ダンジョンに強すぎる冒険者がいるのは間違っているだろうか   作:マイペースライター

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お待たせしました〜

それと、報告遅れましたが、前話で一部話が合わない部分があったので修正しました!
結構前に書いてた内容で忘れてるところも多々あるので今後もこういう部分出てくると思いますが気づいたら直していくので許してください〜


祭中の災い

 

 闘技場に到着し、一行は正門をくぐると、視界いっぱいに広がる石造りの大円形空間、その場所こそがこの怪物祭の名物であるモンスターテイムの舞台だった。

 

 大小無数の観客席が段状に積み上げられ、まるで山の斜面のように高低差を作っている。中央には広大な砂地のリング。そこに設えられた鉄格子の檻や観察台は、これから始まる「見世物」としてのモンスターショーの舞台装置だ。すでに八割方は客で埋まっており、観客たちは思い思いに声を上げ、祭りの熱気を享受していた。

 

 「わあ……すごい……!」

 

 エルは思わず小さく声を漏らした。目の前に広がる光景が、あまりにも大きく、活気に満ちていて――彼の想像を遥かに超えていたのだ。

 

 「すごい人ね。こういう賑やかな場所は嫌いじゃないわ」

 

 隣を歩くアフロディーテが目を細め、楽しげに観客席を見渡す。ティオナは腕をぐいっと伸ばしながら「一番前の席空いてるかなー!」と走り出し、エルたちもそれに続く形で観客席の前列へと移動した。

 

 数分後、場内が暗転する。照明石の光がわずかに色を変え、中央のリングだけを照らし出した。

 

 「来るわよ……」とティオネが小声で呟いた瞬間、場内に割れるような大声が響いた。

 

 「俺がガネーシャだァァァァァッッ!!!!」

 

 轟くような声とともに、中央の壇上に立ったのは、奇抜な象の仮面をつけた大男――ガネーシャだった。神々の中でも一際目立つその存在は、派手な身振り手振りで観客を煽りながら高らかに宣言する。

そしてそれに続いて本イベントの司会者らしき人物が喋り出す。

 

 「はい!ガネーシャ様ありがとうございました!さぁ、皆様!今年もようこそ来てくださいました!只今より、人と魔物が織り成す怪物祭の一大イベント!!調教師によるモンスターテイムを始めます!」

 

 「「「おおおおおおおおお!!!」」」

 

 場内を埋め尽くす歓声。興奮が高まり、拍手が響き渡る中――

 

 「……ガネーシャは相変わらずね」

 

アフロディーテは呆れたように言う。

 

 「男神様って、やっぱりあんな感じの方が多いんですか……?」

 

 「うーん、ガネーシャ様はちょっと特殊かな」

 

 エルがぽかんとした顔をしている横で、ティオナがエルの問いかけに答えつつ苦笑い、ティオネ、レフィーヤの2名も同じように苦笑いを浮かべていた。

 

 そして――満を持してモンスターテイムが始まった。

 

 鉄格子の奥から現れたのは、今回用意されたモンスターたち。ガネーシャ・ファミリアの調教師が巧みに鞭などを使い、モンスターを思い通りに跳ねさせ、回転させ、炎を吹かせ、観客を楽しませる。時にはモンスターが中々言うことを聞かず調教師と戦闘になってしまうこともあったが、そうなったとしても流石はガネーシャファミリアの冒険者、いとも容易くモンスターを御してしまうほどの実力を持っていた。そして場内からは声援と拍手が絶えなかった。

 

 エルも夢中になって見入っていた。これまでダンジョンでは殺すべき存在だったモンスターたちが、人々を白熱させる。そんな光景に、彼は胸の奥がじんわりと温まるのを感じていた。

 

 「すごい……これがモンスターテイム……」

 

 「ふふ、どうしたのエル?」

 

と隣のアフロディーテが小声で囁く。

 

 「はい、僕ももっと強くなれたら、モンスターをただの脅威と思わず、共存する道も選べるようになるのかなって……」

 

 そんな穏やかなひととき――

 

 「……ん?」

 

 ふいに、ティオナが眉をひそめた。

 

 「どうしたの、ティオナ?」

 

とティオネが問いかけると、ティオナは少し顎を上げて、闘技場の奥――管理者席のような一角を指差した。

 

 「あそこ……ガネーシャ様とファミリアの団員、なんか慌ててるっぽくない?」

 

 全員が一斉にその方向を見る。

 

 確かに、象面の神は先ほどの陽気さが嘘のように、真剣な表情で複数の団員と早口で話し込んでいる。その周囲には他の眷属たちが駆け足で出入りし、何やら情報を伝えては去っていく様子が見て取れた。

 

「何か問題があったんでしょうか?」

 

 レフィーヤも不安げに呟いた。

 

「皆で外の様子を見に行こ!」

 

ティオナがそういうとティオネとレフィーヤが頷く。

 

 「アフロディーテ様、僕も行ってきます!アフロディーテ様はここで待っていてください」

 

 エルが不安げにしながらも、自分もなにかしなければとアフロディーテにそう伝えた。

アフロディーテはそんなエルに向かってゆっくりと頷いた。

 

 「……ええ、気をつけるのよ」

 

 「よし!じゃあ行こう!」

 

 ティオナが手を挙げて立ち上がり、ティオネとレフィーヤもそれに続き、エルもその後を追う。

 

 

 賑やかな歓声を背に、四人は静かに闘技場を後にする。

 

 

 闘技場を出た四人が石畳の通りに足を踏み出した瞬間、突如として、甲高い悲鳴が響き渡った。

 

 「うわああああああっ!!」

 

 耳をつんざくような叫びに、全員が反射的に身構える。視線の先では、街の住人たちが血相を変えてこちらへと逃げてきていた。その背後には、ここにいるはずのないモンスター。そして、そのモンスターに対抗する冒険者たちの姿が見える。

 

 「え!? なんでモンスターがこんなところにいるの!?」

 

 ティオナが目を見開き、声を上げる。

 

 「まさか……捕獲されていたモンスターが檻から逃げ出したの?」

 

 ティオネが冷静に状況を読み取り、そう推察する。

 

 「と、とにかく! モンスターが外に出てきてるなら倒さないと! 皆さん、急ぎましょう!」

 

 レフィーヤの言葉に、エルも強く頷いた。だが、行動に移ろうとしたその時だった。ティオネがふと何かに気づき、ぴたりと足を止める。

 

 「……あれって……」

 

 彼女が視線を向けた先、喧騒の中にぽつりと立つ一人の人物がいた。赤髪をツインテールに結び、長い耳を揺らしながら、どこか飄々とした佇まいで状況を眺めている。

 

 「あれ……ロキ!?」

 

 「ロキ!」

 

 三人が一斉に駆け出す。声をかけられた女神は、こちらに向かって手をひらひらと振った。

 

 「おお、こんなところにおったんかー」

 

 「ロキ! 闘技場で捕獲されてたモンスターが檻を抜け出して、街の人を襲ってるのよ!」

 

 「うん、見とった見とった。騒がしいなぁ」

 

 「“騒がしい”じゃないわよ! この街に一体どれだけの人が住んでると思ってるの!? こんな大勢いる中でモンスターを自由に暴れさせたら…!」

 

 ティオネが怒りに身を震わせ、主神に詰め寄る。

 

 だがロキは肩を竦めて笑い、のんきに言葉を返した。

 

 「せやから、もう対処は任せてある。アイズたんにな」

 

 そう言ってロキが指差した方向。そこには、風のように駆ける金髪の少女の姿があった。

 

 その者がすれ違うたびに、モンスターたちはまるで時間が止まったかのように一瞬硬直し、次の瞬間には崩れ落ちる。

 

 「アイズさん!」

 

 「相変わらずすごいねー、アイズ!」

 

 「はぁ、良かった。この様子なら、すぐ片付きそうね。流石ね、アイズ」

 

 ティオナとティオネ、レフィーヤが感嘆を漏らす中、エルはアイズの姿に釘付けになっていた。

 

 「……あれが、アイズさんの戦う姿。剣姫か……」

 

 呟いたエルの声に、ロキがにやりと口角を上げる。

 

 「おっ、あんたは……あの時、酒場でうちのベートをぶっ飛ばしてくれた少年やな!」

 

 「えっ、は、はい! あの……あの時はすみませんでした、神ロキ!」

 

 「ええよええよ、ベートが酔っ払って暴れてたのが悪いんやからな!」

 

 「ありがとうございます……!」

 

 「じゃあ私たちの出番もなさそうだし、そろそろ戻りましょうか」

 

 ティオネが気を抜いたように言い、ティオナも「そだね〜、帰ろ帰ろ〜」と続ける。

 

 だが、その瞬間――

 

 「……っ!? 地面が…揺れてる……!」

 

 大地が、ぐらりと軋んだ。

 

 そして、突如として石畳が裂け、その隙間から、巨大な緑色の蛇のようなモンスターがぬるりと姿を現した。

 

 「……あれは……やばい!!」

 

 ティオネの表情が険しくなる。

 

 「ティオナ! レフィーヤ! 行くわよ!」

 

 「了解!」

 

 「僕も行きます!」

 

 エルが追おうとした時、ティオネが振り返りざまに叫んだ。

 

 「エル、あなたはロキ様を守って! あのモンスターは私たちがやる!」

 

 「わ、わかりました!」

 

 「エルくん、頼んだよー!」

 

 「お、お願いします!」

 

 ティオナとレフィーヤがエルに向かって叫びながら駆けていく。

 

 そして三人は蛇型モンスターに立ち向かう。

 

 だが――

 

 そのモンスターの外皮は驚くほど硬い上、アマゾネスの2人は武器を持っていないため、殴打によっえ攻撃をしているがあまり通っていない。それにさらに、モンスターは一匹だけではなかった。二匹、三匹と次々に地中から出現し、戦場は瞬く間に混沌へと染まっていく。

 

 レフィーヤが高威力の詠唱を試みようとするが、蛇型モンスターたちは魔力の気配に敏感に反応し、集中して彼女を狙い始めた。詠唱の隙を狙われ、満足に魔法も打てない。

 

 その様子をエルの隣でじっと見ていたロキが、ふうと息を吐いた。

 

 「……うーん、あれはさすがに三人だけじゃ厳しいなぁ。せめて武器があればもっと戦えたかもしれんけど。」

 

 そして、ロキはエルを振り返る。

 

 「なぁ少年……いや、エル。迷惑かけた手前、申し訳ないんやけど、一つ頼みごとしてええか?」

 

 「……えっ?」

 

 「アンタ、あの時ベートと随分やり合えてたやろ。あの力、只者やない。しかも今の雰囲気からして…何があったかは知らんけどあの時よりずっと強くなっとる。せやからな、アイズが来るまでの時間稼ぎでええ。あのモンスターの相手、あんたに頼めんか?」

 

 エルは拳をぎゅっと握りしめ、しかし何かを決意した表情で顔を上げ、しっかりとロキを見据えた。

 

 「……やります!」

 

 (このままあのモンスターを放っておけば、街の人も……神様も、危ないかもしれない……!)

 

 「おっ、ほんまか! じゃあ頼むわ! 報酬はガッツリ払うから、遠慮なくやったってな!」

 

 「……はいっ!」

 




というわけでソードオラトリアの話もちょっと持ってきました!
エルくんを色んな人に出会わせたいっていうことで…
そして次回、久々にエルくんの戦闘回です!
戦闘描写上手く書けるといいな…
お楽しみに!
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