陰実短編集   作:ただの厨二病A

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シャドウガーデン七陰総括『ギリシャ』については、前話:陰の崇拝者になりたくて!を参照

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転生、オリ主、アンチヘイト、TS


陰の崇拝者になりたくて!(第ニ・三者視点)

聖域にて、シャドウガーデンは建物の上から会場の様子を見下ろしながら、作戦まで待機していた。

中でもギリシャは目を閉じて腕を組みながら静かにその時を待っていた。

 

アルファはこの状態のギリシャには気をつけないといけなかった。

なぜなら、視覚を閉ざしている分、他の五感、特に聴覚が研ぎ澄まされてるからだ。

この前、この状態のギリシャの前でアルファは小声でちょっとした失言をしてしまった結果、気づかれて大惨事になったからである。

 

そんな時、聖域のアナウンスが響いた。

「次!ミドガル魔剣士学園生徒、シド・カゲノー!」

シャドウの表の顔を知る者は驚き、ギリシャも目を開いた。

そして、観客席に居るシドの方を見た後、来賓席の方に目を向け、ローズ・オリアナの口の動きから発言を読み取り、何かを決めたギリシャは「作戦変更」とだけ言い残し、轟音と共に会場へ乱入した。

その時、ギリシャがキレていたのはその場の構成員全員が気づいた。

「あの王女、何かやらかしたわね。」

(彼女が王女を見た瞬間、不快感があらわになった。何をしたかはともかく、止められるかしら。)

 

 

 

その後、聖域の扉が開き、観客に紛れて避難していたシドへとギリシャが近寄る。

「申し訳ございませんシド様、オリアナの王女が邪魔立てを。作戦を変更します。あなた様はこちらの扉から裏手を。我々は表から参ります。」

そう言って、アウロラの召集の扉をくぐってもらい、ギリシャは来賓席へと向かった。

 

 

「さあ、皆様に万一のことあっては、退室wo...」

とネルソンが言った瞬間、気配を感じ取ったアレクシアとローズが剣に手を伸ばす。

壁の方へ目を向けると、黒服のシャドウガーデン達が居た。

 

「観客でいることさえできないの?おい、おせっかいの勘違い野郎、理想主義者のローズ・オリアナ。」

(何だか知らないけれど、ローズ先輩にキレている?にしても、この威圧感、姉様の言った通りかなりの実力ね。)

 

「知ってる?有能な敵よりも無能な味方の方が脅威なの、ゴミなの。無能な怠け者より無能な頑張り者の方が邪魔なの、カスなの。つまり、あなたはクソなの。分かる?余計な真似はしない事。そうでなければ、観客ですらいれなくなるかもしれないんだから。」

 

 

そうこうやりとりのあった後、イプシロン達が殿(しんがり)を務めていると、ヴェノムがイプシロンに背後から襲いかかったが、盛っていないイプシロンは簡単に避け、そのまま斬り捨ててネルソンを連行して扉へと入った。

 

「お断りよ!」

と、側から見れば文脈意味不明な発言をしてアレクシアが扉へと飛び込んだのを、ローズも一瞬の迷いの後に追って行った。愚かな選択である。

 

 

扉をくぐりぬけて落ちていくと、それに気づいたギリシャなる女が目にも止まらぬ速さで私の目の前まで来て、私を邪魔だと言わんばかりに払い除けて、後ろから落ちて来たローズ先輩へと蹴りを叩き込み、壁へと叩きつけた。

「ぐっ」

 

「おい貴様、なぜ扉をくぐった。なぜくぐったと聞いている!」

さらにギリシャは、壁に叩きつけられてぐったりしているローズ先輩の頭を掴んで問いただしていた。

なんでローズ先輩もついて来たのかしら。私はともかく、あなたは何故かヘイトを買っているようだし、絶対に来るべきじゃなかったわよね。

 

「答えろ!」

「わ、私は、アレクシアさんの後を追っただけd...」

「は?『追った』じゃないでしょう!この腹黒王女が馬鹿みたいに無策に扉に突っ込んだからって追いかける理由にはならないのよ!そもそも、お前が止めれば良い話だろぉが!」

そう言って、ローズ王女を掴んでいた手を離し、回し蹴りを喰らわせた。って、あの女さらっと私のこと罵倒してたわよね?

 

「ギリシャ。それ以上は流石によ。王女という身分を潰すのは惜しいわ。」

止めに入ってくれたようだけれど、まるで王女には利用価値があるかのような言い回しをいていないかしら。

「ふんっ、我々はお前らに余計な時間を使っている暇はない。3度目の正直を見せてみろ。次は処分する。」

 

「悪いわね。彼女は容赦ないの。分かったら2度と出しゃばった真似はしないことね。」

あまりの言いように、直接“は”関係のない私でさえ顔を(しか)めた。

「あなた達の為に言っているのよ。きっと次は止められない。死ぬわよ。」

少しは言い返したかったけれど、あれ以上彼女を怒らせたら問答無用で殺しにきそうな上に、抗う術もないので諦めることにした。

 

 

 

そのしばらく後、666の裏切り騒動にて

「あれを裏切りというのは早急じゃないかしら。」

「559番、あなたにはいずれ七陰に次ぐ立場に…」

刹那、一切の音をも許さぬ静寂と背筋どころではなく全身を凍りつかせる冷気がその場を支配した。

 

「559、666の裏切りについて詳細を聞かせなさい。」

「っ!ギリシャ様!」

っ!ギリシャが気配も音も一切なく現れる時、彼女は怒りを通り越して殺意だけで動いている。

私は過去にこの怒り方をされた事がある。スライムを手に入れて初めて盛って、ギリシャに盛っている事を気付かれた時。

 

〜〜〜

「イプシロン、こちらを向きなさい。」

「何?ギリsy…」

振り返った瞬間、盛った胸のスライムだけを的確に斬り落とされた。

 

私は状況を理解するのに一瞬戸惑ったわ。

「この余計なスライムは何?答えなさい。」

 

「崇高なるシャドウ様に対して、不遜(ふそん)な事を考えているのか?第一、私が気付けることはとっくに秀才たるシャドウ様が気づいているに決まっているでしょう。完全に不敬です。今回はシャドウ様がお見逃しになられているので、超特別に不問としてあげますが、今すぐにやめなさい。」

主様からいただいた陰の叡智があれば、天然に勝てると思っていた。けれど、そもそも違っていた。

七陰総括として主様に最も認められているギリシャは天然ではない。私に近い体型だった。

それでも主様に認められているのであれば、天然かどうかなど主様には関係ないということ。

わざわざ盛る必要なんてないのよ。

 

この時は主様あってこその結果。

もしそうでなかったら、斬られたのはスライムだけでなかったでしょう。

〜〜〜

 

「鍵を奪還する為に、突入した所に666が母君を庇い、そのまま混戦に。」

「寛大なるシャドウ様のお慈悲により、ガーデンに加わる事を許されたにも関わらず、この狼藉(ろうぜき)。万死に値する。」

「待って、ギリシャ様。裏切りと断定するには早いわ。それを言うなら、母君の事を話していなかった私の責任よ。」

「あ゛?話していたいないなんて関係ない。私情に流される時点でアウト。そして監督責任を問うならラムダを呼びなさい。構成員全員に過去を捨てさせているんじゃなかったの?」

「裏切りにしても、そんな急ぐ必要はないわ。彼女の事を分かった上で主様はガーデンに引き入れられた。ここは一度、主様を交えて話し合うべきよ。」

 

「・・・良いでしょう。シャドウ様は既にこの旅館に滞在なさっている。裏切りの現場に居た構成員とラムダを呼びなさい。」

 

 

後日

(なんかギリシャに666の処遇について話し合うので同席して欲しいって言われたけど、ミツゴシの社員さん何かやらかしたのかな。僕に言われてもそもそも600人も覚えてないし、その社員さんドンマイって感じなんだけどなぁ。)

(まぁ、ギリシャはシンシャの頃から姉さんとは正反対のブラコンだし、同じ転生者だから、ちょっとくらいその社員さんを庇うこともできるかな。)

 

 

「お待ちしておりました、シャドウ様。それでは666弾劾会議を始めます。」

(イプシロンに、昨日一昨日に助けたウィクトーリアちゃん、鬼教官に、知らないエルフの人が居るけど、関係者なのかな。)

 

「559番。まず、裏切りの状況を読み上げなさい。」

「はっ。664、665番と共に教団から鍵を奪還しようとした所、666番がそれを妨害。結果任務は失敗しました。」

「待って下さい!あれはただ母親を守ろうとしただけで、裏切りとは言えません!」

(はは〜ん。さては、インサイダー取引って奴をやっちゃったのかな?)

 

「664番。発言は手を挙げてからにしなさい。そして、任務に私情を挟んで良いなんて一言も言っていません。それについて教育担当のラムダに尋ねます。」

「はっ。確かにアレの教育を務め、過去を捨てるよう教育しました。ですが、こうなってしまった以上、責任は教官を務めた私にあります。せめてもの情けです。アレの始末は私にお任せ願えないでしょうか。」

「教官?!」

 

「この案件はあなたが責任を負えるような問題ではありません。アレが裏切った結果、何が起きたでしょうか。鍵はいまだにあちらの手にあり、その上ドエムは結婚の準備を進め、やがて王族に入り込むことになるでしょう。」

と、ギリシャが新聞を机に叩きつけながら言う。

その新聞に書かれていた内容に目をやると、

(ローズ先輩がドエムと結婚だって?!刺してまで婚約を拒否ったのに、覇王への道を諦めるなんてっ!)

 

『許さんぞ、ローズ•オリアナ。裏切りは絶対に、』

「「「!」」」

『許さん!!』

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