Surviver of the Saiyan   作:ゆっくりblue1

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第11話です。


それぞれの想い、そして現着するナメック星。

ナメック星に向かうこと六日目…修行の過酷さは佳境を迎えていた。

 

目的地に着く前日で修行を打ち切り、当日は重力を元に戻して身体を本来の重力に慣らしながら、身体を休めて全てのポテンシャルを出し切れるようにする。

 

これまでの修行で重力は50倍から最大の100倍にまで引き上げて、ゴーヤ、ダイーズ達クラッシャー軍団、その長のターレスが修行に加わって全力組み手と身体強化基礎トレーニング、精神トレーニングの瞑想と気の扱いの修行など出来る事を行なっている。

 

重力室の外装は剥げてぼろぼろになり、タイルは亀裂とひび割れ、瓦礫が出来る程、修行の過酷さを物語っている。

 

そんな100倍重力の中で対峙しているのは2人のサイヤ人、ゴーヤとターレス。超高速で飛び回りながら、拳や蹴り、エネルギー波をぶつけ合い、瞬時に相手の隙に入り込んで攻撃をしあっては防御、回避、相殺を繰り返していた。

 

戦闘力の高まりに追いつききれず、2人の戦闘を固唾を呑んで見守るクラッシャー軍団。修行の手を止めて、限界を超えたサイヤ人同士の戦いを見つめる。

 

そして不意にゴーヤは気を解放した。ターレスが警戒を最大にしたと同時に合図の無い実践組み手は始まる。

 

「はぁっ!!」

 

「甘い!!」

 

ゴーヤの不意打ちの今までより速度威力を上げて放った気弾を簡単に弾き返し、ターレスは残像を残す程の速度でゴーヤの背後に回り込んで回し蹴りを繰り出す。

 

「ぐっ…!」

 

蹴りを直撃して吹っ飛んだゴーヤは気を解放して空中で静止する。しかし、そのまま追撃としてターレスの拳が迫る。

 

「くらいやがれ!!」

 

「させねえ!!闘争拳2倍っ!!!」

 

顔面に迫る拳を驚異的な反射能力で受け止めるとゴーヤはターレスの腹に膝蹴りを叩き込むとそのまま右拳のアッパーカットでターレスの顎を殴り上げた。

 

「がぁ!?ちぃ、すばしっこい野郎め…!」

 

「てめえに負けねえように必死で修行に打ち込んだんだ。簡単にやられてたまるかよ!」

 

そう荒い息を必死に整えながら仕切り直すように距離を置いて言うとターレスは何処か嬉しそうに口角を上げる。

 

「は、下級戦士の俺達が泥臭く戦り合う…何年振りだろうな。妙に清々しいぜ」

 

「てめえは実の力に頼るヘタレだと思ってたが、存外サイヤ人らしい戦いも出来るんじゃねえか」

 

そう皮肉を言うとターレスは鼻で笑うと戦闘服の懐に入っている赤い果実を取り出すと言った。

 

「これまで神精樹の実を食ってきたが、サイヤ人の意地を無くした訳じゃねえぜ?それに今の修行で得た戦闘力…そして実を食ったらどうなるかな?」

 

「けっ、せこい組み合わせだな。てめえは途中参加だ。ここまで修行してきた俺が負けるわけにはいかねえ。たとえ実を食って強くなっても俺が更に超えてやる!!」

 

ターレスが神精樹の実を食って身体の筋肉と骨、柔軟性が増強され、気が倍増した。でけえ…何て気の嵐だ。ターレスの気で宇宙船が揺れてるみてえだ。

 

フリーザの戦闘力はターレスが言うところで50万は軽く超えているらしい。しかし今のターレスの気はフリーザすら遥かに上回っていると思う。

 

だがフリーザも限界がそこまでとは限らない。奴がフルパワーで戦っている姿はフリーザ軍の側近すら知らない。もしもがある時、俺もフリーザの現状の戦闘力は最低でも超えていかないとな。

 

「はああぁぁ…、くく、今の俺の戦闘力は今までのフリーザのパワーを遥かに凌駕した。さぁ、ゴーヤ。この俺に勝てるか…?」

 

ターレスがそう急激にパワーアップした様子を心地良さそうにして俺に挑発してくる。調子に乗りやがって…!その鼻っ柱ぜってぇへし折ってやる…!!

 

俺も気を解放して、身体中の気を集中させて、気を高めていく。

 

「はああああああぁぁ……!!!」

 

ガタガタと宇宙船の瓦礫が浮いては揺れ動き、ゴーヤを中心に宇宙船全体が激しく揺れ動く。その様子を見て冷や汗を流しながらも受けて立つように笑うターレス。

 

ダイーズ達はそのゴーヤの気の膨れ上がりに驚愕しながら身震いしていた。スカウターを起動して震える手でゴーヤの気を計測する。

 

ダイーズ達のスカウターはフリーザ軍の兵士が使っていたものを奪い取った最新型で戦闘力は100万以上は軽く測れるらしい。

 

そのスカウターが指し示した戦闘力を見てダイーズ達は無意識のうちに冷や汗を流しながらも笑みを浮かべていた。

 

「闘争拳っ……4倍だ!」

 

そう言いながら気を解放したゴーヤ。ニヤリと笑みを浮かべながら、自分自身の強さと身体の様子に驚く。

 

一昨日までは4倍まで引き上げるのに四苦八苦していたが、強くなったのと気の制御に慣れてきたおかげで限界値が伸びてる。

 

重力の負担が無くなれば、身体に負担はかかるが10倍まではいけるな。今だったらフリーザにもくらいつける筈だ!

 

そう意気込んで、ゴーヤとターレスは再び先程とは別次元の速度で間合いを詰めると拳同士をぶつけ合った。そのまま超速移動での二人の拳と蹴りの嵐の衝撃がダイーズ達を襲った。

 

暫くの死闘にも近い修行は三時間以上続いた。

 

そして修行をギリギリまでやった後、全員…ゴーヤとターレスは一際ぼろぼろになってシャワーを浴びて、倒れ込むようにメディカルマシンに入ると、回復後はヴォミが作った豪勢な栄養価が整えられた食事を爆食していた。

 

「もぐもぐ…うんめえ!いくらでも食えるぜ!!ヴォミの飯は最高だ!」

 

「地球の食事文化は宇宙でも屈指の旨さだな、もぐもぐ…はぐっ!おいダイーズ、牛蒡の甘辛肉巻きくれ」

 

「ターレス様の頼みでもそれは無理でさぁ!本当に上手いですから」

 

「今まで食ってたものが霞んでみえまっせい。はぐっ!」

 

「ンダ!」

 

「あっ!?レズンてめえ、俺が楽しみに取ってた、だし巻き卵を!!」

 

「てめえだってピーマンの肉詰め取ったじゃねえか!!」

 

サイヤ人と他異星人の騒がしい荒い食事風景を見て、ヴォミは苦笑しつつも何処か楽しそうに見つめていた。

 

その後、騒がしい食事を終えたゴーヤ達は各々身体を休めていた。クラッシャー軍団は麻雀、ターレスは神精樹の実のプランターを観察している。

 

ゴーヤは軽いストレッチをしながら元の重力に身体を慣らして自分自身の調子を見ていた。

 

ターレス達との重力100倍修行で想像以上に強くなれた。彼奴等との生活もそう悪いもんじゃなかった。

 

でも気は抜けない。ナメック星にはフリーザ軍の他にもスラッグやらクウラっつー敵もいるみてえだからな。

 

それに今の俺の強さで本当にフリーザを倒せるのか、少し疑問もある。

 

「…不安がっても仕方ねえんだがな。どんな手段であってもフリーザはこの手で…」

 

決意を新たにしていると背後からヴォミが入室してきた。

 

「ゴーヤさん…身体の調子はいかがですか?」

 

「悪くねえ…修行も捗ったし、身体に傷もない。飯も美味かったぜ。ありがとな、ヴォミ」

 

そう礼を言えば、ヴォミは軽く微笑み返し、俺の座っている横に同じく腰を下ろした。

 

宇宙船が飛び、星々が瞬く窓の外を眺めて沈黙が空間を包む。前なら静かな感じがムズムズしていただろうが、今は修行の成果か、不思議と安らぎを感じる。

 

そんな不思議な感覚に落ち着きながら、星を眺めていると、ヴォミがふと切り出した。

 

「ゴーヤさん、お聞きしてもよろしいですか?」

 

「堅いなアンタは。どうしたんだ?」

 

「ゴーヤさんはターレスさんからお聞きしたのですが、サイヤ人という種族の中では変わり者と言っていたのですが、その、戦いは怖くは無いのですか?」

 

ターレスの野郎…何が変わり者だ。俺が変わり者なら孫悟空は奇人変人だろうに…

 

戦いが怖いね…死ぬのは嫌だが、戦いが怖いっていうのは思ったことがない。戦う事に自分自身が強くなり、敵味方だろうと関係なく相手を超えて強くなれるという高揚感と一種の快感は俺がサイヤ人として生まれてずっと持っていたもの。

 

自分の信念やフリーザのクソ野郎の復讐はあれどそれはずっと変わらない。ただ相手より強くなる。弱者は強者に、強者はもっと高みを目指して研鑽する。

 

そうなればより強い相手と戦える。もっと強くなれる。だからこそ弱者を虐げて使い捨てるフリーザの姿勢が気に食わない。強者のくせに弱者を利用するだけ利用して使い捨て、弱者を強者にしていく姿勢や意思がないあの野郎が。

 

悪党は悪党でも筋が通っていない野郎は嫌いだ。弱肉強食の世界でも意味もなく卑怯な手で私欲を満たすあの野郎にムカっ腹が止まらない。

 

「…怖くねえ。自分自身を鍛えてどこまでも相手や前の自分を超えていく戦いは、俺の生き甲斐だ。怖いはずがねえ…弱え奴だろうが、強え奴だろうが、強くなろうとする奴と俺は戦いてえんだ」

 

「そう、ですか。(やっぱりゴーヤさんは、ターレスさんが語っていたサイヤ人の出立とは違うのですね。残忍で冷酷、弱者を痛めつけてその様子と血を見て戦いを悦楽するサイヤ人とは…)」

 

ヴォミは改めてゴーヤの精神性をサイヤ人の一般性と違うと思った。そして死んでほしくない人だという想いも強くなった。

 

「………」

 

その二人の会話を気を消して盗み聞きするターレス。

 

そしてターレスは“ある伝説”を思い返していた。今まで夢の御伽噺でのものだと思っていた戦士の伝説を。

 

そうして時間は流れて、遂に緑色の巨大な星、ナメック星が宇宙船の窓の前に映った。

 

モニター室でナメック星にある巨大な邪悪な気と色々集まる気を感じながらゴーヤとターレス達は宇宙船の着陸を不敵に待っていた。

 

ヴォミは宇宙船に待機する手筈で、宇宙船は見つからないようにステルス迷彩でカムフラージュしておく。

 

そして宇宙船がナメック星に着陸した。それと同時にターレスが号令する。

 

「良いか!目的は胡座をかいたフリーザ軍と頭のフリーザをぶっ潰すことだ。途中で障害になる邪魔者も容赦なく潰すんだ!クラッシャー軍団、行くぞ!」

 

『おおっ!!』

 

その掛け声と同時にナメック星に降りると舞空術でフリーザ軍の根城とフリーザの気を探って飛んだ。

 

注意深く気を探ると桁違いにクリリン達の気が上がっている。その他には地球に襲来してきたベジータの気もあった。ベジータも強くなっているのを感じた。

 

やっぱりベジータも来ていやがったか。フリーザの近くには腰巾着のドドリアとザーボンの気は感じない。ベジータの気を見るに二人とも殺されたか。

 

俺は混沌としているナメック星の様子に思考を深めながら飛び続けた。

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