ダンジョンに強すぎる冒険者がいるのは間違っているだろうか   作:マイペースライター

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有名人

 

ギルドに着いたエルはすぐさま受付の方に行き

、エイナに無事だったことを報告する。

 

「エイナさん、無事に帰りました!」

 

エイナはエルに気づくと、少し汚れている気はするがどこも怪我をしていない状態を見て、ホッとした表情で微笑む。

 

「よかった。1層より下は行ってないよね?心配してたんだよ」

 

「はい!エイナさんから貰った短剣はあったけど、まずは戦闘に慣れようと思って1層だけです」

 

短剣自体はまだ力の加減が分からなかったため、昨日のように壊れる可能性もあって使っていなかったが、探索は1層だけでしか行っていないため、嘘という訳では無い。

そんなことを考えながらも、それは胸の内にしまい、エイナに腰のホルダーに刺している短剣を見せる。

 

「そっか、それなら良かった。ちゃんとした新しい武器が手に入るまでは安心できないもんね」

 

そんな風に言いながらエイナは少し不安げな顔をする。

エルの今後の予定としては、とりあえずはエイナに2層行こうの進層許可を得るために早めに新しい武器を買えるだけのお金を稼ぐこと。

そして武器を買って、その後、新米殺しと言われている5層のひとつ前の階層、4層までは行ってみたい。

 

「はい、とりあえずは1層でお金を稼ぎたいと思います」

 

エイナに頷きながらそう答えるエル。

 

「うん、頑張ってね!」

 

その後、しばらく世間話などもあったが、それも終わりエイナに見送られて、無事今回手に入れた魔石の換金も終えたエルは、とりあえず帰ろうとファミリアのホームである神殿(ボロ家)へ足を向けた。

 

---

 

神殿に戻り、エルはアフロディーテのもとへ向かう。

「アフロディーテ様、ただいま帰りました」

 

「ええ、おかえりなさい」

 

昼時なので昼食の準備が必要だと思っていたが、アフロディーテは返事を返すが何やら浮かない表情でため息をついている。

 

「アフロディーテ様、何かあったんですか?」

 

彼女は悩んだ顔をして答えた。

 

「それが、昨日のジャガ丸くんで私の財布はすっからかんなのよ。今日も昼食くらいは買おうかと思ったのだけど…」

 

エルは驚きながらも、すぐに笑顔を見せた。

 

「何を言ってるんですかアフロディーテ様!最初に言ったでしょう?僕が一生をかけて養わせて頂くと!今日は結構迷宮探索が上手くいってお金はあるので昼食くらいは買ってきますとも!」

そう言って、任せてくださいと言う雰囲気で力説するエル。

そんなエルを見て驚いて少し目を大きくするアフロディーテだったが、少し面白くなって表情が崩れ、笑みをこぼす。

 

「ふふ、そう。ならお願いするわ」

 

「はい!ジャガ丸くんでいいですか?」

今日もできることならジャガ丸くんを食べたい、そう思うエル。

 

「ええ。私もジャガ丸くんは好きだし、あなたの好きな物を買うのいいわ」

 

「わかりました。行ってきます!」

 

そうしてエルは支度をした後神殿を後にする。

そして昨日ぶりのジャガ丸くんを買うため、屋台を目指しオラリオの街を歩いていく。

 

---

 

しばらく歩いた後、昨日と同じ場所に目当ての屋台はあった。

今日の店員さんは神の店員さんでは無いみたいだ。

 

「いらっしゃいませ!ジャガ丸くんはいかがですか?」

 

「あっ、ジャガ丸くん2つお願いします」

 

「味はどうされますか?」

 

味…。

そういえば昨日は気にしていなかったが、ジャガ丸くんには何かクリームやトッピングが乗せられて、味に個性を出しているようだ。

 

「うーん、どれがいいかな…」

 

エルがジャガ丸くんの注文を悩んでいると、いつの間にか後ろに2人、人が増えていた。

振り返ると、そして長考していることを謝ろうと後ろを向くと、

 

先頭に立つのは、黄金色の長髪を持ち、無表情でどこか落ち着きのある雰囲気を纏った剣士然とし女性。

その後ろには、明るい元気いっぱいの表情をした少し短めの黒髪を持つアマゾネスだろうと思われる少し露出度の高い服装をした女性が控えている。

 

「あっ、ごめんなさいお待たせして…」

 

そう謝るエルに対し、

 

「小豆クリーム味」

 

先頭に立つ女性か不意に言葉を発する。

 

「…え?」

 

状況が理解出来ずに戸惑って疑問の声を出すエル。

だが女性は表情は変えず言葉を続ける。

 

「小豆クリーム味…美味しいよ」

 

「あっ!ああ!そうなんですか?じゃあ、それを買ってみます!ありがとうございます!」

ようやく状況を理解することが出来たエルは、オススメされたジャガ丸くん、小豆クリーム味を注文することにする。

 

「はい、こちらジャガ丸くん小豆クリーム味2つです!ありがとうございました!」

 

そうして店員からジャガ丸くんを受け取るエル。

すると、先程の女性ではなく、今度は短髪の方のアマゾネスの女性に話しかけられる。

 

「ねぇねぇ!ジャガ丸くん、もしかして君も好きなの?」

 

エルは一瞬驚きつつも、彼女の無邪気な笑顔に少し安心し、頷いた。

 

「はい、昨日初めて食べたんですけど、これ…美味しいですよね。」

 

「だよねー!私達も好き!あ、そうだ!私ティオナ・ヒリュテ!よろしくね!ねぇねぇ、君はー?」

 

ティオナは元気よく自分から名乗り、エルに笑顔を向けた。

その勢いに押され、エルも思わず微笑んで答えた。

 

「エル・フィリウスっていいます、よろしくお願いします」

 

「エルくんかー!いい名前だね!それに君、なんだかちょっと変わってる雰囲気があるっていうか、面白そうな感じがするんだけど、なんでかな!」

 

ティオナの屈託ない笑顔と、興味津々な視線に、エルも少し照れながら

 

「そうそう、なんか見ててワクワクしちゃうんだよね!ねえ、アイズもそう思わない?」

 

すると彼女からアイズと呼ばれた、自分もジャガ丸くんの会計を済ませた女性も静かにエルに視線を向け、少し顔を傾けながら返事をする。

 

「どうだろう?」

と一言。

ティオナの勢いとは対照的な控えめな口調で、素直に感想を述べた。

 

「そ、そうですかね?僕は全然そんなつもりはないんですけど…」

自分の身体で何か変わってる部分があるだろうか、と自分を見てみるが何も分からなかった。

 

「そうかなー?うーん、まあいいや!」

 

そしてティオナはさらに勢いづいて、

 

「とりあえず君もジャガ丸くんが好きなんだから、これから私達ジャガ丸くん仲間ってことだね!」

 

と無邪気に笑う。

その横でアイズは不思議そうに首を傾げている。

 

そんなこんなでジャガ丸くんの話や、世間話などもしつつ、お互い冒険者であることを知り、それぞれの所属ファミリアについての話になり、彼女達がロキという神の下に結成されたロキファミリアというファミリアに所属していることがわかった。

 

ただ、エルはまだこの街で生活が浅く、彼女たちの所属しているロキ・ファミリアがこのオラリオで名高いファミリアであり、彼女達がその中でも有名冒険者たちであることには気づいていない。ただ、自分を「仲間」だと認めてくれるようなティオナの明るさに、自然と笑顔がこぼれた。

 

---

 

「ちょっと長話しすぎちゃったな…!」

 

その後、主神アフロディーテを待たせていたことをすっかり忘れていたエルは急いで神殿へと戻るが、エルの帰りがあまりにも遅いのでアフロディーテから小言を受ける。

 

「随分遅かったじゃない。空腹で死んでしまいそうだっだわ」

 

「ご、ごめんなさいアフロディーテ様!ジャガ丸くんのオススメを教えてくれた冒険者の方とちょっと話していたら長引いてしまって…ジャガ丸くんです!どうぞ!」

 

そう言ってジャガ丸くんを渡すとジャガ丸の美味しそうな匂いにすぐに機嫌を直される。

ジャガ丸くんを一口味わったアフロディーテは、満足そうに微笑みを浮かべた。

 

「ふふ、少し質素な感じはするけど、それでもこのジャガ丸くんは美味しいわね」

 

エルも嬉しそうに頷き、彼女に尋ねた。

「あの…そういえばさっき言った冒険者達のことなんですが、なんでもロキ・ファミリアというファミリアに所属している人らしいんです」

 

「ロキ・ファミリア?それは驚いたわね。あそこはオラリオでも有名なファミリアで、団員たちは皆実力者ばかりだと聞いているわよ。それと…アイズ・ヴァレンシュタインと言ったかしら。その子が特に有名らしいわね」

 

その言葉に、エルは思わず目を見開いた。

「え!アイズさん達がですか…!?全然知らなくて…普通の冒険者だと思って話しちゃいました」

今ごろやっと、自分が先程とんでもない人達と喋っていたことを知るエル。

そのとんでもない事実に驚きを隠せずにいた。

それに、自分みたいな駆け出しがちょっと馴れ馴れしく喋りすぎでしまったのでは、と不安が押し寄せてきた。

 

「まあ、いいんじゃない?会話が続いたのなら嫌がってはいなかったってことでしょう?」

 

と微笑むアフロディーテの言葉に、エルは少し照れくさそうに笑うエル。

 

「そう…ですね。もしそうだったら、また会ったら今度はもっとちゃんと喋りたいな」

 

「ふーん?アイズ・ヴァレンシュタインが気になるの?」

 

「あ、いえ!そうじゃないんです、そうじゃなくて…」

 

と言いかけた言葉を途中で止めるエル。

そんなエルの様子を少し不思議そうに眺めるアフロディーテだったが、

 

「ジャガ丸くん、冷めるわよ」

 

せっかくのジャガ丸くんが冷めては勿体ないとその一言を区切りに食べることに集中する。

 

「はい!」

 

エルもアフロディーテの指摘にハッとして、切り替えるべく返事をして自分のジャガ丸くんにかじりつく。

 

「う、うまぁ…」

 

彼女達に勧められたジャガ丸くん小豆クリーム味は、今までに感じたことのないくらいの幸福感をエルに感じさせ、口の中でその美味しさを無限に広げていくのだった。

 




そんなわけ今回はロキファミリアからアイズとティオナの登場です!
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