ダンジョンに強すぎる冒険者がいるのは間違っているだろうか   作:マイペースライター

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読者様おはようございます!
ついにお気に入りが200を突破したということで、ありがとうございます。
今後もマイペースに投稿していくのでよろしくお願いします〜


Lv1の中で

 

エルは朝の薄明かりが差し込む部屋で目を覚ました。

準備を整え、アフロディーテのいる居間へと向かうと、彼女は今日もふくれっ面でソファに座っていた。いつもは朝から気品ある微笑みでエルを送り出してくれるのに、今日は無言で視線をそらしている。

 

「おはようございます、アフロディーテ様…」

 

エルが恐る恐る声をかけるが、返事はない。

拗ねたままの彼女の様子に、エルは昨日のことを思い返して少し胸が重くなる。

悪いことをしてしまったな、と思わずにはいられなかった。

 

「あの、今日は昨日みたいに深く潜らず、早めに帰ってきますから…」

 

そう言って安心させようとするが、アフロディーテは顔をそむけたまま微動だにしない。

彼女のすらりとした腕が頬に添えられ、わざとらしくため息をつく姿を見て、エルは居心地の悪さを感じた。

 

 

それでも、エルが神殿を出ようとする際には後ろから視線を感じ、彼女が一応は見送ってくれていることに感謝しつつ、エルは神殿を後にした。

 

道中、エルの心にはまだ、アフロディーテの拗ねた姿が引っかかっていたが、ダンジョンに入ると集中して今日もダンジョンで戦い抜くことに決意を固めた。

 

 

エルが昨日同様にダンジョンへと向かうと、そこにはカヌゥ達とは別に、見覚えのないパルゥムの少女がいた。

カヌゥ達に連れられた小柄な少女はリリルカ・アーデ、フードで顔を覆い、少し暗い表情でカヌゥたちの背後に身を潜めている。

彼女は、サポーターとしての手腕を期待されているようだった。

 

「今日からこいつが手伝ってくれる。リリルカ・アーデだ」

 

カヌゥが紹介すると、リリルカは控えめに頭を下げる。

エルは少し驚きつつも笑顔を向け、

「よろしくお願いします」

と声をかけた。

 

---

 

ダンジョン探索が始まると、エルの力がいかんなく発揮される。

自信に満ちた構えで次々とモンスターを薙ぎ倒していくエルを見て、カヌゥたちは嬉しそうに笑い、賛辞を送る。

 

「さすがエル、この都市のLv1の中じゃ最強かもしれねぇな!」

 

エルは少し照れくさそうに笑いながらも、その言葉を励みに戦い続ける。

だが、カヌゥたちはさらに稼ぐため、もう少し深層まで進もうと提案してきた。

 

「なぁ、今日はもう少し奥へ行ってみようぜ?きっともっと稼げるに違いねぇ。せっかくサポーターのアーデも連れてきたんだしよ」

 

エルは危険性を考え、一度は断ったものの、

 

「エルなら余裕だろ」

 

「万が一の時は俺たちも全力でサポートするさ」

 

という甘言に乗せられ、つい階層をさらに下がってしまい6階層まで足を踏み入れてしまった。

 

---

 

やがてエルたちの前に、細身で真っ黒な影のようなモンスターが現れる。

それは「新米殺し」とも呼ばれているウォーシャドウだった。

 

「ウォーシャドウか…昨日、椿さんが倒していたやつ…だな」

 

エルは瞬時に、椿が鮮やかにその行動パターンを見極めていた姿を思い出し、冷静に対処する方法を考えた。

ウォーシャドウはスピードがあり、不意を突くような鋭い動きで標的に迫るが、その動きは既に頭の中に入っている。

 

「この動きなら、読める…!」

 

エルはモンスターが襲いかかってくるタイミングを見極め、一閃の刃で首元を狙った。

予測通りに動いてきたウォーシャドウは、刃の一撃で断たれ、そのまま崩れ落ちる。

エルは確信を得たように微笑んだが、そんな彼の強さを目の当たりにして、カヌゥたちはさらに興奮した様子でエルを煽て始める。

 

「やっぱりお前はLv1最強だ!レベル1でウォーシャドウをこんだけあっさり倒す力を持ってる奴なんていねぇぞ!」

 

エルはその言葉に少し嬉しさを感じつつも、やはりこの人数で、非戦闘要員もいるてこれ以上進むのは危険ではないかと思っていた。

しかし、カヌゥ達の口車に乗せられ、さらに下へと進んでいくのだった。

 

 

---

 

そしてさらに下へ降り、10階層に辿り着いた一行だったが、エルは不穏な気配を感じ、身構える。

何匹ものモンスターが次々と現れた。

所謂モンスターパーティだ。

初めて見るモンスターの集団に驚きつつも、すぐに気持ちを切り替え、モンスター達の猛攻にエルは全力で応戦した。

圧倒的なスピードと力を誇るエルの動きに、カヌゥたちは喝采を上げ続けたが、戦いの最中、ついに予備の武器としてエイナから以前渡された短剣が限界を迎え、刃が折れてしまう。

 

「くっ…!」

 

刃が折れるその瞬間、モンスターの一体、インプがエルの背後を突こうと移動を始めた。

カヌゥたちはその状況に焦り、エルに対して、

「インプがこっちに来るぞ!」

と叫ぶが、その行動は思いがけないものだった。

 

「くそっ!アーデ、お前が壁になれ!」

 

その一声で、カヌゥはサポーターのリリルカを蹴り飛ばし、インプの目の前に突き出したのだ。

リリルカの体はなす術もなく宙に舞い、地面へと叩きつけられ転がる。

 

「何をやってるんですか!カヌゥさん!」

 

エルは怒りに満ちた叫び声を上げ、即座にリリルカを助けるためにインプと向かっていった。

素早く接近してその首元を狙い、インプを拳による打撃で倒す。

振り返ってカヌゥたちに詰め寄るエルの表情には怒りが浮かんでいた。

 

だが、カヌゥたちはエルの怒りを意に介さず、むしろ笑いながらこう言い放つ。

 

「いいんだよ。サポーターなんて、俺たちが危険になった時の肉壁になるのが仕事だろ?」

 

「そんな…そんなのは、あんまりだ…!」

 

エルは拳を強く握りしめ、彼らの無慈悲な態度に言葉を失う。

だが、そこで背後から冷たい声が響き渡った。

 

「やっと来たか。情けない。圧倒的な才能を持ちながら、怠け、未だにこんなところで格下などと足踏みをしているとは」

 

その声に、エルもカヌゥたちも一斉に振り返る。そこには、猪人の大男、都市最強、猛者(おうじゃ)と称される冒険者、フレイヤ・ファミリアの団長・オッタルが立っていた。

 

「だ、誰だ…!?」

 

エルは息をのむが、カヌゥたちはすぐにその姿を認識し、恐怖で体を震わせた。

 

「あっ、アイツは…フレイヤファミリアの!猛者、オッタル…!」

 

オッタルはゆっくりとエルを見据え、無感情に言葉を紡ぐ。

 

「エル・フィリウス。俺と戦え…と言いたいところだが、全員できても構わん」

 

その威圧的な言葉に、カヌゥたちは完全に戦意を喪失し、何も言わずその場から逃げ出そうとする。

エルはその姿を見て、驚愕の表情で声を張り上げた。

 

「カヌゥさん!?怪我人だっているのに…!見捨てて自分たちだけ逃げるんですか!?」

 

だが、カヌゥは振り返りもせず冷たく答える。

 

「怪我人なんて知るか!それに、お前なんてただ少し強くて使えそうだから煽ててやっただけだ。

都市最強と戦うなんざごめんだ!行くぞ、お前ら!」

 

絶望的な思いでエルは立ち尽くし、心に重苦しい痛みが広がる。信じていた仲間に見捨てられ、自分ひとりだけが残されてしまったという現実に言葉を失う。

だが、ふと地面に倒れているリリルカの姿が視界に入る。

 

ここで自分が逃げたら、モンスターに蹂躙されるのは分かりきっている。

オッタルという男が親切心でリリルカをダンジョンから助け出してくるなど、初対面の自分では考えられない。

 

エルは力強く拳を握りしめ、決意を新たにした。

 

「あなたが誰か僕は知りませんが、リリルカさんは、絶対に守りきる!」

 

彼はリリルカの前に立ちふさがり、決死の覚悟でオッタルを見据える。

オッタルもまたエルの決意を感じ取り、ゆっくりと真剣な眼差しで近づいてくる。

 

「怠けていた者にしては良い目をする。今のお前がどれほどのものか、試させてもらおう」




強すぎる冒険者を自称するならね…この方に出てきて頂かないとね…。
エルくん、どうなる事やら。
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