ダンジョンに強すぎる冒険者がいるのは間違っているだろうか   作:マイペースライター

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そういえば読者の皆様が気づいているか分かりませんが、今回で9話目になるこのお話、色々なことが起こってますがまだエルくんがオラリオに来て3日しか経ってないんですよね…
原作に追いつくのはいつになるやら。
まあマイペースにやっていきましょ〜



武器選び

 

「確かこの上にあるって、アフロディーテ様が言ってたよな」

 

ギルドを出た後、いつもダンジョンに探索に行く際に見る、どこまで伸びているのか分からないほど天高く聳え立つバベルの前にたどり着く。

そのバベルに備え付けられたエレベーターに乗り込んだエル・フィリウスは、静かな緊張感を纏いながら上の階へと登っていった。

やがてエレベーターの扉が開き、眼前に現れたのは豪華絢爛な装備が飾られた店が立ち並ぶ場所だった。

 

「うわぁ……」

 

エルは思わず小さく息を呑む。

そこに並ぶ武具のどれもが眩い輝きを放ち、圧倒されるような気分になる。

近くの装備に値札が付いていたのでそれに目をやると、何百万、いや何千万ヴァリスという桁違いの金額が記載されていた。

 

「来るところ…間違えたかな…?」

 

途方に暮れたような表情で立ち尽くすエルの背後から、不意に声がかかった。

 

「お主、迷っておるのか?」

 

驚いて振り返ると、そこには片目に眼帯をつけた、力強い雰囲気の女性が立っていた。その佇まいから漂う威厳にエルは思わず身構える。

 

「あ、えっ…と。あなたは…?」

 

「手前は椿・コルブランド。ヘファイストス・ファミリアの団長を務めておる。」

 

堂々とした自己紹介に、エルもすぐに姿勢を正した。

 

「は、はじめまして!僕はエル・フィリウスといいます」

 

「ふむ、エルか。で、ここで何をしておるのだ?手前達の店に用があるのではないのか?」

 

彼女の鋭い視線を感じながら、エルは少し戸惑いながら答えた。

「主神に、ここの店を勧められたんですが……その、どうも金額が所持金を大きく上回っていて……」

 

エルの言葉に、椿は豪快に笑い声を上げた。

「ははっ、なるほどな。確かにここは一級品が並ぶ所だからな。」

 

その朗らかな笑い声に、エルも自然と肩の力が抜ける。

「あ、はい……」

 

「ほれ、あっちの奥を見てみろ。恐らくお主の主神が勧めたのはあちらの場所の品だろう。価格もこちらの品よりも安いものが多い」

 

椿に促され、エルは彼女と共に道の奥へと歩みを進めた。

豪華な武具が並ぶ一角から少し外れた場所には、初心者にも手の届く価格帯の武具が揃っていた。

エルは一つずつ手に取っては、重さやバランスを確かめていく。

 

「どれ、これも何かの縁だ。手前も興味があるから、お主の武器選びに付き合ってやろう」

 

エルが槍を手に取りながら椿を見やると、彼女も隣で腕を組んでじっくりと見定めるように武具に目を光らせていた。

 

「ありがとうございます。……あの、椿さんはどんな武器を使われるんですか?」

 

「ん?手前は色々な武器を使っておる。鍛冶師ゆえ、手前が打った武器を試し斬りするからな。お主はどうだ?」

 

「はい。祖母に殆どの武器の扱い方を教わったので、基本的にはどんな武器でもある程度は……今は魔法を覚えたので、片手に武器、片手で魔法をという戦い方が基本なんですが」

 

「ほう、それは面白い」

 

その言葉に、エルは少し照れくさそうに頬を掻いた。

 

---

 

 

エルが展示品を見ていると、一つの槍が視界に留まった。

それは他の武器に比べて、どこか精巧で洗練された作りをしており、手に持つと自然に腕に馴染むような感触があった。

 

「これ、他の物とちょっと違う感じが……」

 

「お主、なかなか良いものに目を付けるな。だが、そいつは両手槍、お主の戦い方には不向きだろうな」

 

確かに、と頷くエルだったが、店を見回ってみた限りこれ以上の業物はありそうになかったため、少し悩んでいた。

 

それに気づいた椿が、ふと興味深げな目でエルを見つめる。

 

「よし、少し手前も興味が湧いてきた。お主が手前の出す条件を飲むなら手前が打った武器を譲ってやろう」

 

エルは驚きつつも、その条件に興味を示す。

 

「条件……ですか?」

 

「ふむ、明日、手前と共に迷宮へ潜ってもらおう。ちょうど手前が打った武器達が溜まってきたのでな。お主にはその武器達の試し斬りを手伝ってもらうぞ」

 

---

 

翌日、約束の時間が来て、エルはダンジョンの入口で椿を待っていた。

しばらくすると、遠くから大きな荷物を背負った椿が悠々と現れる。

 

「待たせたな、エル。さあ、手前についてこい!」

 

椿が先頭に立ち、意気揚々とダンジョン内へと歩を進める。

彼女の後ろ姿には迷いがなく、頼もしい背中にエルも思わず見惚れながらついて行く。

 

椿が立ちはだかる怪物達を次々と倒していくため気づき難かったが、進むごとに周囲の様子が徐々に変わり、ある階層に到着したところで、エルは不安が限界に到達し思い切って尋ねた。

 

「あの……ここって何階層なんですか?」

 

「ん? 13階層だが、どうかしたか?」

 

その答えにエルは顔を青ざめさせ、緊張が一気に高まる。

 

「13階層!? 椿さん、僕、まだ駆け出しのレベル1で1階層でしか戦ったことないですよ!?」

 

その言葉に、椿は驚愕し、眼帯のない方の目を大きく見開いた。

「なに……お主、あの雰囲気からレベル3くらいかと思っていたからもう少し進もうかとも考えていたが、これは手前の勘違いだったか」

 

エルの様子を見た椿は、しばらく悩んだような顔をして、それから少しばかり反省したように頷く。

 

「失敬、少し戻るぞ」

 

と言って、エルを連れて来た道を戻っていく。

そして、またしても椿がモンスターを殲滅していくので、一瞬にして5階層まで引き返していた。

確かに5階層ならレベル1の駆け出しでも、パーティを組めばどうにか探索できるレベルだとはエイナから聞いていたが、それでも1階層しか探索したことの無いエルにとっては未知の場所だった。

しかし、武器を手に入れたらいつかは進むことになる階層だと、ベテランであろう椿もいることだし、これ以上椿に何も言うこと無く信じてついていくことにした。

 

 

やがて、彼女は立ち止まり、エルに向き直る。

 

「さて、ここなら問題なかろう。エル、お主にはここで手前の打った武器の試し斬りを手伝ってもらう。準備はいいか?」

 

その問いかけに、エルは緊張を抱きつつも、気を引き締めて頷いた。

 

「はい、頑張ります!」

 

エルの意思の籠った返事に気を良くした椿は、

早速持ってきた荷物を漁り始め、顔を緩ませる。

 

「よし!まずはどの武器を試してもらうとしようか」

 

この時、椿の計画している試し斬りが深夜まで続くことになろうとは、エルは知る由もなかった。




椿さんの口調とかあってるんだろうか。
間違ってたらごめんなさいね。
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