とあるロドス。
休暇という訳でオペレーターはそれぞれ休暇を満喫していた。
そんな中、私は珍しく書類を持ち歩かずに通路を歩いていた。
(今日はテディスを誘って何処か出掛けるか…)
私の頭の中はそんな事ばかりを考えていて、何をするのか頭の中でずっと駆け巡っていた。
そして通路を曲がる時、彼の後ろ姿が見えた。
「テディ…」
私が思わず声をかけようとすると、その後ろに誰かが居た。
「…」
同じ部隊のオペレーターで、テディスに良く話を聞いて特訓をしている新米のオペレーターの少女だった。
いつもなら、何も言わずに声をかけている自分が居るだろう。だが、今日は何か違った。
「おい。」
「!」
テディスが驚いたように振り向く。
「ああ、チェン隊長。」
「……もう隊長じゃない。何度言えば分かる。」
「あ!すみません…」
いつもの問答だった。しかし、私は彼をどかしてオペレーターの少女の前に立つ。
少女は少し驚いている様子で私の事を見つめていた。
「今日、私は彼と用事があってだな。悪いが話なら後にしてくれないか?」
「あ、そうなんですね。分かりました。じゃあ隊長、また今度!」
そう言って彼女は振り返って立ち去った。
「チェ…チェンさん?」
彼が私の事を不思議そうに見つめていた。
私は思わずハッとなる。
「す、すまない…」
「ところでテディス。今日は予定あるか?何処か買い物に出かけたいと思っているんだが…」
「あ、すみません。今日はもう予定があって…」
「…!そうか…」
その時、私の心臓から何やら痛みが来た。
胸を押さえて確かめてみるが、負傷した訳でも無かった。
…なんだ…これ…
「…すまない。じゃ、またな。」
私はそう言ってその場を立ち去った。
(疲れているのか…)
頭を抑える。少し疲れを取ろうと思い、スマホを取って連絡先を見る。
(ホシグマ…)
連絡先の一つにホシグマの欄があった。
龍門での戦いの後からまるっきり会ってなかったから連絡しても帰ってくるかどうか…
「…ホシグマ。連絡できるか?」
『チェン隊長。お久しぶりですね。どうかしましたか?』
「久しぶりに話がしたい。ロドスに来れるか。」
『ええ、ぜひお邪魔します。』
そうして1時間足らずでホシグマは来てくれた。
「珍しいですね。隊長から連絡するなんて。」
「…」
「……何か悩み事ですか?」
「…!よく分かったな。」
「隊長は悩んだ時はいつもこんな顔をするので…」
そこまで見抜かれていたとは…長年相棒をしているホシグマだから言えるのだろう。
「…聞いてくれないか。ちょっとな。」
…………………
「え、テディス隊員の事ですか?」
「最近、彼が他のオペレーターと話していると、胸の奥が痛むんだ。その度、私は無理矢理遮ってしまう…一体どうしたというんだろう…」
「簡単です。恋ですよ。恋。」
「!?」
私はその言葉を聞いて思わずコーヒーを吹き出してしまい、咳き込んだ。
「…こ、恋だと!?」
「ええ。好きな人が他の女の子と話していると少し嫉妬してしまう…恋話ではよくある話ですよ。」
私が…恋だと…!?
龍門の為に日々修行に明け暮れ、恋などにも一切目も暮れずに居たというのに…
「でも、良いと思いますよ。隊長。」
「…ホシグマ…」
「ずっと過去に囚われてた隊長の心の壁を彼は崩したって事です。」
「貴方はずっとタルラの事や鉱石病の事で悩んでいた。でも、彼が関わったお陰でその事も吹っ切れたんじゃないんですか?」
「それに、彼と会ってから、貴女は随分笑顔が増えたと思いますよ。」
「あっ…」
私は自然と言葉が溢れる。
今まで彼との思い出を振り返る…。確かに、あの時の私は今までの私と違っていた。
まるで、恋をする一人の少女のようだった。
……そうか、あの時から彼は私の心の中に埋め尽くされていたという訳か…
「…隊長。テディス隊員はモテますよ。それにしても、他のオペレーターが話してるからって割り込んでくるの、独占欲強いですね〜。」
「う、うるさい!」
私は思わず目を逸らした。
「…でも、お似合いです。きっと。だから、頑張ってください。自分に言えるのはこのぐらいです。」
「………ああ、ありがとうホシグマ。気持ちの整理ができたよ。」
私は立ち上がって彼女に別れの挨拶をした。
「…それにしても恋か…」
エクシアやウィシャデルから聞いたが、恋をすると自分が思っているよりも心臓のドキドキが止まらないらしい。
「…くっ…色男め!」
私は一人通路でそう叫んだ。
トモコレ買ったんですよ。どハマりしそうです。