ここの山田リョウは悩みがあったらちゃんとみんなに相談できます。結束バンド裏リーダーとしての頼もしさと、出来ないことは出来ないときっちり認める柔軟性…!2つ合わせて最強に見える!山田リョウ!!
虹夏!虹夏起きてぇ!
「んあ?なに〜リョウ?朝から絹を裂くような声出して〜?」
「青い鳥が飛んでないの!」
「ますますもって分からん。ちゃんと順序立てて説明して」
「えっえっと…前に未確認ライオットのデモテープには新曲作って送ろう。みたいな話ししたじゃん?」
「うん。したねぇ」
「曲作ってたんだけどさ?なんかその言葉がプレッシャーになっちゃって!!それなりというか!かなりいい曲はできてるはずなのになぜか納得できないというか!もっといいもの作れるはず!みたいな青い鳥症候群があ!発症しちゃって!もうどうにもこうにもぉ〜!」
「うええっ!?ゴメン!プレッシャーだった…?」
「山田リョウとて完璧じゃないよぉ〜!プレッシャー感じるし逃げたくもなるよ〜!助けて虹夏ー!」
「わ、わかった!取り敢えず曲聴かせて!わたしの客観的意見を…」
「そう!そういうの欲しかった!なんかひとりで向き合い続けるの限界っぽくて!遥にアドバイス求めたらひとりで悩まないで他のメンバーに相談しろって!だからぁ〜!」
「わかった!今から他のメンバーにも招集かけるよ!客観的意見を聞こう!」
「うう〜ありがとう虹夏〜!特に!特に郁代を呼んで!わたしの承認欲求的に!」
「まだ余裕あるなおい!」
…でも。相談してくれてよかった。リョウはなんか溜め込みそうなタイプ。溜め込みに溜め込んで爆発して。暫く行動不能になるタイプとみた。…青木くんに感謝だなこれは。
みなさんこんにちわ。後藤ひとりです。うぐっぐあっがあっ!!嫌だ!!明日から学校!!いき、たくないっ!?、!
腹だ。腹に力入れろ後藤ひとり!!内なる暗闇が腹を食い破ろうとしてる!!腹筋に力を入れるため!ブリッジするのだ!!そうすべては必然!!うおおおお!!
「おとーさん。おねーちゃんがまた変。なんかブリッジしてる」
「ああやって悪魔を祓ってるんだよ〜。ふたりはまだみちゃダメ〜取り憑かれるからね〜。さ、朝ごはんに行くよ〜」
リアクション薄すぎない?お父さん?今まさに娘が悪魔に取り憑かれようとしてるのに。このまま階段降りたろうか。
そんな事を考えているとロインが鳴る。虹夏ちゃんだ。…!?そ、そんな!リョウ先輩が!!スランプ!?
こうしちゃいらんない。わたしでどこまで助けになるか分かんないけど行かない選択肢はないでしょ、リョウ先輩にはいっぱい助けて貰った。今度はわたしが助けなきゃ!!…けして明日の学校が嫌すぎるから現実逃避したいわけではない。決して。ネバー。
朝のご飯は納豆にかぎるわよね。トッピングはそんなに必要ない。ネギとカラシがあればいい。
「郁代〜?また納豆のトッピングについて考えてるでしょ?美味しんぼみたいなこと言ってないで早く食べちゃいなさい」
「もう!心読まないでよお母さん!確かに思ってたけど!」
「娘の考えることなんかお見通しなのよ。明日から学校でしょ?準備済ませちゃいなさいよ?」
学校!明日から学校!きゃー!楽しみ!またひとりちゃんに毎日会えるわ!あの子学校じゃあぼっち極まってるからわたしがサポートしないと!
こんな事を考えているとロインが鳴る!虹夏先輩だ!なになに…!?リ、リョウ先輩がスランプ!!大変だわ!娘であるわたしがどうにかしなくちゃ!
「いや郁代。落ち着いて?あなたはわたしの娘」
「精神的な話よお母さん!大変だわリョウ先輩がピンチ!下北沢に馳せ参じないと!!」
「…いつも以上に娘のテンションがおかしいわ…」
「行ってきますお母さん!!待っててリョウ先輩!!」
「…いってらっしゃい…」
下北沢STARRY。の扉が力一杯開け放たれる!んドンガラガッシャン!!
「喜多郁代!!馳せ参じました!!弱ったリョウ先輩はどこですか!?」
「おい喜多。ドア壊すなよ?」
「すみません店長さん!!」
「朝からテンション高いですねぇ〜」
店長さんに怒られてしまったわ。も少し冷静に行きましょう。はっ!?そんなことよりリョウ先輩!
「喜多ちゃ〜ん。そこ。喜多ちゃんの足の下でキノコ生やしてる」
「いやー!ホントだ!駄目ですリョウ先輩がキノコなんか生やしちゃ!それはひとりちゃんがやります!」
「ぼっちちゃんにもやってほしくないけどね〜。それはさておきよく来たね喜多ちゃん。取り敢えずリョウの新曲聴いて欲しいんだよ」
「えっあっはい!聴きます!!」
「郁代。できれば肯定して。わたしの承認欲求的に」
「喜多ちゃん。奇譚のない意見を」
「…ダジャレですか?」
「喜多ちゃんが疑心暗鬼に!ダジャレじゃないよ大丈夫!」
結束バンド虹夏と郁代絶賛新曲試聴中…
「…リョウ。えっめちゃくちゃカッコいいじゃん!」
「ホントです!今までの結束バンドの曲の中でも1番じゃないですか!?」
「ま、マジで!?まだどこか直す所あるんじゃないかとか!?おんなじところぐるぐる回っちゃってさ。もうダメになりそうだったんだ。だ、大丈夫かな…この曲」
「まだぼっちちゃんの意見聞いてないけど…わたしは大丈夫だと思うよ!むしろ出来いいよ!」
「虹夏…!」
「リョウ先輩!めちゃくちゃカッコいい曲ですよ!自信持ってください!」
「郁代〜!よし、郁代〜!」
「さすがに今のはリョウ先輩でもスルー不可です!不可不可です!!イジってるでしょ!?」
「うう…ゴメン。安心してつい普段から温めてたイジりが…2人とも。ありがとう。わたし1人じゃ堂々巡りだった」
「あっおつかれさまです…」
「「「…。」」」
「すべてがおわったあとに来る人って…いますよね」
「えっえっ!?」
「喜多ちゃんやめて〜?ぼっちちゃんに罪はないよ〜。金沢八景だからかなり遠いんだから」
「あっ解決した感じですか…?」
「…いや。ぼっちも聴いて。意見が聞きたい」
「あっはい。リョウさんの新曲、聴かせていただきます…!
」
「ぼっちならこの曲にどんな歌詞をつけるか。そういうのを聞きたい。暗く聞こえる?明るく聞こえる?」
「…えっと。最初の方暗くて、サビになるにつれて明るくなっていくように聞こえますね…。悲しみに踏ん切りをつけるような。わたしならそんな歌詞をつけますかね…」
さすがぼっち。わたしの聞きたいことを的確に理解して解答してくれる。後ろでは郁代と虹夏がおおー!と歓声を上げている
「ならこの曲はグルーミーグッドバイにしようかな。悲しみにさよなら。みたいな感じで」
「あっいいですね…!カッコいい…!」
2人して顔を見合わせて。にへーっと笑う。やっと。肩の荷が下りた。そんな気がした。
「2人の間にある見えない絆…!わたしには決して入り込めない聖域…!」
「喜多ちゃん落ち着いて!!あれは生みの苦しみを知ってる者同士にしか生まれない絆なの!」
「いやー!だったらわたしは虹夏先輩と契ります!」
「なにを!?」
「なにをわちゃわちゃやってるの。2人とも。ありがとう。曲なんとかなりそう」
「うん!リョウもいい顔になってよかった!」
虹夏からそう返される。しかし今度はぼっちが青い顔。
「わ、わたし…!こんないい曲に歌詞つけられるんでしょうか…!?リョウさんの曲先行なんてただでさえ初めてなのに…あわあわあわあわ…!ぶくぶく…!」
「ぼっちちゃーん!?大変だ!ぼっちちゃんが蟹みたいに!」
「安心してお腹空いてきた。今日はみんなでぼっちガニつつこう。鍋にして」
「食べてたまるか!ぼっちちゃん復活して!リョウに食べられちゃうよ!」
「きゃー!わたしリョウ先輩になら食べられたいわー!!」
…いざSTARRYの扉を開けると。山田リョウが泡吹くゴッチを鍋に入れようとしてるのを虹夏先輩が必死に防いでいた。
いやなにこれ!!
「おう遥。来たか。早速だがあれなんとかしてくれ」
「いや店長。状況を説明してくださいよ。なにを止めていいか分からんす」
「今STARRYは深刻なツッコミ不足だ。ふだんツッコミに回ってる虹夏だが、手に余ってきてる」
「見りゃ分かりますがな。店長もツッコミに回ったらいいじゃないですか」
「めんどくさい」
「ええ〜」
「PA。行け」
「やですよぉ〜あんなピチピチした中にまじったら若返っちゃいます♡」
「いいことしかないじゃん」
「いや〜そもそもわたしツッコミじゃないですし…」
PAさんにまで人事が及ぶとは。人材不足はホントらしいな。取り敢えず。
「虹夏先輩!助太刀しますよ誰を止めればいいですか?」
「青木くん!ゴメン喜多ちゃんとバカリョウの悪乗りコンビを止めて!このままじゃぼっちちゃんが食べられちゃう!」
後半がちと分からんが了解しました!
「させるか山田ぁ!!おりゃあ!!」
「むっ遥!待て!ぼっちを返せ!」
「待てと言われて待つバカがいるかよ!ゴッチ!大丈夫か!?」
「あ、ありがとうございます青木くん…!蟹として食べられちゃうとこでした…!」
「いや全くわかんないけど!虹夏先輩!助けましたよ!」
「よしっ!オッケー!リョウ!このバカ一旦落ち着け!ぼっちちゃんは蟹じゃないよ!確かに泡吹いてたけど!」
「むう〜ん!む?た、確かにこれはただのぼっち…蟹は?」
「いねーんだよ最初から!」
「そしたらリョウ先輩…!わたしを!食べて!」きたーん!!
「だー!もういい!!」
お疲れ様です虹夏先輩…!お労しや…!
「んで?なんで泡吹く事態になったのさ?」
「あ、あれ…?なんででしたっけ?」
おい。
「ぼっちあれだよ。グルーミーグッドバイの作詞」
「ああ〜!そうでしたわたしごときにあんな良曲の作詞なんかできるわけぇ〜!!」ぶくぶく
「無限ループはさせんぞ。なんだリョウ先輩。曲できたんですか」
「ああそうだった。遥も聴いて。感想頂戴」
「ふむう…分かりました。つまりゴッチは作詞に悩んでいると。そしたら解決策もリョウ先輩と一緒ですよ」
「わたしと?」
曲を聴きながら提案する。要はだ。一人でやると限界あるからみんなで作ればいいんですよ。
「なるほど」
「リョウ先輩。かっけえですこの曲。今まで至上1番じゃないすか?自信持ってください。作曲の天才!」
「…!!遥に言われんのが1番嬉しい〜!よし!出来たぞグルーミーグッドバイ!あとはぼっちの作詞のみ!」
「リョウリョウ。喜んでるとこ悪いけどさっきのわたしと同じミス犯してる。ぼっちちゃんのこと追い込んじゃってるから」
「はっしまった!?大丈夫かぼっち!」
「あ、あうう…!どおしよおー!明日から学校だしいいことなにもないよ〜!」
「ひとりちゃん大丈夫よ!ここはみんなで考えましょ!みんなで相談して作れば進捗も早いはずよ!」
「い、郁代ちゃん…!」
「そうだね!基本的な舵取りはぼっちちゃんにしてもらってこの作詞は共作ってことにしよっか?」
と虹夏ちゃん。するとリョウ先輩が。
「うむ。今回はわたしも難産でみんなの手を借りちゃったし今回は結束バンド全員で案を出し合おう。なにもひとりでやらなきゃならない!みたいなルールはないし」
「み、みなさん…!」
「大まかな感じは決まってんの?」
「あっ青木くん…。はい、最初は暗くて、だんだんサビに向かって明るくなる!みたいな感じにしたいんですけど…」
「そしたらさ。今までのゴッチの遍歴を歌詞にしてみたら?最初暗くてさ。虹夏先輩にあってリョウ先輩にあって。喜多さん引き止めて結束バンドとしてスタートして。去年1年色々あったでしょう。押し入れに閉じ籠もってたときと今。比較して歌詞書いてみたらいいよ」
「…!すごくイメージしやすいです!あ、青木くん凄い!」
「ふっ…。褒めるな褒めるな」
「やるね遥。結束バンドの総決算的な曲になるわけか。グルーミーグッドバイの歌詞にふさわしいよ」
「…最初、ぼっちちゃんと青木くんを見つけたとき、ほんとにホッとした。ああ…これでライブできるって。それから音合わせしてライブしてここまで転がってきて…こんな感じ?」
「あっいいです虹夏ちゃん…!もっと!もっとそういうのください!」
「はじめてのギター。まったく弾けなくて怖くなって逃げちゃって…。でも。それでいいってひとりちゃん言ってくれたの。わたしも最初逃げたから。ギターの腕なんかあとから付いてくるからやめないで!って。わたし。嬉しかったなぁ…
あと。青木くん。いい機会だから言わせてもらうわね」
「うん?なんだい喜多さん?」
「ありがとう。わたしを引き止めてくれて」
「引き止めたのはゴッチだろ?俺は時間稼ぎしただけ」
「違うのよ。わたしをその場に引き止めたのはあなたの言葉。君はロックをやるべきだって。あの言葉」
「何度あの言葉に助けられたか分からないわ。悴みそうに。凍えそうになるたびいつも胸の中を温めてくれた。わたしはロックをやっていいんだ。みんなといてもいいんだって。そう思えた!」
「…あの日逃げ出さなかったギターよ。あなたはもうどんな場面に出会っても決して逃げ出すことはないだろう。どんなに小さな灯火でもそれを薪にして立ち向かっていけるはずだ。凄いぜ。結束バンドのギターボーカル!」
「…ありがとう青木遥くん。言葉をくれて。そう。わたしはもう逃げない!ロックから!バンドからみんなから!わたし!頑張るね!」
「その意気だぜ喜多さん!」
「いや。熱い!熱すぎるよお2人さん!今の感じだけで明るい部分全部イケるでしょ!!」
「ゔゔゔ〜っ!郁代ちゃんと青木くんの間にそんな感動エピソードがあったなんてぇ〜!明るい部分に採用させていただきます…!」
「ひとりちゃん!わたしはひとりちゃんにも感謝してます!」
「うえっ!?わたし!?わたしですか!?」
「あなたはわたしに、わたしが練習してきた日々が無駄になるのが嫌だって!そう言ってくれたの!なんて優しい子なんだろうと。この子の思いに報いなきゃいけないと。そう思ったわ。だからね…」
「い、郁代ちゃん…?」
「今回のぽいずんヤミ事件はマジでめちゃ許せんよなぁー!!」
「ヤッベ。虹夏。回り込んで。郁代を止めないと」
「ストップ喜多ちゃん!女子高生がしちゃいけない顔してるよ!」
「わたしのことはいい!何を言ってもらっても!音楽舐めてるとかちゃらついてるとか!無駄に化粧水のCMばっかしやがって人気女優気取りかとか!」
「喜多ちゃん落ち着いて!そこまでは言われてない多分!」
「郁代の闇が暴走している…!」
「だからね!わたし今回頑張る!絶対ヤミさんに認めてもらうんだから!多分あの人わたし見てガチじゃないって言ったんだ!1番舐められちゃったわたしが責任持ってこの借りは返します!」
「喜多さんがここまで並々ならない覚悟を未確認ライオットに持っていたとは…!」
「い、郁代ちゃん!ありがとう!わたしのために怒ってくれて。でも!わたしも同じ!わたしも郁代ちゃんを!みんなをバカにされて怒ったんだ!だから!わたしもおんなじ気持ち!全員で獲りにいこう!未確認ライオット!」
「ひとりちゃん…!うん!」
「美しいねぇ〜お姉さん涙出ちゃうよ〜」
「虹夏。虹夏。浸ってるとこ悪いんだけど肝心の歌詞が一向に進んでない」
「あっやべ」
「まあ〜いいんじゃないすか〜?だって締め切りまだ先ですし。使えそうな節だけメモっといて続きは明日でも」
「青木くん…。うん。そだね。よし。みんな!今日この辺にしてまた明日頑張ろう!みんな今日は慰安会としてうちでご飯食べてく!?」
「イエーイ虹夏の手料理イエーイ!」
「ほ、ホントですか!?虹夏ちゃんの手料理!」
「きゃー!虹夏先輩手伝いますよ!」
「喜多ちゃんありがとっ!任しといて!腕によりをかけるから!」
…ふっ。みなさん仲がよろしいですな。さて俺は帰って…
「遥。お前も泊まってけよ飯なら作ってやっから」
…店長。そう言って俺を実験台にするつもりでしょう?そうはさせませんよ。
「ならわたしが食べます!店長の手料理!」
「ぬわっ!PAさんがまさかの参戦!」
「おいおい人気あるなぁ〜わたしの手料理〜」
都合のいい耳しやがって。何度目かのお泊まり会が決まった仲良し結束バンドの夜は更けていく。なんか事あるごとに泊まってない!?
てゆーかさ。明日学校なの皆さん忘れてない?ああでもダメだ。俺には出来ねぇ。あのゴッチの楽しそうな笑顔が曇るとこなんかみたくねぇ!…いつ気付くかな?少し、楽しみでもあるな。
明日学校だと気付いた時のぼっちはムンクの叫びになりました。彼女の叫びはとても遠くまで響き渡ったそうです。虹夏ちゃんちで洗濯などはしてもらいどうにか事なきを得たようです。ぼっちちゃんはそれとは関係なく学校には行きたくありませんでしたが。