陰実短編集   作:ただの厨二病A

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陰実を知る者が無力な国民に転生した話

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転生、アンチヘイト


陰の実力者を略奪したくて!

トラックに轢かれて死んで

 

魔法の直撃で死んで

 

呪われて死んで

 

・・・死んで死んで死んで...

 

 

 

視界が開ける。

 

毎度の如く男女がこちらを覗き込むように見ている。

 

 

またか。

 

今度の異世界はどんな力があるんだ?魔力か呪力やら霊力やらなんやらか。

 

ま、どうせまた何の力を手に入らない。

 

俺には関係のない事か。

 

 

《数年後》

 

 

どうやら俺は前世、即ち地球だな。懐かしい。そこにあった異世界ものアニメ『陰の実力者になりたくて!』の世界に転生したらしい。

 

色々な世界に行き過ぎて記憶が段々と怪しくなっている俺だが、最も古い記憶である前世のことだけは異世界に比べて明確に覚えている。

 

その記憶によれば、陰実世界はシリアスだったはずだ。そして俺が生まれたのは魔力を持たない家系。もちろんそんな家系からポッと魔力持ちが産まれるわけもなく、俺は相変わらず無力な一般人だ。

 

今度は組織の抗争に巻き込まれて死ぬってか?

 

まぁ、それ以前に今拉致られてる訳だが、一般男児なんて拉致ってどうすんだよ。

 

、、、ハァァァ、ダリィな。

 

力さえあれば死なずにすむ、、、いや、シャドウガーデンとして戦う事も、、、いや、原作にいない俺が動くと不用意な事が起こるかもしれないか?

 

いやいや、そもそももっと力があればもっと大それたこともできるんじゃないか?

 

それこそ、、、シャドウに取って代わるとかな。

 

あぁ、力さえあれば俺は死なずに異世界を好きにできるってのに、

 

力、力、力、、、(ちから)ァァァ!

 

その瞬間、連続でピュンというような甲高い音と共に辺りに閃光が走る。

 

「この()()は偵察だけに留める予定だったが、良い闇の気配。これを観測しない手はない。」

 

俺を攫った盗賊連中の声とは違う。誰だ?

 

すると、俺の閉じ込められている檻にかけられた布が捲られる。

 

それによって見えた人影は、上から下まで全身迷彩柄の服を着て、フードを被った少女、もしくは少年?

 

中性的な顔でよく分からないが、手にはSMGのような銃、背中にもSRのような銃を背負っていた。

 

そしてその背後にも同様の服装をした人影が2人立っていた。こちらは恐らく青年だ。

 

ただ、1つだけ聞くべきことができた。

 

「お前らは()()()なのか?」

 

「やはりそうか。ならば逆に聞こう。お前はどこから()()した?」

 

俺の質問に対してそう返ってきた。

 

だが、重要なのは中身じゃない。その言語だ。

 

それは陰実世界の言語ではなく、俺の母国語。日本語だった。

 

ならば俺の返すべき答えは一択。

 

「日本」

 

すると、その人影はニヤけながら言った。

 

「であるならば、この世界の魔力を手に入れる気はあるか?」

 

「!?」

 

「俺が力を手に入れることができるのかっ?!」

 

「もちろん。転生者とは本来異世界人とは異なる存在として生まれる。そうでないことも時折あるが。」

 

「そしてどうやらお前はその転生者特有の魔力、『黄色(おうしょく)魔力』を有していない。本来は持っているべき魔力だ。」

 

「なら俺はもちろん欲しい!異世界を好きにできるほどの力が!」

 

「そうだろう。転生者とは異世界人よりも優れた存在。異世界人に劣るなどあってはならない。」

 

そう言って彼彼女が手に見せた黄金に光る魔力は、確かにこの世界で上位に入る魔力量だった。

 

「さぁ、力を得よ。転生者。」

 

そしてその魔力は俺の体へと入り、自然と馴染んだ。

 

魔力許容量とか関係なく、まるで元から俺の体の一部だったように吸収されて紫色の魔力になった。

 

その魔力を使い、檻を破壊する。

 

ははっ、これが力かっ!

 

「さて。貴官は魔力を手にしたが、それで満足か?」

 

『満足か』か。確かにこの魔力量であれば王国最強、アイリス・ミドガル相手でも負けないだろう。

 

「いや、これだけでは『シャドウ』に勝てない。あの陰の実力者を目指す狂人にはな。」

 

「あぁそうだ。黄色魔力はあくまで転生者の力。それで転生者に勝てるかどうかは別の話。もし、そいつに勝ちたいなら、我が力を貸し与えよう。」

 

「そう、我らが最強たるゆえんの1つ。『赤色(せきしょく)魔力』をな。」

 

そう言って、彼彼女が俺に見せた『魔力』は異質だった。

 

俺は様々な異世界に転生し、MPや霊力、呪力などを見てきたが、そのどれもがそれぞれ異なる存在だったのは確かだ。

 

そしてこの『魔力』はそれらのどれとも違うが、その全てを感じさせる。

 

まるで、この『魔力』、、、いや、彼彼女の言う『赤色魔力』はあらゆる世界の魔法的力の源かのようだ。

 

「赤色魔力と共に貸し与える力は、そうだな。世界に潜る能力とでも言おうか。」

 

《その後》

 

そうこうして俺はこの陰実世界を奪うのに十分な力を手に入れた。

 

それが俺自身の力ではなく『帝国』の力、即ち借り物の力であるのはあまり良い気分ではないが、無いよりは断然良い。

 

世界との位相をずらし、姿を消すことのできるこの力があれば、俺が陰の実力者に取って代われるだろう。

 

 

《王都動乱編》

 

 

ミドガル王都で奴らが動き出した。

 

前世の記憶は問題ない。この後ミリアと核。

 

核人間はまだ相手にしなくて良い。

 

徐々に、されど確実に。

 

【位相変更。深度π、完全不可侵。】

 

深度π、世界の波長から半波長ずれた魔力を纏う今、世界が俺に干渉する事も、俺が世界に干渉する事もできない。

 

世界はただ、俺が移動しているのすら知ることはできない。

 

 

ここだな。アレクシア・ミドガルが捕まっている地下室の真上は。

 

【位相変更。深度1、物理存在。】

 

〜〜〜アイリス視点〜〜〜

 

「長丁場になりそうですね。」

 

再生する化け物に対して、私は再生できなくなるまで斬る長期戦を覚悟していると、突如謎の人物が私と化け物の間に現れる。まるで元からそこにいたように。

 

「何者だ!」

 

「我々は真のシャドウガーデン。そして俺はいずれ真のシャドウとなる者、シャーデン。」

 

そんな中、化け物はお構いなしにその男に拳を振るう。

 

けれど、その拳は男の持つ黒い謎の物体によって片手で止められる。

 

そして、男の着る黒の下地に紫色の線の入った服が波打ち、そこから化け物へと黒い物体が射出され、的確に急所を穿ち、化け物を仕留めた。

 

そこで姿を消そうとする男に対し、私は声を上げる。

 

「待て!」

 

「力のない者に止める資格はない。せいぜい偽物に気をつけ、身を守るんだな。」

 

その瞬間、男はまるで元からそこに居なかったかのように姿を消した。

 

「っ!」

 

逃げられた。どこへ向かったのかさえ分からない。

 

超高出力のアーティファクトでも使っているのでしょう。

 

なら、私達ができる事は魔力痕跡を調べる事のみ。

 

「あの男の魔力痕跡を調べなさい。」

 

「はっ」

 

近くの騎士に指示を出す。

 

とは言え、気休めにしかならないでしょう。

 

「アイリス様。」

 

「男の魔力痕跡は採取できましたか?」

 

「い、いえ、それが、、、化け物のものと思われる痕跡しか採取できませんでした。」

 

「何ですって?それではまるで、あの男が魔力を使わずにあの化け物を倒したかのようではないですか!」

 

「自分もそんなはずはないと思いますが、状況的にはそうとしか...」

 

「あの男は一体、、、?」

 

〜〜〜七陰視点〜〜〜

 

「これより七陰会議を始めるわ。」

 

「王都での件ですね。」

 

「真のシャドウガーデンを名乗る謎の男。」

 

(空席)

 

「いずれ主様になると言い張る者の正体はなんなのでしょうか。」

 

「主になれるだなんてとんだ妄想だね。」

 

「Zzz...」

 

「現時点では教団との繋がりは見えない。けれど、要注意人物よ。もしかしたら彼の力を借りないとならないかもしれない。」

 

 

《学園襲撃編》

 

 

〜〜〜アレクシア視点〜〜〜

 

「黒ずくめの男達はシャドウと敵対していました。」

 

「シャドウガーデンに、真のシャドウガーデン。偽物のシャドウガーデン。この国で一体何が起こっているの、、、」

 

「姉様。シャドウとは敵対してはいけません。あの男の...」

 

「アレクシア。その件はアーティファクトを使用したものだと結論づけたでしょう。それに、誰一人としてこの国で好き勝手させる気はありません。」

 

 

《ブシン祭編》

 

 

「誰でも良い!誰か早くこいつを捕まえろ!」

 

「我々が手を貸そう。ドエム・ケツハット殿。」

 

その瞬間、多数の人影が()()ことにその場の全員が気づいた。

 

「「「我ら真のシャドウガーデン」」」

 

その集団がそう名乗ると同時に、中心に立つ男が大きな杖の形をしたアーティファクトを地面につき、アーティファクトから赤い魔力が上空へと屋根を貫いて進み、その直後にシャドウへと雷が落ちる。

 

が、シャドウは依然としてそこに立っていた。

 

「借り物の力で我は倒せん。我らを騙る者よ。」

 

「甘い。我々はお前の力を理解した。この力を元から持っているとは、(ねた)ましいものだな。」

 

そして、男がアーティファクトを掲げると同時にその仲間達のアーティファクトが青紫色に光る。

 

「『トリオ』、後は任せる。小手調べだ。」

 

「りょーかい。」

 

その直後、男は忽然と姿を消し、仲間の1人がシャドウへ刀型のアーティファクトで斬りかかる。

 

シャドウはそれをスライムソードで防ぐが、そのアーティファクトはただのスライムを斬るかのごとくすり抜けた。

 

 

〜〜〜オリ主視点〜〜〜

 

 

古都アレクサンドリア。

 

表では隠されたシャドウガーデンの本拠地だが、世界を潜ればそこは我々の本拠地だ。

 

「シェリー。奴の魔力を取ってきたぞ。」

 

「・・・」

 

「シェリーーー」

 

「わっ、はい、ありがとうございます。」

 

「それにしてもこのアーティファクトはすごいんです!」

 

「『赤色魔力』をこのアーティファクトに込めると、回路内で増幅されて自分を複製するようになってるんです!ただ、安全装置がついていて、最初に覚えさえた魔力環境下でないと複製しなくなる、つまり環境下では無限に自己複製を繰り返してしまうので、テストはできませんし、この古代文字とは違う文字も解読できてないので不安な所です。」

 

まぁ、日本語は難解だからな。『寄生ウィルス型てきとー式アーティファクト』なんて簡単には解読できないだろ。

 

しかも漢字と片仮名だけでも良かった所にわざわざ『てきとー』と平仮名で書いて解読を難しくしている。

 

彼彼女らも性格が悪いな。

 

直接的ではなく間接的に支援するとは言っていたが、アーティファクトを世界中にばら撒くなんてな。

 

まぁ、そのおかげで俺らは雷のアーティファクトで武装することができたし、良いか。

 

「これをこうして、、、できました!」

 

「これで後は奴に触れさせるだけです!触れさせてさえしまえば、シャドウを殺れます!」

 

言い方怖いな。

 

「遂に目的を達成する時か、、、」

 

シャドウさえ殺してしまえば、陰の実力者を乗っ取るのは時間の問題。

 

ははははっ、あはは、これまで何もできなかった分、今度は好き勝手してやる!

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