ダンジョンに強すぎる冒険者がいるのは間違っているだろうか   作:マイペースライター

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はい、読者様こんばんは!
本日も深夜の投稿になります。
良い子は寝ながら読んでいきましょ〜()




試し斬り

「まずはこれを試して貰おうか」

 

「はい!」

 

エルは緊張を抱えつつも、椿の選んだ一振りの剣を手に取った。

その剣は重厚ながらもバランスが良く、振るうごとに手に馴染むような感覚があった。

エルは剣を構え、椿の指示に従って周囲を警戒する。

 

最初に姿を現したのは、複数のゴブリンだった。彼らは甲高い声を上げ、エルに向かって一直線に襲いかかってきた。

その小柄な体躯ながら、素早く左右に動いてエルの注意を散らそうとする。

彼らは俊敏な動きで手にした短剣を振り回し、エルの周囲を取り囲んで隙を突こうとしていた。

 

エルはまず正面のゴブリンに狙いを定めると、剣を一閃させた。

剣は鋭く、ゴブリンの胸元を深々と切り裂き、そのまま後ろの壁まで吹き飛ばした。

倒れたゴブリンが魔石を残し灰になるのを尻目に、残った二体が同時に襲いかかってくる。

エルは右手で一体の腕を掴み短剣を防ぎ、素早く体を回転させることでもう一体の攻撃をかわしながら、斜めに剣を振り抜いた。

刃はまるで風を切るように軽やかに、二体目のゴブリンの首元を正確に貫いた。

 

椿がその様子を見て、楽しげに笑う。

「なかなかの動きだな、エル。片手用の剣にしては重い作りであった故失敗だと思ったのだが…。次は、もう少し重たい武器を試してみるか?」

 

エルは剣を収め、椿から大きな戦斧を手渡された。

その瞬間、背後から異様な音が響いた。

振り返ると、次に現れたのはフロッグ・シューター。

背中に膨れ上がる袋を備え、ぬるりとした体から酸を放つ特徴的なモンスターだ。

 

フロッグ・シューターが口を開けると、酸のような液体が飛び出してきた。

エルは素早く横に飛び退き、斧を構え直した。

酸は地面に当たると煙を上げ、石床を溶かしていく。

 

「お主、その酸には気をつけろよ。本当にレベル1であるなら、まともに当たれば一発貰えば骨まで持っていかれるぞ!」

 

椿の警告を聞き、エルは集中を研ぎ澄ませた。

フロッグ・シューターが再び酸を吐き出す瞬間を見計らい、地面を蹴って一気に距離を詰めた。

重たい斧を振り下ろすと、フロッグ・シューターの頭部に直撃し、そのまま床へ叩きつけられた。破裂音と共に、体液が飛び散り、モンスターはそのまま絶命した。

初めて相手にしたモンスター出会ったが、エイナからの情報と、椿から貸し与えられた武器の性能で難なく討伐することが出来た。

 

そして次に現れたのはコボルト。

彼らはゴブリンとは異なり、素早さと力強さを兼ね備えた犬のような体格をしており、エルを見つけるやいなや、低い姿勢で地面を四足で走りながら牙を剥いて突進してくる。

エルは斧を構え直し、突進するコボルトを冷静に見定めた。

 

一体目のコボルトが跳びかかる寸前、エルは重たい斧を地面から横薙ぎに振り、コボルトの脇腹を捉えた。

衝撃でコボルトの体が宙を舞い、壁に叩きつけられて崩れ落ちた。

 

「そらっ!次はこいつで戦って見せよ!」

 

続いて、椿が槍をエルに手渡した。

その長い柄と鋭い刃先に手馴染みを感じながら構えると、視界に巨大な影が迫ってきた。

次に出現したのはダンジョン・リザードと呼ばれるモンスターだった。分厚い鱗に覆われたその体は見た目通り防御力が高く、鋭い爪と尻尾で攻撃を仕掛けてくる。

 

「そいつは爪と尾が初心者には少し厳しい手合だ。警戒を怠るんじゃないぞエル」

 

椿の忠告を心に留め、エルは間合いを保ちながら槍を構えた。

ダンジョン・リザードが爪を振り下ろしてきた瞬間、エルは槍を回しながら受け流し、カウンターで喉元を狙った。

槍の鋭い刃先が鱗の隙間を突き、そのまま深く突き刺さり、ダンジョン・リザードは灰となる。

そして2匹目のダンジョン・リザード現れすぐさま襲いかかってくる。

 

「2匹目…!」

 

エルはすぐに槍を構え直した。

ダンジョン・リザードが怒りの表情で尻尾を振り回すが、エルは軽やかに身を引いて回避し、再び槍を突き出す。

今度は心臓を正確に貫き、ダンジョン・リザードは巨体を揺らしながら地面に崩れ落ちた。

 

椿が満足げにうなずく。

「やはりお主、レベル1とは思えぬな。手前の武器をこれだけ使いこなす者はなかなかおらんぞ」

 

「いえ、まだまだです」

 

エルは軽く息を整えながらも、まだ戦意を絶やさずに次の武器を椿に求める。

 

「ふっ。なら次はこいつを試してくれ」

 

次に渡されたのは戦槌だ。

そのずっしりとした重量感が手に伝わり、これまでの武器とは一味違う破壊力を感じさせる。

エルは戦槌を肩に担ぎ、次の敵を見据えた。

 

そこへ現れたのは再びコボルトの群れ。

彼らはエルを取り囲むように四方八方から一斉に飛びかかってくる。

エルは戦槌を振り上げ、上空から地面に向かって叩きつけた。

その一撃は強烈で、地面が震えるほどの衝撃波が広がり、数匹のコボルトがその場で倒れ込み灰となる。

だが、残ったコボルトたちは執拗にエルに食らいつこうとする。

 

エルは咄嗟に戦槌を横薙ぎに振り抜き、残ったコボルトたちを一掃した。

その様子を見た椿は、ますますエルに興味を抱いたように微笑む。

 

「どうやら、お主はまだ力を隠しているようだな。もしや、本当にレベル1ではないのではないか?」

 

エルは椿の疑問に苦笑しながら首を振る。

「いえ、本当にレベル1なんです。少し特殊ではあると思いますけど」

 

「ふむ、特殊とな。興味深いな」

 

---

 

その後も様々な武器を試し続け、次々と現れるモンスターたちを相手にエルは奮闘を続けた。

そしてついに夜も更け、最後のモンスターを倒したところで、ようやく椿は満足げにうなずいた。

 

「よし、これだけ試せば十分だ。改善点も見つかった。そしてエル、お主には見事な腕前を見せてもらったぞ」

 

エルは息を整え、深く礼をする。

「こちらこそ、ありがとうございました、椿さん。色々な武器を試せてとても勉強になりました」

 

「ふむ、それなら良かった」

 

そして椿はハッと何かを思い出したように言葉を続ける。

 

「おっと、そういえばエルに武器を渡す約束だったな。だが…」

 

「椿さん、どうしたんですか?」

 

悩んでいる様子の椿を不思議に思い声をかけるエル。

 

「うむ。どの武器も使いこなせてはいるのだが、エルが1番力を発揮できていた武器、というのが無かった気がしてな」

 

確かに、椿の打った武器はどれも素晴らしいもので、とても扱い方易いものではあった。

だが、武器の性能は別として、エルが使う、という点から見れば、どの武器も対して変わらないのだ。

 

「確かに、性能はどれも凄かったけど、いつも以上に力を出せたと感じるものはありませんでしたけど…」

 

そのエルの言葉に頷く椿。

そしてしばらく悩んだ末、口を開く。

 

「お主には出した条件以上のものを見せてもらったからな…。少し時間をくれ。お前に見合う武器を作ってみせよう」

 

その言葉にエルは驚く。

 

「え…!まさか新しく作るんですか!?」

 

そのエルの問いかけに対し、にかっと笑いながら答える椿。

 

「そうだ。エルの戦いぶりを見て創作意欲も刺激されたことだしな。今晩早速作業に取り掛かろうと思っておる」

 

「そんなの悪いですって!先程の武器でも性能は十分でしたし…」

 

「認めた者に失敗作など持たせられんよ。そうだな…4日だ。4日後またバベルの前に来てくれ。」

 

「えぇ…。」

 

「もちろん、来てくれるな?エル」

 

椿の圧に、エルは、これはもうどうしようもないと諦め肩を落としつつ頷く。

 

「はい…。わかりました」

 

「うむ!では地上に戻ろう!」

 

こうして、その日の深夜まで続いた椿の試作品の試し斬りが終わりを迎えるのだった。




そういえば、今回でついに10話になりました!ぱちぱちぱちー!
今後もマイペースに時間気にせず投稿していくので、マイペースにお付き合いくださいね〜
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