アークナイツ リザレクション   作:サツキタロオ

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アーミヤの回。


STORY.39:想いと共に

一旦ロドスに帰還したレイヴン達。そのままケルシーの居る管制室に向かった。

そして、事の経緯を全て話した。

「そうか…彼女が…」

「ケルシー。アイツは誰なんだ?最後、俺の事をオラクルって言ったんだ。」

「……ドクター。君には全てを話す必要がある。ちょっと来てくれ。」

ケルシーはレイヴンの手を引いて自室に案内した。

「ああ…」

アーミヤ達も着いて行こうとしたが、ジェスター達が止めた。

「アイツら二人にしておこう。これはアイツに関する話だからな。」

「…アタシらは、終わるまで作戦会議でもしておきましょ?」

「……ですね!」

ウィシャデル達に促されて、アーミヤも頷いた。

そしてモニターを見ながら現在のヴィクトリアの様子を観察していた。

 

……………………

 

その頃、ケルシーの部屋に着いた二人。ケルシーは一つの写真立てをレイヴンに手渡す。

そこには、黒いフードを被った男性、ケルシー、幼いアーミヤにピンク髪の女性と、顔の部分だけ破れているが女性が立っている写真だった。

「これは?」

「君と私とアーミヤ…そしてテレジアとプリースティスの写真だ。」

「テレジア…?」

「彼女は以前の君と同じ科学者だった。バベル…ロドスの前身機関で君と共に源石の研究を行っていた女性だ。」

「…そして、その時に暗殺もされた。」

ケルシーが項垂れながら呟いた。

レイヴンはその話を聞きながら写真立てを机に置き、棚からコーヒーミルを出す。

「…もしかして俺のせいか?」

「…君だけのせいじゃない!…でも、君が原因の一つではある…」

「そっか…わりぃな。」

「謝る必要は無い。彼女は君を悪く言わないだろうから。」

ケルシーはカーテンを開けてそのまま話し続ける。

「…プリースティスは我々の同期だった。共に源石の研究をしていたよ。でも、源石を作ったのは彼女と君だ。今から数十年前に源石を作り、"外"に居るという敵に対応する為には必要なものだと言っていた。」

「でも、それがきっかけで鉱石病もできちまったんだよな。」

レイヴンは豆を砕きながらケルシーと話し合う。

「…君は彼女といずれ戦う事になる…」

「だろうな。」

レイヴンがお湯を注いでいると、ケルシーが後ろから抱きついた。

「…わ、私は君に行って欲しくない…こんな事を言うのは私らしくないが…」

ケルシーの声は少し震えていた。

レイヴンはケルシーの手に触れる。

「…それでも俺は行くよ。自分にケジメを付ける事も大事だし、これ以上源石で苦しむ人は…見たくねぇからな。」

レイヴンは微笑んだ。

「…コーヒー作ってみたから飲んでみてくれよ。俺、ちょっと艦橋行ってくるから。」

レイヴンはケルシーから離れて部屋を出た。

一人取り残されたケルシーは、コーヒーを飲む。

 

……雑な味だった。コーヒーの砕き方も雑、お湯もぬるくて、砂糖の味であまり飲めた味では無かった。

だが、今のケルシーにはあまり関係無かった。

「……ドクター…」

ケルシーは静かにその名前を呟いた。

 

……………………

 

「……はあ…」

レイヴンは艦橋で溜息を吐いていた。

「レイヴン。」

後ろからジェスターの声がして振り向く。

そのまま隣に並んだジェスターはコーラを差し入れてくれた。

「ケルシーから色々話を聞いたんだな。」

「ああ…自分が、思ったよりもクソだって事が分かったよ…」

「で?どうするんだよ。」

「…プリースティスを止める。色々聞きたいことが出来ちまったからな。」

「レイヴン。お前はロドスであると共に、一人の男…そして戦士だ。」

ジェスターがレイヴンの方を見つめ、レイヴンもジェスターを見つめる。風にたなびく髪はお互いの張り詰めた空気を吹き飛ばすような感覚だった。

「お前はロドスに必要な人間だ。だから、ここでくたばる訳には行かないぞ。」

「分かってるよ。戦うさ、自分と…それから過去と。」

「その為にはお前やウィシャデル…テディスにチェン達が必要だ。」

レイヴンはジェスターに手を差し伸べる。

「だから、これからも一緒に戦ってくれ。」

ジェスターは黙った後、そのまま手を握り返す。

「そのつもりだ。頼むぞリーダー!」

二人とも悪い顔をして微笑む。悪人面というやつをしていた。

 

その様子を見ていたアーミヤとウィシャデル。

アーミヤは少し悲しそうな顔をしていた。

「…どしたのアーミヤ。」

ウィシャデルが壁に体育座りで座り込んだアーミヤを見ていた。

とても落ち込んでいるアーミヤを見るのは初めてだった。いつもなら、落ち込んでもすぐに立ち直るが、今回は少し調子が違うようだった。

「…私、以前に言ったんです。ドクターの事を守るって。」

「でも…私今だに彼のことを守れてません…寧ろ守られてる…」

アーミヤの耳がペタッと落ち込んでいるのが目に見えるほどに落ち込んでいた。

「………不安なんです。私、ドクターに必要なんでしょうか…」

「アーミヤ。ドクターは十分アンタの事必要にしてるわよ。」

「…アイツ、アンタが居ないと何かしら出来ないでしょ?戦うことしかできなかったアイツに家と生きる事を教えたのは…正真正銘アンタよ。」

ウィシャデルはアーミヤの隣に座って寄り添う。

「………だからさ、ちょっと元気出しなさい。アーミヤが不安そうにしてたら、みんなが…特にドクターがもっと不安になるわよ?」

「…ウィシャデルさん…」

「もしも悩みが晴れないなら、一度身体を動かしてスッキリさせるのもいいかもね。」

ウィシャデルは立ち上がって、そう助言しながら室内に戻っていった。

 

「…私にできる事…」

アーミヤは少し顔を上げて静かにそう呟いた。

 

……………………

 

そうしてその数時間後、作戦開始を告げるサイレンが鳴り、レイヴン達は急いで武装を装備する。

「…よし、ジェスター。部隊は?」

「多くは無い。」

「なら余裕だな。」

レイヴンは両腕にしっかりとドラゴンキラーを装備する。

 

「……ジェスター。イヴァンソードとルガーランスだ。どうだ?」

ニールに手渡された新武装を振ってみるジェスター。展開式のブレードであるイヴァンソードと刀身を展開してビームを発射可能なルガーランスを手渡されたジェスター。

「…悪くない武器だ。良い仕事をしたな。」

「当然よ。データならシュミレーターでウィシャデルからたっぷりゲットしたからな。」

「ウィシャデルが?」

ジェスターは少し黙ってウィシャデルの方を見る。向こうは向こうで武器の調節を手伝ってもらっている様子だった。

(素直じゃない奴だな。)

「分かった。遠慮無く使わせてもらう。」

ジェスターはそのまま武器をしっかり握り、そのまま飛び去った。

「じゃ、俺も行ってくるから、アーミヤ。部隊は任せるぜ。」

「…はい。」

アーミヤは作り笑いをして、レイヴンに心配かけさせまいと振る舞った。

レイヴンは少し驚いた顔をするが、すぐに微笑み返し、ジェスターの後を追って飛び去った。

 

レイヴンとジェスターは飛びながら地上の部隊を目撃する。

「…なんて数だ…ざっと2000は居そうだな。」

「…俺たちってちょうど二人だったよな?」

レイヴンとジェスターがお互い見合って、再び悪い顔をする。

「…じゃ、後方が来る前に…」

「片付けてやるか!」

二人が地面に降り立ち、構えを取って周囲の敵の前に立つ。

 

「ガイアフォース!」

レイヴンが火球を投擲して周囲の兵士を薙ぎ倒す。

ジェスターも二刀流で構え、過ぎ去ったかのように敵を瞬殺した。

そのまま二人は背中を預けながら走って鋭い刃を敵に浴びせた。

 

 

………そうして後方部隊がヴィクトリアのゲート近くに接近する。

辺りには兵士の残骸が至る所に散乱して地獄絵図と化していた。

「これも全部ドクターが?」

「やっぱりあの二人がロドス最強ね。」

「異論無い。」

ウィシャデルが言うと、チェンも続けて頷いた。

アーミヤも苦虫を噛み潰したかのような顔をするも頷いていた。

「ドクター達が先行したなら、俺達も行きましょう!」

テディスがそう言うと、そのままゲートを通って行った。

 

アーミヤは周囲を見回しながら、以前発見した石棺があった地下道への坂道を見つけた。

「チェンさん。指揮を任せても良いですか。」

「どうしたアーミヤ?」

「…少し気になった事があるんです。」

アーミヤはそのまま剣を構えたまま坂道を滑って行った。

 

「…アーミヤの奴珍しいわね。」

「………こう言う時は、ウィシャデル。お前何か吹き込んだか?」

「べーつに?」

 

 

 

……………………

 

アーミヤは一人、そのまま瓦礫の上を歩きながら石棺に近付いていた。

「…ここに来た理由…何故かは分からないけど、行かなければならない理由が…ある!」

アーミヤはそのまま走って石棺を剣で叩き割った。

大きな残骸が音を立てて崩れ去る。

すると、中から光と共に誰かが出てきた。

 

「…プリースティス…じゃ…ない…」

そこに居たのは、人の形をしたオーラのような存在が居た。

「……不思議な感覚…他人じゃないみたい。」

アーミヤは剣を構えてそのまま向かい合う。

するとオーラも同じように剣を構えてきた。

 

…一息おき、そしてお互い走り出した。

「ふっ!」

そのまま鍔迫り合いが続き、互いにカウンターを取りながらアーミヤはアーツで攻める。

そしてそのままアーミヤは刺突の構えを取ってオーラを切り裂いた。

切り裂いたと思ったが…オーラに包まれてアーミヤは謎の空間に来てしまう。

「!?」

一瞬驚いてしまうが、すぐに冷静さを取り戻して歩いた。

 

しばらく歩く。

 

その先に、何か後ろを向いているアーミヤに似た女性が居た。

「貴方は…?」

『……』

彼女が振り向く。

そこには、"アーミヤ"が居た。だが、その姿はボロボロの服に身体中に源石が生えている恐ろしくも悲しいような姿をしていた。

 

『ようやく繋がれた…』

「…?」

『私の名前は…アーミヤ 。』

ノイズが混じったような言い方だった。

彼女は淡々と話す。

『私は貴方とは違う世界線の存在…こうやって貴方の世界に来る事ができた。』

「…どういうことですか?」

『…このままだと、ロドスどころか、この世界は終わる。』

「…!?」

『ヴィクトリアの脅威が去っても…さらなる脅威が現れ、この世界は崩壊への一歩を辿る事になる。』

『それは"外"から来る脅威に対抗出来ずにこの銀河が滅びるのと同義。』

彼女達は不思議な空間を漂った。

アーミヤの目の前には銀河が映っていた。

回る。巡る。

 

そんな光景がアーミヤの前に存在した。

 

「…私に何をさせたいんですか?」

『…これは賭け。私の力を貴方に託したいの。』

すると彼女は両手を出し、二つの光を取り出した。

『この"魔王"の力と"この世界"に存在しない碑文の力を貴方に…』

『私の力はもう残っていない。"魔王"の力を使ってもこの未来を変えられなかった。』

「………」

アーミヤは黙り込んだ。彼女は自分では考えることすら出来ない程の経験をしてきたのだろう。

『…貴方は…全てを支配する"魔王"の力を使う?』

「私は…」

アーミヤは目を閉じる。

彼女は今までの事を思い出していた。

 

楽しい事、悲しい事、戦う事……

全ての記憶が彼女の中に入り込んだ。

そして、ある"青年"の顔も浮かぶ。

 

彼によって、自分の運命が変わったのと同義。

記憶を失った彼もまた、アーミヤの道を変えるきっかけになっていた。

 

「……私は…使いません。」

『……』

「…私は、全てを支配する為に、この力を使いません。」

『……!?』

彼女は驚く。アーミヤは彼女の手を握った。

「私は…ようやく自分のやるべき事が分かりました。魔王の力は…使うものにもよって神にも悪魔にもなれる。」

 

周囲の空間にヒビが入る。

そして彼女を見るアーミヤの目には迷いが無かった。

「私は…全てを支配する魔王にはなりません……」

 

 

「私は……」

 

 

 

 

"全てを守る"魔王になりますッ!」

 

その言葉と同時に、空間は別の空間へと変わった。

青空と白い花に包まれた楽園のような場所だった。

 

『…そう……貴方はこれまでの"アーミヤ"とは違う選択をした……』

『長い時の中で、こんな選択をしたのは初めてです。』

目の前の"彼女"はアーミヤと瓜二つの姿になっていた。

二人は手を握る。

「私、あの人のお陰なんです。ずっと守られてばかりが嫌だった…本当なら、守るのは私の役目なのに。」

「でも違ったんですね。"守られる"事でもなくて、"守る"事でもなくて…」

「"一緒に守り抜く"事……それが私なりの答えです。」

『……そうですか…』

彼女は微笑んだ。

そして、足元から彼女が光の粒子になり、身体はそのまま光になって消えていった……

 

『…それなら、みんなを守って…私にはもう守れないから…』

「貴方は…」

『この力も貴方に力を貸してくれる。この力で、貴方の大切な人達も守ってあげれば良い。』

 

「…」

『ありがとう。アーミヤ……』

そうして彼女の声は聞こえなくなり、アーミヤは前方の光に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…なんだ、あの光は…」

レイヴン達は空から天にまで昇る光の柱を眺めていた。

地上の人々も、その光に見惚れていた。

まるで。引き寄せられるように……

 

 

石棺の瓦礫が周囲から消え、天に光が差し込む。

アーミヤは天を見上げていた。

「…」

新たな姿となり、アーミヤは目を閉じて風を感じた。

太陽はまるで、彼女達を祝福しているようだった。

 

「守ってみせます。みんなも、貴方の想いも…」

 

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