ダンジョンに強すぎる冒険者がいるのは間違っているだろうか   作:マイペースライター

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読者の皆様こんにちは〜
続きをお待ち頂いていた皆様大変お待たせ致しました!



Side Story エイナの苦悩

 

 ギルド本部。昼下がりの受付カウンターに座るエイナ・チュールは、いつものように書類を整理しつつ、列に並ぶ冒険者たちの対応に追われていた。

 怪我を負った者、成果を誇らしげに報告する者、仲間を失い沈痛な面持ちで帰還する者……ダンジョン都市オラリオの日常は、喜びと悲しみが常に隣り合わせだ。

 

 「次の方、どうぞ」

 

 いつもの調子で声をかけたとき、目の前に立っていたのはまだ幼さの残る白髪の少年――ベル・クラネルだった。

 

「あ、ベル君!」

 

 相変わらず、ぎこちない笑顔を浮かべている。だが、その顔にはどこか高揚感が漂っていた。

 

 「こんにちはエイナさん!今日の探索の報告に来ました!」

 

「どこも怪我とかは無さそうだね、良かった!それで今日はどこまで潜ったの?三階層?それとも四階層?」

 

「七階層です!」

 

 そのエルの発言を聞いた瞬間――エイナの眉がピクリと動いた。

 

 「…聞き間違いかな?もう一回言ってくれる?」

 

 「え、えっと……七階層です!」

 

 ベルは曖昧な笑みを浮かべ、視線を逸らした。

 

 瞬間、カウンター越しに響く絶叫。

 

 「な、なななな、七階層!?」

 

 そして次第に声に鋭さが混じり、周囲の冒険者たちが思わず振り向く。

 

 「ベル君!あなたついこの間、五階層で死にかけたばかりだよね!?なのに七階層ってどういうことなの!?」

 

 「ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

 

 「私いつも言ってるよね、冒険者は冒険しちゃだめだって…」

 

 

「はい…。で、でもエイナさん!僕、最近ステイタスがものすごく成長してて、いくつかの項目がEになってて…7階層までなら大丈夫だと思ったんです…」

 

 慌てて弁明するベル。それを聞いて少し冷静になりつつも、エイナは何を馬鹿なことをと目を細めた。

 

 「い、E~? そんなに簡単にステイタスが成長するわけないでしょ! 冗談言わないの!」

 

 「ほ、本当なんですよ!」

 

 「うーん…じゃあ、見せてみて」

 

 「えっ!?」

 

 ベルの顔が引き攣る。

 

 「え、えっと……同じファミリアの人や主神以外がステイタスを勝手に見ることって、ダメなんじゃ……」

 

 「うん、分かってる。誰にも言わないって約束する!」

 

 「で、でも…」

 

 「見せてくれないと、進層の許可は出せないよ!」

 

 エイナは机に身を乗り出し、真剣な眼差しでベルを射抜く。

 

 「う、うう……わかりました……」

 

そしてエイナはベルを連れてギルド本部の個室へと移動した。

 そしてベルは渋々、エイナに対して後ろを向き服を持ち上げ背中が見えるようにする。

 

「それじゃあいくよ」

 

「は、はい…」

 

そしてエイナが持ってきた神の血液をベルの背中に一滴垂らし、ステイタスを浮かび上がらせる。

 

 次の瞬間――エイナは息を呑んだ。

 

 「……っ!」

 

 エイナは神聖文字を全て読める訳では無いが、読める部分だけで理解した。先程のベルの話に嘘はなく、ステイタスのいくつかの項目がEになっていた。それどころか敏捷の数値に関してはDに達している。

 冒険者になって1ヶ月にも満たない駆け出しの冒険者のステイタスとしてはありえない数値だった。

 だが、目の前の少年のステイタスは彼の確かな成長を示していて、七階層を探索するには十分すぎるほどの能力だった。これでは許可を出すしかないだろう。

 

 「ベル君……」

 

 エイナは小さくため息を吐いた。

 例えステイタスは適正値に至ったとしても冒険者になって間もないベルは経験や知識が圧倒的に不足しているし年齢的にもまだまだ幼い。ダンジョンが危険なことには変わりはないしいつ何が起こるか分からない。それ故にエイナはとても心配だった。

 だからこそ、アドバイザーである自分に出来ることはないかと考えた末、ベルをまっすぐと見つめる。

 

 「ベル君、明日って暇?」

 

 「は、はい特に予定はないですけど…」

 

 「連れていきたい場所があるの。だから明日一緒にどうかな?」

 

 「え、えっと…わかりました!」

 

 「良かった!じゃあ明日の朝待ち合わせね!」

 

 

その後ベルとの話を終えて仕事場に戻るエイナ。

持ち場につくやいなや同僚から声をかけられる。

 

「あ!おかえりエイナ、さっきあなたの担当の子が来てたわよ」

 

「ただいま。えっと…担当って言うと、ベル君は一緒にいたし…もしかしてエル君のこと?」

 

「そうそう、エル・フィリウスって子」

 

「そっか、エルくん最近見てなかったけど来てたんだね。それで、どういう要件だったの?」

 

「レベル3にランクアップしたから中層への進出許可が欲しいって言っててね。エイナがいなかったから代わりに許可出しておいたわよ」

 

「へぇ、レベル3…」

 

「それにしてもレベル3になって初めて中層に入るって最近の冒険者の中じゃ慎重な方よね。エイナの指導のおかげかな?」

 

「そうだね…レベル3で…中層…レベル3…」

 

「エイナ?」

 

「ひいいいいい!?レベル3ぃぃぃぃ!?!?」

 

絶叫が鳴り響く。

 

「ちょ、ちょっとエイナ!どうしたのよ!」

 

 エイナが驚くのも無理は無い。彼女がエルと最後に会ったのはそれほど前ではないが、その時点でエルのレベルは1。エルに対する印象としてもダンジョンに対する勉強にも熱心ではあったし、先程まで話していたベルとは違いあまり無茶をするようにも思えなかったため、会っていない期間も多少は気にはなっていたが特段心配はしていなかった。

 そもそも冒険者になって二週間も経たないうちにレベル3、レベル2にさえになることようなことは常識的に考えれば到底ありえないことなのだから。

 それ故にエイナは苦悩した。何故エルはレベル3になっているのか。そしていつの間に中層を目指すようになっていたのかと。

 

「こ、これは…すぐにギルド長に報告を…世界の歴史が…」

 

「え、ええ…」

 

 フラフラと立ち上がりギルドの奥に繋がる扉へとと進むエイナ。その後ろ姿をミィシャは戸惑いながら見送る。そしてエイナが扉の奥に入る途中何やら呟いたのが聞こえた。

 

「私の担当冒険者…一体どうなってるの…」




今回は前話書いた後に途中まで書いてたサイドストーリーでして、とりあえず今回はこれで…。すみません!
本編の方は次回進みますのでもう少々お待ちを!
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