アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!? 作:文字の忍者-遅筆
「はあ、ようやく落ち着いたわね……」
【無理もないよ、誘拐されて記憶弄られておまけに破壊の力で操られて……寧ろあれだけで済んでる分まだマシだと思う】
「あれ以上は冥禪に任せるしかないわね……にしてもまさか私もカードの精霊が見えるようになるなんて思っても見なかったわ」
【私達はこの世界の精霊達とは少し勝手が違うけど……まあそうだね】
雪乃と衣玖……の身体を操っていたtierraとのデュエルから程なく。あの後無事デヴァインを撃破したアキと露払いを請け負っていたレインと合流し、一行は後始末をセキュリティに任せて衣玖を病院へと運んだ。
幸い身体は軽傷で済んでいたが……先述の通り精神面が不安定になっているためケアを冥禪に任せてそれぞれ帰宅することとなり、雪乃は「話がしたい」と言われたためレラを含めた「霊獣」デッキを持ってこうして帰路を辿っている。
「……確か貴方達はこの世界とは別の世界であいつと……tierraと戦っていたのよね?」
【うん、それで一度は勝った。戻ってきたら仲間も居れば失った仲間も居て……ひとまず平和にはなったと思ってた、けど……】
「創造の力と破壊の力……」
【そう、私が創造の力、あいつの残骸が破壊の力。それぞれ創成神の力を宿した次の戦いが始まった。それで私はどうにかして勝ったんだけど……】
「実は生き残っていたあいつに奇襲された……と」
傍から見れば虚空に話しかけている異様な状況。今回の影響……というよりはレラの「創造の力」に直接触れた雪乃はこうしてレラと他の精霊達を視認できるようになったのだ。
【……あの時はほぼほぼ満身創痍であいつが死に損ないだったとはいえなす術がなかった。長老や他の皆も取り込まれて……それでもアバンスやビュート、里の皆以外の仲間達に勝てないと判断してあいつは私達の世界から逃走したんだ】
「何よそれ、神が聞いて呆れるわね」
【ただ……私が覚えているのはそこまで。意識が戻ったのはあの子が私達のデッキを触ってからで……力になれなくてごめん】
「いえ、そもそもあいつについての情報が皆無だったもの、感謝こそすれど謝られる謂れはないわ」
【そっか……それで、1つお願いしてもいいかな?】
「何かしら?」
【……tierraと再び決着を付けるまででいいんだ、雪乃に私達を使ってほしい】
「それは……」
レラからの提案、それはデッキの変更というこの世界のデュエリストにとっては重大な選択である。
【今のデッキを捨てろっていってる訳じゃない。あいつを今度こそ消滅……は無理だろうから倒したら私達の世界でまた封印する事になる、そうなったら私達は元の世界へ帰るから……それまで、それまで共に戦わせてほしい。少なくとも私はこのまま見ているだけなんてしたくない】
「……」
【……ダメ、かな?】
「いえ、いいわ」
【!】
「私だってあいつに1発叩き込んでやりたいのは同じ……利害の一致って奴ね」
【ありがとう雪乃!】
「ただその……使い方は教えてくれるわよね?」
【勿論、他の皆もやる気だし!……まあ実際に話せるのは創造の力を持ってる私だけなんだけど】
「色々と難儀ね……」
【私達からすれば強制異世界転移みたいなものだから……あはは……】
「どちらかと言えば集団拉致じゃないかしら」
……何はともあれ、tierraを倒すまでの間、雪乃は使用するデッキを「デミスドーザー」から「霊獣」に変更することを決定した。
「……」
(衣玖)
「分かってる、平気だよ、平気」
(空元気だな)
「……分かっちゃう?」
(俺がお前を何年見てきたと思っている?)
「……そっか」
あれから……僕がディヴァインに拉致られて、自称神……tierraに操られてから少し。またもや病院に運び込まれた僕は退院自体はすぐにできたけど……その、やっぱり精神面がだいぶよろしくない。今でも気を抜くと手が震えている。
今まで「痛い」とかそういうのには慣れてきたけど……あれはそれまでとは違う。自分が自分じゃない何かになっていく得体の知れない感覚、「痛い」じゃなくて……ただひたすら「怖い」。
……けどそれを表に出すわけにも行かない、下手に吐露してしまえばかえって不安にさせてしまうだろうから。特に今は時期が時期だ、いざ正念場という時に持ち込まれても困るだけだろう……
「……その、さ」
(なんだ?)
「言っちゃいけないとは思うんだけど……」
「……兄さんが居たら、少しはマシになってたのかなって……」
(……)
……今世での僕の実兄、竜灯八代。僕が唯一全てを打ち明けることができた人。
居ないのはもう理解している、納得もしている。けど……もし居てくれたら、なんてことあるごとについ考えてしまう。
随分と未練がましいな、僕は。
「……うん、やめようこの話。そろそろWRGPA予選も始まるし、このままうじうじしてられない」
(……無理はするなよ)
「わかってる」
……そういやあれからイモータルドラゴンは消えたままだ。原因は分からないけど……あるとしたら多分僕自身。こんなんじゃクリアマインドなんて夢のまた夢か……うん?
「……フェルグラント?」
(……妙だな、衣玖、取り出してみろ)
「うん……」
また不知火のデッキが熱を帯びた。恐らくフェルグラントが何か伝えようとしているのだろうと思い取り出してみるが……
「……え?」
(これは……)
「な、なんで……!?」
……イモータル・ドラゴンと同じように、フェルグラントもテキストごと消えてしまった。一体どうして……
「あ、ま、待って!?」
(どこかへと導こうとしているようだが今日は休め、それに……一人で行くものではない)
「……わかった」
白紙になってしまった2枚のカード……フェルグラントとイモータル・ドラゴンは換気のために開けていた窓から何処かへと飛び去ってしまった。
ダメだなぁ、こんなんじゃあの世から兄さんに笑われるよ……
「フェルグラントが……」
「夢に、出てきた?」
「ええ、私だけじゃなくて龍可も」
「うん、それに夢の中には遊星達も居た」
「……それ詳しく聞かせて」
翌日の昼休み。少し話がしたいとアキに言われて僕はいつもの3人とテーブルを囲んでいた……何故か雪乃とレインも一緒に。
「詳しくといってもどこか村のような場所でフェルグラントが佇んでる、それだけだったのだけれど……」
「村もこれと言って目印になるようなものは祠くらいしかなかったし、皆さっぱりで」
「あ、俺も一緒に見たんけどなんかあちこち焦げてたんだよその村。なんでかはわからないんだけ……ど……」
(……なんだと?)
「……!」
「衣玖?」
「顔、怖い」
フェルグラント、村、そしてシグナーが見た夢……
「……ありがとう龍亞。多分そこ、知ってる」
「知ってるの!?」
「うん、次の休みに遊星たちを呼んできてくれないかな。そこに案内する」
「ちょっと待ちなさい衣玖、まさかまた勝手にどこか行くつもり?」
「この前色々あったばかり……危険」
「い、いやその……今回は案内人だs」
「私たちもついていくわ、い い わ ね?」
「拒否権、なし」
「……はい」
(今回ばかりはお前に非はないが……諦めろ)
……二人の圧が、すごい。
【雪乃、貴方のことを凄い心配してたからね】
「……あ、久しぶり?」
【先日ぶりかな】
なんか気づいたら雪乃の精霊になってたレラに「頑張れ」みたいな顔をされてしまった、なんでだ。
「……着いたよ」
「此処は……」
「確かに夢で見た場所そのままだ……」
「しかしこんな場所に何があるというのだ?」
「……随分、寂れてる」
……そういうわけで次の休み。そろそろWRGPもWRGPAも予選が始まるという少し前に僕はシグナーの皆……と圧で断れなかった雪乃とレインを連れ、夢に出てきたであろうとある村を訪れていた。思ったより近かったのは多分Dホイールのおかげだろう。
「衣玖、ここは……」
「まあ多分雪乃の想像通りかな」
「雪乃、知ってる?」
「話に聞いただけではあるわ」
「……教えてくれ衣玖、此処は……」
……所々焦げた跡がある、人気のない村。まるでかつてのサテライトを思わせるこの場所。
「そうだね、先に話しておこう。僕にとっても「ただいま」だし」
「ただいま……?」
「……やっぱり、何かしら関わりがあったのね」
「うん、じゃあ改めて……」
そう、此処は……
「僕の生まれ故郷……「竜灯の里」へようこそ、皆」
「竜灯……」
「生まれ故郷……って、此処が!?」
「うん、詳しくは追って話すよ。案内すべき場所も分かってるし……こっち」
皆の驚きの表情を確認した後、振り返って歩き出す。正直記憶は朧気だけど……多分シグナーの皆が反応したってことはあそこに導くべきなのだろう。
「ちょ、ちょっと衣玖!?一応俺たち勝手に村入っちゃってるんだけど……許可とかとらなくていいの!?」
「必要ない」
「んなこと……待て」
「クロウ?」
「……なあ衣玖」
「そこから先は言わなくてもいいよ」
「……この村にはもう誰も居ないんだ、事情は歩きながら話そう」
……雪乃以外に明かすつもりもなかったけど、まあ仕方ないか。
「……そういうわけでこれがこの村に人が居ない理由、それと僕の事情だ」
「唐突に、人が……」
「地縛神の時と同じだ……まさかこの村の人達は」
「どうだろうね、少なくともダークシグナーが9年前から活動してたとは考えにくいし、僕だけ無事だった説明もつかない……さて、着いたよ」
「此処は……」
道すがら過去を白状し、目的の建物……神社のような場所に辿り着く。
「ちょっと埃臭いのは我慢してね……開けるよ」
「ま、まあ9年も放置されてたわけだし……ってうわ、埃すご……!?」
少し重い扉を開けると案の定すさまじい埃……まあ目的のブツは見えてるからいいや。
「……多分これじゃないかなって思ったんだ」
「これは……!?」
目的の物、それは最奥部に存在する1枚の壁画。
「「五龍図」って皆は呼んでた。今だからわかるけど……多分昔のシグナーとダークシグナーの戦いを描いたものだと思う」
「スターダスト……」
「レッド・デーモンズ・ドラゴンも居るな、他人の空似とは思えん」
「エンシェント・フェアリー・ドラゴンもちゃんといる……」
「見てみて、なんか中央にパワーツールっぽいドラゴンもいるよ!」
「しっかりとブラックフェザードラゴンもいやがる……こいつも本当にシグナーの竜だったのか」
「ブラックローズ・ドラゴンはこの時には居なかったのね」
「赤龍、白龍、青龍、黒龍、黄龍……かつて人々は天より遣わされし5体の竜と力を合わせ邪なる者を冥府へと追いやった……本当にあったのね、こんなことが」
「赤き竜の……伝説」
……うーん、これに何か反応すると思ったんだけど……違うのか?
「……」
「衣玖?」
「いや、なんか違ったのかなーって。夢で示されてた村は多分此処だし、フェルグラントが飛んで行ったのも此処で合ってると思ったんだけど……」
「いまいち変化がないと……待ちなさい、今さらりとフェルグラントが飛んで行ったと言ったわね?」
「あ、その、それは……」
「報連相」
「はい……」
そういえばフェルグラントが飛んでいったことを伝え忘れていた……なんか最近うっかりしてるなぁ僕……
「……ちょっと外の空気吸ってくる」
「なら私も行くわ、埃臭いもの」
「私も」
……なんか連行される宇宙人みたいに挟まれたんだけど?
「あの、これは……」
「問答無用」
「一度きっちり話をしなければと思ってたのよ」
「え、あ、あ……」
(はあ……これは身から出た錆だな)
「た、助けて、兄さん……!」
つい反射で兄に助けを求めてしまう、だから兄さんはもう居ないって……
「やだよ、両手に花を自分から拒むとか随分と消極的になったもんだなぁ衣玖?」
「……へ?」
「今の……」
「シグナーの面子、違う」
……聞き覚えのある、声。
「折角里帰りしたってのに初っ端見る光景がこれって……俺は父さん達になんて言えばいいんだ?」
「……嘘」
「嘘じゃねえよ、少なくとも足はある」
……気づけば玄関に死んだはずと思っていた人が。
「大体9年ぶりか、久しぶりだな衣玖?」
「……兄、さん?」
「おう、正真正銘竜灯八代本人だ。あの世から里帰りしてきたぞ……まさか妹が女性とそんな関係になっているとは思わなかったが」
「違うからね!?」
実兄、竜灯八代が立っていた……再会はあまりにも締まらない問答から始まったけど。
【ササヤキ】
風邪を拗らせたため今週は更新が不安定になる可能性があります
もしヒロインを作るとしたら
-
ゆきのん
-
レイン
-
まだ見ぬTFキャラ達
-
寧ろ主人公がヒロインでは?