アークナイツ リザレクション   作:サツキタロオ

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遂にヴィクトリアに来たんですか。


STORY.31:ヴィクトリア突入

「スタイルチェンジ……ですか?」

アーミヤは少しだけ首を傾げ、興味と警戒が入り混じった視線でレイヴンを見る。

研究対象としてではなく、戦力としての変化を見極めようとする、指揮官の目だった。

 

「そうなんだよ。ほら見ろこの……ぶっとい……腕!」

レイヴンは半ば誇らしげに、半ば冗談めかしてガッツスタイルの右腕を突き出す。

装甲化したナックルは人の腕とは思えないほど分厚く、関節部には鈍い光が走っていた。

一目見ただけで、殴ることに特化した兵装だと理解できる。

 

「随分と重そうですが……大丈夫ですか?」

アーミヤは率直にそう尋ねる。

万が一、動作に支障が出るようなら作戦全体に影響が出かねない。

「意外と重くないんだよな。」

レイヴンは軽く拳を握り、開き、確かめるように何度か動かす。

動作は滑らかで、違和感もない。

「むしろ……力の伝達が分かりやすい。殴った分だけ、全部相手に返っていく感じだ。」

 

「……あはは……そうですか……」

アーミヤは小さく苦笑した。

正直なところ、“殴りやすい”という感想は想定外だったが、それがレイヴンらしいとも思えてしまう自分がいた。

 

そして一瞬、空気が切り替わる。

「それより、ドクター。」

アーミヤは表情を引き締め、端末を操作しながら続ける。

「そろそろヴィクトリアに突入する作戦が開始になりますが……大丈夫ですか?」

その言葉に、周囲の気配がわずかに張り詰める。

冗談の通じる空気は、ここで終わりだった。

 

「……ヴィクトリアの奴らを叩きに行くのか?」

レイヴンは低く問い返す。

冗談めいた調子は消え、戦場に立つ者の声になる。

「いえ。」

アーミヤは静かに首を振った。

 

「具体的には、ヴィクトリアの首都・ロンディニウムに突入します。」

その地名が出た瞬間、“本気の作戦”であることが誰の耳にも明確になった。

「近年のヴィクトリアの行動により、覇権国家としての地位は大きく揺らいでいます。それに伴い、国内の不満を抑え込むため、市民への鎮圧が激化しているそうです。」

 

端末に映し出されるデータ。

暴動、弾圧、拘束、行方不明者――

数字だけでも、状況の深刻さが伝わってくる。

 

「私たちロドスの目的は明確です。」

アーミヤはレイヴンの目を、真っ直ぐに見た。

「鎮圧部隊を排除し、その隙に民間人を救出する。」

軍事的勝利ではない。

政治的成果でもない。

 

――人を助けるための戦い。

 

「なるほど、理解した!」

レイヴンは即答した。

迷いは一切ない。

 

「要するに、また面倒で危険で、でも――放っておけない仕事ってわけだな。」

右腕のナックルが、わずかに軋む。

「なら問題ない。俺は前に出る。殴る。守る。それでいいだろ?」

アーミヤは、はっきりと頷いた。

 

「はい。それで十分です、ドクター。」

こうして、ヴィクトリア本土への作戦は静かに動き出した。

 

…………………

 

そして翌日。

灰色の空がロンディニウム上空を覆い、街全体が息を潜めているようだった。

遠くでは警報設備の低い駆動音が鳴り、都市そのものが戦場になる準備を進めているのが分かる。

 

「アーミヤ。私達は308番ゲートから潜入する。」

 

ケルシーの指示は短く、無駄がない。

 

「ドクター達と共に、アーミヤは309番ゲートへ。」

 

「了解です。」

 

アーミヤは即座に返答し、端末を閉じる。

その声音に迷いはなく、指揮官としての覚悟が滲んでいた。

 

――――――――――――――――――

 

309番ゲート。

ロンディニウム外縁部に設置された、古いが堅牢な検問施設だ。

 

レイヴン、アーミヤ、イグニス、デュークの四人は、瓦礫と崩れた建造物の陰からゲートを見下ろしていた。

 

そこには――

想定以上の数のヴィクトリア兵が展開していた。

 

歩哨、巡回班、装甲兵。

重装ライフルを肩に掛けた者、盾を構えた者、索敵用の端末を操作する者。

統制の取れた配置から、単なる巡回ではないことが一目で分かる。

 

「……敵が多いですね……」

アーミヤが低く呟く。

数を数える必要すらない。

正面から突っ込めば確実に消耗戦になる。

 

「何か探してるみたいだけど……」

 

イグニスは身を低くし、双眼鏡を覗き込む。

 

「……ここからじゃ分からないな。」

 

そう言って、双眼鏡をレイヴンに手渡した。

 

「どれ……」

 

レイヴンも覗き込む。

兵士達はゲート周辺だけでなく、内部通信を頻繁に行い、

時折、地下方向を気にするような仕草を見せている。

 

「確かに……警戒っていうより、なんかを探してるみたいだな。」

双眼鏡を下ろし、レイヴンはアーミヤに目配せする。

 

「……もう行くか?」

その問いに、アーミヤはすぐに首を振った。

「……まだです。この数で、しかも何かを探しているなら、下手に動くのは危険です。」

「ちぇ……」

イグニスとデュークは分かりやすく不満そうな顔をするが、それでも指示には従い、身を伏せたまま待機する。

「ドクター、イグニスさん、デュークさん。落ち着いて……」

「わっーてるよ。」

レイヴンはそう返すが、その視線は既に戦う場所と順番を頭の中で組み立てていた。

 

――その時だった。

 

「……誰だ、アレ?」

デュークが指差した先。

ヴィクトリア兵の配置とは微妙に異なる、別系統の部隊が接近してくる。

 

装備は軽量化され、徽章も異なる。

動きは荒く、しかし迷いがない。

 

「……ダブリン兵ですね……」

アーミヤが即座に識別する。

「ヴィクトリアの過激派団体……内部抗争や、独自行動が多いと聞いています。」

その直後だった。

 

怒号。

銃声。

誰かの叫び。

 

ヴィクトリア兵とダブリン兵が、何かをきっかけに衝突したのだ。

統制された陣形が一気に乱れ、銃火が無秩序に飛び交い始める。

「……今出たら、両方潰せるチャンスだぞ。」

レイヴンの声は低く、しかし確信に満ちていた。

アーミヤは一瞬だけ目を閉じ、戦況、被害、成功率を高速で計算する。

 

そして――

「…………はい。」

短い許可。

その瞬間、三人の表情が一変する。

「よっしゃ!」

「待ってた!」

「行くぞ!」

レイヴンを先頭に、三人は瓦礫の影から一斉に飛び出した。

 

「――待ってたぜ!」

ガッツスタイルの右腕が唸りを上げ、

ロンディニウム309番ゲートは、本格的な戦場へと変わった。

 

「――ガッツパンチ!!」

 

レイヴンの咆哮と同時に、巨大な右腕が唸りを上げた。

空気が圧縮され、拳が振り抜かれた瞬間、衝撃波が発生する。

 

直線上にいたヴィクトリア兵が、

まるで紙屑のように宙を舞い、壁や装甲車に叩きつけられていく。

 

「うわっ……!」

「冗談だろ……!」

 

悲鳴が上がる間もなく、レイヴンは止まらない。

右腕で敵を殴り飛ばしながら、左手で大剣を軽々と担ぎ上げる。

 

――本来なら、全力で構えても重いはずの大剣だ。

それをレイヴンは、まるで木刀のように振り回した。

 

横薙ぎ一閃。

金属音と共に、盾ごと兵士が吹き飛ぶ。

 

縦斬り一閃。

装甲が割れ、地面に叩き伏せられる。

 

「凄いな……ガッツスタイル……」

アーミヤが思わず呟く。

力任せではない。

制御され、無駄のない圧倒的パワー――それが今のレイヴンだった。

 

「なんでパワーだけ純粋強化なんだよ!流石だな!」

イグニスはそう叫びながら、足を止めない。

彼は剣を構え、アーツを展開する。

炎が空中で凝縮され、刃の形を成していく。

 

それは通常の火炎放射ではない。

意思を持った炎の剣。

「燃えろ……!」

振り下ろした瞬間、炎の刃が地面を走り、周囲の敵を飲み込んだ。

 

爆ぜる炎。

視界を覆う熱波。

兵士達は悲鳴を上げる間もなく倒れ伏す。

「それが……イグニスのアーツか……」

レイヴンが一瞬だけ視線を向ける。

「実は、初めて見たかもな。」

「見せる機会なかったからね!」

 

一方その頃――

デュークは一歩引いた位置で、静かに構えを取っていた。

呼吸が整い、刀身が地面と水平になる。

「――八葉一刀流・壱ノ型」

低く、しかし芯の通った声。

「螺旋ッ!」

次の瞬間、デュークの姿が消えたように見えた。

 

実際には、超高速回転。

渦を描くような動きで敵陣へ突入し、

刃が円を描く度に、兵士が次々と倒れていく。

 

斬撃は一瞬。

音すら遅れて届く。

気付いた時には、周囲の敵は全て膝をつき、地面に崩れ落ちていた。

 

「……なんてパワーだ……」

イグニスが呆然と呟く。

 

――だが、戦場は油断を許さない。

その背後から、長槍を構えたヴィクトリア兵が突進してきた。

 

「ドクター!」

 

アーミヤが即座に前へ出る。

彼女の剣が、瞬時に形を変えた。

刃が伸縮し、杖のような形状へと変化する。

 

同時に、淡い光が広がる。

 

「――!」

展開されたのは、半透明のバリア。

槍が突き刺さるが、その衝撃は完全に吸収される。

 

「このまま……!」

アーミヤは一歩踏み込み、バリアごと押し返した。

体勢を崩した兵士の前に、レイヴンが滑り込む。

 

「サンキュー!」

バリアが解除された瞬間、ガッツパンチが叩き込まれた。

兵士は一撃で吹き飛び、そのまま意識を失う。

 

――そして。

数分後。

銃声も、怒号も止み、309番ゲート周辺には静寂が戻っていた。

 

倒れ伏す兵士達。

立っているのは、ロドスの四人だけ。

 

「……片付いた、みたいだな。」

レイヴンが大剣を肩に担ぐ。

「アーミヤ、その力って……」

彼女を見る。

アーミヤは一瞬だけ視線を落とし、静かに答えた。

 

「……おそらく、医療オペレーターの力だと思います。」

その言葉には、自覚と、まだ掴み切れていない何かが混じっていた。

 

そうしてレイヴン達は、309番ゲートへ向かって一気に駆け出した。

破壊された警備設備を踏み越え、瓦礫を跳び越えながら進むその動きに、一切の迷いはない。

 

――だが。

 

「……ッ!」

レイヴンの背筋に、鋭い寒気が走った。

空気が変わる。

重力が、わずかに歪む感覚。

 

「誰だ!」

叫ぶと同時に、彼は上を見上げる。

 

次の瞬間、

空から“それ”が降りてきた。

重力を無視するかのように、ゆっくりと、しかし確実に。

 

金属光沢を帯びた翼。

刃のように鋭利な羽根。

その全身から放たれるのは、研ぎ澄まされた殺意そのもの。

「ほう……」

低く、冷たい声が響く。

「まさか、309番ゲートから侵入しようとするとはな……」

その姿を見た瞬間、レイヴンの表情が険しくなる。

 

「……ファルコム・エネゲード!」

ヴィクトリア八精鋭・鷹のフォルスロイド。

空を支配する殺戮者。

 

「ここより先には行かせんよ。」

ファルコムは地面に降り立たず、わずかに宙に浮いたまま、翼を広げた。

その翼一枚一枚が、刀身のようなブレードへと変形していく。

「くっ……ここで邪魔をするつもりか!?」

レイヴンが大剣を構え、前に出る。

「邪魔、ではない。」

ファルコムは淡々と告げた。

「あくまでも“防衛”だ。――貴様らがここを通るというのなら、話は別だがな。」

 

一瞬、空気が静止する。

 

次の瞬間、

ファルコムの翼が強く打ち鳴らされた。

「ならば良し!」

空が裂けるような音と共に、彼の姿が消えた。

「――一瞬の閃光と……」

視界の端が白く弾ける。

「永遠の死を授けてやろう!」

 

次の瞬間、

上空から斜めに、鋭い閃光が走った。

 

「ッ、危ねぇ!!」

レイヴンは反射的に跳ぶ。

直後、彼が立っていた地面が斬撃によって抉り取られた。

コンクリートが切断され、

火花と粉塵が舞い上がる。

「速っ……!」

 

イグニスが歯噛みする。

ファルコムはすでに再上昇し、

今度は円を描くように旋回していた。

 

「空中戦……厄介ですね……!」

アーミヤが杖形態に変えた剣を構える。

ファルコムは嘲るように笑った。

「地に縛られた者に、空の支配者は倒せぬ。」

翼が震え、無数の刃状エネルギーが雨のように降り注ぐ。

「チッ……!」

レイヴンはガッツスタイルの右腕で正面を防ぐ。

衝撃が連続して叩きつけられ、地面に足がめり込む。

「くそっ、上から削られる!」

 

その瞬間、彼は叫んだ。

「アーミヤ!アーツで頭上を崩せ!」

「はい!」

アーミヤは即座に理解した。

杖を地面に突き立て、アーツを集中させる。

光が脈動し、天井部――ゲート上部の構造体が共鳴する。

 

「――今です!」

次の瞬間、爆発的な衝撃が上空で発生した。

老朽化していた天井構造が崩れ、大量の瓦礫が落下する。

 

「……ほう?」

ファルコムは即座に高度を上げようとするが、

崩落によって視界が遮られる。

 

「空を奪えば……!」

レイヴンが踏み込む。

「地に落ちるしかねぇだろ!!」

 

「無駄だ!」

 

鋭い断言と同時に、

ファルコムは両翼を交差させた。

 

翼のブレードが噛み合い、

高密度の防御障壁を形成する。

 

――ガッ!

 

レイヴンの一撃は確かに直撃したはずだった。

だが、衝撃は金属音と火花を散らすだけで、刃の内側に届かない。

 

「……ッ!」

 

反動で体勢を崩したレイヴンは、そのまま地面を転がり、即座に距離を取る。

アーミヤの隣まで滑り込み、息を整えた。

 

「無駄だ。」

ファルコムは宙に留まり、見下ろす。

「このブレードは、ヴィクトリア最高峰の設計思想に基づいている。――折れはせん。」

自信に満ちた声音。

その翼は、まるで空そのものを盾にしているかのようだった。

 

「くっ……」

レイヴンは歯を噛みしめる。

空中優位、防御特化、スピードもある。

正面からじゃ分が悪い……

 

「……地形をうまく使えば……」

そう思考を巡らせ、再び踏み込もうとした――その瞬間。

心臓が、異様な鼓動を打った。

「……?」

体の内側から、別の力が湧き上がってくる感覚。

 

「この感じ……」

レイヴンの瞳が見開かれる。

「スタイルチェンジだ!」

次の瞬間、彼の身体が重く、強く、地に縛られるような感覚に包まれた。

ガッツスタイルの象徴だった巨大な右腕アーマーが、まるで溶けるように霧散する。

 

代わりに――

両腕。両脚。胴体。

全身に分厚い装甲が装着されていく。

ゴテゴテとした重装。

だが、それは鈍重さではない。

 

「――グランドスタイル!」

レイヴンが低く叫ぶ。

次の瞬間、彼は地面を強く踏み抜いた。

衝撃が波紋のように広がり、周囲の瓦礫、コンテナ、崩れかけた構造物が一斉に跳ね上がる。

 

「……チッ!」

ファルコムが舌打ちする。

「姑息な……!地形破壊とはな!」

宙に逃げようとするが、落下物が進路を塞ぐ。

 

「どうかな!」

レイヴンは跳躍した。

重装にもかかわらず、信じられない速度で距離を詰める。

「――ッ!?」

ファルコムが反応するより早く、レイヴンの手が翼の付け根を掴んだ。

「次は――」

鈍く、嫌な音が響く。

 

「何!?」

ファルコムの叫びと同時に、彼の片腕――いや、翼の一部が引きちぎられた。

金属と疑似筋繊維が裂け、赤い光が飛び散る。

 

レイヴンは着地と同時に、視界に入った巨大コンテナへと向き直る。

「次はこれだ!」

両腕でコンテナを掴み、持ち上げる。

数トンはあるであろう鉄塊が、まるで軽い荷物のように宙を舞う。

「馬鹿な……!」

ファルコムが後退する。

「――喰らえ!」

レイヴンは全身の力を込め、コンテナを投げ放った。

 

「ぐわぁッ!!」

 

空中で体勢を崩したファルコムの身体が、大きく揺らいだ。

片翼を失い、回転しながら落下してくるその姿は、もはや“空の支配者”の面影を失っている。

 

「そこだッ!」

地面を強く踏みしめ、反動すら利用する勢いで一気に距離を詰める。

グランドスタイルの全身装甲が軋み、その内部で膨大なエネルギーが解放される。

 

「――終わりだ!」

リコイルロッドが唸りを上げた。

振り抜かれた一撃は、空気を裂き、衝撃波を伴ってファルコムの胴体を正面から捉える。

 

鈍く、しかし決定的な音。

ファルコムの身体は、縦一直線に真っ二つに裂かれた。

 

「ば、馬鹿な……」

分断された視界の中で、ファルコムの声はかすれていた。

「……ヴィクトリア八精鋭……この私が……ッ……」

その瞳に宿っていたのは、怒りでも恐怖でもない。

誇りが砕かれた者の、純粋な困惑だった。

「……申し訳、ございません……」

裂けた身体の奥で、エネルギーコアが不安定に明滅する。

「テレシス様……ッ……!」

 

次の瞬間――

激しい爆発と共に、ファルコム・エネゲードの残骸は光の粒子となって四散した。

空に舞っていた羽根のような破片が力を失い、静かに地へと降り注ぐ。

 

「……」

一瞬の静寂。

 

「……よっし!」

レイヴンが拳を握りしめる。

「やった……!」

「八精鋭を一人、撃破……!」

周囲にいたアーミヤとイグニスが、信じられないものを見るようにレイヴンを見つめる。

 

「ドクター、新しいスタイルですか!?」

通信越しに、軽快な声が割り込んだ。

『あー、今のは完全に確認できたよ』

「レヴリスか。」

『うん。それは――グランドスタイルだね』

端末越しでも分かるほど、

彼はどこか楽しそうだった。

 

『地形依存ゼロ。足場の崩壊、落下物、重力変化――全部無視できる』

『簡単に言えば、どんな場所でも“地に足を付けて戦える”スタイルだ』

 

「なるほどな……」

レイヴンは自分の装甲に視線を落とす。

重厚で、無骨で、装飾も少ない。

「……地味だな。」

『うん、地味!』

即答だった。

「即肯定すんなよ!」

アーミヤが思わず笑みをこぼす。

「ですが……とても頼もしいです。」

 

「すぐにお役御免になっちゃうんじゃない?」

イグニスも頷いた。

「まあ…進むか!」

レイヴンはそう呟き、ゆっくりと拳を開いた。

 

309番ゲートの先。

まだ戦いは続く……

 

だが少なくとも――

ヴィクトリアの戦力は削られたのだった。

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