アークナイツ リザレクション   作:サツキタロオ

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今年もうすぐ終わるってマジ!?今年中にアニメ一期までのストーリー書き上げたい。


STORY.6:火の粉と鋼鉄

「ドクター!」

 

「アーミヤ! やっと見つけたぜ!」

 

雑踏を抜け、ようやく合流地点へ戻ってきた時、レイヴンの声が響いた。

数時間の別行動の末、走り寄るレイヴンの顔には、安堵とちょっとした焦りが混じっている。

 

「やっほーデューク! 今回はロドスのリーダーも一緒なんだね?」

明るい声で割り込んできたのは、天使の輪を揺らしながら近付いてくる赤髪の少女。

その笑顔は相変わらず爆発力がある。

 

「コイツはエクシア。向こうにいる黒髪のループスはテキサス。俺の同僚だ。」

 

「よろしく。」

テキサスはお菓子の箱を片手に、視線だけで軽く挨拶する。

エクシアとは対照的な静けさがある。

「よろしくねー!」

 

エクシアはアーミヤに向かって手を振ると、次の瞬間にはデュークへ振り返り――

にやり、と悪戯っぽい笑みを浮かべた。

 

「それにしても、デュークもうリーダーとそんなに仲良しなんだ!やっぱりモテモテだね〜?」

「やめろ、抱きつくな!」

エクシアに腕を絡められ、デュークは露骨に嫌そうな顔をして振り払う。

彼女は楽しそうにくすくす笑った。

 

「……それよりレイヴン。例の探し物は見つかってないのか?」

デュークが切り替えるように問いかけると、レイヴンは一瞬だけ固まった。

額に汗が浮かぶ。頬を指でぽりぽり掻きながら、口ごもる。

 

「あー……任務で……なんか探せって言われてたんだけど……なんだったかなぁ……」

 

沈黙。

そして目の前に差し出されるアーミヤのスマホ。

任務内容PDFのタイトルがどーんと表示されている。

 

レイヴンはそれを見て数秒固まり――

 

「……………………ああそうそう!なんか龍門のボスから石探せって言われてんだった!」

ようやく思い出したらしい。

(思い出すのに2分ぐらいかかったな……)

(ですね……)

 

アーミヤとデュークは同時に心の中でため息をついた。

 

「それよりさ、なんか敵さん来てない?」

エクシアが何気なく横を指差すと、レユニオンの一団が無言で通り過ぎていった。

路地裏に身を潜めるレイヴンたちは見つからずに済んだが――

その光景には、どこか皮膚の下がざわつくような違和感があった。

 

「……なんかあのレユニオン達、変だったな?」

デュークが眉をひそめる。

 

「なんか人っぽくない雰囲気だったよね〜。」

エクシアは軽い調子だが、瞳は警戒の色を帯びていた。

 

「本当に人じゃなかったりしてな。」

テキサスが淡々と呟く。

 

「ちょっ、怖い事言わないでよテキサス〜。ああいうの冗談でもやめてよね、雰囲気的にシャレにならないって!」

 

ペンギン急便の三人が小声でやり取りしている横で、レイヴンとアーミヤは通りの奥――レユニオンたちが消えていった先をじっと見つめた。

 

「なんかあるのか?」

レイヴンが問いかける。

 

アーミヤは眉を寄せ、慎重に言葉を選んだ。

「……レユニオンも、私たちと同じ目的で動いている可能性があります。さきほどの進行方向……目的物があるとすれば、あちらでしょう。」

「アイツらも石探ししてんのか?」

「おそらく。ですが――」

アーミヤの視線は先ほどのレユニオン達の歩き方、その異質さに留まり続けていた。

「彼ら、普通の構成員とは動きが違います。まるで……“命令だけを焼き付けられた機械”みたいな…」

 

レイヴンは小さく息を呑んだ。

「とにかく行ってみるか。」

 

レイヴンの号令で五人は路地を駆け抜け、さきほどのレユニオン――いや、“構成員の皮を被った何か”を追った。

 

数分後、瓦礫の積もった広場に出た。

そこでは、構成員たちが地面を掘り返し、金属のアームのような器具で何かを引きずり出していた。

 

「……見つけたぜ!」

レイヴンが小声で叫ぶ。

 

掘り出されたのは、資料にあった“石”。

錆びついていて古ぼけた見た目ではあり得ないほど存在感を放っている。

 

「アレが例の物ですね。」

アーミヤの耳がぴくりと動く。

 

「どうやって取り戻すのさ。」

エクシアが不安げに囁く。

 

「正面突破か。」

テキサスが肩を回しながら軽く言う。

 

「……どうやってだよ……」

デュークが小さくため息をつく。

 

五人は身を縮めてダンボールに潜り込んでいた。

その“持ち手の穴”から覗く様子は、緊迫した状況なのに妙に間抜けである。

 

「アーミヤ、俺とレイヴンとテキサスが先に出て敵を引き付ける。その隙にお前とエクシアで石の回収だ。」

デュークが短く指示を出す。

 

「いい考えだと思います。でも……本当に大丈夫ですか?」

アーミヤの声音にわずかな心配が滲む。

 

「任せとけ。俺たちも手に入れたら即撤退する。」

デュークが軽く拳を握る。

 

「その隙に頼むぞ、二人とも。」

レイヴンもニヤリと笑う。

 

「………行きましょう。」

アーミヤが頷いた瞬間――

 

三人はダンボールを蹴飛ばして飛び出した。

「おらァッ!」

デュークが斬り込み、テキサスが滑り込んで構成員を切り捨てる。

すると、中からケーブルと基盤が床に散らばった。

 

「……人間じゃない……」

テキサスの声は冷静だった。

「的中してるな、あんたの“嫌な予感”!」

レイヴンが二体をまとめて斬り払う。

「なら遠慮いらないな!!」

 

金属と金属がぶつかる音が響く。

その隙に――

 

「エクシアさん!」

「任せて!」

銃を構えるエクシア。

不敵な笑みと共にセミオートの連射が炸裂し、構成員の手から石を弾き飛ばした。

 

アーミヤは転がりこみ、前転で石を抱え込む。

「よし、回収成功です!」

「やったな!」

レイヴンが振り返って叫んだ瞬間――

 

金属の足音が周囲から重く響き始めた。

構成員たちの“群れ”が、あらゆる路地からわらわらと集まってくる。

 

「目的は達成した。逃げるぞ!」

デュークが素早く腰のポーチからスタングレネードを取り出す。

 

地面に叩きつけた瞬間――

白い閃光が爆ぜ、世界が真っ白に染まった。

 

五人は目を細めながら一気に全力で走り出し、

追いすがる金属音を振り切るように暗い路地へと消えていった。

 

……………………

 

なんとか回収に成功した一同は、路地裏の人目の少ない場所に身を寄せた。

「これが目的物……?」

アーミヤが掌でそっと転がす。

「ただの石にしか見えねぇけどな。」

レイヴンが覗き込む。

「誰かが触ったら爆発するかもな。」

デュークがニヤリと笑う。

 

「えっ……っ!」

アーミヤは慌てて石を放り投げた。

 

「おっと。」

レイヴンが素早くキャッチする。

 

「おいデューク、脅かすなよ!アーミヤもびっくりしてただろ!」

「悪い悪い。ウチじゃ“爆発オチ”は日常でね。」

「そんな日常いやだ……」

そう言ってレイヴンが石を持ち直した瞬間――

 

レイヴンの体から何かが吸い出されるように、光が石へと流れ込み始めた。

 

「……ッ!?な、なんだこれ……!」

身体の奥から抜かれていくような感覚に、レイヴンが呻き声を上げる。

 

石は眩い光を放ち始め、表面の錆が弾けるように剥がれ落ち、

その核心から**歪んだ黒い“核石”**が浮かび上がった。

 

次の瞬間――

全員の脳内に直接、声が叩き込まれる。

 

『…………ふう。ようやく戻れたな。』

 

反射的に全員が身構える。

 

「な……なに、今の声……?」

エクシアが強張る。

 

『俺は第一の碑文(死の恐怖)“スケィス”。……いや、久しぶりに喋ると喉が鳴る。長ぇこと窮屈な場所に詰め込まれてたが――ようやく外に出られた。』

 

声は石から溢れ出していた。

レイヴンは直感的に悟る。

――スラムで拾ったあの“球”の正体はコレだ。

 

『どうやら、お前ら以外にも俺を探してやがる連中がいるらしいな。』

 

「……レユニオンが狙っているのか?」

デュークが眉をひそめる。

 

『さぁな。俺も完全に把握してねぇ。けど――』

 

石が重低音のような脈動を放ち、レイヴンの胸が同じリズムで震える。

 

『今は疲れた。……しばらく“こいつ”の身体の中で休ませてもらう。まだ本調子じゃねぇからな。』

 

「ちょっ……待っ――」

レイヴンの制止も聞かず、スケィスはそのままレイヴンの胸へと吸い込まれていった。

 

沈黙。

 

レイヴンは慌てて自分の体を触りまくるが――外見上、変化はない。

「ど、ドクター!本当に大丈夫なんですか!?」

アーミヤが慌てて駆け寄る。

「……うん。今のところ、なんとも……ねぇんだよ。」

動揺を隠そうとしたが、声が微妙に震えている。

 

エクシアは顔を寄せてひそひそと囁く。

「ねえデューク、これってヤバくない?」

「だいぶヤバい。」

「テキサス、どう思う?」

「……もうちょっとしたら爆発するかもな。」

「やめなって!!」

 

レイヴンは額を押さえながら息を整えた。

 

……………………

 

「チェンさん。こちらアーミヤです。聞こえますか?」

通信機越しに、わずかなノイズの後、素っ気ない声が返ってきた。

『……なんだ?』

 

「例の目標物を発見しました。ただ…その……ドクターが、吸収してしまったんです。」

 

一瞬の沈黙。

『………何を言ってる?』

 

「ですから、石状の目標物が活性化し、ドクターの体内に――」

 

『……意味の分からないことを言うな。冗談を言っている暇があるなら、状況を整理しろ。切るぞ。』

通信は一方的に遮断された。

「……切られてしまいました……」

アーミヤは通信機を下ろし、肩を落とす。

「そりゃあねぇ。“目標物が人に入った”なんて言われて信じる方がどうかしてるよ。」

 

エクシアはスマホを取り出し、軽く肩をすくめる。

 

「しかも相手は龍門近衛局だし。理屈が通らない時は、まず疑われるのが常識だよね〜。」

 

「……ですよね……」

アーミヤは視線を落とし、レイヴンを見る。

本人はというと、壁にもたれかかり、腕を組んで考え込んでいた。

 

「レイヴン。どうするんだ?」

デュークの問いに、レイヴンは少し間を置いてから答えた。

 

「……とにかく一旦、戻る。」

「戻るって、龍門の近衛局にか?」

「それともロドスに?」

 

「両方だ。」

レイヴンは短く言い切る。

 

「このままスラムに居続けるのは悪手だ。それに……俺の中の“アレ”も、何が起きるか分からねぇ。」

 

無意識に、胸元を押さえる。

 

中にいる“何か”は、今は沈黙している。

だが、それが本当に眠っているだけなのか、

それとも――次の段階を待っているのかは、誰にも分からない。

 

「説明するなら、場所を選ばねぇとな。」

 

「賛成。」

テキサスが短く頷く。

 

「私も同意見です。」

アーミヤも強く頷いた。

「チェンさんには……後で、きちんと説明します。」

 

エクシアはにっと笑う。

「じゃ、撤退戦ってことで!こういうの、ペンギン急便の得意分野だよ〜。」

 

「……あんまり自慢にならねぇけどな。」

デュークはそう言いながらも、すでに周囲の警戒を始めていた。

 

こうして一行は、

“目標物を回収した”という任務を終えながらも、

誰一人として安堵できない状態のまま、引き返すことになる。

 

レイヴンの胸の奥で、

微かに――本当に微かに、何かが脈打った。

 

その問いに答える者は、まだいなかった。

 




アニメ第一期辺りはもうすぐ終了です。
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