陰実短編集   作:ただの厨二病A

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ディアボロス教団壊滅につき、シャドウが姿を消した話


闇堕ちシャドウガーデン

「全てが終わった後でさえ、あなたは私達の一歩先を見据えているというの?」

「あぁ、シャドウ様ぁ。未だ漆黒の英雄譚(シャドウ様戦記)は完結しないという事ですね。願わくば、続編もこの銀髪で涙袋のある可愛いエルフをお側にぃ〜」

「これはつまり、今度は陰の叡智に一切頼らず、ミツゴシ商会を大陸や東国だけでなく、世界の反対側まで。この星全てにまで拡大させろということですわね!」

「ボスゥゥゥ!愛人は100人!子供は400人なのです!デルタがボスの所に連れて行くのです!」

「シャドウガーデンという合奏が終わった今、主様が求めるのはわ・た・しとのデュエットですね!?」

「主の為なら、私は極寒の山でも、灼熱の大地だって探すよ?」

「マスターの脳、まだ解剖、してない。マスターは、私が、探す。そして、解剖、する、!」

 

〜〜〜

プレリュード

〜〜〜

 

魔人ディアボロス。

ディアボロス教団によって復活したそれはシャドウ率いるシャドウガーデンにより討伐された。

 

戦場には、シャドウらによって作られた月の大きさほどのクレーターが残る。

辺り一体には青紫色の残留魔力が飛び散り、ディアボロス細胞の一欠片すら残存を許さない。

 

クレーターのすぐそばには、ディアボロス教団との戦闘により壊滅的被害を被ったアイリス・ミドガル率いる紅の騎士団。

そして、紅の騎士団から独立したアレクシア・ミドガル率いる白金(プラチナ)騎士団の面々が膝をつきつつも、爆発(アトミック)の一部始終を見届けていた。

 

「、、、認めるしかないわね。この爆発はアーティファクトによるものではなく、シャドウ自身の魔力量と技術によるものだと。」

「姉様、、、」

 

「気づくのが遅過ぎます。だって、もう全て終わったんですから。」

 

「「・・・」」

 

「そうね。これで、終わったのね。」

 

 

「アレクシア。」

 

「何ですか?姉様。」

 

「ミドガル王国はあなたに任せるわ。」

 

「姉様?!」

 

「私はやっぱり、政治には(うと)いもの。」

 

「でも、騎士団長の座は譲りませんよ?」

 

〜〜〜

イントロ

〜〜〜

 

魔人ディアボロス討伐の翌日、アレクサンドリアではシャドウガーデン全構成員による祝勝会が開かれていた。

 

「ここまで何度も苦難に直面したけれども、皆んなでこうして乗り越えられた事を何よりも嬉しく思うわ。教団の残党もまだ各地に点在するけども〜〜〜」

 

(アルファ達とエキストラさんが僕のごっこ遊びに付き合ってくれるのもこれで終わりかぁ。)

 

シャドウはそこそこセンチな気持ちになりつつも、昨日のイベントで陰の実力者プレイに一区切りがついたと思い、これまでのプレイを振り返っていた。

 

(思えば、“シャドウ”には反省点が何個もあるなぁ。主人公とか、知る人ぞ知る謎の実力者っていうより、ただの謎の実力者になってた気がする。それに、陰の実力者の手を借りつつ、ラスボスに立ち向かう主人公。そして最後のトドメは主人公が、、、みたいなのも出来なかったし、今度は主観的に楽しむだけじゃなくて、客観的に陰の実力者をしないとなぁ。)

 

そうして、シャドウ。いやかげのみのるは新たな陰の実力者として活動すべく、アレクサンドリアを去った。

 

〜〜〜

何かしらの崩壊

〜〜〜

 

ディアボロス教団が壊滅したことにより、ミドガル王国含む世界中で行政の機能不全に陥った。

 

教団の人間がそれほどまでに浸透していたのだ。

 

しかし、教団の壊滅から1,2年もすれば、それも解決した。

 

最初の数ヶ月は治安の急激な悪化があったが、その全てを姉様が直接出向いて処理している内に治安も良くなった。

 

だって、ミドガル王国で姉様の強さを知らない者なんて居ないもの。

 

教団相手には敵わなかったけれども、そんじょそこらの賊にはどうしようもできないわ。

 

 

ただ、最近は大きな動きがあったわ。

 

ある時、常に毒の霧に包まれている深淵の森の霧が晴れ、その奥から神話と思われていた(いにしえ)の古代都市、アレクサンドリアが発見された。

 

それと同時に、教団の壊滅から姿を消していたシャドウガーデンが再び姿を現した。

 

そして宣言した。『我々は教団のような組織が再び台頭することを許さない。よって、我々はアレクサンドリアに統一政府を樹立する。それに伴い世界各国に対し、統一政府への協力を要求する。』

 

統一政府が成立すれば、教団のような組織の台頭を予防するだけでなく、戦争抑止による平和など様々な利点がある。

 

武力を嫌い芸術を尊ぶオリアナ王国はいち早く賛同を表明したわ。

 

そして圧倒的財力を持つミツゴシ商会も資金援助を表明。

 

続いて私達ミドガル王国も賛同の意を表明したわ。

 

統一政府の指針の1つである世界的な軍縮を嫌っていたベガルタ帝国も世界各国からの圧力を受けて最終的には賛同した。

 

 

それから数年後、世界はシャドウガーデンに支配されていた。

 

 

悪魔憑きはかつて教団によって不当に差別されていた。しかし、悪魔憑きとは大昔にディアボロスを倒した英雄の子孫の証であり、教団による負の歴史を是正する為、統一政府(シャドウガーデン)は英雄優勢法を発布。“悪魔憑き”改め“英雄病”を発症した者はミツゴシ傘下の病院で無償治療され、優遇された。

 

最近人気の小説のタイトルが『学園でいじめられていた私、英雄病発症を皮切りにいじめっ子達に復讐する。』という事からもその風潮が分かる。

 

優遇と言えば聞こえは良いが、裏を返せば冷遇があるのだ。

 

英雄病発症者はとことん優遇され、その割を食うのは一般人だ。

 

そして今日、新たに英雄保護法が発布された。

 

その内容はこうだ。

 

1.英雄の子孫は潜在能力の優れる優秀な血筋であり、優勢遺伝*1である為、世界の発展の為に保護するべきである。よって以下の法律を制定する。

2.英雄病未発症者どうしの間にできた子の出産を禁じる。

3.英雄殺重罰:英雄病発症者を殺害した場合、通常の殺人罪よりも重く処罰する。

4.差別防止法:英雄病発症者を不当に貶める行為言動を禁じる。英雄病を悪魔憑きと呼称する行為もこれに該当する。

 

「諸君らも耳にしただろう。英雄保護法について。どう思うかね?」

 

「いくらなんでも差別だ!」

 

「俺らにだって子供を作る権利はあるはずだ!」

 

「そうだそうだ!自由に生きさせろ!」

 

 

「さてさて。どうやらシャドウガーデン(統一政府)は遂に化けの皮を剥がしつつあるようだ。」

 

「では諸君らに改めて問おう。果たして、教団とは悪だったのか。」

 

「否。違う。決してそうではない。」

 

「“悪魔憑き”とは魔人ディアボロスのかけた呪い。呪いを我が子に引き継ぎたいと皆は思うかね。思わんだろう。つまり教団は悪魔憑きを救ったのだ。そしてさらには、悪魔憑きと魔人ディアボロスの研究を進め、いつしかは呪いを根絶させる為に鋭意(つと)めてきたのが教団なのではないかね!?」

 

〜〜〜

・統一政府

総統:空席(シャドウ)

行政部:アルファ

財務部:ルーナ

防衛部:デルタ

民間部:ナツメ、シロン

技術部:イータ

宗教部:ウィクトリス(旧559番)

警察部:ラムダ

以下不確定情報

情報部:ベ??

暗部:ゼ??

〜〜〜

 

〈アルファ殿に報告します。ベガルタ帝国で極左団体レジスタニアの暴動が発生。これより防衛部改革課は鎮圧に向かいます。どうぞ。〉

 

「こちら行政部、了解。」

 

そう言って無線を切ると、アルファはため息をついた。

 

「本当にこれで良かったのかしら。シャドウ、私にはまだ分からないわ。」

 

 

数年前、私達はディアボロス教団を壊滅させ、当初の目的を達成した。

 

しかし、その翌日にシャドウは姿を消した。

 

絶対の統率者も目的も失ったシャドウガーデンは、次第に迷走が始まった。

 

そしてある日、構成員の中から歴史を繰り返さない為の行動が必要なのではないかとの声が上がった。

 

その意見は日に日に賛同者を増やし、段々と現実味を帯びてきた。

 

そうして気がつけば、統一政府が成立していた。

 

 

「アルファ様!大変です!暴動の鎮圧に向かった部隊が壊滅しました!」

 

え?

 

そんなはずはない。

 

彼女はディアボロス教団壊滅が近い時期に入った旧3,141番とは言え、戦闘技術はシャドウガーデンのもの。

 

英雄の子孫が世界を導くべきという過激思想を持ってはいるけれども、実力は旧666番に次ぐ。

 

ましてや教団も壊滅し、各国が軍縮を進める今、それほどの実力者は少ない。

 

「一体何者なの?」

 

「無線によると、『エイ』を名乗る謎の人物により壊滅したと。」

 

「ひとまず、近場に居たデルタと防衛部強硬課のパイ、タウを現場に向かわせています。」

 

〜〜〜

翌日

〜〜〜

 

「エイの対応に向かわせたデルタ及びパイ、タウが消息を絶ちました。」

 

パリンッ、アルファが思わず持っていたコーヒーカップを落とす

 

「現在、情報部の総力を上げて調査をしていますが、現場に残っていたのはこれだけでした。」

 

そう言ってベータが見せたのはデルタの尻尾の飾り

 

「そう。せめて亡骸だけでも、」

 

そしてアルファの魔力圧により震えるイータ特製強化防弾ガラス

 

〜〜〜

一方、レジスタニア

〜〜〜

 

「首長!正気ですか?!エイと名乗る謎の人物をレジスタニアに招くとは。」

 

「素性も何も分からないんですよ?!」

 

「まぁ冷静に考えるんだ。」

 

「エイと名乗る人物はシャドウガーデンと敵対していた。敵の敵は味方。それに、我々の戦力はいくらあっても足りない。」

 

〜〜〜

宗教部

〜〜〜

 

「ウィクトリス様、信徒のレジスタニアから集会の情報を手に入れました。」

 

「ならば、ゼータ様にお伝えしろ。下手に動いては折角の情報源も失うかもしれん。我々の役目は宗教組織として潜むことだ。」

 

〜〜〜

集会

〜〜〜

 

「諸君!今日は集まってくれて感謝する。」

 

「早速だが本題に入ろう。」

 

「ここに来たということは、諸君らは世間に不満があるのだろう?」

 

「聞いてみよう。」

 

 

「英雄病患者ばっかり優遇しやがって、俺らは損してばっかじゃねえか!」

「英雄病贔屓にはもううんざりだ!」

「魔人ディアボロスを討伐したからってデカい顔しやがって、何様のつもりだ!?」

 

「皆の言うことはもっともだ!」

 

「平和はもっともだが、明日を生きていけなきゃ関係ない!」

 

「私は、明日に死ぬ平和くらいなら、明日も生きるもしくは生きる為の戦争を選ぶだろう!」

 

「皆もそうじゃなかろうか?」

 

「そうだ!」

「俺達だって、死ぬくらいなら戦争してやる!」

「“悪魔憑き”ばっかり得して許せるかっての!」

 

その瞬間、“悪魔憑き”と発した男の首が飛んだ。

 

「秘密集会禁止法違反に過激思想喧伝(けんでん)罪、差別防止法違反。重罪だね。」

 

「お前、シャドウガーデンだな!?」

 

「答える必要ある?」

 

「まぁ良い。悪魔憑きだけが、適合者の力を扱えると思うなよ?!」

 

扇動者がゼータへ斬りかかり、ゼータはそれを防ぐ。

 

「へぇ、雫とかとも違うね。魔力量は私に匹敵するかもね。」

 

「侮るなよ?かつての教団は驕り高ぶり、派閥争いを繰り広げていたが、今は違う。」

 

「世界を蝕むシャドウガーデンに対抗する為、我々レジスタニアは団結している。お前らが全世界に影響力を持つように、我々も全世界と繋がっているのだ。」

 

「教団が負けた理由がそれだと思ってる?なら、私が負けることはないね。」

 

「それはどうかな?てぇ‼︎」

 

その瞬間、ゼータの周りのレジスタニア達が銃を構える。

 

銃なんて魔剣士には効かないなんてのは大昔からの常識。

 

だが、その銃らしきものは普通の銃、正確にはマスケット銃とは違う点がいくつかあった。

 

まず、銃身に細長くて曲がっている何かがぶら下がるようにくっついている。

 

そして、火薬に着火する為のハンマーが見当たらない。

 

それらの違和感から、ゼータは身を低くして回避に専念する。

 

次の瞬間、弾が発射される。

 

しかし、1発撃ったあとも何発も連続で放たれる。

 

その弾幕を避けきれず、1発がゼータの耳を掠める。弾かれずに貫通した。

 

もちろん魔力による防御を怠った訳ではない。

 

避けきれないと悟ったその1発を防ぐ為に点で魔力を集中させた。

 

だが貫通した。

 

耳の神経からは痛覚の信号が送り続けられているが、被弾した一瞬の感覚をゼータはその直感で理解する。

 

弾丸の感触からして、球形ではなく尖った形をしている。

 

従来の弾丸よりも狭い点での攻撃で、貫通力は桁違い。

 

とは言え、今のは点での防御が弾丸に対して広かった故に貫通しただけ。

 

天賦のゼータは既に適応していた。

 

そして、レジスタニアはゼータを中心に三日月の形で射撃を行っている。

 

フレンドリーファイアを避ける為だ。

 

ゼータはそこを狙い、あえて中央の扇動者に向けて駆ける。

 

すると、扇動者に近づくにつれ射撃を止める者が増えた。

 

そして、

 

「かかったな!」

 

間合いまであと1歩という所で、扇動者が左手で拳銃サイズの銃を取り出す。

 

これもまた普通とは異なり、ハンマーがなく、銃口が2つあった。

 

扇動者が引き金を引くと、銃口から無数の小さな弾が発射される。

 

咄嗟にゼータは重要臓器を防ぐように面で魔力を纏いながら、後ろへ飛び退く。

 

それにより防御した部分は守れたが、腕や足には多数の弾が命中した。

 

その大部分が貫通せずに体内で止まったことを踏まえれば、1発1発の貫通力は普通の銃よりも劣る。

 

重要臓器だけではなく、全身に魔力を分配しておけば防げたが、それは結果論だ。

 

双方が距離を取り、仕切り直しとなる。

 

ゼータは手足の動きが多少鈍くはなったが、レジスタニアもフレンドリーファイアで倒れている者が何人か居る。

 

そんな膠着状態の最中に人影が現れる。

 

「もしや、貴殿がエイ殿かね?」

 

暗い服装をしており、服の端の方は霧がかって見え、その男の輪郭は掴めなかった。

 

「そう私を呼ぶ者も居る。」

 

「エイ殿、貴殿にはぜひ我々レジスタニアに手を貸して欲しい。共にシャドウガーデンを倒そうではないか。」

 

「貴方は何か勘違いしている。」

 

「私はただ、私の成したいことを成すのみ。そこに余計なものは必要ない。」

 

「私はただの舞台演出家に過ぎない。」

 

レジスタニアとエイなる人物が話している隙に傷を癒したゼータは音もなくエイへ斬りかかる。

 

しかし、ゼータのチャクラは空を切り、暗い深青色の魔力が薄らと漂い、消えた。

 

だが、ゼータの感覚がその場に残ったものに反応した。

 

「この匂い、主??ねぇ、主?」

 

ゼータの魔力が一時、乱れる。

 

その魔力により、レジスタニア達は一撃でやられた。

 

「主、私は探したよ?なんで姿を消したの?逃げたの?」

 

「シャドウ。彼は役割を終えた。」

 

「人の世は移り変わり、世代は変わる。」

 

「私はシャドウと代わった。」

 

「なら、私も代わるよ。」

 

 

 

後日、統一政府にはゼータの行方不明の知らせが届いた。

*1
地球では顕性遺伝とも言う

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