Surviver of the Saiyan 作:ゆっくりblue1
クリリン達第一陣がナメック星に向かった数日後にターレス等とゴーヤ、そして何かある時のために工学技術者のヴォミが第二陣としてターレス等の宇宙船でナメック星に向かい始めた頃。
俺は宇宙の景色は久しぶりだが、ヴォミは初めてらしいので色々と宇宙空間の観察や宇宙船のデータ、設備の解析と改良を行うために宇宙船の座席に向かった。
そして俺はブルマの父親が開発した100倍の重力が展開出来るトレーニングルームにターレス等と話し合っていた。
「情報の裏が取れた。ゴーヤの言う通り、フリーザ共もドラゴンボールを求めてナメック星に向かっているらしい。そこでだ、まず部下のダイーズ共には、戦闘力をコントロール出来て感知や消す事の出来る技術を持つゴーヤにやり方を教えてもらって身に付けろ。フリーザ軍の奴等はスカウターに頼りきりだ。その目を欺いてドラゴンボールを出し抜く。現地民のナメック星人にも味方を作りたいしな」
ターレスの命令に部下共は俺を見て頷く。
「そういうことなら任せてくだっせい」
「おいゴーヤ、俺たちがお前に物を教わるなど癪な事だが、この際は大人しく聞いてやる。分かりやすいようにしろよな」
「ンダ」
アモンドやダイーズたちも了承した様子を見せる。ったく、偉そうな野郎共だ。だが、重力室での修行相手が居ないよりはマシだ。
そうして俺は気の扱いを教えていく。最初こそ全くズレた事をやらかしていたが、全身を眼にするようにしてっと教えると数時間である程度気の扱い方を覚えた。特にダイーズはクラッシャー軍団の中でターレスを抜くと一番戦闘力も高く、戦闘センスが良かったのでほぼ完璧だった。
するとターレスは部下の奴等が気の扱いを覚えたあたりで重力室から消えようとする。俺は重力室の重力を30倍に設定しながらターレスに言う。
「おい、ターレス…てめえは修行しねえのか?」
俺の言葉にターレスはニヒルな笑みを浮かべると自分用に持っていた神精樹の実を見せる。
「悪いが、今の俺とお前たちとじゃあまだまだ相手にならないからな。それに泥臭えのは苦手だ。精々ダイーズ共を鍛えるんだな…今のてめえなら全員相手にしても問題ねえだろ?」
「ちっ……どこまでも舐めやがって。てめえなんざ、直ぐに超えてやるよ」
俺はターレスの舐めた飄々とした態度が気に入らずに舌打ちするとターレスは重力室を去った。
野郎…神精樹の実を過信してやがる。その実が強さの源というように信じて止みやがらねえ…実の力が無ければ強くなれねえって言ってるみてえなもんだぞ。
意地も誇りも無え腰抜けサイヤ人は同族として心底気に入らねえ。ベジータないし、孫悟空の意欲や悟飯でも意地は中々のもんだってのに…
そう苛立ちながら重力室の重力を30倍にする。そして重力がズシンと身体の芯にまで負荷をかけて思わず、膝を突いた。
「ぐぉ…!こ、これが30倍の重力って奴か……身体が重さで痺れやがる…っ!」
重さで痺れと震えが止まらない身体を気を込めて気合いと根性で何とか立ち上がってターレスの部下共を見ると、全員が地面にへばり付き、指先すら動かすのが辛そうだ。ギリギリ動いているのはダイーズのみ。
現状を見て、ますます修行のしがいがありそうだと思った俺は笑うと、気をコントロールしてゆっくりと身体を30倍の重力に慣らし始めた。先ずは基本からだ。重力に慣れたら腹筋とスクワット1万と気の制御をしながらダイーズ共と組み手だ。
そうしてゆっくり動いて身体を重力に慣らし始めた俺を見ると、ダイーズが言う。
「うぐ…っ、ターレス様と同じサイヤ人とはいえ、ガキに遅れをとり続けられる俺達じゃあ無えぞ。気合い入れろお前ら!」
『ああ!(ンダっ!)』
そう言ってダイーズ共も身体を起こし始めた。
そしてナメック星に着く約1週間の1日目は30倍の重力でのトレーニングを丸一日行った。
飯はヴォミの作った即席弁当だった。上手いが、どうにも量が少なすぎて物足りない…ヴォミの奴…サイヤ人の胃袋を想定してなかったな。
一日の修行で、俺は完全に30倍の重力に適応し、次に慣れが早いダイーズと組み手をして、アモンド、カカオ、レズン、ラカセイと続々と重力に慣れ次第組み手を始めた。
一対一ならまだしもダイーズ共を全員相手に組み手するのは流石に骨が折れた。連携もさることながら、戦い方の役割分担と、撹乱のレズンとラカセイにスピード重視のカカオ、技術的に卓越したアモンドの遠距離攻撃、バランスの良いダイーズの安定した戦闘は、俺が先に膝を突いた程だ。
ニヤニヤしながら、もう降参か?と煽ってきやがったダイーズ共を見てもう一度サシでボコボコにしてやると決意した後に地球時間の夜の時間帯には全員取り付けられたシャワー室でシャワーを浴びてメディカルマシンで疲労した身体と傷を治しながら仮眠を取って再び重力室で修行に明け暮れる予定だ。
俺はニヤニヤしながらシャワー室に行ったダイーズ共を見送り、俺は重力室に残って一人、気の制御をしながら“ある技”の開発を進めていた。
正確には原理が同じでもっと良い使い勝手の技の開発だが、流石に一朝一夕ではその技の原理を理解出来ても再現は難しかった。
「……これじゃあ気をいたずらに消費しているだけだな。もっと気を身体に染み込ませるみてえにして身体を強く……!」
白いオーラを出しながら気の制御に手間取りつつ、ある程度目算がついた頃に俺はシャワー室で身体を洗っていると、不意に部屋のドアが開く。
「いっぱい興味深いサンプルとデータが取れ–––––!?ゴーヤさん!!?すみません!テンション上がっていてノックをするの忘れてしまいました!失礼しました!!」
メガネと独特なセンスのワンピースとストッキングズボンに白衣を着ている普段のヴォミがバスローブを巻いて入ってきそうになった。
俺がいるとは思ってなかったようで赤面しながら慌てたヴォミはすぐさまシャワー室を出て行く。
「……どんだけテンション上がってやがったんだ」
俺は呆れながらも一瞬だけ眼に映ったバスローブ越しのヴォミのスタイルの良い裸を思い出してしまい、湧き上がる変な感覚に思わず首を激しく振って考えを追い出す。…ちっ、戦闘じゃねえのに変な高揚感だな。
親父と風呂に入っている頃にはまったく湧かなかった覚えのない感覚に戸惑いながらシャワーを浴びて、軽く身体を洗って、シャワー室を出た俺はそのまま宇宙船の端にある一室のヴォミが改良したメディカルマシンの一つに入った。
ヴォミが優秀なおかげで回復効果が上がり、最新型のメディカルマシンの⒈5倍の速さの回復力と睡眠不足にならない特殊空間での睡眠増進素材の使われた万能メディカルマシンに変わった。
この手腕にターレスも思わず技術者としてスカウトしていたが、ヴォミの断りと俺の睨みに諦めさせた。ターレス本人はまだ狙ってそうだが、好き勝手させるかってんだ。
メディカルマシンに入って身体の傷と筋肉、骨の痛みを芯から治し始めた俺は、悟飯とクリリン、ブルマ達が向かってるドラゴンボールのあるナメック星の事と同じく侵略に向かうフリーザ軍の事をずっと考えていた。
そうして三日後、ナメック星に向かう俺とヴォミ、ターレス達が乗る宇宙船が宇宙を渡航している頃。
修行を始めた頃の重力30倍から50倍に、ダイーズ共も完全に気の制御をマスターして、基本的な身体強化トレーニングと全員での全力組み手、更なる気の制御による戦闘力を伸ばす精神トレーニングと幅広く取り組んでいた。
重力室の頑丈に作られた部屋の地面は亀裂や瓦礫が出来ている。
重力室の重力を操作するパネルと機械を柱にしている円柱形の重力室の中で高速で動く影が六つ。
あまりの速さに姿は常人ではとても捉えられない。その速度で動くゴーヤとそれを連携して追い詰めるダイーズ達。
重力室の中で高速移動しながらダイーズの拳がゴーヤに当たる寸前でゴーヤは残像を生んで速度を上げる。
「ちっ…!」
舌打ちするダイーズの後ろから来ていたアモンドが気弾を撃って高速で撹乱するゴーヤの動きを制限する。その気弾で姿を見せたゴーヤに真横から挟み込み、蹴りと拳を見舞ってくるレズンとラカセイ。
「へっ、まだまだぁ!」
『!!?』
逃げ場が制限された筈のゴーヤは一瞬笑うと双子の攻撃を読んで躱すと同士討ちさせる。
そのまま前にいるダイーズに蹴りを入れようとしたが、端からジェットを噴射してタックルしてくるカカオにぶつかる。
ガッ!と鈍い音がゴーヤから聞こえたと思い、カカオがそのまま押し込もうとするがゴーヤは気を解放するとカカオの身体を受け止めて噴射するジェットの勢いを押し返した。
「ンダァ!?」
「へっ、ジェット噴射のスピードタックルは速えが、もう慣れたぜ!よっこいしょっとぉ!」
カカオの驚き顔にニヤリと笑い、ゴーヤはカカオの腕を掴んで、力の限り投げ飛ばした。
「ガッ!?」
不意打ちだったのか追撃を狙っていた勢いよくアモンドも巻き込まれて崩れる二人。そしてレズンとラカセイの加勢にも蹴り二発を入れて沈める。
「くそぉっ!負けるかぁ!くらいやがれ!メテオボール!」
すると気を消して気を練っていたダイーズが強烈な赤い気弾を投げ飛ばしてくる。その最大威力の気弾をゴーヤは受け止める。
「ぐぐぐっ…ぎぎっ、…け、やるじゃねえか…!大したパワーだぜ!」
押されているゴーヤはダイーズの気の強さに獰猛に笑いながらその気弾を受け止め切った。
そして追撃に間合いを詰めてボディーブローをしようと殴りかかるダイーズの後ろに回り込んで首筋をチョップして沈めた。
「ぐあっ!?くそっ、もう、俺達全員でも敵わねえってのか…?」
倒れ込むダイーズの気絶直前の言葉に、俺はニヤリと笑った。
「へっ、サイヤ人の底力に食らいつきてえなら、もっと修行に精を出すんだな」
気絶したダイーズ共を見て、俺も緊張の糸が切れたのか、倒れ込んだ。
そして目覚めたのはここに居らずずっと宇宙を眺めていやがったターレスの船内放送の声だった。
『修行中悪いが、宇宙船の燃料が保たん。文明のある星に少し不時着する。ヴォミ先生はエンジンのメンテナンスを頼む。俺やゴーヤ達は不時着した星の偵察だ。メディカルマシンに入って身体を休めろ』
ターレスの船内放送に目覚めた俺達は急いでメディカルマシンに入って、傷だらけの身体を治療して、ターレスの元に向かうのだった。
そして俺達はフリーザ軍の他にも不穏な影が居ることを知ることになる。