新年は三が日過ぎるくらいまでは昼から酒飲んでてもうるさく言われたくない。どうも僕です。お気に入りの動画見てアニメ見てゲームして…すぐに正月の休みが終わりそうだ…、う、嘘だろ!?
み、みなさんお疲れ様です。ぼっちこと後藤ひとりです。そろそろ年が明けます。皆さん如何お過ごしでしょうか?
わ、わたし?大多数の日本人の方と同じでNHK紅白歌合戦からのゆく年くる年ですね。
年末年始は働かない!!と豪語していたロックバンドさんが天の岩戸を開けた!と話題になっているそうです。
わたしも少し見ましたが格好良かったな…。お父さんが泣いて喜んでました。そしてテレビに合わせてギター弾いててうるさかったです。
ふたりは夢の中。そろそろわたしのロインもあけおめロインで騒がしくなるかな…!あ、あと5分!みんな!遠慮なく送ってきて!みんな返すから!あっ郁代ちゃん!さすが早い…!ピッタリの時間だ。虹夏ちゃんにさっつーさんも!みんな忘れないでいてくれるんだ…!新年早々泣けてきます…!
あ、青木くんやリョウさんは…!ま、まだですね!ま、まったく!仕方ありませんねぇ!こ、ここはわたしから…!だ、大丈夫かな。そんな仲良くねえよ、新年早々鬱陶しいとか思われないかな。だ、大丈夫だよね…。うう。こ、心の中の郁代ちゃん!ち、力を!勇気を貸して!
「はぁ〜あ。おう青木。ここどこ?」
「いやオメーが誘ってきたんだろ。確か…明治神宮だよ初詣しようって。千田さんよ」
「そうだった。んでもさ。たまにはいいだろ。お前ずっと女に囲まれてんじゃん。男にしか話せないエトセトラありすぎてストレスたまってんじゃねえの?」
「…いや。そこは素直にありがとう。言う通りだ!年上だろうが気をおけなかろうが女性は女性!!男と比べるべくもない!助かったよ千田!!」
「ふっ…隣の芝生は青く見えるってよく言ったよな…。ところで青木よ。酔っぱらいのお姉さんにめちゃくちゃにしてもらう話。あれどうなったの?ずっと全裸で待ってるんだけど?」
「前言撤回だよ馬鹿野郎。この色欲の猛獣が!明治神宮の神様に申し訳ねえと思わねえのかバカ!」
「神は見たことねえ。生憎見たことねえもんは信じねえたちでね」
「無駄にカッコいい!」
ギター爪弾き絶賛初詣中…!
「…ひとりちゃん。今何してんだろ?あのギターフリークのことだ。新年明けて早々練習かな。練習バカ。初詣…誘ってみたらよかったかな…」
新年明けると同時にロインを送る。既読。あら。早い。
「あ!明けましておめでとうございます!郁代ちゃん!」
「…ふふっ!」
新年早々、少し幸せな気分!ありがとうねひとりちゃん!よし!気合を入れて!寝ーようっと。眠いわ!
「おねーちゃんまだ寝ないの〜?」
「まあも少し待てよ。酒飲みながらだと良いメロディ出てくるんだ。廣井。どう?今のフレーズ」
「そうする感じだと音の裏打ちこっちかな〜。ベースにここは全部任せてもらってBメロでユニゾンする感じ…」
「マジでカッコいいじゃん。お前流石だな」
「え?いやえへえへえへ〜!褒められちった先輩に!」
山田リョウが感心しながら相槌を打つ。
「マジで勉強になる。そこは廣井さん。スラップなんですね」
「うんたぶん乾いた感じのがハマると思うんだ。だからそうね。先輩のギターがこうきたら…こう!」
バキバキボボボん!
「「おおー!!」」
は〜あ音楽バカ。んなもん夜明けてからでいいのに。あ。ヤベ。年越し用のどん兵衛が!もう茹で時間大分過ぎてる!
「みんないったん落ち着いて!どん兵衛でも食べて年越そう!蕎麦食べないと日本人は年越せないよ!!」
「サンキュウ虹夏。…うっま。最高にうまいナニコレ」
「どん兵衛もついにここまで来たか…うますぎて馬になる。まあ今年ヘビ年なんですけどね〜」
「酒に合うな〜どん兵衛は。このスープ。日本酒で割ると出汁割りみたいになって最高だよ先輩!!」
「どれ?うん。ヤバい旨っ!一晩これでイケるぞ廣井!」
「もうお姉ちゃんも廣井さんも学習してよ!!こないだも似たようなシチュエーションで酒に飲まれてたじゃん!!」
「無駄だよ虹夏…酒飲みに何言ったって。先に寝る。虹夏も早く寝るが吉」
「また朝までコースか?廣井!」
「先輩となら!もちろん朝まで。ギター弾いてくれるの嬉しいです!」
あ、駄目だこりゃ止まりそうにねえや。明日のご飯炊いて…わたしもねよ〜っと!…おっと。ぼっちちゃん。今年はお世話したりされたり…来年も頑張って支え合ってこうね!と。結束バンドだけにね!
「…結束バンド関連から誰もあけおめロインこないわ。あくび」
「言う事厳しいからではないですかね?ヨヨコ先輩」
「幽々たちも〜サイゼで年明けとかーある種のテンプレ〜」
「どうせだったらお雑煮とかおいてくれればいいのに〜」
「新年に変わるこのタイミングしか売れないでしょそのメニュー。よし!年越しピザいきましょう!」
「ヨヨコ先輩ってー。一挙手一投足で人ワクワクさせるのうまいですよね〜」
「あくび!褒め言葉として受け取るわ!」
「底なしポジティブ!まあそれでいいんですがね!」
神宮に並ぶ列も少しずつゴールに近づく頃、青木遥のスマホが震える。
ロイン!あけおめロインかな?誰からだ。鳩野さんからきてねえかな〜。友達からきてりゃ誰だって嬉しい…。おや。珍しい相手。
「あ!明けましておめでとうございます!今年もがんばってついていきますので何卒ご指導ご鞭撻…よろしくお願いします!」
かてえなゴッチ。上司に送る文面だよ。まあ。そんなかたくならずに。
「あけましておめでとう。そんなかたくちゃ本番にもそんな感じになっちまうぜ?心のなかにタコを飼え。ゆるゆるくにゃくにゃ。そしたらギターヒーローはナンバーワンのギタープレイヤーよ」
「…はぁ。」
郁代ちゃん。虹夏ちゃん。青木くん…。お世話になったひとにはだいたい送ったよね。リョウさんがまだ既読つかないけど…寝てるんだろうなぁ。
リビングの襖を開けるとふたりが寝ていた。お父さんに掛けてもらったであろう毛布をけちらかしている。ふふ。風邪引いちゃうよ?ま、まったく。ふたりもまだまだですねぇ!(姉の威厳)
お姫様抱っこでふたりをベッドに運ぶ。…これ江の島で青木くんにやられたな…あうう。恥ずかしい…!たぶんリョウさんと青木くんは動画持ってる…。こ、今年こそ消してもらわないと…!
軽いなぁふたり。でもすぐ持てなくなっちゃうんだろうな。優しい気持ちと悲しい気持ちがないまぜになったような不思議な気分。…オヤスミ。また、明日。
今年もいい年になりますように…。押し入れの中で縮こまってたわたしからしたら多大なる進歩だけどまだまだ。人気バンドにはまだまだ足りない。一つ一つ踏みしめて進んで、1つずつ掴んでいくんだ。
結束バンドのリードギターとして!よ、よし!練習しよう!わたしにできることはそれしかない!青木くんに怒られちゃうからいつもの半分くらいの時間にして、あとは成功するイメトレ!そうだギターヒーローの動画も!新年早々忙しくなってきやがったぜ!
ロイン!おっ鳩野さんだ。
「今年もよろしくね!ロックンロールヒーロー!去年の文化祭はサイコーかっこよかった!でも!ロックンローラーはいつでも今が最高なんだよね!過去の栄光なんかに囚われたりしないんだよね!今年も見とくよ!青木くんの活躍!頑張れ!ロックンローラー!」
…ふっ。任せろ。今年は取り敢えず未確認ライオット…。フェスだ。イライザさんを巻き込んだんだ失敗はできねぇ。シクハックさんに顔向けするためにも、情けないプレイはできねえぜ。相棒と共に!来年も突っ走る!!目指すは優勝だ!
山田リョウの独白
…こんなこと、初めてだな。これがプレッシャーってやつ?わたしはなにかよく分からない暗闇に足を引っ張られる。
そんな気分を正月早々味わっていた。新しい曲をデモにして未確認ライオットには送りたい。と虹夏には言われた。特にその時は何も、プレッシャーのようなものは何も感じなかった。…ように思う。
なぜか…、これも初めての経験のはず。先のことなんざ分かりゃしないのに…。わたし1人の問題じゃないからか?作曲する手が止まる。もっといい曲を求めて青い鳥を探し出す。そんな鳥何処にも飛んでないのに。
しっかりしろ山田リョウ。お前はなんだ?そうだ結束バンドの屋台骨。わたしが倒れたら虹夏ひとりじゃ到底支えられない。
いつでも軽薄でそれでいて豪胆で…そういう山田リョウを演じ続けろ。たとえそれが嘘だとしても塗り重ねていけばホントにもなるよ。そう信じて今は進む。そうするしかない。
…ぼっち。ぼっちはある?こんな気持ちになったこと。穴が空くほど見つめた暗闇の向こうにいるであろう生む苦しみを知る仲間に問いかける。答えは帰ってはこなかった。
ロイン。おう素晴らしい。あけおめロインなんてなんぼあってもいいですからね。…ホントに珍しい相手だな。しかもなんか深刻そう。ロインの相手。山田リョウの名を見て、青木遥は取り敢えず驚く。そういう苦しみを味合わない天才タイプだと。勝手に思い込んでいたからだ。
遥。前に暗闇は味方だって言ってたよね?あれの真意をもう一度教えて欲しい。今わたしは目の前の暗闇に足が竦んでる。コイツの正体が。何なのかがわかればあとは自分で何とかしてみせる。今までそうしてきた。今回だって。
…俺も答えを持ってるわけじゃない。だから。ゴッチに言ったアドバイスをそのまま言います。暗闇とは。もうひとりの自分。影みたいに自分に張り付く表に出せない練習不足の頃の自分、俺はゴッチにはこう言いました。暗闇は。自分自身は最後は絶対味方になってくれると。そんなに真摯に音楽に。自分自身に向き合い続けた奴にそっぽ向く重ねた日々なんざコッチから願い下げだろうと。暗闇とはおそらく。ドッペルゲンガーのようなもんだろうと。…どうですか?リョウ先輩。
わたしの影。わたしのかげか…なるほど。だから。わかんないんだ。わたし。自分の気持ちを考えるのが苦手だから。
案外。虹夏先輩や喜多さんが答えを持っているかもです。あなたをよく近くで見ていた人。より正しくあなたの姿を認識している人が。
あぁ~じゃあ郁代はだめか〜あれは今のわたしでも分かる。宛にならない。
調子戻ってきましたね。伊地知姉妹が頼りになると。今回は踏んでます。あとは…ゴッチかなぁ。また、喫茶店で話し合いでもしますか?
すまないな遥。面倒を掛ける。
いいってことですよ。貸し1です。
灯台下暗し。やっぱ虹夏か。起きたら相談してみよう。ヤッパリ頼りになる。
わたしひとりじゃ無理なんだ。やっぱり虹夏がいてくれないとさ。虹夏だけじゃないか。ぼっちに郁代。みんなそろって結束バンドだ。…なにをそんなに焦ってたんだ。締め切りまだ3カ月も先じゃん。みんなの手を借りて、少しずつ前に進もう。危うく暗闇に新年早々捕まるとこだった。危ない危ない…!
そうだ。焦る必要なんざないさ。別に失敗したって死ぬわけじゃなし。あの結束バンドの中じゃリョウ先輩が1番タフだろうがやっぱ焦ることは人間だからあるよな。一助になったならこれ幸い。
「いいよな〜青木は。正月から女の子からのロインばっかでよ〜」
「マジメなのも飛んでくるから適当に返事できないぜ?」
「あっちゃ〜俺シリアスは苦手なんだよな〜ましてや正月早々だろ?ほか当たってくれ」
お参り済ませて帰りがてら。ラーメンに向かう途中。なんにも考えてなさそうで実は考えてて。やっぱりなんにも考えてなさそうな男はそのように嘯く。さて。新年のラーメンの味はどうかな?明治神宮帰りのラーメンの味を想像しながら新年一発目の夜は更けていく。
山田リョウ。なかなか迷ったりしない結束バンドの裏リーダー。表の虹夏さんを支えつつ、バンド全体を統率して進める扇の要。ならば。彼女の悩みは誰が解決しようか?やはり、普段から彼女を見てるほかのバンドメンバーに他なるまい。