ダンジョンに強すぎる冒険者がいるのは間違っているだろうか   作:マイペースライター

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読者の皆様こんばんは〜
今回も深夜になっちゃったんですがごめんなさい!


豊穣の女主人

 

翌朝、エルはベルとの約束通り2人で迷宮探索に行こうと、神殿を後にしてヘスティアファミリアのホームである廃教会へと向かった。

 

そして廃教会へとたどり着くと、ベルは既に準備を整えて外で待っていた。

 

「おはようエル、今日はよろしくね!」

 

「おはようベル、こちらこそ!今日は頑張ろうね」

 

そうして早速ダンジョンへ行こうと、2人でバベルに向かって歩き出す。

 

しかし、しばらく歩いた後エルは不意に誰からか声をかけられる。

 

「お、エルではないか!」

 

そこには片目に眼帯を付けた、侍然とした女性。先日試し斬りと称して、自分の打った武器をエルに試させ上層にて様々なモンスターを倒させた椿がいた。

 

「あれ、椿さん。こんなところでどうしたんですか?」

 

「実はちょうどお主を探していてな」

 

「僕を?」

 

「うむ。お主の武器についてだ。試作品が完成してな」

 

「あっ、そういえば!」

 

その話を聞いてようやく思い出したエルは、ベルに後で追いつくから、飛べるに先に行って欲しいと伝え、ベルは頷き1人でバベルへと歩いていく。

 

「それで、いつ試す」

 

これはまたダンジョンで試し斬りをしよう誘っているのだろうとエルは勘づき、少し考える。

 

「そうですね。今日はさっき僕といた、ベルと探索をする予定なので、明日で良ければ」

 

そう答えると、椿は深く頷く。

 

「よし、では明日の朝バベルの前に集合だ」

 

「わかりました!」

 

「ではな!楽しみにしている」

 

そして、エルは椿と別れたあと、ベルに追いつくために走ってバベルへと向かうのだった。

 

---

 

「ベル、遅くなった!お待たせ!」

 

白髪のため、非常にわかりやすくバベル前に着いた瞬間にベルを見つけることができたエルはすぐに彼に声をかける。

 

「大丈夫だよ!それで、僕とダンジョンに行っても大丈夫だったの?」

 

ベルは先程の椿のことを心配しているのだろう。

エルはベルの心配を取り除くべく、先程の椿との会話について説明する。

 

「椿さんとは明日ダンジョンに行くことになったから、今日は大丈夫だよ!」

 

「そっか、それなら良かった!じゃあ早速ダンジョンに潜ろう!」

 

そうして、2人はダンジョンへと入っていく。

エルはベルがどれほどの実力でどこまで降りられるのか分からなかったため、とりあえずベルについて行く形を取り、ダンジョン探索を進める。

 

しばらくダンジョンを進み、2人で協力して、現在は3階層までたどり着いていた。

 

「ベル、今日はどこまで降りる?」

 

ベルは少し考える素振りを見せながらしばらくしてから答える。

 

「昨日のこともあるし、4階層までがいいかな…」

 

「了解!じゃあとりあえずそこまで進もう」

 

エルは短剣を手に持ちながらベルのペースに合わせ、慎重に歩を進めていった。

途中で現れたゴブリンやコボルドに対し、ベルの戦闘を見た限り、奮闘しているが、動きにはぎこちなさが見られる。

 

「ベル、少し休憩しよう。それと少し戦い方について教えておこうかな」

 

「え、本当?僕、戦い方を教えてくれる人なんていなかったから、嬉しい!ありがとう!」

 

そしてエルはベルを自分の近くで休憩させながら、持っていた短剣を構え、たまに生まれ出てきてこちらに近ずいてくるモンスターを相手に、基礎的な戦い方を説明した。

敵を倒す際の正確な狙い方や無駄な動きを省くコツなど、実戦で役立つ技術を丁寧に伝える。

ベルは一生懸命聞き入り、休憩を取った後、その場で練習を始めた。

 

「よし、そんな感じ。少しずつ慣れていこう」

 

「うん!」

 

その後も休憩を挟みながらついに4階層にたどり着くが、そこでベルが先程教えた技術を試そうとしてコボルトを深追いしてしまい、エルから離れた所で気付かぬうちに近くに居たゴブリン2体と合流してしまい、追いかけていたコボルド1体とゴブリン2体、計3体のモンスターに囲まれる状況になってしまった。

 

「ベル!」

 

エルは急ぎベルの元まで駆け寄ろうとするがエルの駆ける速度よりもモンスターの攻撃がベルに直撃する方が早い。

そう思ったエルは、モンスターに武器を持っていない左手を向け叫ぶ!

 

「煉獄炎!」

 

瞬間、3つに分岐した炎の熱線が三体のモンスターを貫通し、それらを一掃する。

助けられたベルは驚きながらエルを見つめた。

「あ、ありがとう…!それより、今のって魔法!?すごい!」

 

「無事でよかった。ベルは魔法に興味があるの?」

 

エルはベルが無事だったことに対して安堵の表情を見せるが、ベルが自分の使った魔法に対して興味を示していたことについて気になり、問いかける。

 

「うん!かっこいいし、便利だし…僕も魔法を覚えられたらなぁ」

 

そんな少し残念そうな顔を見せるベルに対してエルは微笑みながら、

 

「ベルならきっといつか覚えられるよ」

とベルを励ました。

 

そしてその後もエルはベルをサポートしながら2人で4階層のモンスターを倒しながら魔石を回収していく。

そして、しばらくそれが続いた後、

 

「そろそろいい時間だと思うし、帰ろうか」

 

そうエルが提案したことにより、2人はそこで切り上げることになった。

 

そして帰り際、ベルから、

 

「実は今朝『豊穣の女主人』ってお店にぜひ夕食を食べに来てってそこの店員さんに言われて、行くって約束しちゃったんだけど…。良かったらエルも一緒に行かない?」

 

とベルに夕食を誘われる。

豊穣の女主人。ちょうど昨日エルフの女性のリューからお礼がしたいと招かれていたお店と同じだということを思い出したエルは、それなら丁度いいかなと考え了承する。

 

---

 

そうしてダンジョンから地上へ戻ったエル達は、今日の収穫分の魔石を換金するため、ギルドへと向かう。

 

そしてギルドに着くとベルはエイナから声をかけられたため、エルもついでに挨拶をしておこうとベルと共にエイナの元に向かう。

 

「エルくん!ベルくんとパーティ組んだの?いつの間に2人が知り合いに?」

 

「エイナさん、こんばんは!えっと成り行きで…」

 

「あっ!エイナさんがこの間言ってた僕と名前が似てるって人ってエルのことだったんだね!」

 

ベルは思い出したようにそう言った。

 

「そうそう!エルくん、ベルくんも私がアドバイザーをすることになったから、2人がパーティを組んでるなら丁度いいね」

 

「確かに、そうですね」

 

そんな話をした後、エル達は今度こそ換金所で魔石やドロップアイテムを換金し、そのまま豊穣の女主人に向かうのだった。

 

---

 

しばらく街を歩き、2人は豊穣の女主人の前へとたどり着く。

初めてのことに緊張しながらも、決意を固め2人で扉を開けて入ると、すぐに1人の店員だろう女性がベルに気づいて駆け寄ってくる。

 

「ベルさん!来てくれたんですね!知り合いの方も連れてきてくださってありがとうございます!」

 

「シルさん、こんばんは」

 

そうして、挨拶も程々にベルとエルを奥のカウンター席に案内する。

その途中、店内で働いていた店員の中に見覚えのある人物を見つける。

先日出会ったエルフの女性、リューだ。

彼女もエルに気づいたが、作業中ということもあるのだろう、軽くお辞儀をして作業を続け、しばらくすると店の奥へと消えていった。

 

そうして、シルと呼ばれる女性店員に案内されたカウンター席にエル達は座り、何を注文しようかと考えていた。

だが、注文決まってないのに様々な料理が目の前に出される。

それに対して2人ともびっくりする。

 

料理を出した本人、カウンターの前にいる女将さんが、

「アンタら冒険者かい?遠慮はいらないよ!沢山食べな!」

と豪快に笑う。

 

そしてその光景に圧倒されている間にこちらに今度は別の誰かが寄ってきた。

それは先程店の奥に消えていったリューだった。

 

「エルさん。来て頂いて感謝します。これはミア母さんに作って頂いたサービスです。どうぞ」

 

とリューが手に持つ食材が溢れんばかりに盛られた皿をエルの前に置く。

 

「あっ、リューさん。どうも。それよりこんなに沢山、いいんですか?」

 

「はい、どうぞ遠慮なく食べてください」

 

「あ、ありがとうございます」

 

と会話を交わす。

 

そして他にもリューがミア母さんと呼ぶ女将さんがエルとベルの2人の前に料理を並べていく。

 

エルは手持ちについてはこれまでの蓄えもあったため問題なかったが、隣に座るベルが何やら各料理の値段を見ては驚き、合計を計算してさらに絶句していた。

 

「ま、まあベル。僕多めにお金は持ってきてるし、足りないようなら僕が出すよ」

 

と言う。

 

「えっ、い、いいよ!悪いよ!そんな!」

 

とエルの提案に対して必死に断るベル。

そんなベルを見て、後ほどの会計の時にさりげなく多めに払おうかなと考えてエルは考えるのだった。

 

---

 

 

そしてしばらくエル達はお腹の限界を感じつつも必死に料理を食べ進めていたが、近くで作業をしていた獣人の女性店員が、突然店の扉の方へと駆けていくのを見て、そちらに注意を逸らす。

 

「ニャニャ!ご予約のお客様!ご来店ニャ!」

 

と獣人の店員が声高らかに店のドアを開けてとある集団客を真ん中のテーブルまで案内する。

 

そして周囲がザワつく。

 

「あれって…そうじゃない?」

 

「ありゃあ、えれぇ上玉だな」

 

「バカ!エンブレムを見ろ!ロキファミリアだ!」と様々な声が聞こえてくる。

 

ロキファミリア。

周囲の話から聞き取ったその名前を聞いた瞬間、エルは数日前に会ったアイズとティオナのことを思い出す。

その集団を見つめると、やはりその中に2人はいた。

 

「アイズ・ヴァレンシュタインさん…」

隣に座るベルが小さな声でアイズの名前を口にし、ロキファミリアの集団を目で追いかける。

 

そんな中エルは、顔見知りではあるし一応挨拶はしておこうかなとと考え、ベルに確認しようと顔を向けるが、エルは未だロキファミリア、いや、アイズを見つめたまま動かなくなってしまっていたので声をかける。

 

「…ベル?」

 

「…あ!ご、ごめんね!ちょっとボーッとしちゃって」

 

「いや、大丈夫。それより気になるんだったら一緒に挨拶しに行く?ミノタウロスの件のお礼もまだ言えてないんでしょう?」

 

昨日、ヘスティアファミリアのホームでベルと話をしていた時、アイズから感謝の言葉も言わずに逃げ出してしまったことに対してベルが悔やんでいると言っていたことを思い出したエルはベルに対して提案する。

 

「あっ、えっと…どうしよう。でも今声をかける勇気はちょっと…」

 

とモジモジしだすベル。

 

その間にロキファミリアの集団は既に席に着いており、ファミリアの主神と思われる、長い赤毛を頭の後ろで1つに縛っている女神が、酒を手に声をあげる。

 

「皆!遠征ご苦労さん!今夜は宴や!存分に飲め!」

 

と不思議な口調で言う。

そして団員達は大いに盛り上がっていた。

そんな様子を見つつも、再度ベルに対して言葉をかける。

 

「ベル、行かないなら僕だけでちょっと挨拶に行くけど」

 

「あっ…い、行くよ!」

 

と座っていた席を立ち、2人でロキファミリアの集団に近づいていく。

 

しかし、その途中、ロキファミリアの団員だろう、獣人の男が語り出した。

 

「そうだ!アイズ!皆にあの話を聞かせてやろうぜ!」

 

どうしたのだろう、とエルは少し気になって足を止める。

それに続いて、エルの後ろを歩くベルも同時に足を止める。

 

「あの話…?」

 

アイズは無表情ながらも疑問の声を発する。

 

「あれだよ、帰る途中で何匹か逃がしたミノタウロス!最後の1匹をお前が始末しただろ?あの時いたトマト野郎!」

 

そこまで聞こえて、エルは勘づいていた。

あの男は昨日のベルのことを言っているのだろう。

そうして、ベルの方を見るが、ベルは絶望の表情を浮かべ、固まっていた。

 

「ミノタウロスってあれでしょ?17階層で私達に襲いかかって来て返り討ちにしたら逃げていった」

 

そして獣人の男の近くに座っていたティオナがその彼に対して質問する。

アイズは黙ったままだ。

 

「そうそう!奇跡みてぇにどんどん上に上がって行ってよ、俺らが必死に追いかけたやつ!遠征帰りで疲れてたってのによォ〜」

 

そして彼はさらに言葉を続ける。

 

「それでよ、いたんだよ!如何にも駆け出しって感じのヒョロ臭ぇ白髪のガキが!」

 

「ミノタウロスに壁際で兎みてぇに追い詰められてよ、アイズが間一髪で助けたけど、そいつ!ミノタウロスの真っ赤な返り血を被って、トマトになっちまったんだよ!」

 

「あはは…」

その発言に対してティオナは苦笑いといった感じでその獣人の言葉に対して笑う。

 

「それにだぜ?そのトマト野郎、叫びながらどっか行っちまって…くふっ!うちのお姫様、助けた相手に逃げられてやんの!」

 

そして助けた相手に逃げられたというアイズのことに対して、他の団員たちはつられて笑うこととなる。

対するアイズは、それに対してなのか、ベルを貶めている獣人の言葉に対してなのか、またその両方になのか分からなかったが、不服そうな表情を浮かべて黙っていた。

 

「それにしてもあんな情けねぇ奴初めて見たぜ。俺がアイツなら、あんな醜態晒すくらいなら冒険者なんざ辞めてらぁ」

 

その言葉に対して、ベルは身体をビクッと震わせ、さらに下を向いた。

 

「いい加減その汚い口を閉じろベート!そもそもミノタウロスを逃がしたのは我々の失態だ!反省こそすれ、被害者を酒の肴にすることなど…恥を知れ!」

 

獣人の男の発言に対して、叱りつけるように言葉を発するのはローブを着た魔道士然としたエルフの女性だ。

 

「うるせぇババァ!」

 

そしてそれに対抗するようにベートと名前が判明した獣人は声を上げ、それを再度叱るエルフの女性と口論を始める。

他の団員たちも宥めようと行動を開始するが、なかなか収まらない。

 

エルはこれ以上は見過ごせないと考え、

 

「ベル、少し待ってて」

 

と、今にも泣き出しそうなベルの肩を撫で、決意を固めてロキファミリアの元へと再度歩き出すのだった。




書いてるうちに、ここの話を今回のにくっつけると長くなるなとは思ったんですが、逆に丸ごと次に回すと今回短くなっちゃって…
途中で切れて消化不良みたいなところありますが、続きは次回に!
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