライオ……たしか効果は……
「ボタニカル・ライオは自分フィールド上に表側表示で存在する植物族モンスター1体につき攻撃力を300ポイントアップさせる、私の場に植物族モンスターは2体、よって600ポイントアップ!」
……地味に面倒な数値だ。
「……確か不知火の武士には墓地のアンデットモンスターを除外して攻撃力をアップする効果があったわね」
「そうとも、それに今墓地に眠っている不知火の師範は除外された場合にアンデット族モンスター1体の攻撃力を600アップする効果がある。2つの効果が発動すれば……不知火の武士の攻撃力は3000だ、さあ、どうする?」
「そんな安い挑発には乗らないわ、私はカードを3枚伏せてターンエンド」
「エンドフェイズに罠カード「不知火流 才華の陣」を発動。効果により手札の「逢魔ノ妖刀-不知火」を特殊召喚する」
武士の真横に突き刺さる妖刀。隠者の時といいそれでいいのか初代様。
「僕のターン、ドロー、スタンバイ!」
DUELIST | LP | SPC |
|---|---|---|
Iku | 4000 | 3 |
Aki | 4000 | 2 |
……さて、攻撃力2200と守備力2500。この状況なら妖神を使えば簡単に突破できるが……流石にそんな甘い考えは許されないだろう。となると……
「メイン、「不知火の鍛師」を召喚!」
不知火の鍛師
【アンデット族/効果】
「不知火の鍛師」の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:フィールドのこのカードがS素材として墓地へ送られた場合に発動できる。デッキから「不知火の鍛師」以外の「不知火」カード1枚を手札に加える。②:このカードが除外された場合に発動できる。このターン、自分のアンデット族モンスターは戦闘では破壊されない。
鎚を打つ音と共に現れる職人、鍛師。ここから妖神のシンクロを狙いたいが……
「トラップ発動、「幻影回帰」。不知火の鍛師には裏側守備表示になってもらうわ」
妨害するならやっぱここかぁ……
「墓地の「不知火流 才華の陣」を除外して効果発動!このターン「不知火の鍛師」は自身以外のカードの効果を受けない!」
「流石に此処までは想定済みのようね?」
「勿論」
奇妙な靄が鍛師に迫るが眩い炎がそれを退ける。さあ、シンクロだ……ちょっと飛ばそう。
「レベル4の「不知火の鍛師」にレベル3の「逢魔ノ妖刀-不知火」をチューニング!」
妖刀が輪になり、鍛師が輪に入るのに合わせてスピードを上げる。もっと、風を感じたい。
「妖封じし猛き将よ、その力、乙女に宿りて今再誕せよ!」
「シンクロ……!?」
……気のせいだろうか。
一瞬、目の前の風景が赤く見えた。
もしヒロインを作るとしたら
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ゆきのん
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レイン
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まだ見ぬTFキャラ達
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寧ろ主人公がヒロインでは?