アイエエエ!?ニンジャ!?ニンジャナンデ!?   作:文字の忍者-遅筆

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ニンジャ・イズ・シグナー?

 

 

「……ん……」

 

 ……知らない、天井……じゃなくて多分病院の天井。なんで病院に……って、ああ、そうか。

僕は……また、負けたのか。それに今回は運命の1枚(ディスティニー・ドロー)にではなく、読み負けて。

……情けないなぁ、我儘になってもいいかななんて思ってフォーチュンカップに参加したのにこの体たらくか。

 

此処で悔しいより先に情けないなんて出てくるのも正直どうかと思うけど……

 

「おや、お目覚めですか」

「あ……ゴドウィン……さん……?」

 

意識を失うまでの事を振り返るなかの来客。一体誰だろうと思えば……案の定と言えばいいのだろうか、ゴドウィン長官だった。

 

「貴方は準決勝の直後意識を失って此処に運ばれたのですよ。幸い重傷ではなかったようです、3日もあれば退院できるかと」

「3日……アカデミアの方は、大丈夫なんでしょうか」

「それに関しては既に私の方から連絡していますし、この病室は面会謝絶状態です。安心してください」

「それは……待ってください、面会、謝絶?」

 

……正直、こうなる予感はしていた。

 

(ああそうだ、これは私からの餞別です)

 

……あの時渡されたカードは、2枚。

 

1枚は「巨骸竜フェルグラント」。

もう1枚は……

 

……何処かの住所が記された、「赤い忍者(レッドにんじゃ)」。

つまりは……

 

「ええ、これでようやく落ち着いて話ができますね」

 

「鞍馬衣玖さん……いえ、「始末屋」と呼んだ方がいいでしょうか?」

 

ゴドウィン長官は、僕の裏の姿を知っている。

 

「……急に、何を?始末屋って……例の噂でしょう……?」

「鞍馬衣玖、旧姓「竜灯衣玖」」

「……!?」

「8歳の時に一族は原因不明の災害により壊滅、唯一の生き残りであった貴方は竜灯の縁戚である鞍馬家に引き取られ、現在はネオドミノシティにて鞍馬家を離れ一人暮らし」

「なんで、それを……!?」

 

適当にはぐらかして様子を見るつもりが、長官の口から出てきたのは僕の詳細なプロフィール。一体どこまで知って……

 

「「赤き竜」の伝説はご存じでしょう?」

「……誤魔化しても、無駄ですか」

「ええ、調べは既に付いています。竜灯は15000年前の周期において赤き竜、そして「五龍神」……シグナーの竜と共に邪神と戦った一族の末裔。どれほど正確に伝承していたかはわかりませんが……それは確かでしょう?」

「……」

 

……ダメだ、彼の底が知れない。何処まで調べ尽くしているんだ?

 

「貴方がアカデミア代表というのは誤算でしたが……おかげで手間が省けました。「始末屋」として呼び出すよりも貴方個人として話をした方が色々と早いですから」

「……何が、目的なんですか」

「そう急かさないでください」

 

「まずは「赤き竜」……シグナーについての伝説から、お話ししましょう」

 

 ゴドウィン長官が話してくれたシグナーの伝説は概ね本編通りだった。5000年周期で発生する赤き竜と邪神との戦い、シグナーとダークシグナー。けど、わざわざこれを僕に話す理由がわからない。いくら僕がシグナーの末裔だからって、何故?

 

「……とんだ御伽噺ですね」

「ええ、しかし間違いなく事実です。貴方もシグナーの証……赤く光る痣は見たでしょう?」

「それは……まあ」

 

不動遊星、そして十六夜アキ。二人のシグナーの痣が発光するのを僕は確かに見た。そこまで想定済みって訳じゃあないだろうけど……様子を見るに僕に接触するのは確定事項だったようだ。

 

「けど、それが僕と何の関係が?そのシグナーとやらの末裔だったとしても、僕はただの「巨骸竜フェルグラント、貴方は使いましたね?」……へ?」

「あれは少々特別なカードです。と言っても私自身もとある個人から貰い受け、話を聞いただけなのですが」

「特別……?」

「ええ、そして貴方はあれを召喚し……共鳴した。貴方自身、覚えがあると思いますが」

「……」

 

……フェルグラントを召喚したり、効果を発動した時に感じた何か気持ち悪い感覚。特別不快感があるとかそういうわけじゃなかったけど……なにかが流れ込んでくるような、そんな感じの。

 

「気になっていると思いますし、答え合わせをしましょう」

「知っているんですか、あの感覚の正体を」

「無論。と言っても聞きかじりではありますが……」

 

 

 

 

「あのカードはかつての戦いで散っていった者達の無念、その集合体。竜を象った姿という意味ではシグナーの竜、負の感情の集合体としては邪神に近い。どちらでもありどちらでもない不完全なカード、それがあのモンスターなのです」

「あれが、シグナーの……?」

 

……どうやら僕は、とんでもない厄ネタを掴まされたようだ。

 

「ええ、しかしあれはドラゴン族ではなくアンデット族……シグナーの竜と邪神の力が入り混じった劇物と言った方が正しいでしょう。とても常人に使いこなせるものではない」

「じゃあ、なんで僕は……」

「言ったでしょう、貴方と共鳴したと」

 

共鳴って……なんでそんな。

 

「戦いの半ばで倒れた者の無念と一族を滅ぼされた貴方の無念、それが一つになり……見事フェルグラントを制御することに成功した。私はそう考えています」

 

……なんでだ、僕はそこまで引き摺ってなんかない。どうにかして納得することにしてただの鞍馬衣玖として生きていくことを決めたはずなのに。

 

「さて、あのカードについての話はここまでにしましょう……此処からは「始末屋」に話があります」

「……」

「もうお分かりかと思いますが、先日不動遊星とのデュエルを依頼したのは私です。目的は不動遊星の実力を確かめることと……貴方自身のテスト」

「テスト……?」

「ええ、あの時点で既に始末屋が貴方であることの調べは付いていました。本来であればその力を確認した後あのカード……フェルグラントを渡す手筈だったのですが」

「フォーチュンカップに、アカデミア代表として僕が出てきた」

「話が早くて助かります。故に私はジル・ド・ランスボウを破った貴方を呼び出し、フェルグラントともう1枚のカードを渡した。「始末屋」にもう一度仕事の依頼をするために」

「……僕が病院に搬送されたのは、想定内ですか」

「想定してないといえば嘘になります。最も嬉しい誤算ではありました、何せ呼び出す手間まで省けたのですから」

「そう、ですか」

 

……わざわざ厄ネタのカードなんか渡して、何をさせようというのだろう。

 

「改めて私から「始末屋」に依頼をしたい。始まってしまったシグナーとダークシグナーの戦い、貴方には「始末屋」としてシグナーの手助けをしてもらいたいのです」

「それは……僕がフェルグラントを制御できたから、ですか」

「その通り、私は貴方があれを制御できることを確認したかった……やはりこれも宿命なのでしょうか。シグナー達と同様に貴方も今、大いなる運命に絡めとられている」

 

長官の言うことが本当であるというのならフェルグラントはシグナーの竜もどき、ということは僕は地縛神の生贄にされることはない……何処まで考えているんだろう、この人は。

 

「……依頼は分かりました、というより元から受けるまで此処から出すつもりはないんでしょう?」

「まあ、そうなりますね、しかし私も悪意を持ってこうしているわけではないのです。これは世界の命運をかけた戦い、しかも立ち向かえる者達は限られている……一人でもそれを増やせるというのなら、なりふり構ってはいられません」

「……」

 

悪意を持っているようにはみえない。けどこれから何をやらかすかを知っている分、疑いも強い。ただ……今の僕に選択肢はない。

 

「……わかりましたよ。「始末屋」としてその仕事、受けましょう」

「ありがとうございます。無論こういった手段を取ったからといって報酬はタダというつもりはありません……こちらへ、もう歩けるでしょう?」

「……」

 

何処まで見透かされているのか。まだ節々が痛むとはいえ、満足に動く身体を動かしてベッドから降りる。思ったよりこの身体は頑丈なようだ。

 

「内容が内容です、報酬は「前払い」させてもらおうかと」

 

……一体何を企んでいるのだろう。僕はより彼への疑念を深めながら、ひとまずついていくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは私の憶測に過ぎませんが……ダークシグナー達との戦いはライディングデュエルが主戦場になることでしょう。もしそうでないにしても広大なサテライトで活動するにあたって移動手段はあった方が良い」

「……」

 

 ともに通路を歩きながら長官の話を流し気味で聞く。ライディングデュエル……確かに本編だと3/5がそうだったはず。それと今の話を合わせると……「報酬」とやらが見えてきた。

 

「シグナーの手助けをさせるにしても、動けないのでは意味がないでしょう……着きました、こちらです」

 

彼がカードキーを通すと通路の奥にあった金属製の扉が開き、そこそこ広い部屋に出る……ああ、やっぱりか。

 

「……これが今回の「報酬」、セキュリティやプロデュエリスト達など数々のライディングデュエルから得られたデータを元に作られた最新鋭のDホイール。開発コードを「フェニックス」と」

 

……部屋の中央にあったのはバイクというよりはジェット機に近い形状をした黄色いDホイール。どう見てもフェルグラントをイメージしたようなカラーリングにしか見えないが……まあ突っ込むのはやめておこう。

 

「ライセンスはお持ちでしたね?」

「半年ほど前に」

 

わざとらしく確認してくるけど……あれだけ僕の経歴を知っておいて知らない方が無理あるだろ。

 

「……猶予はもう短いですが、来るべき戦いの時まで貴方にはこれを乗りこなせるよう訓練をしてもらいます。基礎を理解しているのは承知ですがこれは普通のDホイールとは勝手が違う」

「病み上がりに随分と酷なことを言ってくれますね……」

「できない、というわけではないのでしょう?」

「……まあ」

 

言いたいことや聞きたいことは色々あるけど此処で質問してもはぐらかされるだけだろう、大人しく従っておくのが吉だ。

 

「機材や衣服は全て揃っています。その時になれば私の方から「始末屋」として呼び出しますので、それまでに万全……を望むのは酷でしょう、最低限はそれを操れるようにしておいてください」

「そもそも病み上がりの身体でDホイールに乗れ、という方が酷だと思うんですけど」

「唯一の想定外です、しかし今はあまりにも時間が惜しい」

「……わかりましたよ」

「では、私も次の業務が控えていますのでこれで」

 

……結局長官は言いたいことだけ伝えて帰ってしまった。もう少しフェルグラントについて聞いておきたかったのだけれど……無理なものは仕方ない、諦めよう。

にしてもこの年で専用のDホイールを手に入れることになるなんてなぁ……正直嫌な予感は拭えないけど、これだけは少し喜ぶことにする。長官の言う通りそれ用の機材と衣服は揃っているし……ひとまずは普通に乗ってみることから始めようか。

 

病み上がりとはいえやらないと大変なことになるだろうな、というのを自覚しながら僕はDホイールに乗る準備を進めて……

 

 

「……やってみないことには始まらない、ひとまず……っ!?」

 

記念すべき専用Dホイール……「フェニックス」の初運転は、その加速力に耐え切れず大量の吐き気が込み上げてきたところからスタートした……最初は大丈夫かなこれって凄く不安が吐瀉物と一緒に出てくるばかり。

 

 

……でもまあ、2桁回数に突入すれば扱いにも慣れてきたし、部屋の中とはいえそこそこ自由に走れるようにもなった。結構な時間をこれの訓練に使ってしまったせいで身体の治りが少々遅くなったけど……どうにかまたサイコ・デュエルをすることになっても耐えれるくらいには回復したと思う。そんな感じでようやく手足のように操れるようになってきたって時だった、長官からの御呼び出しを受けたのは。

 

……これから始まるのは文字通り世界の命運を賭けた決戦。5000年周期で発生するシグナーとダークシグナーの戦い。

負けてしまえば世界は終わる……シグナーではない僕が負けてもそこまで影響はないだろうけど、「始末屋」として依頼を受けたからには負ける訳にはいかない。

 

 

……そうだ。

 

 

僕は……「勝たなきゃ」、いけないんだ。

 

 

 

 




【コトダマ】
「五龍神」
古くは中国の五行思想に伝わる5体の竜。東の青龍、西の白龍、南の赤龍、北の黒龍、そして中央の金龍が存在する。
本作においては15000年前に発生した赤き竜と邪神との戦いにおいてシグナーの竜が伝承として残されたものである。

主人公にはどういう活躍を期待している?

  • 蹂躙、無双
  • いい感じの熱いデュエル
  • ギリギリを演じる2枚目
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