【完結】 ギター爪弾きのバラッド   作:はま0821

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好きな勝利ゼリフがあります。KOFってゲームで二階堂紅丸ってキャラがいるんですけど相手に勝つとそいつは

「ナルシストで何が悪いんだ?自分すら好きになれないやつは誰にも勝てるわけないだろ?」っていうんですよ。その通りだよな〜。

男の子と女の子のオリキャラひとりずつ出します!再登場するかは未定です!


鳩野ちゃん。



【挿絵表示】



性格は喜多ちゃんから陽キャ要素抜いたみたいな感じ。おさげ。ざ、普通。清楚系黒髪。不憫属性。


18 ドッペルゲンガー

 

 

そろそろ俺も、動かねばならない。1学期から続く、懸案事項にして最大の悔恨。移動教室の折り、優しく声をかけてくれたのに、寝起きだからなどとわけの分からぬ理由で蔑ろにしてしまった女子。鳩野杏子さん。本当に申し訳ないことをしてしまった。これまでいろいろな理由をつけて逃げてきた。曰く怖がっているのに付き合わすのはかわいそう。だとか。もう忘れてるんじゃないか?とか。まったくバカバカしい。毎回目を逸らされるのに忘れてるもクソもあるかよ。

 

都合のいい妄想で逃げるのもやめにしよう。結束バンドやゴッチに散々偉そうなこと言って自分自身は逃げるのか?それは俺の流儀に反する。だがしかしやはり話しかけるのは昔からのトラウマで、身が竦む。ならば…挑むのはどうだろうか?音楽で。

 

「は、鳩野さん!!」

 

「…!!えっえと…な、なに?青木くん」

 

折を見て放課後。帰り支度をしている鳩野さんに声をかける。まだ大勢クラスメイトが残っていたため注目を集めてしまう。重ねてすまない。

 

(あ、青木…!!ついにヴェールを脱ぐのか…!?お前がどんなヤツなのか。ずっと気になっていた。背中にギグバッグ背負ってるから音楽関係者なのはわかる。だが!お前はいつも窓際で遠い目!話しかけようにもタイミングがねぇ!これは降って湧いた好機!鳩野には悪いが人足になってもらって、どんなヤツなのか見極めさせてもらうぜ!一言一句聞き落とさねぇからなぁ〜!?)

 

青木遥のクラスメイト。千田満夫はひとり思った。

 

「まず、…ごめん!!」

 

「えっえぇっ!?」

 

「ホントに申し訳ない!1学期!移動教室教えてくれたのに怖い顔しちまった!!怖がらせたよな!?ホントに申し訳ない!」

 

気持ちをまっすぐに口にする

 

「えっえっ!?…えと…うう。えと。うん。気に、してないよ?」

 

(わっわぁ〜!!青木くん!青木くんが話しかけてきてるわたしに!激レアイベントだよなに教室内のヤツラ注目してんだよ!これはわたし!わたしの功績!!無断でタダ乗りすんな!相変わらず顔怖いけど意外と普通ね!?)

 

「俺はさ。ずっとぼっちで人付き合いなんか苦手だった。だから細かいことなんか出来ない。だから。鳩野さんに勝負を挑もうと思う」

 

勝負!?青木以外のこの話を聞いている全ての者がそう思った。

 

「俺は鳩野さんに許してほしい。でも謝り方をろくに知らない。だから。文化祭に出る。文化祭に出てギター弾く。俺が人生賭けてやって来たロックンロールって奴を見てほしい。それでもし、認められるとこがあったなら…。あの日の非礼を許してくれ!!」

 

ずばぁっ!!と45度!鳩野さんに真正面から挑む!!

 

えっえぇ〜?いやなんか。そんな大袈裟な。別に怒ってないし。顔怖いから避けてただけだし。なんか悪いことしたな…。鳩野杏子はそう思いながら二の句を継げないでいると。鈍感野郎青木からリトルフラワーばりの爆弾発言が投下される!!

 

「文化祭。君のために謳うから」

 

ちゅどーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

男は心のなかで阿波踊りを踊りだす。たぶん女子も同様だ。浮かれ気分というやつだ。ちゃんかちゃかちゃかちゃか。恋のすったもんだ。学生の身分で嫌いな奴などいやしないだろう。(暴論)

 

「えっ!?えぇぇぇぇぇぇ!?君のために謳うって…!?な、なにそれ青木くんどうゆうこと!?」

 

青木くんは真っ直ぐな瞳でわたしを射抜いてくる。うわあ。よく見てみるとけっこうカッコいいな…。何考えてるんだわたしのバカ!!これは告白!?告白よね!?文化祭誰かの為に謳うなんてそれ以外考えられないよね!?待って待って待ってわたし心の準備ががががが!!!

 

「それで。もし許してくれるなら…。俺と」

 

ゴクリ。誰が飲んだ生唾か。もはやそんなことどうでもいい。些事だ。男も女も。このクラスに残った全員が。ことの推移を固唾をのんで見守った…!

 

「俺と!!友達になってくれ!!!」

 

ずべベベベ!!!全員が心の中で横滑り。そうなのです。彼はクソ鈍感。知らぬは青木ばかり。

 

はい。知ってましたよ、おかしいと思ったよ、そんな話あるわけないもん。あるわけない?んなことないか。まあでも、青木くんは行動が突飛だよね。見てよクラスメイトの顔。君は気付いてないかもだけど、期待を裏切られた!みたいな顔してるよ?野次馬どもめ。後で順繰りに詰めてやる。それはそうとして。わたしは目の前の男に少し興味が湧いた。わたしのためにロックンロールを謳う?なにそれちょっと素敵じゃん。

 

「…えと。う、うん。いい…よ?」

 

「いよし!!ありがとう!!!お、俺頑張るから!!聴いてくれ鳩野さん!!」

 

もう心の中ではこの人と友達になりたい欲が溢れてるけど、あえて封印。青木くんが奏でるロックンロールを聴いてみたくなっちゃった!許して!

 

うおおおお!!!誰からともなく歓声が上がる!!別になにかが起きたわけでもないのに青木遥のクラスは歓喜に包まれるのだった!文化祭ロックンロール一本勝負!誰が誰と戦うんだ!?それはとにかく!ふぁいっ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだと!?遥も文化祭出るのか!?ならライバルだな、馴れ馴れしくすんな」

 

「いーじゃないすか、俺にだって事情があるんすよ」

 

所変わってSTARRY。結束バンドと雑談だ。リョウ先輩から謂れのない敵意を向けられる。楽しく行きましょうよ〜。

 

「ねえ青木くん。こないだからなんかナイーブじゃない?なんかあったの?」

 

虹夏先輩から問いかけられる。気付かれていたか…相変わらず周りをよく見てるな。

 

「こないだからではなく、俺がずっと逃げていた問題が表面化しました。でも…これで俺のやるべき事が、分かりやすくなったとも言える」

 

「どゆこと?」

 

「実は俺が文化祭に出る理由が、ある女の子に謝りたいからなんですよ。なのでその子に勝負を挑みました」

 

初めて聞く人からすると、前の文と後ろの文が繋がらない。ゴッチからは感想を。

 

「へ、へへ…。お、穏やかじゃないですね…」

 

喜多さんからはもっともな疑問を投げ付けられる。

 

「えっ勝負!?なんで謝りたい子に勝負を挑むのよ!?」

 

「俺はそんなに器用に謝れない。だからその子に、貴女のために謳うから認めてくれたら許してほしい。友達になってほしいと持ちかけました。なんで文化祭は本気でいきます。結束バンド。俺と、勝負しようぜぇ?」

 

やっべ、余計なことを言ったかも。確かにゴッチを含む、オーディション、台風ライブと経てきた、結束バンドの今の実力に興味はある。でも、敵が増えちゃうわ…。

 

「…上等。首洗って待ってろ遥。4人に勝てるかな!?」

 

「おもしろい!!青木くん!恨みなんかないけど後腐れなくいこう!しょーぶだ!」

 

「なんか変なことになったわね…。もうこうなったらしょーがないわ!青木くん!よろしくね!」

 

「わ、わたしも頑張ります…。あ、青木くん…!し、勝負です…!」

 

なんかその場のノリで結束バンドとも勝負することに!あかん!敵が増えた!自分で言ったことだけど!なんか結束バンドもノリノリだし!

 

あれよあれよと文化祭初日。転がるロックンロール。なんかゴッチのクラスがメイド喫茶やってるっつーから見に行った。マジでやってたので指差して笑ってやった。怒られた。でもかなり似合ってたな。なかなかかわいいおどおど系メイドさんでした。なんか知らんが虹夏先輩と喜多さんもメイド服着てたな。怖いぐらい似合ってた。コスプレ喫茶にいそうだもんそのまんま。山田メイドだけなんか毛色違ってた。客に、水やら、注文したものやら自分で取りに行かせてた。あんなメイドいやだ。でも何故か、その姿がハマるから山田リョウは凄い。そして2日目。俺にとってはこっちが本番だ。気張れよ青木遥!!

 

「やっほ〜!遥く〜ん!おっつかれ〜!」

 

「うい〜遥。見に来てやったぞ〜」

 

「お疲れ様です店長。そして姉御。早速なんですが姉御は帰ってもらっていいですか?」

 

「なっなんでさ!?君もライブ出るなんて言うから楽しみに来たのに!」

 

「いや…高校の文化祭にワンカップ片手というのはあまり…公序良俗に著しく反するかと…」

 

「そんなん気にしてロックンロールが出来るか!!大丈夫だよ回ってるときはタオルまいとくしぃ」

 

「匂いで気づかれんだろ。ふつうに酒クセェ」

 

「なにおう〜!乙女に向かってくさいとはなんだくさいとは!」

 

「くさいのをくさいっつって何が悪いんだよ」

 

「まあまあ。冗談はさておき。今日はお2人とも来ていただきありがとうございます。退屈なライブにはしないつもりです」

 

「おう。そういや遥はなにやんの?あいつらはオリジナルやるっつってたけど」

 

「一応ライブまでひみつで。でも1曲目はギターだけやります。2曲目はボーカルもやります」

 

「おお!!君歌えるんだ!ギターボーカルだ!」

 

「ほ〜う。こりゃ俄然楽しみだ。歌は自信あるのか?」

 

「ド下手です!一応めっちゃカラオケで練習しましたがどーにも!声量はある方なんでギターパフォーマンスで乗り切ろうと思います!!」

 

「ド下手で文化祭出る胆力すげえな…見せてみろよ遥。お前のロック」

 

「遥くん!期待してるぜ!」

 

「あざっす!ささ、お2人とも!まだ開場まで時間あります!いろいろやってるんで見ていってください!なんかうちのクラスは男子のプロレス炎の一本勝負!って企画らしいですよ!!」

 

「「なにそれめっちゃ気になる」」

 

 

 

 

 

 

お2人と別れ、俺は会場である体育館へと向かう。いろいろ準備あるしな。到着するとすでに観客がけっこう来てた。開場まではまだ時間あるのにな。

 

「あっ青木くん…!」

 

「おろ?結束バンドか。今日は敵同士だな。負けねぇぞ?」

 

「あっ青木くんは、ひとり、なんですね…」

 

「音源使うから問題ないよ。なんだ?ゴッチ敵の心配か?余裕だな〜」

 

「いえあのそのそそそういうわけではなく…!!」

 

「青木くん!今日は恨みっこナシ!正々堂々とやろう!」

 

「遥。負けたら1万」

 

「正々堂々ってんだろ!!」

 

流れるようにキャメルクラッチを決められる山田。そろそろ腰が心配である。

 

「わたしも頑張るわ!青木くんや後藤さんに!いっぱい教えてもらったギターで!」きたーん!!!

 

ふっ…教え子と戦うことになるか。それも悪くない。

 

「あ、あの。あ、青木くん。」

 

「おん?なに?ゴッチ」

 

「ま、前青木くん…暗闇を怖がるのがいいって言ってた…。か、考えてもわかんなくて。あれって…どういう意味?」

 

「あ〜あれか。なんつうかな。う〜ん」

 

少し言い淀んだ。そんなにかっこいい理由じゃねえからなあ。するとそれを即座にリョウ先輩に指摘される。

 

「遥にしては歯切れが悪い。いつもなら悪徳詐欺師みたくペラペラ出てくるのに」

 

「失礼な。んでも。う〜ん。なんだろ。あの時俺多分怖かったんだよ。ほら、謝りたい子がいるって前言ったろ?受け入れてくれるか。分かんないから。そん時同じように悩んでるゴッチをみて、ゴッチを肯定することで、自分も肯定したかったんだと思う。…ごめんな。なんか勝手に」

 

「い、いえ!そ、そんなことは!」

 

「あれからいろいろ考えてみた。暗闇。恐れや不安。迷いや焦燥。自分の弱さ。確かにライブにとっちゃ天敵だ。でもさ、暗闇はもしかしたらそんなに怖いやつじゃないかもよ?」

 

「…え?」

 

「むしろもうひとりの自分みたいなもんなんじゃねぇかな。足にピッタリくっつく影。鏡、いや、ドッペルゲンガーみたいに。廣井の姉御は言った。大人になったら結果だと。過程なんざ誰も見てくれないと。でもさ。自分だけは。暗闇で何者かになろうとした哀れなドッペルゲンガーを肯定できるんじゃねぇかな」

 

「…」

 

「暗闇に挑みたいから練習する。ちっこい松明にあらん限り火を入れて。でもたぶん最後にその暗闇は。迷いや、恐れは力になってくれる。ドッペルゲンガーは諦めず心折れず練習した者の味方になってくれる!!2人で戦ってくれる!!」

 

「…ゴッチはさ。たぶん人一倍臆病なんだ。ああこんな臆病なギタリスト見たことねぇ。…でも、臆病って翻せばやろうとしてることに対して真面目で真摯ってことだとも思うんだ」

 

「………!!」

 

「不完全な自分を見せたくないから毎日6時間も練習する。ライブに怯えるのもお客をがっかりさせたくないから。そんな真面目な、真摯なギタリストにはドッペルゲンガーは。音楽の神様って奴は必ず何処かで微笑んでくれるだろ!」

 

 

 

 

 

ああ。

 

 

 

 

 

ああ。

 

なんだこの人は。なんなんだこの人は。なぜ、わたしが欲しかった言葉を。誰かに言って欲しかった言葉を。こんなにもくれるのだろう。なぜ、こんなにも胸の中心に響くんだ!!

 

「なんだゴッチ。敵意が見えないぞ顔から。まあ…アレだ。ゴッチなんざまだまだ俺の敵じゃねぇ」

 

ぴきぃ!?

 

「ひとりじゃどーにもなんねぇだろうから、ドッペルゲンガーにおてて繋いでもらって2人でかかってこいよ。ちょーどいいハンデだ」

 

右手をゴッチに向かって突き出し人差し指をくいくい。分かりやすく挑発する。

 

 

「とちゅーまでいい話だったのになんで最後煽るのさ!?」

 

「遥はツンデレ」

 

「フッフッフ!青木くん!あなたが相手にしなきゃなのは後藤さんのドッペルゲンガー含めて5人よ!!間違えないことね!」きたーん!

 

「まとめて相手してやらァ!きゃきゃってこーい!!」

 

くるりと。ギタリスト後藤ひとりが青木遥に背を向ける。

 

「あ、青木くん。いや…ギターバラッド。今日、わたしはあなたに勝ちます」

 

「ほう。おもしろい。勝利宣言かね」

 

「はい。勝って、証明します。わたしの暗闇で足掻き続けた3年間。そして!結束バンドのみんなと一緒に足掻き続けた日々は、無駄ではなかったと!!証明、してみせます!!」

 

「焚き付けた甲斐があった。望むところだ後藤ひとり。そして結束バンド!本気で行くぜ?」

 

かくして文化祭ライブの幕は上がる。

 

 

 

少年少女さまざまな悲喜こもごもを交錯させながら!

 

 

次回文化祭中篇だ!またみてね!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 






囁きが聞こえて、答えなぞ探すなという。暗闇は自分の中。それを抱きしめる。


疼き出す心


稲葉浩志

Blackhole


暗闇を見つめろ。穴が空くほど。
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