ダンジョンに強すぎる冒険者がいるのは間違っているだろうか   作:マイペースライター

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皆様お久しぶりです。
アニメの最新クールとっくに終わってますが、またマイペースに更新していきたいと思います。よろしくお願いします。


SideStory 神の宴

ガネーシャ・ファミリアによる壮麗な神の宴。

 豪奢なホールには神々が集い、華やかな笑い声が飛び交っていた。

 

 その中に、今年初めてこの宴に招かれた女神がひとり。

 

 アフロディーテ。

 

 光を受けた黄金の髪が柔らかく波打ち、透き通るような白肌に小さく微笑む横顔。やや幼げでありながら品位ある立ち居振る舞いは、男神たちの視線を引き寄せるには十分すぎた。女神の中でも彼女に見惚れている者さえいた。

 

 当の本人はというと、落ち着いた様子でホールを眺めていた。

 

「これが神の宴ね。なかなか楽しそうじゃない」

 

 ふと視線の先に、見覚えのある小さな背を見つける。

 ツインテールにした黒髪、青のドレス。どこか挙動不審で、料理のテーブルをチラチラと見ながら、不自然に膨らんだスカートの中に食べ物を入れているようだった。

 

「……あれって、ヘスティア?」

 

 アフロディーテが目を細めたそのとき、そのヘスティアと思しき神に横から声がかかる。

 

「ごきげんよう、ヘスティア」

 

「わ、わあ!フ、フレイヤ! なんだ君か」

 

 ピクリと肩を跳ねさせて振り返ったのは、他でもないヘスティア。

 

「そんなに驚いてどうしたの?」

 

「い、いやぁ。僕、君のことちょっと苦手なんだよ……色々と、ね」

 

 美の神にして最上級の威圧感を持つ女神フレイヤに対し、苦笑いしながらタッパーをそっと隠す。

 

 そこへ──。

 

「ヘスティア、それにフレイヤ」

 

 品のある声がかかり、ふたりが同時にそちらを振り向く。

 

「やあ! アフロディーテ!」

 

「ごきげんよう」

 

「ええ」

 

 微笑みを浮かべたアフロディーテは、ふとヘスティアの手元に視線を移す。

 

「ヘスティア、そんな入れ物持ってどうしたのよ?」

 

「あ、あはは……ベル君に少しお土産をと思ってね。ま、まあ、悪いことじゃないだろ?」

 

「……まあ、いいわ。あなたらしいもの」

 

 アフロディーテは肩をすくめるが、それ以上は突っ込まなかった。

 

「そういえば、アフロディーテ? あなた最近面白い子を眷属にしたそうね?」

 

 フレイヤが微笑みとともに水を向ける。

 

「エルのこと? あなたにはあげないわよ」

 

「うふふ、そういうのではないわ。ちょっと気になっただけ」

 

「それに、あなたのところのオッタルがしたこと、許した訳じゃないから」

 

 アフロディーテの瞳が一瞬だけ鋭くなる。

 

 そこへ、賑やかな声が割り込んだ。

 

「ディたーん! フレイヤー! ドちびー!」

 

「げっ! ロキ!」

 

 現れたのは、炎のような赤髪を跳ねさせた糸目の女神──ロキ。

 

「どチビ! そんな入れ物に料理詰めてどんだけ食い意地張っとんねん!」

 

「き、君には関係ないだろ!これは……これはうちの子へのお土産さ!それに誰がどチビだ!」

 

「はいはい、そーいうことにしといたるわ。せやけど、よくもまあ、毎回毎回ようやるわ、ほんまに」

 

 瞬時に始まる言い争い。ロキとヘスティアがぶつかるのはもはや恒例行事である。いつの間にかどっちが勝つのかと賭けを始める神まで出る始末。

 

 アフロディーテはふうとため息をつく。

 

「……はあ、また始まったわね。ほんと、よく飽きないわねこのふたり」

 

「ふふ、でも見ていて飽きないわ」

 

 まるで姉妹の喧嘩のようなふたりの様子に、周囲の神々も苦笑し始めたころ、ひときわ落ち着いた声が響いた。

 

「あなたたち、ほんとに仲良いわね……」

 

そしてその声にヘスティアは瞬時反応し声の方へ振り向く。

 

「ヘファイストス!」

 

「久しぶりね、みんな」

 

「ヘファイストス!君に会いたかったんだよ!」

 

「ヘスティア…?何? お金ならもう1ヴァリスだって貸さないわよ?」

 

「し、失礼な! 僕がそんなに友達の懐を漁るような神に見えるかい?」

 

「今までどれだけ私に泣きついてきたと思ってるのよ」

 

「あはは……」

 

 すっかり読まれていることに気づいて苦笑するヘスティアだったが、ここからが本番だった。

 

「……それで?」

 

 ヘファイストスが目を細める。

 

 ヘスティアはぐっと拳を握り、決意の表情で──次の瞬間。

 

「ベル君、うちの子に武器を打って欲しいんだっ!!」

 

神の宴の喧騒の中、ヘスティアの必死な声が響いた。

 

「ベル君、うちの子に武器を打って欲しいんだ!」

 

彼女は豪奢な赤絨毯の上に膝をつき、両手を地に突いて土下座していた。

 

「……はぁ?」

 

ヘファイストスはあきれ顔で眉をひそめた。その横で、フレイヤが面白そうに微笑み、ロキは口をあんぐりと開けたまま固まっていた。

 

「ヘスティア、あんた本気なの?」

 

「あの子はっ、ベル君は!すごく頑張ってるんだ!だけど、僕はそんなあの子に何もしてやれない…それが嫌なんだ!」

 

「ふぅん……だとしても、ルーキーならうちの武器じゃなくてももっと安い物でもいいはず。そもそもうちの武器の値段、知ってる?」

 

「そ、それは……っ」

 

「高いわよ?うちの子たちが命かけて素材を集めて汗水垂らして作ってるんだもの、それに見合う対価を払えないなら、話にならないわ」

 

「……っ」

 

「それに、私も忙しいのよ。仕事山積み。ヒマじゃないの」

 

「わ、わかってる……けど、お願いだよ、ヘファイストス!ベル君のためなんだ!」

 

「だーかーらー!タダじゃ作れないって言ってるでしょ!」

 

ヘスティアは顔を上げると、必死の目で友を見つめた。

 

「お金なら……なんとかするよ!僕、たくさん働く!アルバイトも増やして、荷物運びでも、神様らしくないって言われてもなんでもやる!」

 

「……」

 

「だから、お願いだよ……!」

 

宴会場の空気が、しんと静まり返った。

 

アフロディーテが、沈黙を破るようにため息混じりに口を開いた。

 

「……ヘファイストス、あなた、そんなに意地悪だったかしら?」

 

「アフロディーテ、これはね――」

 

「わかってるわ。でも……私、この子の必死な姿、嫌いじゃないの。ヘスティアはね、いつもはだらしないけど、眷属に対してはしっかり神の役目を果たそうとしている。恥をかいてまで眷属のために頼める子なんて、そういないわ」

 

「う……」

 

「それに……あなた、本当はヘスティアの頼みを聞いてあげたいって思ってるでしょ?」

 

ヘファイストスの赤い髪が、ふと揺れた。

 

「……まあ、話ぐらいは聞いてあげてもいいわよ。さすがにここでいつまでも土下座されたら目立つし、会場が騒がしくなる」

 

「ほ、ほんとうかい!?」

 

「まだ作るって決めたわけじゃない。とりあえず場所を変えて、そこで詳しく聞くわ」

 

「ありがとうっ!ありがとぉおおおっ!!」

 

「やれやれ……泣かないでよ、みっともない」

 

「うふふ……頑張りましょうね、ヘスティア」

 

「アフロディーテも来てくれるのかい?」

 

「ええ。あなたの頑張り、ちょっと見届けたい気分なの。いいでしょう?」

 

「アフロディーテ……ありがとう!」

 

ヘスティアとアフロディーテ、そしてヘファイストスの三柱は、賑やかな宴会場を後にしてガネーシャ・ファミリアの施設を抜け、ヘファイストスの工房へと向かう。

 

石造りの道を歩きながら、ヘファイストスがつぶやいた。

 

「で?そのベルって子、どんな奴なのよ?」

 

「えっとね、まだ駆け出しだけどすっごく素直で、真っ直ぐで、一生懸命で……!」

 

「……うわ、絶対面倒くさい奴だ」

 

「ちょ、ちょっと!」

 

「ふふ……でも、そういう真っ直ぐな子って、案外、職人の心を打つのよね」

 

「……っ」

 

やがて、とある場所に3人は到着した。

 

「入りなさい。話はそれからよ」




どうなるんでしょうね〜
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