アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!? 作:文字の忍者-遅筆
「バトル、死霊王ドーハスーラ、ダイレクトアタック」
「くそ……此処までか……!」
『決まったァァァァァ!!!!!ネオドミノ校、なんとこれでブロック予選無敗の7連勝!しかもこの試合を含む内3試合はファーストホイーラーレイン恵による3人抜き!圧倒的な実力を見せつけWRGPA決勝トーナメントへと駒を進めたぞ!』
「お疲れ様、レイン」
「楽勝」
「結局1番の強敵は初戦のアメリカ校だったわね、他が弱過ぎるというわけではないのだけれど……」
「露骨にファーストホイーラーでレインの対策してきたから寧ろやりやすかったよね……」
……うん、その、なんだ……結果から先に言ってしまおう。WRGPA、僕らネオドミノ校はなんとブロック予選7勝0敗、文句無しのトップスコアで決勝トーナメント進出を確実なものにした。
やっぱり初戦で手の内がほぼ割れたのは相当痛手で2戦目以降は露骨にレインの墓地戦術をメタってくるチームが大半。
そういうわけでそれを逆手に取って逆にメタり返してしまおうという発想に至った僕達は墓地メタのメタをレインのデッキに搭載。その結果が7連勝、内3戦レインによる3タテ……という馬鹿みたいなスコアである、正直僕も信じられない。
……ああ、ちなみに僕はアメリカ校戦以外出てない。単純にレインと雪乃が強すぎて生半可なデュエリストだと2人が簡単に叩きのめしてしまう……いいことではあるんだけどちょっと物足りなさもあるのは確かだ。
「次から、決勝」
「といってもWRGPの予選が終わるまでお預けだからまた期間が空くね……」
「そもそも主目的はWRGPの観戦席じゃなかったかしら?普通に観戦すればいいじゃないの」
「まあそうだけど……」
どうもWRGP観戦席の確保という主目的を忘れるくらいにはWRGPAにお熱になってしまっていたらしい。まあ見るよりやる方がデュエルは楽しいとはいえ……
「ひとまず私達の試合はこれで全部終わり。後はゆっくり観戦しましょう」
「アメリカ校、予選突破、あと一勝」
「決勝で会おうなんて言っちゃったしね、多分アラン達が負けることはないだろうけど気持ち程度に応援しよう」
この後はアメリカ校の予選突破がかかった大事な一戦だ、早く応援に行こう。
……と、思っていたのだけれど。
「おや奇遇ですね、ネオドミノ校の皆さん?」
「……お前、は……!」
(そろそろ仕掛けて来るとは思っていたが……)
着替えを終え、さあ観戦だと関係者通路を歩いていた時、そいつはさも偶然を装って僕達の前に現れた。
【この気配……なんであいつがこんな所に!?】
「……そもそも私達が初めて遭遇したのはWRGPAの選手同士としてなのよ、レラ」
「どうかしましたか?」
「猫被り……嫌い」
「……少なくとも僕達に誤魔化しは効かないよ。アイザックのフリはやめろ……tierra」
「……」
[フリではない、そもそも貴様らが邂逅したアイザック・リガルディという少女は私の傀儡に過ぎないのだからな]
「……そうだったね」
「それで、何の用かしら?」
「ちょっ、ゆきのん……」
すぐに本性を表したtierraの様子を確認したゆきのんは即座に僕を抱き寄せた。いやその、いくらなんでも過保護すぎない……?
[何、何れ決着を付けなければならない相手だ。敵情視察をして何が悪い?]
「その言い方……そちらも決勝トーナメントに行ったのかしら?」
[無論、無敗でな……全くこの世界の戦士達は張り合いがない]
「人の体を操って好き勝手してる奴に言われたくないね」
[ふ……こんな遊戯でわざわざ遊んでやっているのだ、感謝こそされど罵倒される謂れはない]
「謂れしか、ない」
[勝手にほざいていろ……ああ、そういえばお前にも本来の目的があるのではなかったのかな?]
「!?」
「レイン……?」
……確かに謎だらけだし、未来のカードも大量に使ってたけど……
[全く愚かなことだ。幾ら過去を変えようと世界が破滅する未来は変わらない。イリアステルなどと気取ってはいるが、その実態は終焉を認められない愚か者共の集まりだ]
「世界の……破滅?」
「イリアステル……」
……ああ、やっぱり、そうなのか。
「貴方、何処まで知って……」
[神たる我に知らぬことなどない……貴様が話さぬのであればそこの2人に我自ら聞かせてやっても良いのだぞ?]
「……必要ない、帰って」
[そうか、ならば……]
「決勝で会えるのを楽しみにしていますよ、ネオドミノ校の皆さん」
「……」
……最後だけアイザックのフリをして、tierraは去っていった。まさかこんな形でレインの秘密を知ることになるとは……
「レイン、大丈夫?」
「平気……」
「その声色で平気と言われても説得力がないわよ」
「……」
……明らかにレインは動揺している。今なら彼女の正体も聞き出すことだって……でも、それは彼女に対する裏切りだ。
かといって開示されてしまった以上尋ねないのも不自然……
……なら。
「レイン」
「……衣玖?」
「いつか言ったよね、君の秘密を明かすのなら、僕の秘密も明かすって」
「……」
「……待ちなさい、いつそんな約束をしたのかしら?」
「転校初日……まあその、あいつの所為とはいえ僕は君の秘密を知ってしまったわけだ」
「それが……何?」
「だから僕も秘密を明かそうってだけの話……ただ、話すだけじゃちょっとあれだからさ」
「デュエルしよう、レイン。こういう時はそうするのが1番だ」
「……」
……あれ、ダメだった?
「……わかった」
「貴方達、案外似た者同士なのね?」
「何がさ……アラン達には悪いけどチームメイトのことが最優先だ、行こうレイン」
「待って」
「どうかした?」
「……お互い、全部話すって言ったから」
「これ、使って。使い方は……知ってるはず」
「これって……!」
「……見慣れないカード達ね?」
レインから手渡されたカード……
「灰流うらら」「幽鬼うさぎ」「無限泡影」……所謂「手札誘発」と呼ばれるカード達と「抹殺の指名者」そして「墓穴の指名者」。以前WRGPAで使わないのかと聞いた際に「使えない」と返された未来のカード……つまりレインが望むのは。
「……そっか、じゃあ、応えなきゃね。いいよね冥禪?」
(構わん)
僕も予備カード入れからまたカードを取り出す。
「エフェクト・ヴェーラー」、そして……「増殖するG」。
「……じゃあ、コート行こうか」
「うん」
「私だけ置いてきぼりなんてのは無しよ?」
「分かってる」
これから始まるのは……
「現代遊戯王」だ。
「……これから話すこと、他言厳禁」
「分かってる、雪乃もそれでいいよね?」
「ええ、構わないわ」
コートへの移動中、レインがまず自分の事情を語り出すことになった。
「紆余曲折を省いて結論から話す。今から約200年後、人類という種族は滅びる」
「……」
「……いきなりぶっ込んできたわね」
……それは本来の歴史。ゼロ・リバースが起こらず、遊星がデルタアクセルへ至った世界の話。
「……私はその未来を変えるために創造主によって作られた存在。人間を機能を極限まで再現した……機械」
「……この前の、ゴーストみたいな……?」
「あれは言うなれば……私のご先祖様」
「体温も感じるし、動きにぎこちない所もない……凄いのね、未来の技術って」
「……信じてくれるの?」
「信じるというか……まあ、tierraが言っていた以上真実なんだろうな、ってのは」
「同意見よ、ここ最近シグナーやらサイコデュエリストやらレラ達やら衣玖のお兄さんやらオカルトじみた現実ばっかり見てきてるもの」
【まあ実例無かったら信じがたいよね、わかるよ】
(俺たちが言える立場ではないがな……)
……なんかごめん、ゆきのん。
「……私の役目は人類が滅びた原因。モーメントの逆回転が何故起きたのかを探ること」
「モーメントが?」
「うん、モーメントの動力源の遊星粒子……人の心を読み取る。人の悪感情を読み取りすぎたら……逆回転して、ゼロ・リバースのようなことが起こる」
「……」
話を聞く限り原因は分かりきっているような気がするけど……
「じゃあ原因は分かりきっているんじゃないの?」
「直接的な原因はそう。けど、創造主は計算の結果ある結論に行き着いた」
「モーメントが逆回転に至るまで「早すぎる」と」
「早すぎるって……」
「ゼロ・リバースという実例があったと思うのだけれど?」
「……ゼロ・リバースは本来の歴史には存在しない。あれはイリアステルが元凶たるモーメントを抹消するために引き起こしたもの」
「じゃあ……」
「世界がシンクロ召喚を、モーメントを求めた。その悪感情に共鳴してしまったモーメントは逆回転を起こした、それは確か。けど……200年という時はモーメントが逆回転を始めるには早すぎる、何かがおかしい。創造主はそう結論付けた。だから私を作り、原因を探して様々な時代を監視させた」
「……そこまで言っていいの?」
「私は原因を特定した場合にその時代の人間と協力して原因を直接排除する権限がある。だから大丈夫」
「いいんだ……」
思ったよりレインは高位の権限持ちらしい。
「……いろんな時代を見てきた。決闘王武藤遊戯の時代、5000年前のシグナーの時代、今より少し先の時代」
「さらっととんでもないこと言うね?」
「事実だと分かっている分飲み込め……いや、流石にちょっと無理があるわね」
「だよね」
「でも、事実」
「それはそうだけど……」
正直SF小説の設定でも聞いてる気分だ。
「……それで、突然ある時代に妙な反応が観測された。それがこの時代」
「妙な反応?」
「そう、正確に言えば……フェルグラント」
「!」
……成程、話が見えてきたぞ。
「フェルグラントが放つエネルギー、モーメントの逆回転と酷似……関連性、大」
「だから僕の所に……」
「肯定……そして、この前、断定」
「断定って……原因を?」
「そう、原因……」
「フェルグラントを生み出した張本人……tierra」
「繋がった、ってことね」
【何処まで行っても元凶にあいつが居る……どれだけこの世界で好き勝手やってたのか……】
「じゃあtierraをどうにかすれば滅亡は回避されるの?」
「……それは違う」
……だよね。
「tierraはモーメントが逆回転するまでを早めただけ。ただどうにかしても……多分、タイムリミットが伸びるだけ」
「それじゃあ……」
「でもtierraを倒さない限り滅亡は確定、これも事実」
「要するにまずはtierraをどうにかしないことには未来は変わらない、と」
「肯定……そしてtierraは今アイザック・リガルディを依り代に活動している……つまり、決勝トーナメントでドイツ校と当たれば」
「tierraを倒せるかもしれないってことね……」
「そういうこと……」
……成程、要するに。
「どうも皆目的は違えど「tierraを倒す」って手段は同じみたいだね。僕はあんまり褒められたもんじゃないけど……兄さんや里の皆の敵討ち。少しでも弔いになれば……って、それだけ」
「成程……私はレラ達を元の世界に戻すため、になるのかしら。まあ衣玖を好き勝手してくれたお礼参りもあるけど」
【創造の力があるから私たちは帰ろうと思えば帰れるけど……流石にあいつをこの世界に残したまま帰れないからね】
「私は……未来の可能性を0にしないため」
分裂の心配とか、そういうのは気にしなくていいみたいだ。
「それじゃあ勝とうよ、WRGPA。そもtierra以前にさ……楽しかったでしょ?」
「……うん」
「ええ、最初は人形みたいと思っていたけれど……随分と凛々しい顔をするのだもの、人違いかと思っちゃったわ二人とも」
「それは……」
「……アカデミアで過ごすうちに「感情」をある程度理解できた」
なんだかんだ固い雰囲気にはならなくて、いつものような和気藹々とした空気のままコートに辿り着く。
「……私は二人ともっと一緒にいたい。だから、勝つ」
「おおう、ド直球」
「随分と大胆な告白ね」
「……恋愛じゃなくて、友人」
「あら、どうかしらね?」
「ゆきのん、揶揄わなくていいから……」
最近控えめになったかと思ったらこれだよ。
「……私の事情は話した。衣玖、そっちの番」
「わかってる……ただ、話すだけじゃ伝わらないだろうからさ」
「デュエルで……」
「そういうこと」
「私はどちらを応援すればいいのかしら?」
「お任せ」
最初に旧体育館で戦った時のように向かい立つ。此処から始まるのは……
「……さあ、始めよう」
「肯定」
この世界にはまだ早すぎる、未来のデュエルだ。
「先行、貰う……」
……デッキ枚数が多くない、少なくともこれで60アンデという可能性は消えた。
かといって普通のアンデで来るとは思えない、何だ……?
「発動、永続魔法「クリストロン・インクルージョン」」
……成程。
クリストロン・インクルージョン
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できず、このカード名の③の効果は1ターンに1度しか使用できない。①:このカードの発動時の効果処理として、デッキから「クリストロン・インクルージョン」以外の「クリストロン」カード1枚を手札に加える事ができる。②:自分の「クリストロン」モンスターはそれぞれ1ターンに1度だけ戦闘では破壊されない。③:墓地のこのカードを除外し、自分の墓地の「クリストロン」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターを特殊召喚する。
多分これがレインの本気デッキ……アクセルシンクロとダブルチューニングを内包するシンクロテーマ「クリストロン」。
……そして、僕の知らない、未来のカード入りだ。
アメリカ校組、誰が1番強そうだった?
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ランスロー
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デイビット
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アラン