【完結】 ギター爪弾きのバラッド   作:はま0821

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モノローグの大半を主人公からぼっちちゃんに差し替えてみました。やはりぼっちざろっくの主人公はぼっちちゃん。こっちのほうが読みやすいかなと。青木はセリフだけでも主張するのでそんな影響はないかな。と思っとります。なんぞありましたら感想の方に。(さりげなく誘導)


3 かくしてロックンロールは転がりだす

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぉぉぉぉぉぉ!!これがスタジオ!初めて入ったかっけぇ!なんだあのでかいアンプは!プロ御用達のやつじゃないのか!?あんなんでギター鳴らしたらどうなっちゃうんだよ耳潰れるんじゃないの!?ほんでドラムセット!これもカッケー!ドラムできないけど触ってみてぇー叩いてみてー!

 

「フッ田舎者よ。よく見ておくがいいこれがスタジオだ」

 

「いやなにマウント?」

 

「いやすげーっす先輩方!こんなプロも顔負け機材がそこかしこに!」

 

「ほんと…すごい…」

 

俺と後藤さんは口々にそう漏らす。ほんとに半端ねぇやエフェクターとかいくつあるんだよ!俺が持ってる貧乏エフェクターと違っていい音鳴らすんだろーなー!ヤベーなここ以外でギター弾きたくなくなっちまうじゃねーか!

 

「さぁ!驚くのもそれくらいにして音合わせしちゃおっか!あんまり時間もないことだしね!はいこれが今日のセトリとスコア!」

 

伊地知先輩からスコアを受け取り目を通す。ふむふむ…そんなに難度は高くない。これならイケるな。

 

「うっし後藤さん!頑張ろうぜ!俺はリズムギターの方やりたいけど後藤さんは?なんか希望ある?」

 

「あっいぇどちらでも…あっでもなんでリズムの方なんでしょうか…」

 

「特にこだわりはないんだけどリズムのほうが心に合ってるって言うかさ〜縁の下の力持ち!みたいな」

 

「あっへへ…そうなんですか…」

 

ちっとは心を開いてくれたのかな?なんて思考してると伊地知先輩から号令がかかる!

 

「おしっ!んじゃ一曲目から合わせてみよう!リョウ!準備いーい?」

 

「フッいつでも」

 

「サポートメンバーの2人もごめんだけど今日はよろしく頼むよ!…それじゃあ…レッツゴー!」

 

さて…!!嫌が応にも興奮するな!!譜面通りに冷静に…!そしてかつ大胆に!!弾き倒してやるぜ!青木遥の伝説の幕開けよぉ!!

 

ジャーン!!ジャッ!!

 

音合わせが終わる。うん、俺はたぶん目立ったミスなく無難にできたな。やっぱカッケーなこのアンプが出す音。伊地知先輩にいくらしたのか後で聞いてみよ、絶対買えないだろうけど 

 

さすがの俺もちょっと動揺してどうでもいいことを思考してしまう。目立つミスもないのに何を動揺?って思う人もいるだろう…それはね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ど、ドヘタだ」

 

「ぷっ。」

 

「ガーーーーーーン!」 

 

隣の後藤さんの演奏がとても酷かったからだ。綺麗な音を出すのにもったいない。リズムが合わなくて演奏の体をなしてなかった。んだけど…なんだろう。後藤さん、なんか違和感があるんだよな。

 

「どうもプランクトン後藤です…ド下手くそは土に還りますので皆さんでライブ頑張ってください…」

 

「わーーーゴメン言い過ぎた!しょっしょうがないよ即席バンドだしこれが初めての音合わせだしぃ!」

 

「どんまいひとり。次から頑張ってこーぜ」

 

「いやいや諦めんなよ早すぎるよ!まだ本番まで時間あるし頑張って練習しようよ!」

 

あっ…!!嗚呼ああぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜!!!!!……やっ。やっぱムリだったんだわたしみたいなプランクトンがバンドなんて。そもそもプランクトンにどうやってギターやピックが持てるのかって話だよ思い上がるなよ。

 

…ごめん。ごめんなさいみなさん。…思い描いてたはずなんだ。こんなシーンを何度も。…なぜ、わたしはこうなのだろう。

 

何度、似たようなシーンを不意にしてきた?自分の不甲斐なさがつくづく嫌になる。ネガティブ思考の渦に巻き込まれていると、不意に。頭の上から声が降る。

 

「後藤さん」

 

「ひゃい…ド下手ですいません…」

 

「それは全然いい。ちょっと俺の目を見てみて。」

 

「…ふぇっ?」

 

…目を見て?そんなジャギ様みたいな…。いや違うな、あの人は俺の名を言ってみろ!だ。そう思いつつ顔を上げる。今日会ったばかりの人。青木くんの顔が目に入る。…目鼻立ちがしっかりしてるな。彫りが深いけどかっこいいかも…ふんぬっ!!!

 

ごきっと。自身のクビから異音がなった気がするが気にしてらんない。わ、私ごときがすいません…!!青木くんから目を逸らしてしまった(正確には首ごと)あらぬ方向に視線を彷徨わせていると今度は。

 

「次は山田先輩。伊地知先輩でもいいから目を見てみて」

 

うう…!む、無理!目を合わせるなんて!先方に対して失礼!わたしみたいなギタード下手のミジンコ未満が生意気にも人様と同じ!みたいな顔出来ない!そんなことを思いながらもおずおずと視線を合わしてみる…。まずは虹夏ちゃん…!か、可愛い!顔可愛いいい匂い!ムリ。ふんぬっ!!ゴキぃ!つ、次はリョウさん…!か、カッコいい。物静かな佇まい。何処か憂いを秘めたようなユニセックスな見た目。男性であろうと女性であろうと惹きつけてしまいそうな危険な魅力あっムリ。ふんぬっ!!ゴキぃ!!

 

「後藤さん、ひょっとしてだがコミュ障拗らせすぎて人に視線送れない?」

 

「…………」

 

ハイそうです!ずっと下向いて演奏してました。生の音合わせるの超難しいなんでみんな普通にできるの!?超人の集まりなのバンドって!?

 

「えっええ〜そりゃあまずいよひとりちゃん!っていうかさっきどうやって演奏してたの!?」

 

「たぶん耳で音拾って合わせてたんじゃない?バンドで演者見ずに合わせるとか逆にすごい技術。ひとり…恐ろしい子」

 

褒められてるのかな。貶されてるのかな。どちらでもいいかも。…やはり分不相応な夢など見るのではなかった。わたしにはわたしの丈がある。夢など見るのはやめて慎ましく行きていこう。そう自身の胸に決めようとしたとき。

 

「わかった!後藤さん!目を見るのが怖いなら俺の背中を見ろ!」

 

「……っえっえ?」

 

「俺が先輩たちのリズム拾って体で表現するから後藤さんはそのリズム拾ってギター差し込んでくれりゃあいい!なるべく分かりやすく表現するから!」

 

「だいじょうぶ!1回しか音合わせしてねぇけどこの先輩方はちゃんと上手い!この人たちが生み出すリズムにのってけりゃ問題なんかないぜ!」

 

「いやぁ~上手いだなんてぇ〜照れるなぁ〜」

 

「フッ遥。見る目ある」

 

「……なんで、そこまで」

 

 素直に心情が口をつく。こんな下手くそ、打ち捨てて新しいギターさんを探すなり3人で出るなり。方法はいくらでもあるはずだ。なぜ。なぜわたしに拘るのだろう。そう思っていると。

 

「もったいねぇぜ。その腕が。後藤さんはさ。これは俺の勘なんだけどかなりギター上手いでしょ」

 

な…なんだ。なんだこの人はなんて言った?

 

「えっなんで…私が…上手い、ですか?」

 

「指運びとか全く迷いがないし何よりなのはその音だね。綺麗な音だ。多分俺が今まであったどのギタリストよりも。血反吐はくまで練習してギターと向き合ってきた人にしか鳴らせないんだよそんな音は。だから、もったいねぇって言ったのさ」

 

…なんだこの人は。なんで…。なんで。なんでわたしの心の中が読めるのだろう。今。今誰かに1番言ってほしかった言葉かもしれない。私の腕がもったいない…!は、初めて言われた!

 

「あとは後藤さんの気持ち一つ。俺も全力でサポートするから演ってみようぜ、俺や先輩方の目が怖いなら俺達が生み出すリズムを信じてくれたらいい」

 

やめてよ。なんでだよ。わたし、こんなに情けないのに。激ダサ女じゃん。なんでそんなに優しいの?そう思っていた。だが。次の青木くんの言葉に否応なしに意識を浮かばせられる

 

「音楽って字はなんて書く?音を楽しむって書いて音楽だ。楽しもうぜ、ギタリスト後藤ひとり」

 

ギタリスト。ギタリストって言ってくれた。わ、わたしのことギタリストって。1回だけだ。この人と合わせたのはさっきの1回だけ。それでもレベルの高さなんか分かる。こんな上手い人が、わたしのことギタリストって!認めてくれた!

 

「んがぁ~!言いたいこと大体言われちゃった〜!これじゃあたしのリーダーとしての威厳がぁ〜…」

 

「もとからあったっけそんなの」

 

「るさいリョウ!もうこのままのっかる!ひとりちゃん!失敗なんか気にしないで楽しもう!バンドって、みんなで音を鳴らすってきっと絶対楽しいからさ!」

 

「ひとり。ベースのリズムなら任せろ。わたしもわかりやすく縦揺れかますから」

 

わたしはなんだ。こんなに優しい人たちに囲まれて。それでもいつまでもウジウジと。一応ネットでは名は通ってる!できないことはないはずだ!わたしが怖がってるだけなんだ!

意識するから怖い。ただ、なんとなくの一歩を。いつの間にか目を覆う液体を拭い、少女は立つ。ギターヒーローの見参だ!!

 

「肚は決まったかね?」

 

青木くんから声がかかる。それにわたしは応える

 

「…はい。もう一回やりましょう!!…やらせてください!!」

 

「イイね。ククッあっはははははは!」

 

「わわわ、どうしたのリョウきゅーに笑い出して。普段全然笑わないのに」

 

「失敬な、面白いことがあったらちゃんと笑う。んでも…虹夏。やっぱりファインプレー、連れてきたギタリスト、どっちもおもしろいわこれ」

 

「ここはあたしの見る目があったーってことでいいのかな?」

 

「見つけた人適当に引っ張って来たくせに…豪運虹夏。でも面白くなってきた。退屈な客と退屈なライブになるかと思ってたから」

 

「こーらーどんなライブでも来てくれたお客さんは大切にしなさい!」

 

「そんな品行方正さをわたしに求めないでほしい。遥。ひとり。ライブまでまだ時間はある。今日来る客は虹夏の友達たちだから演奏の良し悪しなんざ分かりゃしないとは思う。それでもだ。本気でいって目にもの見せてやろうぜ。ソイツがロックってやつだろう」

 

カッコいい。ロックとは。誰もいなくとも聴いていなくとも。ただ叫ぶ。己が魂をあらん限りに。目の前で不敵に笑う麗人にわたしの目は奪われた

 

「よっしゃ皆さんやってやりましょう!伝説のギタリスト青木遥様のお出ましだぁ!」

 

「わっわたし!もう目は逸らしません!皆さん!青木くん!よっよろしくお願いします!!」

 

「なんかわかんないけどテンション上がってきたぞ!よし!課題のリズム、みんなで合わせてこうぜ!結束バンド!ファイヤー!!」

 

………ん?なぜいまあの家にあるとコードとかまとめるときに便利なグッズの名前が?

 

「プフぉっやっぱ傑作」

 

「えっもしかして今の、私たちのバンド名ですか?」

 

「そうそう。虹夏がつけた。傑作」

 

「んもーいい感じにまとまりかけてたのにぃー!絶対変えるからねこのバンド名ーーー!」

 

さてと。音合わせが終わったらいよいよ本ちゃんか。腕が鳴るぜぇ。ついでにギターも鳴るぜ。

 

俺のこのバンドでの任務はリズム隊の先輩方のリズムをあますところなく拾って分かりやすく後藤ひとりさんに届けること。自身の演奏と両立させながら。

 

…昼メシ前だぜ。具体的に言うなら、ライオンのごきげ◯ようくらい。…あれは昼メシ中か。

 

モノローグの中で自己を紹介しておくか。俺の名は青木遥。またの名をギターバラッド。ギターでバラードを奏でるグッドプレイヤーよ。

 

いずれは下北中に知らぬものはいないようなギタリストを目指している!運がいいぜ諸君!伝説の1ページ目を観られるのだからな!さあ…今日のライブの観客よ!俺の伝説の、礎となれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




山田パイセンは結束バンドでも一番の常識人まであると思ってます。変人になるには常識人の外側と内側を正しく知ってなければならないからです。割と筆者は結束バンドが危機に陥ったとき一番頼りになるのは実はリョウパイセンだと勝手に思ってます
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