かくれんぼじゃなかったけど。指に止まるのは遅くなかったみたい。夢だったんだ。みんなと遊ぶの。
「え〜皆さん。お忙しい中。作戦会議に集まっていただきありがとうございます」
「もったいつけんなよ遥。要件はなんでい?」
少し出し惜しんでみた所、リョウ先輩にこうたしなめられる。くそ。もう少し楽しみたいのに。
「んでも。ほんとな〜に〜?なんかイキナリ呼び出されて。緊急案件だとか?」
「ねっ虹夏先輩!わかんないですよね!?」
まあね。そりゃそうだ。俺も偶然だ。さっき知っちゃった。そして、意外と事は待ったなしである。
「皆さんさ…。ゴッチの誕生日って…知ってる?」
「「えっ!?」」
「不穏なことを聞いてくるね遥。まさか…近いの?」
「はい。もう三日後」
「えええ!?嘘!?そんな事!ぼっちちゃん一言も!」
「…言いづらかったんでしょうか。わたしたちには。…もう!何が仲良しよ!何が気の置けない仲間よ!こんなことにさえ気を遣っておいて!」
「まあ各々。言いたいことは多々あろうが。迫ってきちまってるのは事実。そして。我々にできることは唯一つ。盛大に祝ってやろうじゃねえか。STARRYすら。お店すら巻き込んで!」
「おっしゃ!!合点遥!!」
「むむむむぼっちちゃんめ!誕生日教えてくれなかった説教は後でキッチリするとして、今は…!祝ってやる!!」
「わたしも説教したいです!!ですがその前に!!パーティーです!!わたしたちのギターヒーローの生誕祭だ!!しばき回してくどくど説教するのもその後!!」
「んでも。どうやって知ったの青木くん。わたしですら知らないよ?ぼっちちゃんの誕生日」
「美智代さんから教えてもらいました。ロインで。なんか世間話してたら…。そういえばみたいな」
「お母さんかー!そりゃ盲点だわ」
「えっなになに!?何きっかけで喋ってたの青木くん!!」
「喜多さんそんな興味ある?なんかあれだよ最近美智代さん結束バンドの宣伝してくれてるんですって。そしたらそういえばみんなはゴッチの誕生日知ってるのかなと気になったんですって。シックスセンスですよねぇ」
「お母さんすげえ!!まさにわたしたちが欲しかった情報じゃん!まだぎり間に合うし!」
「三日後ですね!?分かりました、パーティーの用意してプレゼント準備してサプライズ考えて…!キャー!忙しくなるわよー!!」
気合を入れる喜多さん。確かに誕生日教えてくれないのは水臭いがなんか俺にはゴッチの気持ちも理解できてしまうのだ。
よく考えればそんなはずないのに、なぜか遠慮みたいな。変な感覚が全身を支配する。
別にこんな情報知りたくねえんじゃねーかなーみたいな。得体のしれないネガティブ。話してみりゃそんなはずないのに。
大体、喜多さんやら虹夏先輩やら。そんな事言う訳ねえじゃんかゴッチ!そして俺!
今回はそんなネガティブすら景気良く吹っ飛ばしてやろう!ゴッチ!お前は誕生日を祝われるに値する人物だ!!
「でもふたりとも!バレちゃダメだよ。まだ3日あるからね。不自然な動きしてぼっちちゃんにバレたら台無しパーティだからね!」
虹夏先輩は秀華高校生の俺達に釘を刺す。うっ…!ヤバい。そういうのちょっと苦手かも…!楽しいことが待ってるのにそれをまるでないことかのように…!やったことねぇ!
「そんなヘマはしませんよ虹夏先輩!青木くん!大丈夫よね!」
「すまんなんか不安だ喜多さん!なんか今の俺じゃゴッチにすら見破られちゃいそう!」
「ひとりちゃんにまで見破られたらいよいよよ青木くん!頑張ってよ!危なそうならわたしもフォローするから!」
うん!が、頑張る!そう決意を新たにしていると。
「なんか面白そうなこと相談してるじゃん。一枚噛ませろ」
「今度はぼっちちゃんの誕生日か〜!わたしにも祝わせて〜!」
大人組の参戦である。ゴッチは大人から凄い可愛がられてるよな。
「PA。取り敢えずミルカリに桜の花びらの模型みたいなの売ってただろ。あれ4,000枚ほど買っとけ」
「STARRY埋め尽くす気ですか店長」
「ばっかお前。ぼっちちゃんの誕生日だよ?盛大に行かないでどうすんだよ。取り敢えずそれは紙吹雪代わりよ。主役を盛り上げるためのな!」
「む〜。先輩はぼっちちゃんには特に甘い。…ちょっとジェラシー」
「キモいこと言うなよ…。分かったよお前の誕生日もきっちり祝ってやるから」
「…んふふ〜。先輩好き〜」
「いいから廣井。お前もなんか案出せ!ぼっちちゃんが感激して泣くやつ!」
「よ〜し任せろ〜!盛大に!祝い倒してやろう!!」
かくして大人組の協力と場所の確保も同時に成立したわけだ。チョロすぎて笑えてくる。根回しもクソもないな!
「遥〜。バレんなよお前〜、恥ずかしいからな。ぼっちにバレるとか」
「うっ…。リョウ先輩。大丈夫ですよ。見事隠しきってみせます」
「なんかいつもの根拠のない自信に満ちあふれてる感じじゃないよねぇ?…ま、いいけど?」
「大丈夫だよ青木くん!普通にしてればあの鈍感ぼっちちゃん!バレやしないって!」
2人の先輩に揃って心配される。どうやらこの作戦。意外と俺がキーだ。ちくしょう、ゴッチごときに見破られてたまるか!!
あ、どうも…。ぼっちちゃんこと後藤ひとりです。た、ただいま学校なのですが、なにやら同級生の様子が変なのです…。わ、わたしに隠し事?ひいい…。怖い!
今は放課後。わたしはもはや日課になってしまった郁代ちゃんへのギター教室を開講している。
「あ、郁代ちゃん…。ここの弦の押さえ方はこうのほうが…」
「ぴっ!ううううんひとりちゃん!や、やってみる!」
やっぱり。なんかおかしいな郁代ちゃん。意外と分かりやすい。
なんか…地に足ついてない。浮ついているというか…。言いにくいことを隠してるみたいな感じではないから放置してるけど…。
何か悩みなら。…わたしにも相談してほしい。郁代ちゃんにはいっぱい助けてもらったし。少しでも返したいのだ。
「…ねぇ。郁代ちゃん?」
「は、はい!ひとりちゃん!」
「…なんか、隠してない?」ジトー
「いえ!?全然!?なんにも!?」
「ふーん」ジトー
き、貴重なジト目のひとりちゃん!い、いや!こんな事考えてる場合じゃないわ!なぜバレかかっているの!?そういえば青木くんが言ってた…!!
(気を付けろよ喜多さん。ゴッチはマジで、意外と鋭いぞ。舐めてるとバレるかも)
ほ、ホントだ意外と鋭い!どうにかごまかさなくちゃ!
「なんでもないわひとりちゃん!ちょっと今更8番出口やって寝不足なだけよ!」
「あっ8番出口…!怖い…!おじさん怖い…!」
ふうっ!何とか話題を反らせたわ。あのゲームは怖いわよねひとりちゃん。
…いつか一緒にやりたい。怖がってるひとりちゃんを愛でたい…!
はっ!また邪念が!…それにしても。なんで誕生日わたしたちに教えてくれないのかしら。遠慮?ホントにそれだけ?
「……………」
な〜んか。やっぱりおかしいな。郁代ちゃん。大方は普段通りなんだけど…。
「あ、青木くん。青木くん」ぼちぼち
「ん?なんだゴッチ。珍しいなそっちからとは」
「な、なんか…郁代ちゃん…喜多ちゃんの様子がおかしくて…。な、何か知ってる?」
喜多さんめしくったな。
「いや?知らないな。変なもんでも拾い食いしたんじゃね〜のかあはは〜…」
「…………」ジトー
やはり変に鋭いよなゴッチ。割とよく見てるんだよ周りを。だが。勘付かれるわけにはいかない。まだ日付がある。
「ふむ…。どんな感じに変なん?喜多さんは」
「え。え〜と。なんか、違和感…。いつもより地に足ついてない感じというか…。浮かれてるというか…。祝い事があるみたいな…」
正確に見抜かれてるぞ喜多さんよ。俺よりダメじゃね!?やはり冷静であること。これが美徳よ。この俺はそう簡単にはイカンぞ!ゴッチ!
「祭りでもあるんじゃね?この辺のお祭り。俺は知らんけど」
「…う〜ん。そんな感じ…かなぁ?」
「いや分からんけど…。特に事情とかは知らないな?」
「…わ、わかった。ありがとう」
ふぅ!何とか誤魔化したか。やっぱ鋭いコイツ。侮ってるとリョウ先輩や虹夏先輩も見破られるぞマジ。STARRY関連で素知らぬ顔でゴッチ誤魔化せそうなのPAさんぐらいしか思い付かんな。
…や、やっぱり。なんか青木くんもおかしいな…。歯切れが悪い。郁代ちゃんよりかは分かりにくいけど…。お祭り…。祝い事…。まさか。…まさかだよね。…だって誰にも言ってないもん。誰も。知りたいはずなんかないもん。…わたしの。誕生日なんて。
「あ〜!あっぶねぇ!マジヒヤッとした!」
「ほんとねー!ひとりちゃん意外と鋭いわー!」
「だから言ったじゃん喜多さん!あいつ意外に鋭いんよ!気が抜けない任務だぜ!」
「そうね。油断はしないほうがいいかも。…でもわたしホントは隠さないでいいと思ってるけどね」
「まあね。多分ゴッチは自分の誕生日にそんなに価値を感じてないんだよ」
「…どういう事?」
「顔怖いよ喜多さん。陰の者特有の思考でね。異様に自己評価が低くて、周りの友達が思うほど自分に価値を見出してないの。俺もたまにあるからよく分かる」
「もしそうなんだとしたらコンコンと説教ね。全く全く!大人しく祝われればいいのよ!」
「まったくだ。面倒だよな。そこも合わせて、ゴッチの魅力じゃない?」
「う〜ん。わたしはそこはいずれ改善してほしいわね…。まあ、それ込みでも誕生日祝いたいぐらいにはひとりちゃんは魅力的ってのはわかるわ!」
まあ、もとは遠慮に似た感情なんだろな。それがぼっち特有の拗れ価値観でネジ曲がり続けた結果、よく分からんオリジナルネガティブ感情になっちゃったと。まあ喜多さんの言う通りなのだ。…というわけでゴッチ。とっとと祝われろ。大人しくな。
あっという間に3日過ぎ。誕生日当日だ。さてと!段取り通りに進めるぜ?喜多さん!
「合点青木くん。女優喜多郁代。本気で参る」
なんかノリノリね。
ゴッチの教室の前に立つ。いつものようにゴッチを拐かす。最近はクラスの人も慣れたもんで、またか。みたいな目で見られるようになった。
「ゴッチ!!いるか!!」すぱーん!!
「ひゃ、ひゃい!」
「いたな!行くぞ!STARRYに!」
「わ、分かりました!」
「そしたら一緒に喜多さんを迎えに行くぞ!」
「は、はい!」
仲いいなぁ。クラスメイトのひとりはそう思った。
「喜多さん!行くぞ!」
「来たわね青木くん!準備は、万端よ!」
「郁代ちゃん!こ、こんにちわ!」
「ひとりちゃんこんにちわ!さあ!STARRYへレッツラゴー!!」
嵐のようなスピード。このわたしがツッコミすら追いつかんかったわ。佐々木次子はそうひとりごちた。
「な、なんか今日は2人ともテンション高いですね…、お、お祝いごとですか?な、なんて…へへ」
「ああ!そうだぜ!特大の!お祝いごとだぜ!!」
「もはや隠さなくていいものね青木くん!今まで地味にストレスだったわー!」
「えっえっ…!?ま、まさか…!」
「いーから来いゴッチ!!本日の主役!!」
「ここまできたら成功同然!!ほらこれ掛けてひとりちゃん!本日の主役タスキ!!」
絶妙に浮かれたタスキをゴッチに掛けてやりながら、STARRYへと急ぐ。準備万端なはずのパーティ会場に、さあ主役の登場だぜ!
場所は移りSTARRY!扉を開け放ちゴッチと喜多さんを先に放り込む!
「またせたなレディース・アンド・ジェントルメン!!本日の主役の到着だ!!もてなしてやれい!!」
「えっあっえっあ!?」
「ぼっちちゃんおめでとー!!16回目の誕生日!!」
「オラくらえぼっち!!店長謹製花吹雪!!」
わっさわっさと花咲か爺さんのごとくリョウ先輩が花びらを舞わせる!ちなみに花びらは店長のセンスで桜の花びらだ。いわく、ぼっちちゃんに似合うから。だそうだ。
「えっ…。えっ?」
「ここまできて察し悪すぎだろ、本日の主役」
バシッとゴッチの背中を叩く。
「君のためのパーティよ!ひとりちゃん!存分に祝われちゃえばいいわ!」
「な、なん、なんで?」
この期に及んでノリが悪いな。無駄なことには察しがいいくせによ。
「美智代さんが教えてくれたんだよ。この日がゴッチの誕生日だよって!」
「あ、お母さん…。もうっ!も、もうっ!」
「なにがもうだ。取り敢えずここにいるパーティの参加者はみんな美智代さんに感謝してるぞ?ゴッチが誕生日教えてくれないから!」
「ほんとよ!ひとりちゃん!なんで教えてくれないのよ!」
「えっ…。だって、わたしの誕生日なんて誰も興味ない…」
「目の前の光景でそれは違うって分からない?少なくともここにいるみんなはゴッチの誕生日祝いたいんだぜ?」
「えっそんな…え?」
「ほら。見てみろみんないるから!」
青木くんにそう促されわたしはSTARRYの中に視線を回してみる。
「やっぽ〜ぼっちちゃ〜ん!お姉さんだよ〜!誕プレもあるから楽しみにしててね〜!」
あ、お姉さん…!た、たんぷれ…!
「ぼっちちゃん!あんまおいしくないかもだけど、頑張って唐揚げ揚げてみたんだ!食べてくれたら嬉しいな!」
て、店長さん!
「後藤さんはいつも頑張ってますよね〜。偉いですよ〜」ナデナデ。
わ、わあ…!PAさんに頭撫でてもらった…!
「おいコラ。抜け駆けはなしだろPA」
「ホントだよPAさん。1人だけズルいよ!」
「ふふふ。一歩リードですねぇ」
なんだろう…!みんなすごく優しい…!あっ虹夏ちゃん!リョウ先輩!
「ふふふ、今日はお誕生日おめでとうぼっちちゃん!ささやかだけど祝わせて!」
「ぼっちおめでとう。さすがに今日は主役を譲るよ。千両役者!」
う、うう…!
「…?ぼ、ぼっちちゃん…?」
「あれ!?大丈夫かぼっち!?お腹でも痛いか?」
「わ、わたしに、こんなわたしにこんな素敵なことが、起こってもいいのかなぁ!?こ、こんなわたしに!」
「自分の評価が低すぎんだって、ゴッチ。今日はいろんなネガティブ置いといて、大人しく祝われちまいな!」
あ、青木くん!
「そろそろ香る梅の香りも。寒さの険がなくなってきた風も!何の添え物にもならないくらいの素晴らしい日!おめでとうひとりちゃん!わたしたちのギターヒーロー!」
郁代ちゃん!!う、うう〜!!
「こんなわたしに、なんて言うじゃん、ゴッチ。お前だからだと思うよ。きっと。みんなが祝いたいのは。…自信持て。ほれ、楽しんできなよ」
ぽんっと背を押し、ゴッチを送り出す。
「ようこそぼっちちゃん!ケーキから行く!?それともお姉ちゃん謹製唐揚げからにする!?」
「饗させろぼっち。情けとは人の為ならず」
「う、うわあああ〜!!あ、ありがどうございばずにじがぢゃん!!りょうぜんばい〜!!」
「号泣だ」
「号泣だな。ぼっち。どうどう」
ほらなゴッチ。今日はお前は主役だぜ?お前いなけりゃ始まらないぜ?
「遥…。ナイス。いい働きだった」
「店長。いえそちらこそ。滅茶苦茶料理うまくなりましたね。最初の唐揚げと比べますと格段の進歩だ」
「ほ、ホントか!?ぼっちちゃん美味しいって言ってくれるかな!?」
「ゴッチは多分店長の最初の唐揚げでも美味しいって心の底から言いますよ。そういうヤツです」
「で、でんぢょおざん!!がらあげ!めちゃぐぢゃおいじいでずぅ〜!!」
「ですとよ。店長」
「…泣けてくるぜ。頑張ってよかった…。虹夏に頭下げた甲斐もあったってもんだよな!」
「いや〜なんかぼっちちゃんはさ〜甘やかしたくなるんだよね〜人徳ってやつなのかな〜」
にへらへらと、上機嫌な赤ら顔。廣井の姉御だ。
「わかります〜。なんか常に方向違いに頑張ってるから見てて飽きないんですよね〜」
PAさんにまで可愛がられるとは…。やさぐれ三銃士コンプリートじゃねーか。恐ろしい…!
「あんなに普段はビクビクおどおど。怖がって自分以外にばっかり気を遣って。でもいざ本番になったら普段からの練習のお陰で土壇場でも頼りになって…!なんか応援したくなるんだよぼっちちゃんて」
姉御の言葉に店長が反応する。
「分かるわ。なんか甘やかすのはよくないって。そういう自分は居るんだよ。でもさ。頑張ってるんだもん本当に。あんな子なのにさ。引っ込み思案でいつも下向いてて。あんな子がステージに立とうってんだ。生半可な覚悟じゃねえよな。大したもんだよホント」
軒並み高評価だな。羨ましい。そんなゴッチだから。やっぱりみんな誕生日祝いたいんだよな。…よかったなぁゴッチ。
「み、皆さん!!」
声と一緒に全員の視線が集まる。本日の主役に。
「あ、ありがとう!本当にありがとうございます!!ま、まさか、わたしにこんな素敵なことが起こるなんて、信じ、られなくてぇ…!うう〜」
言葉の途中で感情が溢れる。ゆっくり言いなよ。今日ばかりは誰も逃げないさ。
「きょう、こ、この時が!ほ、ホントに絵空事みたいです。あ、ありがとう!ほ、ホントにありがとうございます!」
「ぼっちちゃん!何度でも!やろうね!!」
「…え…」
「何度でも!わたしの自慢の友達が!一つ年を取って素敵になるたび!何度でも祝うから!!ぼっちちゃん!来てね!何度でもやろうね!!」
「うう〜!にじがぢゃん〜!!」
凄まじいカウンター。ゴッチを一撃で沈めた…!
「こないだぼっちちゃんたちが歌ってくれた歌じゃないけどさ。一部をお返しするよぼっちちゃん。…生まれてきてくれてありがとう、だ!」
「でんぢょおざん〜!!」
「ぼっち。今日は施してやる。情けとは人にかけるものじゃない。わたしの誕生日、期待してるぜ?」
「リョウ先輩〜!」
「あれ!?なんか冷静になってないぼっち!?」
「うええ!?」
リョウ先輩が落ち要員か…。仕方ないか。
「ひとりちゃん!!」
「郁代ちゃん!」
「…誰かが言ってたのよ。ひとりちゃんは自己評価が異様に低くて、あまり自分のことを評価できないって。…どう?これでも、自己評価は低いままかしら?」
「うう…。ありがとう。皆さんのおかげで、わたしの誕生日にも、価値があるって!思えるようになりました!」
「それはなによりよ!あなたを祝いたい人は!あなたに助けてもらった人は!あなたが思うよりきっといっぱいいるわ!それを忘れないで!!」
「郁代ちゃん…!」
うん。尊いね。仲良しだねここは安定して。
「オラオラ!まだ宴は始まったばかりだぜ!?廣井おら酒持ってこい!そこのドリンクバーから!」
「いい〜んですか先輩〜!」
「大丈夫今日は営業休みだ!こんな日に営業してられるか!ぶっ潰れるまで飲んで騒げ!!」
「わたしが言うのもなんですがSTARRYの営業が不安ですね〜♡」
「お姉ちゃんありがとう!!ほらぼっちちゃん!派手にいこう派手に!」
「うわわわわ虹夏ちゃん…!!」
「うは。店長の大盤振る舞い…凄い」
「きゃー!ミッドナイトカーニバルよー!!」
今日は素晴らしい日だ。少し引っ込み思案な我が友人が、どれだけ他の人から大事にされてるか。それを確認できた日だ。なにより。なによりゴッチがそれを知れたのが良かっただろう。今日はどんなに楽しんでも誰からも怒られないぜゴッチ。なぜなら今日は君の為にあるからだ!ハッピーバースデーゴッチ!!ほんとよかったな!!
見つからないと思ってたもの。もう手に入らないと諦めていたもの。もう1回探してみて。意外にも足元にでも落ちてたりするもんだよ。